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先ずは誉められるところを誉めよう。米軍の早期警戒衛星情報(SEW)は可也早い段階で田中防衛相、藤村長官とも把握したようだ。藤村長官が把握したのは上掲①でSEW発信2分後の0742。2分と言う時間は「弾道ミサイル防衛」と言う即応性を有する事態には無視し難い遅れだが、脊髄反射宜しくこの情報が防衛省からPAC-3部隊に転送されていれば、この遅れは迎撃には影響しない。
一方、田中防衛相は発射直後に執務室から中央指揮所に移動しており、これがSEW情報によるものならば、その移動は「素早い対応」と言っても良かろう。尤も、上掲①記事で産経が防衛省幹部の口を借りて非難している通り、
産1> 「発射後にいきなり指揮拠点を変えるのは愚の骨頂だ」」
と言うのも道理である。防衛相やによる即断即決が必要な突発事態に対しては、この移動時間が致命的となり兼ねないからだ。
但し、今回の北朝鮮弾道ミサイル発射実験に関しては、私は産経と違ってこの「防衛相の発射直後移動」が問題であったとは思わない。
それは北朝鮮の発射実験が発射直後に失敗したからでもなければ、予め破壊命令が出ていた(*1)から、でもない。
そんな即断即決を要する突発事態に至ったならば、田中防衛相が「即断即決なぞする訳がない」と確信するから。言わば、現場の独断専行を望むが故だ。
だがまあ、兎も角SEW情報は防衛省~官邸間でも即座に共有されている。多分「訓練どおり」だろう。問題はその次だ。
想定シナリオでは、この後「無事上昇を続ける北朝鮮弾道ミサイルを我がレーダーが探知し、その探知情報でSEW情報が裏書される」事になっていたようだ。が、発射直後の第一段でこけた弾道ミサイルは、我が方レーダーに探知されず、0750・発射10分後の統幕議長からの田中防衛相向け報告となっている。その報告を受けた松本局長が防衛省から官邸へ向かい、先ず米村内閣危機管理監に報告・・・している間にEm-Netには「発射を確認していない」と言う「誤報」が流れている。ここで「誤報」にカギ括弧をつけるのは「我が方のレーダーが探知していない」と言う意味では「発射を確認していない」と言っても嘘にはならないから。
但し、防衛省とも官邸とも無縁な一般人、特に地方自治体が頼りにしてたのはEm-NetでありJアラートなのであるから、この時点でわかっていること、松本長官が正に正式に報告(*2)している内容の前半「北朝鮮から何らかの飛翔体が発射された模様であることをSEW情報で得たが、正確か確認中。」がEm-Netで流れるのが、少なくとも「理想的」だろう。
而してそれが可能であったか否かは、【Q2】とした二番目の疑問点「Em-Net発信は誰の権限?」に掛かってくる。どうも上記①産経記事を読む限り、その権限は藤村官房長官にあるようなのだ。
もしそうならば、上記の「理想的」状態は十分実現可能であったろう。松本長官が防衛省を出る前、0750・発射10分後の統幕議長報告を受けた田中防衛相が、その第一報を藤村長官宛てに入れていれば。実際には発射後33分を経た0813に電話報告したように。
即ち、上掲①産経新聞記事が指摘するとおり、田中防衛相と藤村官房長官の情報共有がより迅速であったならば、Em-Netの「発射を確認していない」と言う「誤報」は回避できたのである。
ああ、田中防衛相の言い訳が聞こえてくるような気がする。「中央指揮所は地下にあって携帯電話が通じず、藤村官房長官への連絡は遅れざるを得なかった」とかナントカ・・・だが、中央指揮所が地下にある事も、そこでは携帯電話が通じない事も、予め判っているか、判っているべき事だろう。特に今回は、北朝鮮の弾道ミサイル実験予告から実施まで、相当な時日があったし、その間ずっと田中氏は、防衛相であり続けたのだから。
さらに言うならば、0813の田中防衛省から(漸くの)藤村官房長官への電話報告だ。このトップ同士の報告で田中防衛相は「1分以上飛行。複数の物体となって落下」と報告している。が、幾つか疑問がある。
一つにはこの電話報告を実施他場所。上掲①記事にあるとおり、田中氏が弾道ミサイル発射直後から詰めた中央指揮所は、地下にあって携帯電話の電波が届かないらしい。無論携帯電話ばかりが電話ではないから、固定電話から報告した可能性もあるわけだが、だとすると前述の「田中防衛相の言い訳」は成立せず、何故、例えば0750の統幕議長報告直後に藤村官房長官に連絡を取らなかったか、が大いに問題となろう。
もう一つはその報告の内容。米軍のSEW情報では、「1分以上飛行。」は未だしも、「複数の物体となって落下」は観測されそうにない(*3)。先述の通り我が方のレーダー覆域まで弾道ミサイルは飛んできていないと思われる事からすると、この情報は自衛隊以外、恐らくは米軍から、ひょっとするとCNNか何かの民間報道からしか、伝わりそうにない。
で、【Q3】とした疑問が湧く。「何処からの、何の情報で知ったか?」さらに付け加えるなら「何時知ったか」でもある。何しろ田中防衛相はこの情報を完全に信用しており、ずっと実施していなかった藤村官房長官への連絡を取る契機になった可能性もあるのだから、その情報源は重要だ。
総じて言うならば、先述の脊髄反射的SEW情報連絡が現地PAC-3部隊に行っていたならば、実戦の迎撃体制訓練としては先ず合格点と言って良さそうだ。田中防衛相への統幕議長報告も、発射後10分に「失探した」だから、まず問題なさそうだ。
だが、その「失探」情報を、防衛省から官邸まで伝令に松本局長を走らせ、さらには内閣危機管理監経由で藤村官房長官に伝達するという、トップレベル情報共有の拙さは、大いに糾弾されて然るべきだろう。
如何に、田中防衛相。
如何に、藤村官房長官。
それは北朝鮮の発射実験が発射直後に失敗したからでもなければ、予め破壊命令が出ていた(*1)から、でもない。
そんな即断即決を要する突発事態に至ったならば、田中防衛相が「即断即決なぞする訳がない」と確信するから。言わば、現場の独断専行を望むが故だ。
だがまあ、兎も角SEW情報は防衛省~官邸間でも即座に共有されている。多分「訓練どおり」だろう。問題はその次だ。
想定シナリオでは、この後「無事上昇を続ける北朝鮮弾道ミサイルを我がレーダーが探知し、その探知情報でSEW情報が裏書される」事になっていたようだ。が、発射直後の第一段でこけた弾道ミサイルは、我が方レーダーに探知されず、0750・発射10分後の統幕議長からの田中防衛相向け報告となっている。その報告を受けた松本局長が防衛省から官邸へ向かい、先ず米村内閣危機管理監に報告・・・している間にEm-Netには「発射を確認していない」と言う「誤報」が流れている。ここで「誤報」にカギ括弧をつけるのは「我が方のレーダーが探知していない」と言う意味では「発射を確認していない」と言っても嘘にはならないから。
但し、防衛省とも官邸とも無縁な一般人、特に地方自治体が頼りにしてたのはEm-NetでありJアラートなのであるから、この時点でわかっていること、松本長官が正に正式に報告(*2)している内容の前半「北朝鮮から何らかの飛翔体が発射された模様であることをSEW情報で得たが、正確か確認中。」がEm-Netで流れるのが、少なくとも「理想的」だろう。
而してそれが可能であったか否かは、【Q2】とした二番目の疑問点「Em-Net発信は誰の権限?」に掛かってくる。どうも上記①産経記事を読む限り、その権限は藤村官房長官にあるようなのだ。
もしそうならば、上記の「理想的」状態は十分実現可能であったろう。松本長官が防衛省を出る前、0750・発射10分後の統幕議長報告を受けた田中防衛相が、その第一報を藤村長官宛てに入れていれば。実際には発射後33分を経た0813に電話報告したように。
即ち、上掲①産経新聞記事が指摘するとおり、田中防衛相と藤村官房長官の情報共有がより迅速であったならば、Em-Netの「発射を確認していない」と言う「誤報」は回避できたのである。
ああ、田中防衛相の言い訳が聞こえてくるような気がする。「中央指揮所は地下にあって携帯電話が通じず、藤村官房長官への連絡は遅れざるを得なかった」とかナントカ・・・だが、中央指揮所が地下にある事も、そこでは携帯電話が通じない事も、予め判っているか、判っているべき事だろう。特に今回は、北朝鮮の弾道ミサイル実験予告から実施まで、相当な時日があったし、その間ずっと田中氏は、防衛相であり続けたのだから。
さらに言うならば、0813の田中防衛省から(漸くの)藤村官房長官への電話報告だ。このトップ同士の報告で田中防衛相は「1分以上飛行。複数の物体となって落下」と報告している。が、幾つか疑問がある。
一つにはこの電話報告を実施他場所。上掲①記事にあるとおり、田中氏が弾道ミサイル発射直後から詰めた中央指揮所は、地下にあって携帯電話の電波が届かないらしい。無論携帯電話ばかりが電話ではないから、固定電話から報告した可能性もあるわけだが、だとすると前述の「田中防衛相の言い訳」は成立せず、何故、例えば0750の統幕議長報告直後に藤村官房長官に連絡を取らなかったか、が大いに問題となろう。
もう一つはその報告の内容。米軍のSEW情報では、「1分以上飛行。」は未だしも、「複数の物体となって落下」は観測されそうにない(*3)。先述の通り我が方のレーダー覆域まで弾道ミサイルは飛んできていないと思われる事からすると、この情報は自衛隊以外、恐らくは米軍から、ひょっとするとCNNか何かの民間報道からしか、伝わりそうにない。
で、【Q3】とした疑問が湧く。「何処からの、何の情報で知ったか?」さらに付け加えるなら「何時知ったか」でもある。何しろ田中防衛相はこの情報を完全に信用しており、ずっと実施していなかった藤村官房長官への連絡を取る契機になった可能性もあるのだから、その情報源は重要だ。
総じて言うならば、先述の脊髄反射的SEW情報連絡が現地PAC-3部隊に行っていたならば、実戦の迎撃体制訓練としては先ず合格点と言って良さそうだ。田中防衛相への統幕議長報告も、発射後10分に「失探した」だから、まず問題なさそうだ。
だが、その「失探」情報を、防衛省から官邸まで伝令に松本局長を走らせ、さらには内閣危機管理監経由で藤村官房長官に伝達するという、トップレベル情報共有の拙さは、大いに糾弾されて然るべきだろう。
如何に、田中防衛相。
如何に、藤村官房長官。
<注釈>
(*1) 後者については「問題ないと思う」理由の一端ではあるが。(*2) 防衛省から官邸へ移動した後で、だが。(*3) SEWでは、多分、燃焼しているロケットモーター、この場合は第一段ロケットのみしか探知できない。