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橋本氏発言に見る大衆迎合政治家の本質

 さて、如何であろうか。
 
 以下に、報じられている橋本氏の発言を抜粋して見よう。橋本氏の発言には#>として、番号を振ることにした。
 
>  今夏の関西の電力需給に絡み
1> 「計画停電もあり得ると腹を決めれば、電力供給体制を変えられる第一歩になる」
>  橋下市長は関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の再稼働は反対とした上で
2> 「(関電の)原発が全部止まっている状況でも、明日あさって関西府県民が死ぬ状況になるわけじゃない。
3> ピーク時にちょっと我慢して乗り越えられる」
> と指摘した。
 
>  電力使用の制限をめぐり市長は同日のエネルギー戦略会議でも
4> 「産業(部門)は外して電力使用制限令を出すことは可能か、
5> 基礎自治体の長として最後は住民にお願いする前提で物事を進める」
> などと言及した。
 
> 橋下徹市長は会議後、東京電力福島第1原発事故について触れ、
6> 「事故を見て平気なのはロボットか感情の薄い人」だとして
7> 「今しかチャンスがない」と強調した。
 
> 橋下市長は当初
8> 「知事や市長という立場でみると、原発以外にも安全性を考えなくてはならないことがある。
9> 食品や事故などのリスクヘッジは社会的リスクの範囲でやろうとしているが、
10> 原発にだけ絶対的安全性を求められるのか」と提起した。
 
>  橋下氏は報道陣に
11> 「最終的には府市統合本部会議で決めるが、今日の会議で自分なりに整理ができた」とし、
12> 「原発事故を目の当たりにしたら、生身の人間の恐怖心や嫌悪感にふたをする方が苦しい。
13> 一番重要なのは、安定供給から安定需要という思考に変えることだ」と指摘。

> 電力供給体制の転換に向けて「腹をくくる」覚悟の必要性を強調した。
14> 「電力市場や蓄電などいろいろやらなきゃいけないが、やっていけば十分対応できますよと伝えていきたい」
> 橋下徹市長は大飯原発3、4号機の再稼働について報道陣に対し
15> 「ストレステストの1次評価だけでは全く無理。
16> 電力がどれだけ必要なのか、足りていないのかがはっきりしていない」
 
 重複を除いた以上1>~16>が橋本市長の発言である。これらの発言を整理すれば、中立的な上記11>を除くと、大凡3つのグループに分けられるように思う。
 
 ① 電力需要圧縮・節電に関する発言 上記1>~5>、13>、16>
 
 ② 原発安全性に関する発言 上記6>、8>~10>、15>
 
 ③ 脱原発を推進する発言 上記7>、12>、14>

 
 また、上記6>と12>、14>と16>は何れも良く似た趣旨の発言である。これらをIdea Fragment2と言うフリーソフトで図式化すると(*1)、下図の様になる。
 
 
イメージ 1

 
 上記①~③のグループは「脱原発推進」と言う一言で括る事も出来ようが、冷静に考えればわかろうが、①「電力需要圧縮」『②「原発安全性」及び③「脱原発」』とは、本来独立した事象である。それが、②「原発安全性」をトリガーとして③『脱原発』を推進するが故に、①「電力需要の圧縮」が必要になり、上記2>~3>の様な、ウソではなかろうが暴言に近い発言となっているのである。上掲図では、グループ①、②、③間の因果関係を太い矢印で表した。
 
 特に注目したいのは、グループ①の上記6> 事故を見て平気なのはロボットか感情の薄い人と、類似したグループ②の上記12> 原発事故を目の当たりにしたら、生身の人間の恐怖心や嫌悪感にふたをする方が苦しい。」びグループ②の上記7>「今しかチャンスがないである。ここで「チャンス」と言うのは「脱原発を方針として決定し固めるチャンス」と解釈して先ず間違いないだろう。
 
 さて、読者諸君。以上のように私は脱原発を巡る橋本市長の発言を整理し、解説した。整理したのも解説したのも私だから、当然私の偏見や主張は入っているだろうし、散々繰り返す通り私は福島原発事故後の今なお原発推進論者であって橋本大阪市長とは意見を異にしている。その上で、読者諸君は上掲の橋本大阪市長発言を、なんと評価するか。
 
 私の解釈は言わずもがなで、例に拠って例の如しだ。ここに整理された橋本市長の「脱原発論」は、「感情と蒙昧に対する理性と知性の敗北」であり、「人類としての存在理由の放棄」である。何故ならば、上記6>及び12>に示された福島第一原発事故に対する恐怖と嫌悪をトリガーとして「脱原発」を決めてしまおうと言うのは、放射能や放射性物質のリスクを冷静に定量的に評価しようという理性に基づく思考の停止に他ならない。だから上記7>「今しかチャンスが無いとなる。ほとぼりが冷めて冷静に判断できるようになってしまったら、放射能ひいては原発に対する恐怖と嫌悪が薄らぐからだ。
 
 さらには上記13>「一番重要なのは、安定供給から安定需要という思考に変えることだと言うのなんざ、実に美事なモノの言い様だ。「安定需要」と言えば聞こえは良いが、要は電力統制であり、節電の強制に他ならない。その強請の幅が小さいから、短期的にはさして問題視されないかも知れないが、「新たな電力需要は従来の電力需要を圧縮しないと原則賄えない」状態は、長期的には大問題であろう。
 
 上記13>「安定供給から安定需要という思考に変えること」は「一番重要」ではない。それは「発想の転換」ではなく、「脱原発」を金科玉条とする原理主義故の、本末転倒だ。
 
 私が「福島第一原発事故を見て平気」と言うのはIBさんに指摘されているところだから、私が「感情の薄い人」である可能性は認めよう(*2)。だがその「感情の薄い」私からお尋ねするが、「感情の濃い」諸君は、「福島原発事故に対する恐怖と嫌悪」に縛られたまま、「今しかないチャンス」と「脱原発を決めてしまう事」を、正しい選択だと思うのかね。
 
 正気の沙汰ではない。
 「感情の薄い」私はそう断じる。知性と理性の敗北である、と。
 
 ドイツが「脱原発」を決めたのが気になるかね(*3)?奴らは電力不足ならば隣のフランスの原発から電気を買える「ナンチャッテ脱原発」を宣言したに過ぎない。別にドイツがナンチャッテ脱原発するのはドイツの勝手だが、島国日本では隣国から電気を買うなどと言う(*4)「ナンチャッテ脱原発」は実施できない。従って我が国が、「ドイツに続ける」訳がない。
 
 
 而して、「『将来的には脱原発』を世論の8割が支持( 「脱原発」80%が支持、現実的対応としての再稼動容認54%  http://www.afpbb.com/article/disaster-accidents-crime/accidents/2866478/8669066 )」と言う現状で、その『反原発感情』を捉えて上記7>「今しかチャンスが無い」と「原発廃止方針を関西電力に突きつけよう」と言う橋本大阪市長は、「曲学阿世の徒」ならぬ「曲政阿世の徒」であり、典型的な大衆迎合政治家であると私には思われる。
 
 ああ、橋本市長の行く末に、「保守の夢」である「憲法改正」も見えているのだから、こやつを潰すには惜しい、と言う擁護論もあるようだが・・・トテモシンジラレナイ。大衆迎合政治家に、憲法改正なんて実行できるだけの突進力・突破力なぞあるものかよ。
 

<注釈>

(*1) 正確には、Idea Fragment2にて図式化した結果が上記の見解である。 
 
(*2) 流石に「ロボットである」可能性は、認めるわけには行かないな・・・「ガミラス人」よりはマシかも知れないが。 
 
(*3) ドイツ降伏-独シーメンス社 原子力事業から撤退   http://www.afpbb.com/article/economy/2828751/7793213  http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/36006950.html 
 
(*4) 第一、その隣国である中国も韓国も電力不足で、今後原発をバンバン作る予定だ。