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日本で「ロボット」と言うと、SFなんかに登場するのは圧倒的に人間型・二足歩行で腕二本(ついでに巨大)と言うのが多いが、現実のロボットは今のところ動かないか、車輪やキャタピラで動くものばかり。「脚で動く」となると、人間様が実行している二足歩行と言うのは中々の難事で、多くの動物が実行している四足歩行の方がまだ簡単だ。
それ故に・・・下掲するのは、その四足歩行ロボットの速度が、人間様のチャンピオン・ボルト選手に勝った、と言う記事。
転載開始=========================================
ボルト選手を破った4足ロボ
2012.9.10 10:57 [ロボット] http://sankei.jp.msn.com/wired/news/120910/wir12091010580001-n1.htm
米国防総省の支援で開発されている4足ロボット「Cheetah」が、時速約45.5kmで走ることに成功した。これは「世界最速の人間」よりも速いスピードだ。開発したBoston Dynamics社は、別の4足ロボ「BigDog」でも有名だ。
米国防総省が開発資金を出している4足ロボット「Cheetah」が、時速約45.5kmで走ることに成功した。これは「世界最速の人間」よりも速いスピードだ。
100m走の世界記録は、短距離走者ウサイン・ボルトが2009年に打ち立てた9.58秒で、平均時速に換算すると約37.57kmになる。20m区間の時速は最高で44.7kmに達していた。
米国防高等研究計画局(DARPA)から受託して大手ロボット開発会社Boston Dynamics社が開発した4足ロボットのCheetahは、ボルト選手の記録を破っただけでなく、半年前に打ち立てた(日本語版記事)それまでの自己最高記録(時速約29km)をも更新した。
同社のマーク・ライバート最高経営責任者(CEO)によると、Cheetahの改良にあたっては、Cheetahが利用できるエネルギーを増やし、脚の制御システムを改良したという。しかし、動画の最後の部分でCheetahは「さらに高速に走行しようとしてコントロールを失って」おり、これは今後の改良点を示しているという。(文末に動画を掲載)
「公平を期すために、Cheetahが風のない室内のトレッドミルで走り、外部の電力供給装置等を使っていることに留意してほしい。ボルト選手はいまだにロボットよりすぐれている」と、Boston Dynamics社のリリースで述べられている。しかし、同社はこの状況をすぐにでも変える計画だ。
「われわれの目標は、自由に屋外で動き、高速で走ることができるロボットを作り出すことだ。現在、Wildcatと呼ばれる自立型を開発している。Wildcatは来年はじめにもテストが行われる予定だ」と、同社のアルフレッド・リッツィ博士は声明で述べている。
Boston Dynamics社は、4足ロボット「BigDog」を開発したメーカーだ。BigDogはCheetahに付属しているような外部からの油圧ポンプやブームに似た装置のない自立型で、氷面や雪面、斜面を歩くことができる。BigDogの改良版は、約180kgの荷物を積んで最高約32kmの距離を歩くことができる(日本語版記事)。
Boston Dynamics社はCheetahについて、緊急事態対応や災害救助、防衛に利用できると述べている。しかし、Cheetahが最初に発表されたとき、同社はその柔軟な「背骨」について、「ジグザグ走行をして追跡や逃走を行う」のに役立つと述べている。人間よりすぐれたロボットが支配する世界が近づいていそうだ。
なお同社は、頭の無い人間型のロボット「Petman」(日本語版記事)も開発している。
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スノーウォーカーはガンダムに先行するか
さて如何だろうか。
言い忘れていたが、私は「巨大ロボット」なるものが大嫌いだ。「兵器として不合理だから」だ。
無論戦史・兵器史を紐解けば、兵器と言う物は必ずしも合理的ではない、と知れるだろう。兵器や戦術と言うものは、必ずしも合理的ではない。だが、戦争・戦闘と言う現実は、非常なまでに合理的だ。不合理な兵器を装備し、不合理な戦術をとる軍は、当然ながら不利であり、負け易い。兵器や戦術だけで戦争の勝敗が決することは希だが、不利な戦争・戦闘を好む者は希なので、不合理な兵器・戦術は淘汰され、改良される。結果として長く使われる兵器や戦術は、相応に合理性を備えているものだ。
だから、ハナッから不合理であることが明白な「巨大ロボット」なんて兵器は大嫌いだ。
そもそも、現状あるロボットの大半が、自然界にはない車輪やキャタピラで移動するのは、それが自然界にはないメカニズム(*1)ながら、移動と言う点で合理的だから、だ。二足歩行を含む多脚歩行と言うのは、岩場やガレ地のような起伏の激しい場所以外では、車輪・キャタピラに対して不利である。
無論、多脚歩行の場合、制御の難しさがある。だからこそ人型の二足歩行は未だ歩くのが精いっぱいで走る事さえままならず、ボルト選手に勝つなんてまだ先だ。四足歩行の方が二足歩行よりは制御が容易であり、だからこそこの度目出度く「ボルト選手に勝つ」事が出来たわけだ。が・・・Cheetahと名付けられ、柔軟な「背骨」を持つこの四足歩行ロボット、四足とは言え相当高度な制御が要りそうだ。
とは言え、以前にたてた自己最高記録29㎞/hを、わずか半年で約37.57kmに塗り替え、約三割の速度向上と言うのは、ロボットならではの記録。技術の御名を誉む可きかな。
<注釈>
(*1) 寺沢武一の「コブラ」には、起伏に乏しい惑星に生息する転がって移動する「ラウンドウルフ」「ラウンドバッファロー」なる動物が出てくる。「ハイウエイ惑星」ではやはり平坦な惑星で、四肢に寄生して高速移動手段を提供する車輪状寄生生物が登場する。が・・・いずれもSFだ。