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 「逆張り」とは、「人とは違う方に賭ける」賭け方である。サイコロ賭博の丁半博打で考えるとわかり易かろう。「丁(偶数)」にばかり皆賭けている時に反対の「半(奇数)」に賭けるやり方。競馬で言えば「大穴狙い」で、「誰もその馬が勝つとは思っていないような馬に賭ける」事。但し、競馬ならば「大穴狙い」は「当たれば大儲け」になるようだが、丁半博打は「丁方」と「半方」がある程度バランスしないと「勝負」にならないから、逆張りして当てても儲けは少ないのだろう(多分)。
 転じて投資法で「トレンドに反する方向に投資する」事も「逆張り」と言うらしい。ひょっとすると、投資の世界では結構知られている言葉なのかも知れない。
 
 閑話休題(それはさて置き)
 
 当ブログの名物シリーズ、かどうかは定かではないが、労力がかかっている事では多分ピカイチの「社説比較シリーズ」に於いて、最もつまらないのは「朝日から産経まで、残らず皆同じ主張を社説にする事」である。それは衆目の一致した、「大きな世論の流れ」ではあるかも知れないが、比較のしようがないからつまらない。つまらないばかりではなく、私のようなへそ曲がりは「そいつは危ういな」と、警戒してしまう。「全員一致なら止めてしまえ」と言うタイトルの本があった(※1)が、古代ユダヤの知恵にもあると言う。「全員一致」なんて事は滅多にあるものではないから、何らかの、悪魔なり買収工作なり熱狂なりの「作為が働いている」と考えるらしい。英国海軍の副長が「艦長の意見に反対意見を述べる義務がある」とされているのも、「異なる視点の涵養/必要」を制度化したものと言えそうだ。
 
 であるならば、北朝鮮の「米朝合意」直後の「弾道ミサイル実験予告(自称「人工衛星打ち上げ実験」)」に対する各紙社説の主張が、判で押したように一定と言うのは要警戒、と言う事になる。
 
 (1)産経 北のミサイル計画 発射阻止に国際包囲網を http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120317/plc12031703000002-n1.htm

 (3)読売 北朝鮮発射予告 「衛星」でも看過はできない  http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20120316-OYT1T01155.htm

 (4)毎日 北朝鮮発射予告 衛星こそが脅威になる  http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/archive/news/20120321ddm005070161000c.html

 (5)朝日 北朝鮮ミサイル―打ち上げ中止を求める  http://www.asahi.com/paper/editorial20120317.html

 (6)東京 北朝鮮「衛星」 強行すれば孤立深まる  http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2012031902000031.html
 (7)琉球新報 衛星ロケット発射 孤立深める愚行はやめよ  http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-188895-storytopic-11.html
  
 喩えそれが、私の予てより主張する「北朝鮮の「自称・人工衛星打上/打上実験」は、その真偽にかかわらず迎撃し、失敗させるべきだ」との主張に即したものであっても。・・・・と、思っていたら、居る所には居るものだ。今回「逆張り」に出たのは、沖縄タイムス。先ずはその「逆張り」社説、御一読願おうか。

 

<注釈>

(※1) 「あった」と言う事しか覚えていない。手に取って開いた覚えもない。 
 
転載開始========================================= 

沖縄タイムス社説[「衛星」発射予告]あおらず冷静な対応を

政治  2012年3月20日 09時31分
 北朝鮮当局は4月12~16日に「地球観測衛星」をロケットで打ち上げる、と発表した。ロケットの1段目が韓国の西方沖、2段目がフィリピン東方沖に落下するとしている。2段目は南西諸島を通過する可能性が高く、県民の不安をかき立てている。
 北朝鮮の発表にもかかわらず、国際社会は事実上の長距離弾道ミサイルの発射実験とみている。ロケットと長距離弾道ミサイルは技術的に同じで、何を搭載するかの違いだけだからである。
 国連安保理は北朝鮮に対し2009年6月、弾道ミサイル技術を使ったどんな発射も禁じる決議をしており、これに違反する。北朝鮮は打ち上げを中止すべきだ。
 北朝鮮は2月29日、長距離弾道ミサイルの発射などを凍結する代わりに、米国が24万トンの栄養補助食品を提供することで合意したばかりである。米国は打ち上げが実行されれば米朝合意の破棄につながると警告している。経済は低迷を極め、国民に食糧が行き渡らず疲弊している。それでも、打ち上げをしようとする北朝鮮の意図は何なのか。
 発表にあるように打ち上げ期間中の4月15日に故金日成主席の生誕100年を迎える。北朝鮮はことしを「強盛大国の大門」を開く年と位置付けている。対外的に軍事・科学力を誇示し、国内的には故金正日総書記の後継となった金正恩氏の求心力を強固にするのが狙いとの見方がある。
 4月は重要な政治日程がめじろ押しだ。中旬には朝鮮労働党代表者会が開かれ、正恩氏が党総書記に就任、最高指導者になるとみられる。
 打ち上げは周辺諸国にとって安全保障上の脅威となる。北朝鮮が外交的合意を簡単に覆すようでは、国際的信用を回復することはできない。孤立を深めるばかりだ。
 北朝鮮高官は「どこの国にも宇宙の平和利用の権利がある」と言っている。確かにその通りだが、北朝鮮のこれまでの行動からは額面通り受け取ることはできないだろう。
 国際社会における信頼醸成に自ら背を向けながら、「宇宙の平和利用」を持ち出しても、説得力がない。(※1)
 田中直紀防衛相は19日の参院予算委員会で自衛隊に破壊措置命令を出すことを検討すると表明した。
 日本政府は北朝鮮の意図をどれだけ押さえた上で判断したのだろうか。不安をあおるような前のめりの姿勢には危うさを感じざるを得ない(※2)。冷静な対応が必要だ。
 日本のミサイル防衛(MD)システムは海上自衛隊のイージス艦による迎撃、さらに航空自衛隊の地対空誘導弾パトリオット(PAC3)による迎撃の2段構えである。
 南西諸島に迎撃態勢を敷くことは範囲が広すぎ、現実的ではない(※3)。弾丸を弾丸で撃ち落とすようなMDは技術的に多くの問題を抱える(※4)。南西諸島に新たな緊張を持ち込むことにならないか心配だ。(※5)
 政府は手をこまねいて北朝鮮の打ち上げを待つのではなく、6カ国協議関係国である米韓中ロを巻き込んだ外交努力を尽くし、自制させることに全力を挙げてもらいたい。(※6)
========================================転載完了

 

<注釈>

(※1) 此処までは、まだ、まともな議論なんだがな。 
 
(※2) すると何かね。防衛相が破壊措置命令を出さない方が「安心」なのかね、沖縄タイムスは。
 馬鹿を言うにもほどがあろう。
 ソリャ国会には、「迎撃した方が危険だ」と素面で主張してくれる、社民党のような奴バラが数多居るがな。
 
(※3) PAC-3は兎も角、イージス艦ならば、日米協力すれば御の字だと思うがね。 
 
(※4) 而して、幾つ者実験でその問題をクリアして見せており、実際に「弾丸を弾丸で撃ち落している」。 弾丸は通常、無誘導である事を、忘れちゃいけないな。 
 
(※5) 抱腹絶倒。弾道ミサイル実験を実施する北朝鮮ではなく、その迎撃体制を整える日本が、「南西諸島に新たな緊張を持ち込む」とは、実に笑止千万だ。
 ミサイル実験を放って置いて北朝鮮の自由にさせれば「南西諸島に新たな緊張」は生まれないと言う理屈。「ソ連軍が攻めてきたら、赤旗と白旗を持って威厳ある降伏をしましょう」と言う理屈と同じだ。ま、同じ穴の狢だが。 
 
(※6) その「自制させる」方法は、経済制裁含む制裁の明示であり、ミサイル防衛の配備と迎撃体制構築である。 
 

最大の相違点「ミサイル迎撃反対」


 さて、如何だろうか。
 
 「逆張り」と言うには聊か心許ない事は認めよう。沖縄タイムス社説もまた、北朝鮮の「「衛星」発射予告(※1)」を非難し、その中止を(一応)求める点で、他の社説と変わらない。
 
 沖縄タイムス最大の相違点は、章題にもした通り、以下の部分である。
 
1>  田中直紀防衛相は19日の参院予算委員会で自衛隊に破壊措置命令を出すことを検討すると表明した。
2>  日本政府は北朝鮮の意図をどれだけ押さえた上で判断したのだろうか。
3> 不安をあおるような前のめりの姿勢には危うさを感じざるを得ない。冷静な対応が必要だ。
4>  日本のミサイル防衛(MD)システムは海上自衛隊のイージス艦による迎撃、
5> さらに航空自衛隊の地対空誘導弾パトリオット(PAC3)による迎撃の2段構えである。
6>  南西諸島に迎撃態勢を敷くことは範囲が広すぎ、現実的ではない。
7> 弾丸を弾丸で撃ち落とすようなMDは技術的に多くの問題を抱える。
8> 南西諸島に新たな緊張を持ち込むことにならないか心配だ。
 
 章題にもした通り、その「最大の相違点」とは、「ミサイル防衛に対する反対」である。その反対理由は上記8>の通り南西諸島に新たな緊張を持ち込むなのだから、お笑い種だ。弾道ミサイル実験を実施する事は「南西諸島に新たな緊張を持ち込む」事にならず、ミサイル防衛を持ち込む事が「南西諸島に新たな緊張を持ち込む」ならば我が国も弾道ミサイル実験を実施して「南西諸島の緊張緩和」を実現すべきである、と言う事になるが、それで良いんだな、沖縄タイムス
 
 無論問題はある。我が国は、大型固体ロケット技術を宇宙研の宇宙ロケットシリーズと言う形で保有していたのであるが、宇宙研・航空研・宇宙開発事業団の統合=JAXA発足以来、宇宙研も大型固体ロケットも日陰者扱い。昨年日本中を熱狂させた「小惑星探査機はやぶさ」も固体ロケット打ち上げの宇宙研プロジェクトなのだが、宇宙研はまだ脚光を浴びたが、固体ロケットはからきしだ。かと言って、当面北朝鮮と中国にさえ届けば良い「日の丸弾道ミサイル」にH-Ⅱなんて液体ロケットは大き過ぎるし高過ぎる。
 手っ取り早いのは、陸自のMLRSから米軍のATACMSを発射する方法か。となると射程は短いから、「南西諸島に持ち込む」には、南西諸島に配備し、そこから発射となる。
 
 それだと「新たな緊張は持ち込まれない」のだな。如何に、沖縄タイムス。

 

<注釈>

(※1) こう表現している時点で「御里が知れる=本性暴露」と言うべきだが。