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=====転載継続==============
    
――再生可能エネルギーが本当に経済的なメリットがあるなら、なぜ産業界は脱原発に反対するのですか。
 
ブリュワー ドイツ産業界にも、様々なポジションの企業が存在します。脱原発の声を発しているのは、電力や化学、重工業、自動車などの大企業。これが産業界の総意であるとは考えていません。
 というのも、再生可能エネルギーの導入を、ビジネスチャンスと捉える企業が増え始めているためです。象徴的なのが、アルミ精錬のトップ企業が政府の判断を歓迎していることです。
 アルミ精錬といえば、電力多消費産業の代表格。電力料金の高い地域ではビジネスが立ちゆかなくなることもある業種です。そのアルミ精錬企業の歓迎が意味していることは、「再生可能エネルギーは儲かる」ということに尽きます。
 これまで彼らの最大の顧客は自動車メーカーでした。ですが、自動車メーカーは値下げ圧力が強い。値下げばかり求めてくる自動車メーカーよりも、彼らにとっては、風車メーカーの方が優良顧客になったのです。(※1)
 
再生可能エネルギーは成長著しい産業
――再生可能エネルギーの導入が、新産業として確立しつつあるのですね。
 
ブリュワー その通りです。雇用創出効果は数値となって現れています。産業界の声の大きなプレイヤーの影で、ビジネスをシフトさせる動きが顕在化しています。
 再生可能エネルギー市場は、右肩上がりで目覚しい成長を続けています。これほどの成長力を持った産業は、ほかに見当たりません。(※2)
 だからこそ、日本に言いたいことがあります。原発に賛成か反対かという議論にとどまらず、将来の産業について議論すべきではないでしょうか。(※3)
 日本企業が再生可能エネルギー市場で存在感を発揮したいと考えるなら、日本政府は早急にエネルギー政策の方針転換をすべきです。一刻も早く、国内市場を立ち上げなければ、手遅れになる。もうギリギリのタイミングです。既に日本は相当、遅れを取っているのです。
 ドイツに参考になる例があります。かつてドイツの鉄道会社は、新幹線のような高速鉄道を新興国に売り込もうとして失敗しました。その理由は、国内での導入実績がなかったためです。新興国からしてみれば、「そんなに良い技術ならば、なぜ自国でやらないの?」と信頼を得られませんでした。(※4)
 日本の再生可能エネルギーの導入量は、世界的に見ても少なすぎます。国内市場はあまりに脆弱です。日本には、技術開発に長けた企業が多く存在します。再生可能エネルギーに本気で取り組めば、世界で高い競争力を発揮できるはずです。
 政府が本気で国内市場を立ち上げることを決断するかどうか。ここに、日本企業の将来が委ねられています。

=================================転載完了

 

<注釈>

(※1) 「こっちの水は甘いぞ」か。そりゃ新規事業なんだから、新参者に相応のメリットがあるのだろうが、今の再生可能エネルギー発電コストの高さよりも風車への売り上げの方がアルミ精錬企業にとってメリットである、と言うだけだろう。「再生可能エネルギーが低コストの発電に成功している」訳ではないし、況や、大容量蓄電技術にコンセプトだけでも目処が立ったわけですらない。
 
(※2) そりゃブームだからな。
 
(※3) この点は珍しく私がGPに同意できる。以前にも書いたところだが、今日と明日に原発が必要である点は、議論の余地はない。我が国於いては、殊更ない。
 だが明後日ならば。大容量蓄電技術が開発普及し、再生可能自然エネルギー発電の低コスト化が成功した明後日ならば、再生可能自然エネルギーが我が国発電の主流となりうる可能性は認めよう。それでも細長い島国で土地が狭く少なく、定期的に台風も来れば雨季もある我が国と言うのは再生可能自然エネルギーにとって厳しい条件ではあるが。
 
(※4) シーメンス社がドイツの脱原発宣言に間髪を入れずに原子力事業撤退を打ち出したのも、同じ理由ではあるな。
 だが、輸出の為の見本としてのエネルギー政策とは、本末転倒であろう。先ず電力需要を安定的に満たさなければ、角を矯めて牛を殺すことになろう。
 我が国の電力の主力は、以前は水力だった。太陽光や風力ばかり喧伝されているが、水力は再生可能な自然エネルギーであり、ある程度可制御であり、ある程度蓄電も利く。現時点では最有力な再生可能な自然エネルギーだ。その我が国が火力と原子力中心の発電体制になったのは、何も火力発電所や原子力発電所を輸出する為ではない。電力需要そのものの伸びに、水力発電では到底追随できないと見越したからだ。その見越しは正しかったからこそ、電力の9割を火力と原子力が担い、1割かそこらの節電にも苦労しているのである。
 太陽光にせよ、風力にせよ、昨今話題の、また新産業たる再生可能な自然エネルギーの普及は、制御可能な発電量、即ち火力及び原子力の発電量増量を必須とする。その点を考慮しながら、我が国の再生可能自然エネルギーの電力供給率を上げるべきだ。
 ドイツならば、フランス原発から電機を輸入すれば済むところを、我が国は自力でナントカしなければ、停電してしまうのだから。
 

日本はドイツではなく、GPの主張は通らない


 さて、如何であろうか。
 
 私の率直な感想はGPにしてはまともな方だ。」と言うものだ。前半のドイツ脱原発に対する評価は相当に疑問符が付くが、後半の「新産業としての再生可能自然エネルギー発電」と言うのは一定の説得力を持つ。尤も、現状の「新産業としての再生可能自然エネルギー」と言うのは多分に流行或いはファッションであって、実用と言うか実害と言うかは薄いのであるが、それでも新産業は新産業だから、相応に魅力的な市場ではあろう。ファッションだろうが、流行だろうが、売れるものを売るのは商売になるのだから。買ったところでさして害になるものでもないし、日本も先頃法律を導入したように「発電量を電力会社が全量強制高価買い上げ」となればなおさらだ。
 
 注釈にも入れたが、明後日の発電方法としての「再生可能な自然エネルギー」技術開発と言うのは私も賛成できるところだ。散々繰り返すとおり大容量蓄電技術の開発普及が必須であるし、発電主力となるのが明後日にずれ込むのは、一義的には脇役である大容量蓄電技術の為であるのだから、こちらも強調しなければならないところだが。何しろこちらは、未だコンセプトさえ明らかではなく、現時点であるのは「揚水式水力発電による、上の方のダムの水量としての蓄電」でしかない。超伝導コイルに電流を封じ込めるだとか、巨大なはずみ車を廻すとか言うアイディアを聞いた事はあるが、アイディアの域を出ていない。脚光浴びる太陽熱や風力の低コスト化も重要だが、蓄電技術無しには発電の主役になぞなれないのであるから、こちらも含めて、技術開発は推進すべきだろう。
 
 だが、GPが主張しているエネルギー政策の転換」「再生可能エネルギーの国内市場立ち上げとなると・・・これは詰まるところ「再生可能自然エネルギーの発電割合向上」であろう。それをドイツは先ずは35%、2050年には80%を目指して、100%だって可能だ、としているのだが、当面目標の「35%」は、それこそフランス原発の電力を買えるからこそぬかせる目標であり、我が国が追随すべきものではない。
 我が国の水力以外の再生可能エネルギーによる発電量が1%しかないのは、向上の余地を大いに有する物であるが、これを何処まで向上できるか、というよりも、向上させて問題ないかと言うと、一声1割、10%であろう。
 この「1割」は殆どカンであって、大した根拠はない。だが、電力需要ピークに対する最大発電量が有するべき制御マージンと言うのが凡そ1割、10%とされる事から、再生可能エネルギーの、現状では蓄電もできないから全く不安定であり、高価でもある発電量に任せられるのは、その程度であろうと考える。ドイツのように3割以上も再生可能エネルギー発電に頼ってしまっては、制御可能な発電量=火力及び原子力による制御量では再生可能エネルギーによる不安定発電をカバーできない恐れがあろう。
 
 つまるところ、日本は島国で、ドイツではないのだから、ドイツのような口先脱原発や輸出見本としての国内再生エネルギー市場などと言う、GPの主張なぞ、受け入れられないのである。
 
 如何に、国民。
 如何に、GP。

 

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(1) 原発如きが人類を滅ぼすオーバーテクノロジーなものか  http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/35039419.html
 
(2) 石棺幻想 -福島原発事故処理法としての石棺方式を考える  http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/35166775.html
 
 (3) 四大紙+2紙社説比較-福島原発海水注水中断/事故調査検証委員会発足  http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/35332696.html
 
 (4)私の原発推進論―または私が福島原発事故を経てなお原発を推進する理由。―前進せよ、人類。   
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 (5)余剰電力は防衛力である-脱原発騒動と電力不足に状況によせて   
http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/35687699.html
 
 (6)私の「自然エネルギー推進論」―フクシマ後も原発推進の立場から― 
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(8) 論理的帰結―IEA分析「原発は不可欠」     http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/36278996.html
 
(9) 四大紙マイナス1プラス3紙.社説比較-ベトナム原発輸出  http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/36278737.html 
 
(10) 世界の原発を考える―Made in 支那原発の悪夢 http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/36272257.html