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琉球新報社説―PAC3配備 外交努力で発射止めよ
2012年3月23日田中直紀防衛相は、北朝鮮の「衛星」打ち上げ通告を受け、自衛隊に破壊措置命令を下すことを検討すると表明。沖縄本島と石垣島に地対空誘導弾パトリオット(PAC3)の配備を検討していることを明らかにした。北朝鮮が国際海事機関(IMO)に通報したところによると、ロケットの1段目は韓国南部・全羅道の西方沖の黄海、2段目はフィリピン・ルソン島の東方沖の太平洋上に落下するとしている。今からでも発射を思いとどまるべきだが、もし予告通り発射された場合、先島諸島の上空を通過する。しかし、通過する物体が衛星なのか長距離弾道ミサイルなのかを、どうやって見極めるのか。(※1)2009年の北朝鮮「ミサイル」騒ぎを思い起こしてほしい。いたずらに危機をあおると、判断を誤りかねない。自制が必要だ。日本のミサイル防衛(MD)システムは、まず海上自衛隊のイージス艦が迎撃ミサイルSM3を発射して大気圏外で迎撃する。外した場合にPAC3が迎撃する。だが、PAC3の射程は20キロ。広大な海域を防衛するには限界がある。迎撃できる確証はない。PAC3が外れたら、どこに着弾するのか。(※2)北朝鮮からの飛来物が事故などで一部が落下する場合、落下地点の予測はさらに難しくなる。沖縄だけでも広大な海域に大小約160の島が点在し、迎撃は非常に難しいとみられる。(※3)なぜ限界が指摘されている配備にこだわるのか。軍備増強のエスカレーションを招きかねない。(※4)島嶼(とうしょ)防衛を打ち出した防衛当局が、南西諸島周辺の危機を演出しようとしている、とみる向きもある。PAC3を配備することで、市民の目を慣らそうとしているという懸念も広がっている。(※5)韓国の李明博大統領は、26日からソウルで行われる核安全保障サミットに出席する6カ国協議参加国首脳らと、打ち上げ阻止に向け連携する意向を表明した。国際社会が連携し、あらゆる外交チャンネルを通じて、北朝鮮に自制を促すことが重要だ。現実的な選択が発射させない外交努力であり、迎撃でないのは明らかではないか。(※6)日本政府は北朝鮮の挑発に乗るのではなく、あくまで平和的解決を追求すべきだ。(※7)
<注釈>
(※1) 見極める必要は無い。迎撃できるものは全て迎撃すべきだ。「人工衛星打上」と「弾道ミサイル発射試験」には、発射~大気圏再突入までの間に本質的な相違は無い。(※2) 笑止笑止。ハズレたPAC-3よりも、「ハズされた」北朝鮮ミサイルの方が問題だろうが。(※3) そりゃPAC-3の話しだろうが。SM-3なら広い範囲を防空出来る。(※4) 「日本の外交力」が北朝鮮の核開発に威力を発揮した事例なんて、何がある。少なくともバックアッププランとしての軍備増強はあってしかるべきだろうに。(※5) で、「市民の目が慣れる」と、何がいけないんだ?(※6) その外交努力が、今だ北朝鮮をして核開発も弾道ミサイル開発も断念させていないと言う「輝かしい実績」があるのに、かね。(※7) 我が国土の防衛に我が部隊を配置する事は「平和的解決」の範疇だ。「平和的」でないのは、弾道ミサイル実験を強行する、北朝鮮の方であろうが。
琉球新報社説―
北朝鮮「衛星」 阻止へ国際包囲網強めよ
2012年3月27日韓国ソウルで始まった核安全保障サミットは、北朝鮮が来月中旬に予定する「衛星」発射を阻む圧力を強める外交舞台となっている。オバマ米大統領との首脳会談で、北朝鮮の最大の友好国である中国の胡錦濤国家主席は打ち上げに懸念を表明し、米中が緊密に協調することを確認した。米韓首脳も発射阻止で連携を確認した。核安保サミットには57カ国・機関が参加し、北朝鮮をめぐる6カ国協議参加国首脳らも参加している。発射中止を促す決議をし、北朝鮮に発射を自制させる国際社会の包囲網を一層強めてもらいたい。北朝鮮と国交をもつ国々の役割は重い。特に影響力をもつ中国、ロシアは発射を自制させるため、主導権を握るべきだ。核を用いたテロ防止などを目指す核安保サミットは2回目だ。放射性物質管理や防護策の充実を確認するとともに、東京電力福島第1原発事故を受けた、原子力施設の安全策検討も議題となる。福島原発事故は、原子力の平和利用の在り方をあらためて国際社会に問い掛けた。北朝鮮は「地球観測衛星」と主張し、天気予報に活用するとしているが、打ち上げるロケット技術は長距離弾道ミサイルと同じだ。全ての弾道ミサイル活動の停止を求めた国連安全保障理事会の決議に違反することは明白である。「宇宙の平和利用」の主張は説得力が乏しい。北朝鮮のシンクタンクの教授は寧辺に建設している軽水炉の規模が10万トン級で「年末までに完成し、直ちに稼働できる」とし、「衛星」打ち上げの正当性も訴えた。核開発をにおわせつつ、国際的な経済制裁強化をけん制する対決姿勢がうかがえる。いつまで瀬戸際外交を展開するつもりだろうか。野田佳彦首相は26日夜にソウル入りしたが、国会や社会保障と税の一体改革の民主党内の意見集約などのため、滞在18時間でとんぼ返りする。米韓首脳との正式な会談予定もない。オバマ米大統領が前日に韓国入りし、精力的に首脳会談に臨んでいるのとは対照的である。日本が打ち出しているのは、「衛星」飛来に備えた「破壊措置命令」だ。北朝鮮の威嚇に武力で備える姿勢を鮮明にした。外交による国際包囲網を狭める重要局面で日本の存在感が薄いことが残念でならない。
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外交努力が常に成功するならば、戦争なんて起こらない
さて、如何だろうか。
前者の社説は、「逆張りに賭ける―沖縄タイムス社説「「衛星」発射予告]あおらず冷静な対応を」に大笑い」で取り上げた沖縄タイムス社説と同様の社説である。北朝鮮の弾道ミサイル発射実験に対し弾道ミサイル防衛、地上配置のPAC-3と洋上イージス艦搭載のSM―3の配備について懸念を表明するもの。
琉1> PAC3の射程は20キロ。広大な海域を防衛するには限界がある。
琉2> 迎撃できる確証はない。PAC3が外れたら、どこに着弾するのか。
硫3> 北朝鮮からの飛来物が事故などで一部が落下する場合、落下地点の予測はさらに難しくなる。
硫4> 沖縄だけでも広大な海域に大小約160の島が点在し、迎撃は非常に難しいとみられる。
硫5> なぜ限界が指摘されている配備にこだわるのか。軍備増強のエスカレーションを招きかねない。
硫6> 島嶼(とうしょ)防衛を打ち出した防衛当局が、南西諸島周辺の危機を演出しようとしている、とみる向きもある。
硫7> PAC3を配備することで、市民の目を慣らそうとしているという懸念も広がっている。
沖1> 南西諸島に迎撃態勢を敷くことは範囲が広すぎ、現実的ではない。
沖2> 弾丸を弾丸で撃ち落とすようなMDは技術的に多くの問題を抱える。
沖3> 南西諸島に新たな緊張を持ち込むことにならないか心配だ。
上記に抜粋した琉球新報社説と沖縄タイムス社説を対照させると、大凡以下のようになろう。
沖1> ― 硫1>~硫5>
沖2> ― 硫4>
沖3> ― 硫5>~硫7>
琉球新報社説が沖縄タイムス社説に対し付け加えた情報は、以下の諸点であろう。
①「PAC-3の射程は20キロ」
②「沖縄は大小160の島が点在」
③「南西諸島周辺の危機を演出しようとしていると言う懸念」
④「PAC-3を配備する事で市民の目を慣らそうという懸念」
上記①、②は、確かに具体的な数字であり、「より判りやすく」なるかも知れないが、本質的な数字ではあるまい。
上記③、④は「琉球新報社説により新たに付け加えられた情報」であり、それゆえにこの琉球新報社説の「存在理由」を担うものではあろう。が、今回の北朝鮮弾道ミサイル実験が仮になかったとしても、昨年の尖閣諸島沖中国「漁船」体当たり攻撃や、最近の中国政府が言い出した「尖閣諸島の日本実効支配打破」に至るまで、演出するも何も南西諸島の緊張は既に高まっている。上記③「演出」の必要などないではないか。
上記④の「懸念」と言うのも実になんと言うか、「軍事アレルギーも極まれり」と言うか衆愚化促進策と言うか・・・・
で、兎にも角にも「PAC-3配備」に沖縄タイムスに負けじと「懸念」を表明する琉球新報ご推奨の対北朝鮮政策が、前掲社説の〆である、次の一節らしい。
硫8> 日本政府は北朝鮮の挑発に乗るのではなく、あくまで平和的解決を追求すべきだ。
つまり「PAC-3配備」と言う「軍事的対抗手段」によらず「あくまでも平和的解決を追求すべき」なんだそうだ。それが2番目の社説にもつながっている。
一体何をやるのか。「ケンガイダァコクガイダァ」のアホダラ普天間経と同様に「ウチアゲチュウシダァ」と唱えていれば、北朝鮮は良心の呵責に目覚めでもして弾道ミサイル発射試験を中止するとでも思っているのだろうか。そんなことが可能ならば、北朝鮮もイランも核兵器開発を放棄するだろうし、拉致被害者も忽ち帰国できるだろうに。
第一、「あくまでも平和的解決を追求」して、弾道ミサイルの迎撃手段であるPAC-3の沖縄配備すら認めない「軍事的裏打ちなき外交力」なんぞに、一体どれほどのものが期待出来るというのか。それこそ「北朝鮮首脳部の、より良くなろうとする良心」に期待する事ぐらいしか出来ず、つまりは途轍もなく当てにならない。
逆に戦争をも辞さない覚悟があるからこそ、外交力も強くなる。北朝鮮が二言目には「センソウダァ!」と騒いで好例を作っているではないか。
「外交力」なるものが、軍事力とは独立した「平和的な力」と考えるのは、願望かも知れないが幻想だ。そんな外交力は「砲艦外交」を説明できないし、北朝鮮の「瀬戸際外交」や「核恫喝外交」の存在をも説明できない。事実として北朝鮮は核兵器を開発する、保有すると言う恫喝で食糧援助やら、石油やらを獲得し、「現体制の維持」をも要求する「外交」を行っている。軍事力ばかりが「外交力」の裏打ちではなかろうが、軍事力もまた「外交力」の裏打ちである以上、「外交力の行使」は「平和的」とは限らない。
言い換えれば「あくまでも平和的解決を追求」する事は、必然的に「外交力」を低下させる。PAC-3の配置転換と言う「部隊の配置転換」さえ「平和的ではない」とするならば、なおさらだ。
つまり、今回取り上げた二つの琉球新報社説は、全く無茶な、荒唐無稽な願望を、日本政府に押し付けようと言うのである。
寝言は、寝て言え。