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AFP通信が報じるは、極超音速飛行爆弾「AHW(Advanced Hypersonic Weapon、先進型極超音速兵器)」の試験飛行成功。
1> 「極超音速で」太平洋上の上層大気を滑空し、
2> 南西に約4000キロ離れたマーシャル諸島(Marshall Islands)のクェゼリン環礁(Kwajalein Atoll)の標的に命中した。
とあるから、今回試験に成功したAHWの大きさ重さは不明であるが、別報道では三段ブースターで打ち上げてから滑空したとも報じられているから、相当見物な試験であったことは間違いない。
同様のコンセプトでAHWより射程が長いらしい極超音速グライダー「HTV-2 Falcon Hypersonic Technology Vehicle-2」の飛行試験が此の8月に失敗に終っていただけに、米軍としては「地上発射~極超音速滑空攻撃」コンセプトを漸く実証できた形であり、一安心している事だろう。報じられるとおり「今年に入って(AHWやHTV-2を含む)「地球規模攻撃プログラム( Conventional Prompt Global Strike (CPGS) program)」に2億3990万ドル(約180億円)を投じて」居るのならばなおさらである。
「地球規模攻撃プログラム(CPGS)」は「地球上のどの時点でも1時間以内に精密誘導通常兵器で攻撃できる」と言う、現時点ではICBM核ミサイルしか出来ないような事(※1)を通常弾頭で実現してしまおうと言う野心的な計画。ある意味「ICBMの代替」であり、通常弾頭だけにICBMよりも使いやすい、発射に踏み切りやすい兵器である。
「ICBMの代替」ってだけで卒倒しそうな人もありそうだし、「グローバルリーチな攻撃兵器」と来れば、「米帝の侵略性」なんて懐かしいフレーズと結びつきそうだ。が、米国がHTV-2と言うグローバルリーチな通常弾頭兵器を求めているのは紛れもない事実だし、中国と言う新たな冷戦相手の登場に、かつてのSAC戦略空軍華やかなりし頃の大爆撃機軍がない現状では、HTV-2を開発するのも私には理解できる。「侵略性」を言うならば、中国こそそのご本尊であろう。
端的に言って、今回報じられているAHW試験飛行成功は、我が国にとっても朗報である。それは、米中冷戦に於いて米国が一歩リード出来る可能性を示唆しており、それ以上に、中国が一歩後退させられる可能性を示唆しているが故に、我が国の朗報なのである。
<注釈>
(※1) かつては、B-36の様な戦略爆撃機軍が担っていた事。「1時間以内」ではないが。