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 今回の社説対決は毎日対読売。俎上に上るは沖縄駐留米海兵隊へのMV-22オスプレイの配備である。オスプレイの沖縄配備に付いては、既に何度か記事にしているが、今回はあれこれ言わずに先ず両紙の社説を御一読願おうか。

転載開始========================================= 

①【毎日社説】:オスプレイ配備 沖縄の理解が前提だ 

毎日新聞 2012年06月12日 02時30分

 政府が、沖縄・米軍普天間飛行場への垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの配備に向けて動き出した。

 防衛省は、沖縄配備の前に米軍岩国基地(山口県岩国市)で10日間から2週間、試験飛行する計画を岩国市長と山口県知事に伝え、協力を要請した。7月の試験飛行を経て8月に普天間に移動させるという。

 MV22オスプレイは、4月にモロッコで、海兵隊員2人が死亡、2人が重傷を負う墜落事故を起こしたばかりだ。沖縄は普天間への配備に強い懸念を表明している。配備の強行は許されない。沖縄の理解を得て計画を進めるべきである。

 オスプレイは、開発段階で4件の墜落事故を起こして安全性が問題視された機種だ。実戦配備後も、10年4月にアフガニスタンで空軍のCV22オスプレイが墜落している。

 田中直紀前防衛相は、モロッコでの事故を受けて、配備前にその原因を公表すると約束していた。ところが、森本敏防衛相は「(事故)調査報告と配備のタイミングの相関関係は決まっていない」と、原因究明前の配備の可能性に言及した。事実上の方針転換である。これでは沖縄の理解が得られるとは思えない。

 米側は先週、事故は機体の不具合ではないと日本政府に連絡してきたが、事故原因を特定する内容ではなかった。墜落の詳細な調査は今年末ごろまでかかるという。

 オスプレイ配備は日米間の事前協議事項ではないというのが両政府の立場だ。しかし、安全性にかかわる問題となれば話は別だろう。04年8月には、普天間飛行場所属の大型輸送ヘリが同飛行場に近接する沖縄国際大学に墜落し炎上する事故があった。普天間周辺住民のみならず、沖縄県民の事故に対する危機感、騒音など生活被害への懸念は強い。森本防衛相の発言は沖縄への配慮を欠いたものと言わざるを得ない。

 オスプレイは当初、沖縄の反発を和らげるため、岩国基地に一時駐機した後、普天間に配備する予定だった。しかし、山口県の反対で那覇軍港への直接搬入にいったん変更し、今度は那覇市長と市議会の反対によって岩国基地経由案に舞い戻るという経緯をたどった。

 岩国基地から空路で普天間飛行場に移動すれば、配備反対派とのトラブルを避けられるという考えなのかもしれない。しかし、トラブル回避と安全性などの理解を得ることとは別問題である。

 普天間への配備で沖縄との関係がこじれれば、最大の懸案である普天間移設問題に影響するのは必至だ。配備の強行は、森本防衛相が「職を賭して努力する」と語った移設問題解決の障害になりかねないことを深く自覚すべきである。


②【読売社説】オスプレイ配備 着目すべき米軍の即応力強化(6月12日付・読売社説) 


 安全性だけでなく、在日米軍の即応力の強化にも注目し、冷静に議論することが重要である。

 米軍の新型輸送機「MV22オスプレイ」が沖縄県の普天間飛行場に配備されることについて、沖縄県など関係自治体が反対している。

 オスプレイは、飛行機とヘリコプターの機能を組み合わせた新型機だ。通常は固定翼で飛行し、離着陸時は回転翼を使用する。輸送ヘリCH46に代わって、今夏から24機が順次配備される予定だ。

 自治体は主に、安全性を懸念しているが、誤解も少なくない。

 1990年代の開発段階で事故が相次いだ。今年4月にもモロッコで墜落し、2人が死亡した。

 だが、開発段階の機体の不具合は解消し、米軍の安全基準を満たしており、現在、海兵隊だけで130機以上が世界に配備されている。モロッコの事故も、機体の安全性には問題がないとされる。

 こうした事実関係をしっかり踏まえることが大切だろう。

 そもそも米兵の生命に直結する航空機の安全性に最も注意しているのは、米軍自身のはずだ。

 オスプレイの性能も考慮すべきだ。CH46と比べて、最大速度は約2倍、搭載量は約3倍、行動半径は約4倍となる。航続距離は約3900キロで、朝鮮半島まで飛べるうえ、空中給油も可能だ。

 厳しい北東アジアの安全保障環境において、有事の邦人救出や離島防衛で重要な役割を担おう。

 沖縄配備には自治体の許可や同意は不要だが、安定した運用を続けるには、粘り強く地元の理解を得る政府の努力が欠かせない。

 その意味で、政府が沖縄配備前に山口県の米海兵隊岩国基地に一時駐機し、試験飛行を行う方向で調整しているのは評価できる。岩国市長は態度を保留しているが、政府は説得を続けてほしい。

 疑問なのは、オスプレイの早期配備を容認する森本防衛相に対して、民主党沖縄県連が辞任を求めたことだ。民主党本部は、政権党として、政府任せにせず、県連に翻意を求めるのが筋だろう。

 10日の沖縄県議選では、前回4議席を得た民主党は1議席しか獲得できず、惨敗した。鳩山元首相が普天間問題を迷走させ、地元の信頼を失墜させた影響だろう。

 自民、公明など県政与党も前回同様、過半数を確保できず、仲井真弘多知事は中立・野党系に配慮した県政運営を求められる。

 政府は、米軍基地問題と沖縄振興の両方を着実に進め、地元の信頼回復を図ることが肝要だ。

(2012年6月12日01時16分  読売新聞)

勝敗は明白


 さて、如何だろうか。
 
 流石に毎日は曲りなりにも全国紙だ。「オスプレイの沖縄配備は人権問題で沖縄差別だ!」とは主張しない。主張しないが、沖縄の理解が前提だとタイトルにもしている通り「沖縄の県民感情」を錦の御旗に前面に押し立てている。
 
 が、逆に言えば「沖縄の県民感情」を錦の御旗に押し立てている、だけ。沖縄二紙の歪んだ人権感覚に基づく橋にも棒にもかからぬ社説と大差はない。
 
 そこへ行くと読売は、冒頭の一文で先制攻撃を決めている。
 
読1> 安全性だけでなく、在日米軍の即応力の強化にも注目し、冷静に議論することが重要である。
 
 この直後に先日のモロッコでの墜落事故にふれ、
 
読2> だが、開発段階の機体の不具合は解消し、米軍の安全基準を満たしており、
読3> 現在、海兵隊だけで130機以上が世界に配備されている。
読4> モロッコの事故も、機体の安全性には問題がないとされる。
 
と正確に事実を伝える。「基地周辺住民の不安」などと言う恣意的如何様に拡大解釈できる薄弱な根拠をベースに議論を進めないその主張は、毎日社説と比較すると一層際立つ。沖縄二紙あたりならば、上記読4>は「米国の一方的主張」と糾弾しそうだし、上記2>「米軍の安全基準」も「信用しない」と言いそうだ。放射能ヒステリーもそうだが、「態と不安がる」分には幾らでも「不安がる」事が出来るのだから、な。

 だが上記3>「既に米海兵隊だけで全世界に130機以上のオスプレイが配備されている」と言う沖縄二紙社説なら隻言半句も触れそうにない事実は曲げようがないし、読売社説中ほどにある次の一節も、先ず、疑義の挟みようがない。
 
読5> そもそも米兵の生命に直結する航空機の安全性に最も注意しているのは、米軍自身のはずだ。

 私としては文字通り、「我が意を得たる」思いであるが、普通に冷静に考えれば思いつくことだから、別に自慢にはならない。そこに思い至らない、或いは思い至らないフリをしている沖縄二紙や毎日が、異常なだけだ。
 
 而して、左様な異常さが際立った時点で今回の社説対決は、章題にもした通り「毎日の完敗/読売の圧勝」が決まっているのである。
 
 ああ無論、「沖縄の県民感情ぅぅぅぅぅ!」と言う錦の御旗・必殺技が通用しない私のような人間が評価すれば、だが。
 
読6>  オスプレイの性能も考慮すべきだ。
読7> CH46と比べて、最大速度は約2倍、搭載量は約3倍、行動半径は約4倍となる。
読8> 航続距離は約3900キロで、朝鮮半島まで飛べるうえ、空中給油も可能だ。
 
 やはり沖縄二紙がおくびにも出しそうに無い上記読6>~読8>に示されたMV-22の高性能。正にこの高性能こそが、「中国にとっての不利益」であり、我が国にとっての抑止力である。従って「普天間基地問題」と同様に、「沖縄県の全県民がMV-22沖縄配備に反対しようとも、MV-22は沖縄に配備されるべき」なのである。
 
読9>  沖縄配備には自治体の許可や同意は不要だ

と、読売社説が断じているのは全く正しい。

 但し、読売社説は、

読10> が、安定した運用を続けるには、粘り強く地元の理解を得る政府の努力が欠かせない。
 
と、続けているのだが。
 
 「沖縄の県民感情」が「オスプレイ沖縄配備反対」であったとしても、それは故意か偶然かは断じ難いが「中国の利益」であることも、沖縄県民自身が知るべきだろう。
 
 ああ、毎日や沖縄二紙ならば、とっくの昔にご存知だろうがな。