応援いただけるならば、クリックを⇒ https://www.blogmura.com/ http://www.269rank.com/
【3.2】菅直人は英雄と言う説―東電撤退を押し止めたと言う説
だが、まあ、「バッテリーの大きさ」はいわば「前座」だ。菅直人が「首相として自ら」バッテリーの大きさを尋ねようが、技術系トップたちが聞かなかろうが、それで東京が救われたり救われなかったりするとは思われない。せいぜいが水素爆発の遠因となり、東京のリスクが高まる程度である。或いは、「菅直人自らがバッテリーの大きさを尋ねたにも拘らず、水素爆発は発生した」とも言えるだろう。
真打は、「菅直人が東電の撤退を押し止めたか」である。
朝4> 私は、この判断ひとつだけでも、「官邸の介入は成功した」と考えたい。
朝5> その時も菅氏は周囲に相当どなったらしいが、そんなことはどうでもいい。
朝6> あそこで、原発のコントロールを断念していたら、首都圏も住めなくなっていたかも知れない。
と、朝日論説委員殿は説く。意外に思えるかも知れないが、此の説には、少なくとも上記朝5>~朝6>には私も同意するどころか、諸手を挙げて賛成する。福島原発事故発生以来。その事故現場たる福島原発は、人類の英知と前進のためにも制御下に置かれるべきだと言うのが私の主張であり、それ故にこそ「チェルノブイリ式石棺(*1)」だの「IBさん式土砂山(*2)」なんてものにはあたう限りの勢いで異を唱えてきた私だ。東電の撤退を阻止したのならば、喩えそれが菅直人であろうとも、さらには鳩山由紀夫であろうとも、賞賛する用意がある。
問題は・・・・「【Q1】果たして、東電は福島原発事故現場から撤退しようとしたのか?」であり、次いで「【Q2】菅直人は撤退しようとする東電を押し止めたのか?」である。
上記【Q1】【Q2】共にYesで、且つ東電が「管直人の働きに拠って福島原発事故現場から撤退しなかった」場合のみ、「菅直人が東京を救ったのではないか」と言える。さらに「東京を救う」には、
上記【Q1】【Q2】共にYesで、且つ東電が「管直人の働きに拠って福島原発事故現場から撤退しなかった」場合のみ、「菅直人が東京を救ったのではないか」と言える。さらに「東京を救う」には、
①東電が福島原発事故現場から撤退
②放置された核燃料・使用済み核燃料が高温となって新たな水素爆発或いは再臨界を生じ
③放射性物質が大規模に拡散する と言うプロセスが阻止されなければならないが、条件②、③は運任せであるから、人類が制御できる条件は①のみ。つまりは「東電の進退」こそが「東京を救う」肝であり要である。喩え菅直人が必死に東電を止めたとしても、東電が福島原発から撤退してしまえば上記条件①は満たされてしまい、「東京が救われるか否か」は条件②、③の神頼み運頼みとなってしまう。(*3)
朝7> 事故調報告書でも、東電が全面撤退を申し出ていたとほぼ断定している。
朝8> 清水東電社長と話した海江田経産相、枝野官房長官、細野首相補佐官のいずれもが「全面撤退」と受け止めていた。
朝9> 清水社長は「とてもこれ以上は現場はもちません」と言ったという。
朝10> 撤退を止めたのは菅首相だ。
朝11> 枝野氏らは問題の深刻さから「首相しか判断できない」として、午前3時20分に仮眠中の首相を起こした。
朝12> 菅首相は、「もし、撤退したら、1~3号機の原子炉と4号機の使用済み燃料プールは制御できなくなって順番に爆発し、
朝13> 放射能が飛散して、東京までも避難することになる。チェルノブイリどころではない」
朝14> といい、東電に断念させた。
朝15> 「撤退したら東電はつぶれる」といった言葉が報道されたが、
朝16> 「撤退したら東京がつぶれる」とも言っていた。
朝8> 清水東電社長と話した海江田経産相、枝野官房長官、細野首相補佐官のいずれもが「全面撤退」と受け止めていた。
朝9> 清水社長は「とてもこれ以上は現場はもちません」と言ったという。
朝10> 撤退を止めたのは菅首相だ。
朝11> 枝野氏らは問題の深刻さから「首相しか判断できない」として、午前3時20分に仮眠中の首相を起こした。
朝12> 菅首相は、「もし、撤退したら、1~3号機の原子炉と4号機の使用済み燃料プールは制御できなくなって順番に爆発し、
朝13> 放射能が飛散して、東京までも避難することになる。チェルノブイリどころではない」
朝14> といい、東電に断念させた。
朝15> 「撤退したら東電はつぶれる」といった言葉が報道されたが、
朝16> 「撤退したら東京がつぶれる」とも言っていた。
以上の様に朝日新聞論説委員殿は上記朝7>~8>で事故調査報告書、枝野官房長官、細野首相補佐官を根拠に上記【Q1】にYesを唱え、上記朝12>~朝16>で東電どころか東京の危機であると菅直人が指摘した事を上げて【Q2】にもYesと強力に答えている。だから、菅直人は「東京を救ったかも知れない」と言う訳だ。
朝日新聞に長い事居て、論説委員になるまでドップリ朝日漬けの人と私とでは人種にも感覚にも天と地ほどの断絶があるのは間違いない。その断絶に比べれば本件、「福島原発事故における管直人の初動対応に対する評価」の差異など、さしたるものではない。
例えば、「東電が全面撤退を言い出した可能性」これは、無いとは言い難いだろう。古今稀に見る大地震と大津波。それに日本原子力技術史上最大の事故、少なくとも最大の事故となりうる可能性に直面し、東電トップの脳裏に「全面撤退」の文字が浮かばなかったら、余程の大物か馬鹿だろう。東電が純粋な営利追求団体ならば「即時撤退と原発事業の切り売り」を即時決定しても不思議ではない(*4)。
だが、東電が全面撤退を公言し、提案した可能性はどうだろう【P1】。上記の通り、朝日論説委員殿は此の【P1】にもYesと断言しているのだが。
或いは、東電がその全面撤退を管直人の説得だか恫喝だかを受けて、断念した可能性は【P2】。上記の通り、朝日論説委員殿は此の【P2】にもYesと断言しているのだが。
さらには、東電がその全面撤退を実行した可能性は【P3】。
言うまでもないが、上記【P1】はほぼ【Q1】に直結しており、同様に上記【P2】は【Q2】に直結している。【P3】は上記条件①と直結しているが、同時に【P2】/【Q2】による「菅直人による説得度にも拠るだろう。
そこで管直人の説得材料は、と見ると、上記朝12>~朝13>の「福島原発事故の拡大」と上記朝15>「東電は潰れる」及び上記朝16>「東京は潰れる」である。
現実には、幸いな事にであろうが、東電は福島原発事故現場から撤退せず、上記【P3】はNoであり、上記条件①は否定されている。「だから、菅直人が東電を説得し、撤退をやめさせたんだ」が、くどいようだが朝日新聞論説委員殿の主張である。
だが、冷静に考えて見て欲しい。東電は、原発運用して長い電力会社だ。福島原発が日本でも屈指の古い原発なのもそのためだ。原発自身は東電の設計でも製造でもないが、運用者としての実績ならば日本で右に出るものも稀有であろう専門家だ。その専門家が、上記朝12>~朝13>の「福島原発事故の拡大」や朝16>「東京は潰れる」と言う最悪悲惨な状況に思い至らない、菅直人に指摘されるまで失念している、と言う事があるだろうか。
もし思い至っているのならば、管直人の説得材料は上記朝15>「東電は潰れる」と言う恫喝だけである。それは確かに恫喝ではあろうが、「福島原発事故の拡大」と「東京は潰れる」事を既に想定している者に、「東電は潰れる」と言う恫喝に説得されて「福島原発事故現場からの撤退」を踏みとどまる、と言う状況は、極めて「説得度が低い」。東電トップが東京の安危(*5)よりも己が職責と月給の方を遥かに重大視する利己主義者、と想定しない限り、此の状況は不合理だ。
朝日新聞に長い事居て、論説委員になるまでドップリ朝日漬けの人と私とでは人種にも感覚にも天と地ほどの断絶があるのは間違いない。その断絶に比べれば本件、「福島原発事故における管直人の初動対応に対する評価」の差異など、さしたるものではない。
例えば、「東電が全面撤退を言い出した可能性」これは、無いとは言い難いだろう。古今稀に見る大地震と大津波。それに日本原子力技術史上最大の事故、少なくとも最大の事故となりうる可能性に直面し、東電トップの脳裏に「全面撤退」の文字が浮かばなかったら、余程の大物か馬鹿だろう。東電が純粋な営利追求団体ならば「即時撤退と原発事業の切り売り」を即時決定しても不思議ではない(*4)。
だが、東電が全面撤退を公言し、提案した可能性はどうだろう【P1】。上記の通り、朝日論説委員殿は此の【P1】にもYesと断言しているのだが。
或いは、東電がその全面撤退を管直人の説得だか恫喝だかを受けて、断念した可能性は【P2】。上記の通り、朝日論説委員殿は此の【P2】にもYesと断言しているのだが。
さらには、東電がその全面撤退を実行した可能性は【P3】。
言うまでもないが、上記【P1】はほぼ【Q1】に直結しており、同様に上記【P2】は【Q2】に直結している。【P3】は上記条件①と直結しているが、同時に【P2】/【Q2】による「菅直人による説得度にも拠るだろう。
そこで管直人の説得材料は、と見ると、上記朝12>~朝13>の「福島原発事故の拡大」と上記朝15>「東電は潰れる」及び上記朝16>「東京は潰れる」である。
現実には、幸いな事にであろうが、東電は福島原発事故現場から撤退せず、上記【P3】はNoであり、上記条件①は否定されている。「だから、菅直人が東電を説得し、撤退をやめさせたんだ」が、くどいようだが朝日新聞論説委員殿の主張である。
だが、冷静に考えて見て欲しい。東電は、原発運用して長い電力会社だ。福島原発が日本でも屈指の古い原発なのもそのためだ。原発自身は東電の設計でも製造でもないが、運用者としての実績ならば日本で右に出るものも稀有であろう専門家だ。その専門家が、上記朝12>~朝13>の「福島原発事故の拡大」や朝16>「東京は潰れる」と言う最悪悲惨な状況に思い至らない、菅直人に指摘されるまで失念している、と言う事があるだろうか。
もし思い至っているのならば、管直人の説得材料は上記朝15>「東電は潰れる」と言う恫喝だけである。それは確かに恫喝ではあろうが、「福島原発事故の拡大」と「東京は潰れる」事を既に想定している者に、「東電は潰れる」と言う恫喝に説得されて「福島原発事故現場からの撤退」を踏みとどまる、と言う状況は、極めて「説得度が低い」。東電トップが東京の安危(*5)よりも己が職責と月給の方を遥かに重大視する利己主義者、と想定しない限り、此の状況は不合理だ。
即ち、上記【Q1】/【P1】=Yesで東電が「全面撤退」を言い出したとしても、上記【Q2】/【P2】は普通に考えればNoである。 ・・・【Case1】
而してこの場合、東電は菅直人に説得されず、「福島原発事故現場からの撤退」を、少なくとも東電トップが命じた可能性が高い、と考えるべきだろう。実際には此の「撤退命令」が出たという報道はないし、出た所でそんな命令に唯々諾々と従う吉田福島第一原発所長とも思われないから、依然(幸いにも)上記【P3】はNoで条件①は不成立であるが、「東電の撤退命令」不在は、このCase1を否定する材料である。
逆に言えば【P1】「東電の全面撤退提案」は生起していた可能性が低い。即ち【Q1】はNoである。
「東電トップは東京がつぶれることに絶対に思い至っていた」とは言い難い。人はパニックに陥れば、普段出来ることでも出来なくなる。軍人や警官が傍から見ると理不尽なくらいに厳しい訓練が課されるのは、戦時非常時に「普段出来ることが出来るようにするため」と言っても過言ではないくらいだ。此の緊急事態と、福島原発事故現場可愛さからパニックとなって「全面撤退」を口走り、菅直人に「福島原発事故の拡大」と「東京は潰れる」事を指摘されて、ハッと我に返る。これは先述の「東電トップ=極端な利己主義者」説よりはありそうな話だ。この場合のみ「菅直人が東京を救ったかも知れない」と言う説は、一応成り立つ。 ・・・・【Case2】
これ即ち、パニックに陥る東電トップと、冷静に事態の重大性・致命性を指摘する菅直人と言う、正に朝日新聞論説委員殿が思い描く図式である。が・・・・トテモシンジラレナイ。
結論:東電トップが極端な利己主義者か、福島第一原発事故に拠ってパニックに陥っていた(*6)と考えない限り、「菅直人が東京を救ったかも知れない」と言う説は成り立たない。
而してこの場合、東電は菅直人に説得されず、「福島原発事故現場からの撤退」を、少なくとも東電トップが命じた可能性が高い、と考えるべきだろう。実際には此の「撤退命令」が出たという報道はないし、出た所でそんな命令に唯々諾々と従う吉田福島第一原発所長とも思われないから、依然(幸いにも)上記【P3】はNoで条件①は不成立であるが、「東電の撤退命令」不在は、このCase1を否定する材料である。
逆に言えば【P1】「東電の全面撤退提案」は生起していた可能性が低い。即ち【Q1】はNoである。
「東電トップは東京がつぶれることに絶対に思い至っていた」とは言い難い。人はパニックに陥れば、普段出来ることでも出来なくなる。軍人や警官が傍から見ると理不尽なくらいに厳しい訓練が課されるのは、戦時非常時に「普段出来ることが出来るようにするため」と言っても過言ではないくらいだ。此の緊急事態と、福島原発事故現場可愛さからパニックとなって「全面撤退」を口走り、菅直人に「福島原発事故の拡大」と「東京は潰れる」事を指摘されて、ハッと我に返る。これは先述の「東電トップ=極端な利己主義者」説よりはありそうな話だ。この場合のみ「菅直人が東京を救ったかも知れない」と言う説は、一応成り立つ。 ・・・・【Case2】
これ即ち、パニックに陥る東電トップと、冷静に事態の重大性・致命性を指摘する菅直人と言う、正に朝日新聞論説委員殿が思い描く図式である。が・・・・トテモシンジラレナイ。
結論:東電トップが極端な利己主義者か、福島第一原発事故に拠ってパニックに陥っていた(*6)と考えない限り、「菅直人が東京を救ったかも知れない」と言う説は成り立たない。
<注釈>
(*1) 石棺幻想 -福島原発事故処理法としての石棺方式を考える http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/35166775.html http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/35166813.html(*2) 土砂山幻影 http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/35501552.html http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/35501565.html SF IB世界の原子力発電所 URL: http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/35541126.html(*3) ま、管直人のことだから、自衛隊やハイパーレスキューに「福島原発へ向かって突撃命令」ぐらい出してしまいそうだが。(*4) って事はさ。送発電分離・発電自由化後の電力会社なら、即時撤退を言い出す可能性が、少なくとも当時の東電よりも高い、と言う事だ。(*5) と言う事は皇居の安危でもあり、畏れ多くも今上陛下の安危でさえある。(*6) 而して、菅直人はパニックを免れていた
【3.3】英雄は欲しい。が、それは菅直人ではない。それこそ「ゾッとする」
偉人伝、英雄譚というのは、一種文化的遺産である。また英雄待望論と言うのは閉塞状況には良く見られる心理的指向だ。我が国では20世紀末の「バブル崩壊」以来、今ひとつパッとしない経済状況共々「心理的閉塞状況」にあるから、英雄・偉人を待ち望む向きも多いのだろう。橋本市長ら「維新の会」なんてものの人気も、一つにはその英雄待望論が追い風になっているのだろう。
朝日新聞論説委員殿にとっては菅直人も待ち焦がれていた英雄であるらしい。「脱原発」と宣言したり、浜岡原発を止めてみたり、首相を漸くの事退陣したと思ったら「反原発」運動家になって見せたりする菅直人がそんな風に見えるのだろう。
無論、「脱原発なぞ愚挙にして暴挙」「再生可能な自然エネルギーでまともに役立つのは水力のみ」「太陽光や風力でまともに発電量を当てに出来るのは、大容量の蓄放電技術が確立してから」「ドイツやイタリアが呑気に「脱原発」出来るのは、フランスの原発のお陰」と主張して止まない私に、そんな菅直人が「英雄」に見えるわけが無い。
やっぱり思うね。
菅、斬る可し。と。
朝日新聞論説委員殿にとっては菅直人も待ち焦がれていた英雄であるらしい。「脱原発」と宣言したり、浜岡原発を止めてみたり、首相を漸くの事退陣したと思ったら「反原発」運動家になって見せたりする菅直人がそんな風に見えるのだろう。
無論、「脱原発なぞ愚挙にして暴挙」「再生可能な自然エネルギーでまともに役立つのは水力のみ」「太陽光や風力でまともに発電量を当てに出来るのは、大容量の蓄放電技術が確立してから」「ドイツやイタリアが呑気に「脱原発」出来るのは、フランスの原発のお陰」と主張して止まない私に、そんな菅直人が「英雄」に見えるわけが無い。
やっぱり思うね。
菅、斬る可し。と。