合体して逃走図る中国漁船団、韓国沖の黄海  http://www.afpbb.com/article/disaster-accidents-crime/crime/2841376/8096316

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 AFP通信が報じるは、図々しくも韓国領内で違法操業した上「合体して」逃走を図る中国「漁船」団。SS張りの体当たり攻撃は、昨年わが海上保安庁相手に仕掛けたが結局逮捕されてしまったから(※1)、今度は伝統的な集団戦法の人海戦術で逃げようということらしい。報道記事及び写真の通り、横一列に並んだ「漁船」が「互いにロープで船体を縛って」一体化し、あたかも一隻の巨大な多胴船をなしたかのような形で逃走を図って居ると言う。三国志の「連環の計」を想起させる奇策である。
 
 奇策であるが・・・奇策であるだけだ。
 
 一寸考えればわかることだが、此の「連環の計」は逃走速度を上げないむしろバラバラに逃げるよりも平均的な逃走速度は下がる。船型には速度発揮に適した舳と艫の角度があり、普通の多胴船では各胴の船型は此の適した角度としたまま間に流路を確保する事で、細長い船型が適した高速性と幅のある船型が適した安定性とを兼ね備えるようにする。今回の中国「漁船」の連環の計は、船同士は文字通り舷々あい摩す密集隊形であり、充分どころか船型間に流路が殆どない。その分抵抗は増え、速度は低下する。ひょっとすると船団内の遅い船の速度は引き上げる効果があるのかも知れないが、速い船の速度を引き下げる効果のほうが大きい。
 
 確かに、三国志の連環の計と同様に安定性、ことにローリングとヨーイングの安定性は増すだろう。だが、ヨーイングの安定性が増すと言うことは「舵効きが悪くなる」事でもある。さらに多数の(※2)機関統合された機関制御設備もないまま動かす(※3)事になるから、繰船が非常に困難になる。特に、逃走の為高速発揮しているとなると、ほぼ全船の機関を全力運転しなければならないから、意図した方向に旋回するどころか、真っ直ぐ意図した方向に定針するのさえ困難な筈だ。
 
 それでも斯様な「連環の計」を中国「漁船」団が取り、逃走を図る理由を想像するならば、以下の通りである。
 
 ① 鬼面人を驚かす事で、韓国側の追及を免れるハッタリ

 ② 「連環の計」で一体化した集団の質量を増し、体当たり攻撃で韓国海洋警察庁の艦艇に押し負けないようにする

 ③ 各「漁船」機関のバランスも取れ、「連環の計」状態での操艦にも自信がある

 特に注目したいのは、上記の理由③だ。これは、此の「連環の計」が計画的であることを示すばかりか、韓国領海内で違法操業していたとされる中国「漁船」がタダの漁船ではない事を示唆している。船団の機関バランスを予め取り、「連環の計」状態での訓練を充分行っていたのならば、此の中国「漁船」は中国の工作船であり、乗り組んでいるのは中国人「漁民」ではなく人民解放軍ないし政府役人である可能性を、強く示唆している。