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野田の内閣改造で新防衛相に決まった森本氏について、「文民統制上問題だ」という評価があるとは、ラジオのニュースで知った。知ったは良いが、肝心の「何故、文民統制上問題か?」を聴き落とした。
こうなると放送メディアは流しっぱなしの聴きっぱなしだから読み返したり聞き返したりできない。「森本氏は自衛官=軍人か?そんな訳ないよな」「だとすると、元自衛官=退役軍人?・・・って、民間人だよな。」「一体何が文民統制上問題なんだァ?」と、思っていたら、どうもこういう事らしい。
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民間人が国防責任負えるか…新防衛相に懸念の声
読売新聞 6月5日(火)0時17分配信
拡大写真首相官邸で記者会見する森本敏防衛相=中嶋基樹撮影
野田首相は4日の内閣改造で、防衛相に民間人の森本敏拓大教授を起用した。
過去2代の防衛相が知識不足などで混乱を招いたことから、安全保障の専門家に託した形だ。ただ、国防の責任を民間人に負わせることを懸念する声もあるほか、国会対応をめぐる課題も指摘されている。
「国会議員ではないが、解決することについて、ハンディキャップを感じているわけではない」
森本氏は4日の就任記者会見で、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題について問われ、防衛政策の専門家としての自負を語った。
民主党内では「一川保夫氏、田中直紀氏と2人続けて『素人閣僚』が失態を演じたのだから、即戦力の専門家に頼るのは仕方ない」と、安全保障問題に精通する森本氏の起用を歓迎する声が出ている。防衛政策に詳しい政策研究大学院大学の北岡伸一教授も「安全保障については最善の人材を起用すべきで、選挙の洗礼を経ているかどうかより、見識が立派かどうかの方が重要だ」と指摘する。
野党からは、自衛隊の文民統制に関連し「政治家でない以上、軍事的な出来事に政治的責任はとれない」(自民党の石破茂元防衛相)などと批判が出ている。これに対し、野田首相は4日、森本氏を防衛相に任命した際、「自衛隊の最高指揮官は首相(なので)、指揮監督権はきちっとしている」と森本氏に伝え、問題はないとの考えを示した。.最終更新:6月5日(火)0時17分
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国会議員にあらざれば文民にあらず?
さて、如何だろうか。
何の事はない。「森本氏は国会議員ではないから、文民統制上問題である」という論理。言い換えれば「文民統制の主体として、軍=自衛隊の上に立つのは、国会議員でなければならない」という論理である。つまるところは章題にしたとおり。「国会議員にあらざれば、(少なくとも文民統制の主体としての)文民ではない」とする思想・論理である。
本当だろうか。
> 「政治家でない以上、軍事的な出来事に政治的責任はとれない」
> (自民党の石破茂元防衛相)などと批判が出ている。
とも報じられている。初代防衛相・石破氏の発言だから、相応に根拠も重みもあるのだろう。
これに対する現首相たる野田の反論も報じられている。
> 野田首相は4日、森本氏を防衛相に任命した際、
> 「自衛隊の最高指揮官は首相(なので)、指揮監督権はきちっとしている」
> と森本氏に伝え、問題はないとの考えを示した。
「文民統制」。田母神空幕長(当時)を更迭に追い込んだこの「魔法の呪文」は、空幕長の首を飛ばし、自衛隊全軍の思想統制さえ強制しかねないような「強力な呪文」であるが、本来本質の意味は、「開戦と停戦・休戦は軍人ではなく政治が決める」だと私は考えている。それ以外、それ以上の、例えばどこそこを攻撃しろだとか、どの部隊を使えだとかは、軍人の裁量であるべきで、「撃ち方はじめ」と「撃ち方止め」を明確にはっきりと政治が決めることこそが文民統制だ、と。
この観点からするならば、「開戦と停戦を決める文民」が「選挙によって選ばれた政治家」でなければならないと言うのは、根拠が薄い、と私には思われる。石破元防衛相の言う「軍事的な出来事に政治的責任を取る」と言うのが、腹を切るなり首をくくるなりを指すのならば、そこに政治家と民間人の差はなさそうだし、民間人は「議員辞職」という政治的責任は取れないが「辞職」ならば出来そうだ。「辞職」に対しては「議員辞職」ほどには強制力がない、とは言えそうだが・・・それ以前にその上位レベルで政治的責任をとらない政治家は、掃いて捨てるほどあろう。
言い換えれば、「政治家であるからといって、軍事的な出来事に政治的責任をとらない/取りそうにない」輩はいくらもいるのだから、防衛省就任に「政治家」という肩書きはあまり役に立つまい。
私は民主党は嫌いだし、野田が日本国首相である事も気に入らないが、本件に関しては「野田の文民統制説」の方が説得力を持つように思われる。
それだけ、森本新防衛相に期待している、ということでもあるが。何しろ歴代民主党防衛相と来た日には、こ奴らが自衛隊三軍の上官かと思うと情けなくて涙も出ないような輩。さらにその上の最高指揮官が、あれとこれとそれ、だから・・・いっそ、「皇軍復活!」なんて空想したくなるほどだ。