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 今回引用するのは産経の「賢者に学ぶ」と銘打たれた記事から、哲学者・適菜収なる人が「B層グルメ」について論じた記事。
 
 始めに断っておくが、私はグルメ・食通では絶対にない(*1)。「空腹は最高の調理人」と言う、調理人が聞いたら怒り出しそうなフレーズを信奉し、「食事は質より量」とは流石に言わないが、「美味い物チョット」では満足できない。高級食材や高級料理に大枚はたこうと言う気にもならなければ、「食べ歩き」や「食い倒れ」なんて私が実行するところを想像する事さえできない。
 
 そんな「唯の大喰らい」にしてアンチグルメ・非食通たる私が、「B層グルメ」を扱った記事に何故喰らいついたかと言うと・・・多分、哲学者たる適菜収氏が「B層グルメ」を俎上に上げたのと同じ理由だな。
 
 先ずはその適菜収氏の論説、御一読願おうか。
 
 ああ、断っておくが、私はイカモノ食い・ゲテモノ食いでもないよ。

<注釈>

(*1) ないナイ尽くしで言うならば、鉄道マニアではない、一神教徒ではない、況してやキリスト教徒ではない、外国人でも死刑囚でもない、勿論在日半島人でもない、法学の専門家ではない、等等・・・。この身は一つで、私は不器用に出来ているのでね。そう何役も器用にこなせはしないのだ。 
 
転載開始========================================= 
 

【賢者に学ぶ】
哲学者・適菜収 「B層」グルメに群がる人 

 先日国内最大規模のグルメサイト「食べログ」で、ランキングの不正操作が明らかになった。複数の業者が特定の飲食店に対し好意的な口コミを投稿して報酬を得ていたのだ。
 こうした消費者に宣伝と気づかれないような宣伝行為を「ステルスマーケティング」という。
 これに対し「消費者の信頼を裏切るあるまじき行為だ」などと批判の声が上がったが、ナイーブにすぎるのではないか。わざわざ業者に依頼しなくても、店の関係者が自作自演でランキングを吊(つ)り上げているケースもある。その結果、地元住民が首を傾(かし)げるような店に、ある日突然行列ができたりする。インターネットの構造上、こうした問題は常に起こりうるはずだ。
 しかしもっと大きな前提がある。それは、口コミサイトの評価は「料理について細かい論評を述べたい人たち」「携帯電話で料理の写真を撮ることをためらわない人たち」が下した判断にすぎないということだ。
 スペインの哲学者オルテガ・イ・ガセット(1883~1955年)は、大衆を「凡庸であることを自覚しつつ、凡庸たることの権利を主張」し、圧倒的な自信の下、浅薄な価値観を社会に押し付けようとする存在と規定した。彼らは「コストパフォーマンス」といった一面的な基準を振り回し、一流の店を貶(おとし)め、三流の店を持ち上げる。その結果、きちんとプロの仕事をする鮨(すし)屋が低い点数をつけられ、ロクでもない鮨屋(その実態は単なる海鮮居酒屋)が高得点をとるようになってきた。
 こうした状況の中、隆盛を極めているのが《B層グルメ》である。《B層》とは、平成17年の郵政選挙の際、内閣府から依頼された広告会社が作った概念で「マスメディアに踊らされやすい知的弱者」を指す。彼らがこよなく愛し、行列をつくる店が《B層グルメ》だ。
 いわゆる《B級グルメ》が「安くて旨(うま)いもの」であるのに対し、《B層グルメ》は必ずしも安いわけでも旨いわけでもない。しかし、《B層》は誘蛾灯(ゆうがとう)のように引き寄せられていく。なぜなら《B層グルメ》は、行動心理学から動物学まで最新の知見を駆使し、《B層》の趣味嗜好(しこう)・行動パターンを分析した上でつくられているからだ。店の立地、席の配置、照明の角度がマーケティングにより決定され、さらに「産地直送」「期間限定」「有機栽培」「長期熟成」「秘伝」「匠の技」といった《B層》の琴線に触れるキーワードが組み合わされていく。こうして、日本全国、駅前からデパートのグルメアーケードまで、同じようなチェーン店が立ち並ぶようになってしまった。「豚骨と鶏ガラ、魚介、30種類の野菜を3日間煮込んでスープをつくりました」みたいな闇鍋系ラーメン屋もこれにあたる。鍋に水と材料を入れただけなのに、「これが私の作品です」と一端(いっぱし)の料理人のような顔をしている素人が増えている。
 これはグルメだけの話ではない。社会全体にB層的価値観が蔓延(まんえん)し、それを資本が増幅させている。その結果、一流と三流、玄人と素人、あらゆる境界が失われてしまった。こうした社会では素人が暴走する。《B層グルメ》に行列をつくるような人々が「行列ができるタレント弁護士」を政界に送り込んだのもその一例ではないか。(てきな おさむ)
=================================転載完了

「脱原発」とは「B層グルメ」と見つけたり

 さて、如何であろうか。
 
 章題でネタバラシしてしまっているようなものだが、上掲転載記事の白眉は、やはり〆の1パラグラフであろう。
 
1>  これはグルメだけの話ではない。
2> 社会全体にB層的価値観が蔓延(まんえん)し、それを資本が増幅させている。
3> その結果、一流と三流、玄人と素人、あらゆる境界が失われてしまった。
4> こうした社会では素人が暴走する。
5> 《B層グルメ》に行列をつくるような人々が「行列ができるタレント弁護士」を政界に送り込んだのもその一例ではないか。

 
 ここでいう「B層」については、上掲転載記事中に以下のように解説されている。
 
6> 《B層》とは、平成17年の郵政選挙の際、内閣府から依頼された広告会社が作った概念で
7> 「マスメディアに踊らされやすい知的弱者」を指す。
8> 彼らがこよなく愛し、行列をつくる店が《B層グルメ》だ。
 

 即ち「B層」とは上記7> 「マスメディアに踊らされやすい知的弱者」」と明記されている通り、悪口・蔑称である。而してその「B層」をターゲットとした「B層グルメ」が相当な成功を収めてしまっているのが、昨今の「グルメ事情」であるらしい。「唯の大喰らいにして非食通」である私の知らぬ内に、以下のような状況になっている、そうだ。
 
9> 日本全国、駅前からデパートのグルメアーケードまで、同じようなチェーン店が立ち並ぶようになってしまった。
10> 鍋に水と材料を入れただけなのに、「これが私の作品です」と一端(いっぱし)の料理人のような顔をしている素人が増えている。
 
 つまりは「知ったかぶりの蔓延」であり、上記4>で言う「素人の暴走」である。また、その「知ったかぶり」、「暴走」を助長しているのが、兎に角売り込みたい、売れれば良い、「B層グルメ」チェーン店などと言う事だから、「資本主義の陥穽」とも、石原都知事の言う「我欲の暴走」とも評価しえよう。
 
 だが、事が外食産業に限定されていれば、例えば寿司職人が失業して回転寿司ばかりになってしまおうとも( それは文化的損失ではあろうが)、直接の損害は小さかろう。そうは限定されない、と言うのが上記1>の指摘であり、上記2>~5>の警告である。それはタイトルにもした通り、一般大衆の知的退廃であり、国民の衆愚化に他ならない。
 
 無論、一般大衆と言うものは知的とは限らない。寧ろその逆であるのが常ではある。だから、「B層=「マスメディアに踊らされやすい知的弱者」が一般大衆の支配的多数を占めるのは常態である」と言うのは、残念ながら大いにありうる事だ。
 
 だが、それでは困るのだ。
 
 何が困るかと言うと、民主主義体制が困ってしまう。民主主義体制は、その民主主義が完全に近ければ近いほど、「衆愚化した国民」によって衆愚政治に堕してしまう事を免れない。「民意だ」と言うのが錦の御旗・水戸黄門の印籠・最上位決定意思として尊重されればされるほど、そうなる。
 
 我が国の民主主義とて、神ならぬ身の人が為す事、完全とは程遠いが、「衆愚化した国民によって衆愚政治に堕する」ぐらいには充分な完成度にある(*1)。
 
 だから、そんな民主主義体制下にある日本に住む日本人たる私にとって、「日本国民の衆愚化」は大いなる悪夢だ。
 
 而して、昨今吹き荒れる「脱原発」の世論・民意・風潮は、上記5>に付け加えるべき「大衆のB層化」=「日本国民の衆愚化」の一例なのではなかろうか(*2)、と思われる。
 
 もしそうならば・・・問題は、脱原発・入原発のエネルギー政策論争に止まらない。「ワイマール共和国の崩壊」以来の民主主義の危機であり、それ以上に切実に我が国の危機である。
 
 さて、国民よ。その大半がB層であるかも知れない国民よ。
 貴方らは「B層」であるか。「B層」である事を肯定するのか。
 
 もし我が国民の大半が「B層」であり、「B層」である事を肯定するならば・・・少なくとも現時点で、我が国に民主主義体制を取る事は、有害である、と言う事だ。
 
 私はそんな状態は望まない。民主主義は絶対善ではないが、次善ではある、と信じるが故に。(*3)
 だが、そんな状態であるかも知れない、と言う可能性は、排除しない。排除できない。
 
 如何に国民。
 

<注釈>

(*1) と、私には思われる。だからこの前の衆院選挙で、「安全保障」と言う項目の無い共通公約しか掲げられなかった民主党・社民党・日本新党に「憲政史上最多の衆院議席数」と共に政権を与えてしまった、と私は考えている。 
 
(*2) 私の原発推進論―または私が福島原発事故を経てなお原発を推進する理由。―前進せよ、人類。   http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/35630668.html 
 
(*3) 民主主義は絶対善ではない。が、次善ではある。  http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/34312605.html