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基本的な質問からいこうか。「日本の警官は普通拳銃を持っている。何故か。」
世界的に言えば警官は拳銃を持つのが普通だし、中には短機関銃、さらには突撃銃(軍用自動小銃)まで持った警官も居る。「軍隊を廃止した」ってんで一部の人間が大好きなコスタリカの警察は、装甲車まで持っている。逆に基本的に丸腰なのはイギリスで、特殊な部署以外の警官は拳銃すら持っていない。
日本の警官は、普通は拳銃しか持っていない。制服警官ならば、まずニューナンブM60回転式拳銃を持っていて、予備弾はなしだから、弾倉の5発のみ。弾丸は38口径の38スペシャルだから先ずは国際的に警官用として標準的な弾丸と言えよう。回転式拳銃で5連発は少ない方だが、通常の6発との差はたった1発であるし、予備弾を持たない方が影響は大きいだろう。
さて、日本の警官は、此のニューナンブM60を筆頭とする拳銃を、何故持っているのだろうか。
端的に言えば、「犯人を拘束・逮捕する為」だろう。
銃を抜いて威嚇するだけですむかも知れないし、「銃を持った制服警官が来た」ってだけで観念する犯人もあるかも知れない。銃を抜いても尚犯人が逃走を企てるならば、当然犯人を撃つのが警官の仕事だし、警官の拳銃の存在理由だ。ニューナンブM60は銃身長3インチと短い(※1)から距離があると精密射撃は辛いが、だからと言って「拳銃を撃たない事で犯人を取り逃がす」よりは撃つであろうし、撃つべきである。
犯人が車で逃亡を企てれば、当然、車を撃つさ。ニューナンブM60の38スペシャル弾では、車に対する威力は相当心許ないが(※2)、それでも撃つのが当然。撃たねば職務怠慢ないし敵前反抗だろう(※3)。
以下に転載するのは、日本の警官が窃盗犯の逃亡を阻止しようと逃走車に発砲し、それが同乗者に当たって死に至らしめたために殺人罪を問われていると言う裁判。その裁判で読まれた死亡した被害者の母親のメッセージなのだが・・・まあ、短い記事だ。御一読願おうか。
<注釈>
(※1) 私の好みでは、此の倍、6インチは欲しいね、銃身長。私は基本的に、大型拳銃が好きなんでね。自動拳銃で言えばモーゼル・ミリタリー。コルトSAA45で言えば7 1/2インチのキャバルリー。流石にバントラインスペシャル12インチは・・・好きだけどね。(※2) 逃走者を止める目的ならば、同じ口径でも357マグナム弾ぐらいは欲しくなる。(※3) 無論、警官に軍法は適用されず、敵前反抗罪はないが。それを言うなら、自衛官も、だが。
転載開始=========================================
【奈良の警官発砲死付審判】
2人にいずれも懲役6年を求刑
2012.2.20 11:02 [westナビ]奈良県大和郡山市で平成15年9月に起きた逃走車への警察官発砲事件の付審判で、殺人と特別公務員暴行陵虐致死の罪に問われた警部補、萩原基文被告(35)と巡査部長、東芳弘被告(35)の裁判員裁判の論告求刑公判が20日、奈良地裁(橋本一裁判長)で開かれた。検察官役の指定弁護士側は両被告にいずれも懲役6年を求刑した。判決は28日の予定。
午前中は、逃走車の助手席にいて発砲で死亡した男性=当時(28)=の母親(74)が出廷。母親が被害者参加制度を利用して提出した意見陳述の文書を橋本裁判長が代読した。
意見陳述の文書で、母親は「なぜ息子が撃たれなければならなかったのか」と悲しみを表し、「警察官が(発砲)したことは、誰も責任を問うことはできないのか。うやむやなまま事件を終わらせないでほしい」などと訴えた。
付審判決定書などによると、両被告は15年9月、大和郡山市の国道24号で、窃盗事件で逃走する車に向けて至近距離から発砲。助手席の男性の頭に命中、死亡させたとしている。
=================================転載完
警官は職務を遂行したのみ。天地俯仰に恥じるものか
1> 母親は「なぜ息子が撃たれなければならなかったのか」と悲しみを表し、
2>「警察官が(発砲)したことは、誰も責任を問うことはできないのか。
3> うやむやなまま事件を終わらせないでほしい」などと訴えた。
子供を失った悲しみは心情的に理解する。だが、情状酌量できるのは、其処までだ。
「うやむや」も何もあるものか。上記1>「なぜ息子が撃たれなければならなかったのか」と言う問いに対する答えは明白だ。息子さんは「窃盗犯の逃走車に同乗していたから撃たれた。」のである。警察官は「逃走車を止める為に発砲した」のであって、章題にもした通り職務を遂行しただけ。「誰も責任を問うことはできない」のではない。「誰も責任を問う必要がない」のだ。
逆の場合を考えて見るが良い。「うやむやなまま事件を終らせず」此の逃走車に発砲した警官が有罪となり、「責任を問われた」としたら。逃走車に向かって発砲を決断できる警官は、当然減るし、車による逃走の成功率は上がるだろう。検挙率は下がらざるを得ない。治安も悪化すると考えるべきだ。それだけのコスト、否、ペナルティーを、「窃盗犯の逃走車に同乗していたが故に息子を失った」母親の心情を斟酌して払うのが、正統であるか。
正統な訳が無い。この事件は、死亡した被害者に最大限好意的に考えても「不運な事故」にしかならない(※1)。警官に殺意があったかどうかも争点になっているようだが、逃走する車の助手席に座っている人間に、拳銃(※2)の咄嗟射撃で狙って当てるなんて事が出来る警官が居たら、両津勘吉(※3)と勝負が出来るぞ。つまりは神業と言うより非現実的だ。
別の報道では、発砲した警官は「運転手の前腕部部を狙って撃ったが、ハズレ弾が当たった(※4)」と主張しているそうである。これが事実ならば、少なくとも両津勘吉に勝負を挑んで、適わなかった、と言う事だ。ソリャ、ま、普通の人間じゃ適わんだろうさ。
また別の報道では、死亡した被害者は「窃盗容疑などで書類送検、被疑者死亡で不起訴処分(※5)」なのだそうだ。ま、容疑者は犯罪者確定ではないがね。
お母さん。残念ながら息子さんに、情状酌量の余地は、余りありませんぞ。
<注釈>
(※1) 少し穿った見方をすれば「友達は選ばないとね」であり、もっと穿った見方をすれば「窃盗共犯の自業自得じゃないか」である。
(※2) それも銃身長3インチのスナップノーズ。多分。
(※3) 「こち亀」事「こちら亀有公園前派出所」主人公。モーゼルマシンピストルを全自動で5弾倉、全弾マンターゲットに当てるという神業を見せた事がある。文字通りの、百発百中。