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 以下の一連の記事と社説は、産経と朝日が報じる「日本政府が、脱北者について『今後は公館外から公館に連れ込まない』との趣旨を記した誓約書を中国政府に提出していた」と言う報道と、それに対する論評たる社説。
 
 本件は、読売のスクープであるらしく(*1)、産経が大々的に報じて社説まで組んでいるのに対し、朝日は時事通信の記事を転載してお茶を濁すだけ。少なくとも社説では取り上げていない。その報道振りを含めて、以下御一読あれ。
 

<注釈>

(*1) 政府、中国に誓約文書…「脱北者保護せず」  http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20111208-OYT1T00063.htm 
転載開始========================================= 

朝日 「誓約」報道、言及避ける=脱北者受け入れ姿勢は示す―官房長官

  http://www.asahi.com/politics/jiji/JJT201112080078.html
2011年12月8日14時6分
    
 藤村修官房長官は8日午前の記者会見で、北朝鮮からの脱北者対応について、中国政府の求めに応じて日本政府が「公館外から公館に連れ込まない」との誓約文を中国側に提出していたとの読売新聞の報道に関し、「事実関係を具体的に明らかにすることは差し控える」と言及を避けた。
 ただ、藤村長官は「(脱北者支援を規定した)北朝鮮人権法の趣旨も踏まえ、人道的観点から適切に対処すべきだ。脱北者の受け入れを今後行わないということでは全くない」と述べ、受け入れを拒否するわけではないと強調した。 
[時事通信社]

中国への「弱腰」またひとつ 政府、中国に誓約「脱北者を公館に連れ込まず」

  http://sankei.jp.msn.com/politics/news/111209/plc11120900160001-n1.htm
2011.12.9 00:13 [野田内閣]
 中国に対する「弱腰外交」がまた一つあらわになった。日本政府が今年初め、在中国の日本公館に保護を求めた北朝鮮からの脱北者の扱いについて、「今後は公館外から公館に連れ込まない」との趣旨を記した誓約書を中国政府に提出していたことが分かった。複数の政府関係者が8日、明らかにした。誓約書は中国側の要求に応じて提出。人道的措置の継続よりも、中国の圧力に屈することを選んだ形で、日本の国際的信用の失墜は免れない。
 政府関係者によると、誓約書は、平成20年から21年にかけて中国遼寧省瀋陽の日本総領事館で保護された脱北者5人の日本への移送交渉の際に提出された。
 中国側は5人の出国を認めず、最長で約2年8カ月、足止めされた。5人は領事館敷地内で過ごしたが、外出は禁止され、体調を崩す者もいた。このため、日本側は中国側との交渉を急いだが、難航した。
 当初、脱北者を保護しないよう求める中国側に対し、日本側が口頭で「留意する」と回答。それを受けて中国外務省が脱北者5人の出国容認に傾いたことに反発した公安当局が、誓約書の提出を求めたという。3年前の北京五輪を機に、治安対策の観点から脱北者への警戒を強化していたことも背景にあった。
 最終的に中国側は「今後は公館外から公館内に連れ込まない」との趣旨の内容を文書化するよう要求。日本側は譲歩し、要求に従った。その結果、5人のうち2人は4月、3人は5月に出国した。
 北京の日本大使館は8日、「関係者の安全やプライバシー、ならびに関係国との関係上、その事実関係を含め、明らかにすることは差し控えたい」と説明。藤村修官房長官は「脱北者の受け入れを今後、行わないなどといったことは全くない」と強調した。
 

日本政府の中国への誓約文書に石平氏 「人道に反し、国際的評価を貶める」 

評論家の石平(せきへい)氏の話

 「中国政府が最も懸念しているのは大量の脱北者が国内に流入することだ。北朝鮮の体制維持は中朝両国共通の利益であり、脱北者の増加は体制崩壊につながりかねないからだ。脱北者は国際的な人権問題だが、中国政府には『人権』『人道』という考え方がない。脱北者の受け入れは日本政府が判断することで、中国に指図されることではない。圧力に屈して誓約文書を出したとすれば、自ら主権を否定する行為だ。人道にも反し、日本の国際的評価を貶(おとし)めることにもつながってしまう」
 

北の独裁崩壊を危惧、難民の流入嫌う中国 脱北者に関する誓約書

  http://sankei.jp.msn.com/politics/news/111209/plc11120907130005-n1.htm
2011.12.9 07:10 [野田内閣]
 【北京=川越一】中国政府が日本政府に対し、脱北者に関する誓約書の提出を求めたことは、中国側が脱北者急増を予見させる何らかの情報を得ている可能性をうかがわせる。
 米議会調査局の報告書などによると、中朝は1986年、「国境地域の国家安全と社会秩序維持」に関する議定書に署名。互いに不法越境者を引き渡すことになっている。だが、中国は食糧を求めて越境してくる脱北者を原則的に黙認してきた。「天国ではないが、地獄よりはまし」と逃れてきた脱北者は3万~5万人とも、30万人ともいわれる。
 中国が態度を硬化させる背景としては、“地獄”の惨状が体制を揺るがすほど深刻化していることが考えられる。大量の難民が流入した末、北朝鮮の独裁体制が崩壊し、在韓米軍との緩衝地域がなくなれば中国にとっても痛い。
 中国外務省の洪磊報道官は8日の定例記者会見で「そんな話は聞いたことがない」と誓約書の存在を強く否定したが、北朝鮮の行き詰まった末の暴走を抑止するために、中国が対北支援に力を入れているのは事実。脱北者の取り締まり強化に応じてもおかしくはない。
 

産経【主張】
脱北者で誓約書 中国の圧力に屈したのか

  http://sankei.jp.msn.com/politics/news/111210/plc11121003390002-n1.htm
2011.12.10 03:39 [主張]
 日本政府が中国の求めに応じ、「公館外から公館に脱北者を連れ込まない」との誓約書を提出していたことが分かった。脱北者は北朝鮮の圧政に耐えかねて脱出し、保護を求めてきた人たちが多い。それを半ば見捨てるような行為は、国際社会から人権感覚を疑われてもやむを得ない。
 政府関係者によると、平成20年から21年にかけて中国・瀋陽の日本総領事館で保護された脱北者5人の出国を中国が認めず、条件として脱北者を保護しないよう求めたとされる。日本側は口頭で「留意する」と回答したものの、中国側が満足せず、誓約書を出してやっと出国が認められたという。
 人権を無視した恫喝(どうかつ)まがいの中国のやり方は断じて許すことができない。同時に圧力に屈した日本側の対応も問題である。
 最長2年8カ月も足止めされていた脱北者を早く出国させるためとはいえ、誓約書まで提出したのは日中平和条約でうたった「内政への不干渉」の原則を事実上、放棄したも同然で、今後の対中外交に大きな禍根を残した。
 誓約書を出した時期は菅直人政権の今年初めとされる。昨年9月の尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件でこじれた対中関係を修復したいとの思惑があったとすれば、罪はさらに重い。
 日本で平成18年6月、拉致問題解決のための経済制裁や脱北者への支援を規定した北朝鮮人権法が成立した。これは、米国の北朝鮮人権法(2004年)に続くもので、北の人権侵害問題啓発などで国際的な連携を深めたいとの趣旨も込められている。
 誓約書の提出はこの法の趣旨に反し、拉致問題でも誤ったメッセージを与えかねない。
 脱北者が中国の日本公館で長期間、足止めされていた問題は以前から知られていた。「北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会」などは昨年8月、中国自身も加盟する難民条約に違反しているとして、国連などに対し、非人道的な事態の解決に早急に取り組むよう求める声明を出した。
 菅前政権と野田佳彦政権はなぜ、そうした発信ができなかったのか。外交には表に出せない部分もある。しかし、日本の主権や人権にかかわる問題で、相手側が理不尽な要求をしてきた以上、これを公にして、国際世論に訴える方法も考えるべきだった。
=================================転載完了

中国様の言・う・と・お・り?

 さて、如何であろうか。
 
 「脱北者の『公館外から公館に脱北者を連れ込まない』との誓約書を日本政府が中国政府へ提出した。」と言うのが事実ならば、我が国の主権にもかかわりかねない問題でも有れば、人道上の問題ともなりかねない大事である。それは、仙谷(当時官房長官)の『日本は中国の属国』発言よりもはっきりと物証(*1)が残る問題であり、中国「漁船」体当たり攻撃犯たる船長を「地検の(勝手な)判断」で釈放した事よりも明確な責任が政府にある(*2)問題である。
 
 これに対し、当事者たる中日日本大使は、
 
> 北京の日本大使館は8日、
大1>「関係者の安全やプライバシー、ならびに関係国との関係上、
大2> その事実関係を含め、明らかにすることは差し控えたい」
> と説明。
 
と、報じられているから、これは普通に考えれば、「口には出来ないが肯定している」事になろう
 
> 藤村修官房長官は
藤1> 「脱北者の受け入れを今後、行わないなどといったことは全くない」
 
と言う政府自身の答弁も、穿った見方をすれば、「脱北者の「連れ込み」はしないと誓約したが「受け入れ」は行うと言う主張、即ち日本公館の職員が手助けはしないが、公館の警備を突破して公館内に侵入できた脱北者だけ受け入れる」と言う、玉虫色だがやはり非人道的な主張とも読み取れる。
 
 「そんなことは無い。」と断言できたらどんなにか良いだろうか。だが、ルーピーの日本列島は日本人だけ物ではない発言、仙谷の中国の属国」、体当たり攻撃中国「漁船」船長釈放、土肥某の竹島主権放棄発言と署名等など‥民主党政権による日本の主権侵害及び民主党自身の主権意識の希薄さは、文字通り枚挙に暇が無い。
 
 故に、上記藤1>官房長官たる藤村の「弁明」は、全く信用ならない。一応弁明になっているだけまだマシではあるが。
 
 言い換えれば、「民主党政権なれば、斯様な誓約書を中国に提出しかねない。」と思えるのである。
 
 上掲の通り、朝日の報道が「時事通信の引用」且つ相当な婉曲表現となっている事が、逆に産経が断じるような非人道的外交上の敗北たる「誓約書提出」と言う報道の真実味を増している。
 
 如何に、国民。
 
 如何に、民主党。
 

<注釈>

(*1) 「誓約書」が物証となる。
 
(*2) 釈放は「地検の権限」と言い逃れられるが、誓約書の提出は、普通「政府間」の外交文書だろう。捏造の偽書でもない限り。
 笑止だな。「核持込の密約は事実だった!」と鬼の首でも取ったかのように発表した民主党政権が、秘かに主権を中国に売り渡していたのだから。