マスコミの自殺―「公正性の確保」に「当事者の原発擁護論」を不要とする毎日社説の怪

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 (承前)

 将来的な原発依存率について意見を表明するエネルギー聴取会にて表明された電力会社社員の原発擁護論に対し、野次を飛ばして妨害する聴取会参加者や、「信じられない」と全面否定する「コメンテーター」こそ、「言論の自由の敵」として糾弾されるべきであろう。特に後者は「マスコミの一員」にして「言論の自由の敵」だ。凡そ、最大級の裏切り者として糾弾されるべき存在だろう。
 
 その意味では、今回取り上げたような社説を堂々と掲げてしまう、上掲①毎日新聞も、当該「コメンテーター」級と言えよう。
 
 何しろ、当該毎日新聞社説は、以下の一文でその社説をはじめるのだ。
 
毎1>  政府は、今後のエネルギー政策について国民の声を聞くための意見聴取会に関し、
毎2> 電力会社の社員が意見表明することを認めないよう運営方法を改めることになった。
毎3>  意見聴取会は、国の将来を左右する重要な政策に国民の声を反映させる大切な機会であり、
毎4> 当事者の主張を聞く場ではない。
毎5>  運営の見直しは当然のことだ。しかし、なぜ当初からそうしなかったのか。
毎6> 「国民の声を本気で聞く気があるのか」と疑われるようでは、政策決定の正当性は確保できない。

 特に上記毎3>~毎4>の記述が、前章の冒頭にか掲げた「素朴な疑問」を私に抱かせた。即ち、
 
【Q1】 「電力会社社員と言うのは、国民ではないのかね。」

【Q2】「原発擁護論を公言する事は、公言する事自体が非難の対象なのかね。」

 普通に考えれば上記二問の答えは明白だ。

【A1】「電力会社社員もまた国民である」

【A2】「原発擁護論自体が非難の対象とされる事はあっても、「原発擁護論の公言」自体を非難される事は、あってはならない。」

 ところが当該毎日社説は、次の一文でその社説を〆、結論付けるのである。
 
毎7> 意見聴取会は今後も続き、討論型世論調査も控えている。
毎8>「政府は国民の不信を招くことのないよう、公正性の確保に意を尽くすべきだ。

 上記毎8>では直接言及していないが、当該社説の言う公正性の確保」が「当事者である電力会社社員による原発擁護論封じである事は明白であるそれだけでも十分、言論の自由の剥奪であろう。マスコミ自身が言論の自由を封殺する事は、田母神空幕長の発言が問題化した際も見られた現象であるが(※1)、それぞ正しく、以前記事にもし、今回章題にもした通り、「マスコミの自殺」である。
 況やそれを「公正性の確保」などと言う美名の下に実施しようとは、正気の沙汰とは思われぬ・・・・が・・・・毎日社説が正気でないのは、毎度の事か。
 
 さらに言えば上記毎2>の通り、当該毎日社説のようなやらせ」批判に屈する形で「電力会社の社員が意見表明することを認めないよう運営方法を改めること」にした政府・野田首相もまた、「電力会社社員の言論封殺に手を貸す、言論の自由の敵」であり、それは普通「民主主義の敵」でもある。
 
 ああ、民主党は民主主義の敵として、私の宣戦布告を受けていたな(※2)。その意味では、実に「民主党らしい」事ではあるが。
 
 毎日の狂気に比べれば、日頃「脱原発原理主義」と私が糾弾して止まない東京新聞の社説上掲②の方が大分マシだ。
 
東1>  電力会社の幹部といえば、意見を聞いて参考にする立場である。
東2> それが、真顔で「会社の考え」を述べるとは、考え違いも甚だしい。
東3> 消費者の心の内などわきまえない巨大電力会社の実態が、透けて見えるようではないか。
 
と、やはり電力会社社員を国民扱いしない暴論で、「流石は脱原発原理主義者」と思わせるが、同社説の結論は、

東4>  国民的議論と言うのなら、今は結論を急がす、
東5> 原発推進、反対、中立などさまざまな主体が運営する議論の場をもっと数多く開催し、
東6> 不信の溝を丁寧に埋めていくしかない。

とし、電力会社社員は黙っていろながら「原発推進、反対、中立」の三論を併記している。まあ、実際に原発に生活がかかっていない、非電力会社社員の原発推進論者など、多寡が知れている」と舐めているのかも知れない。そうであるならば、私は随分東京新聞に舐められている、事になる。

 上掲③の産経社説には、殆ど付け加える事がない。これぞ文字通りの【正論】であろう。
 
 ああ、冒頭強調すべきだったかも知れないが、私は福島原発事故を経てなお原発推進論者だ。それ故にこそ、上掲③産経社説の〆
 
産1>  原発利用の3つの選択肢そのものにも、産業界の反発は強い。
産2> 経団連は、「たとえ25%の原発利用が認められても、経済成長に必要な電力は確保できない恐れがある」と批判している。
産3>  電源構成は国の将来を左右する重要な問題だ。
産4> 野田首相は国民の意見を聞きながら、最終的に安価で安定的な電力供給を確保できる道を選ぶ責任がある。
 
にも、諸手を挙げて賛同する。

 であればこそ・・・電力会社社員の意見をエネルギー聴取会から排斥する事に決めてしまった野田首相と民主党政権に、大いに疑問を抱かざるを得ないのである。何しろ、「我が敵」小沢一郎こそ離党し、鳩山由紀夫は幾分肩身が狭くなったようだが、菅直人が未だデカイ顔をしている党だからな。


<注釈>

(※1) 田母神空幕長更迭と民主主義田母神論文を巡る自衛隊に対する思想統制についてーマスコミが、民主主義の危機を引き起こそうとしている怪ー   http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/19629370.html

思想侵略!-田母神前空幕長国会招致に対する各社社説から-  http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/19583178.html

田母神前幕僚長国会招致を受けての大新聞4紙社説(1)   http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/19583098.html      http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/19583114.html