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当ブログでは、東京新聞を「脱原発原理主義」と断じ、再三糾弾している。選挙結果も国際情勢も発電コストも何かも「脱原発」の前には粉砕して突き進めと言うのだから、「脱原発原理主義」としか評しようがない。
時には、そんな東京新聞も、「カンボジア国籍を取得しての五輪出場を企てた/企てただけに終った」猫ナントカと言う芸人に対する見解のように、私も首肯出来る主張をなすこともある(*1)。だから、「東京新聞の主張だから、即座に私の主張とは相容れない」と言う事は無い筈である。
筈であるんだが・・・どうも、安全保障に関しては、やっぱり「宗教が違う」ようだ。
<注釈>
(*1) 主旨不明瞭―毎日社説「猫ひろしと五輪」を斬る! http://www.blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/36973686.html
転載開始=========================================
【東京新聞社説】防衛白書と中国 「ジレンマ」に陥っては
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2012080102000112.html
2012年8月1日
二〇一二年版防衛白書は中国海軍の太平洋進出が「常態化しつつある」と指摘した。動向を注目する必要はあるが、日米側がやみくもに軍事力を強化すれば「安全保障のジレンマ」に陥ってしまう。
白書では、昨年六月、十一隻の中国艦艇部隊が沖縄本島と宮古島の間を通過して太平洋上で訓練を行った例や、漁業管理を行う公船が尖閣諸島付近の領海に侵入した事案などを列挙している。
また、南沙諸島など南シナ海での活動活発化も例示し、中国が「わが国近海と南シナ海で活動領域の拡大と活動の常態化を図っていく」と指摘した。
隣国である中国の軍事活動強化に対し、日本が独立国として専守防衛という憲法の枠内で領土、領海、領空を守る毅然(きぜん)とした態度を示すことは当然である。
とはいえ、中国に合わせて、自衛隊と在日米軍とが軍事力を強化し続ければ、際限のない軍拡競争で地域情勢を逆に不安定化する「安全保障のジレンマ」に陥る。そうした事態は避けるのが賢明だ。
中国側は、米海兵隊普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)への垂直離着陸機MV22オスプレイ配備を警戒しているようである。
世界一危険として日米両政府が返還に合意した普天間飛行場に、安全性が確立されていない航空機を配備するのはそもそも納得し難いが、中国側に軍事力強化の口実を与えるのなら得策ではない。
アジア・太平洋地域の安定を図る観点からもオスプレイ配備の是非を再検討する余地があるのではないか。
日米両政府は軍事力強化ではなく、中国に対し、周辺海域での活動活発化や国防政策の不透明さが地域の懸念事項となっていることを伝え、海洋での航行の自由を守ることが中国の国益にも資すると粘り強く説得する必要がある。
普天間駐留の米海兵隊ヘリ部隊については、ほかの海兵隊部隊と切り離せば機能を損なうとして、名護市辺野古への県内移設を「唯一有効な解決策」と記した。
しかし、環境影響評価書に対する仲井真弘多沖縄県知事の意見書が辺野古移設を「事実上不可能」としたことや、米国の連邦議会や外交専門家から辺野古移設の見直しを求める意見が出ていることには触れずじまいだ。
白書が年次報告書であるなら、こうした重要な動きを見過ごすべきではない。沖縄の地政学的、戦略的な重要性を強調するばかりでは、画竜点睛を欠く。
=================================転載完了
安全保障は「地元住民の民意」に優先する。
さて、如何だろうか。
先ずは東京新聞社説と共有出来るところから行こう。当該社説は防衛白書最新版を取り上げ、防衛白書が表明した中国に対する懸念を、一応肯定している。
1> 隣国である中国の軍事活動強化に対し、
2> 日本が独立国として専守防衛という憲法の枠内で領土、領海、領空を守る毅然(きぜん)とした態度を示すことは当然である。
上記2>「専守防衛という憲法の枠内」と言う制約条件が引っかかるが、基本的には私も同意できるところだ。
だが、その「中国の軍事活動強化」に対し、我が方の採るべき対策はと言うと、
3> とはいえ、中国に合わせて、自衛隊と在日米軍とが軍事力を強化し続ければ、
4> 際限のない軍拡競争で地域情勢を逆に不安定化する「安全保障のジレンマ」に陥る。
5> そうした事態は避けるのが賢明だ。(*1)
と、尤もらしい事を抜かす。
では、どんな「賢明な策」があるのかと、目を皿のようにして東京新聞社説を読んでも、あるのは以下の項目きりだ。
(1) オスプレイ沖縄配備の再検討( 中国側に軍事力強化の口実を与えるので )
(2) 中国に対し、「周辺海域での活動活発化や国防政策の不透明さが地域の懸念事項となっている」ことを伝える
(3)「海洋での航行の自由を守ることが中国の国益にも資する」と粘り強く中国を説得
私が笑えて仕方がないのは、東京新聞が上げている上記(1)~(3)の「安全保障のジレンマを回避する賢明な策」に、全く実効性が期待できないから、だ。
中国は、20年以上にわたって軍事費二桁成長の軍拡路線を驀進して来た国だ。この間、当然ながらオスプレイなんて配備されていない。そんな中国が、「オスプレイ配備中止により、軍事力強化の口実を失う」何てどうして想像できるのか、私にはサッパリ判らない。そんな口実なしで軍拡路線を驀進してきた輝かしい実績があるではないか。
上記(2)は、要は「中国脅威論の高まりを伝える」と言う事だろうが、中華思想のご本家が、東夷南蛮の「懸念」なんぞ、歯牙にもかけるものか。寧ろ「国威の発揚」と喜ぶだろうさ。
上記(3)に至っては呆れ返る外ない。尖閣諸島は愚か沖縄まで「核心的利益」と言い出して侵略宣言を出しているのは、「中国海洋進出の野望の表明」に他ならない。中国海軍による中国軍艦船限定の「航行の自由」を簒奪しようとしている中国に対し、「海洋での航行の自由を守ることが中国の国益にも資する」なんて説得が、通用する物かよ。
そんな実効性のなさ、中身の無さは、東京新聞もご承知らしい。当該社説の終盤は、全く別の話を始めている。即ち、「普天間基地移設問題」だ。「辺野古移設見直し」の意見を紹介して、次の一文で当該社説を〆る。
6> 白書が年次報告書であるなら、こうした重要な動きを見過ごすべきではない。
7> 沖縄の地政学的、戦略的な重要性を強調するばかりでは、画竜点睛を欠く。
お気付きだろうか。当該社説の終盤3パラグラフには、中国の「ち」の字も出て来ないし、直接的には中国と全く関係ない話だ。当該社説タイトルは「防衛白書と中国 「ジレンマ」に陥っては」と銘打っているにも拘らず、だ。
正に「取って付けた様な終盤3パラグラフ」であり、本当に「取って付けた」のじゃないかと、疑えるほどだ。この終盤のお陰で当該社説は「画龍点睛を欠く」どころか全く支離滅裂に陥って居ると言うのが判らないのだろうか。
聊か邪推を巡らすならば、当該社説の原案では、「普天間基地の県外移設も、「安全保障のジレンマ」を回避する賢明な策だ!」とでも結論付けていたのではなかろうか。それが推敲を重ねる内に「流石にそれは拙い」と言う事になり、「普天間県外移設を求める動きに触れないとは、防衛白書は画龍点睛を欠く」などと言う、社説タイトルとはまったく関係のない「〆方」になってしまったのではなかろうか。
邪推が過ぎるだろうか。
ま、私の邪推なんてのは、些事だ。
重大なのは、当該東京新聞社説が支離滅裂な文章になっていることと、それ以上に、「「安全保障のジレンマ」を回避する有効策」を全く打ち出せていない事だ。
これが社説、東京新聞の「主張」なのだな。流石は脱原発原理主義の新聞社だけあって、論理も知性も低レベルだ、と評するべきか。
如何に、東京新聞。
<注釈>
(*1) そうした事態に陥れたからこそ、そうした事態を乗り切ったからこそ、冷戦に西側は勝ったのではないか。それは一つの戦略であり、選択肢だ。