デモで閉鎖の米オークランド港、業務再開 http://www.afpbb.com/article/economy/2838883/8023229
「反ウォール街デモ」発祥の地、警官隊がテント撤去 NY http://www.afpbb.com/article/economy/2840917/8086509
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聊か旧聞に属するが、AFP通信が報じるは、少なくとも世界の一部では一世を風靡した「ウオール街を占拠せよ」=反格差デモを巡る米国での二つの事件。一つはデモ参加者が暴徒化したために一時閉鎖されたオークランド港が業務を再開したと言うニュースであり、もう一つはそもそもの「ウオール街を占拠せよ」=反格差デモ発祥の地・ニューヨーク・ズコッティ公園にでも参加者が設営したテントを警官隊が撤去したと言うニュース。
さらに続報には、米国の名門ハーバード大学で「こんな格差社会を作った責任を大学に問う」"Occupy Harvard”運動なんてのも、報じられている。 (*1)
だが、しかし、長期化し、拡散もしているらしい同運動が、私にはタイトルにもした通り終焉を迎えつつあるように見えてならない。
もとより、私が「ウオール街を占拠せよ」=反格差デモに対して極めてシニカルな見方をしている事は隠れも無いところである。実際当ブログにも幾つか記事をアップしている。その論旨を重複覚悟で採録するならば、以下のようになろう。
(1) 「ウオール街を占拠せよ」=反格差デモのシュプレヒコール「格差をなくせ!」は、甚だ具体性に欠け、それだけでは「金をよこせ!」と言う怒号と大差は無い。
(2) 人類が文明化されて以来、「格差の無い社会」なんて物は実現したためしが無い。格差とはそれほどの難敵であり、タダ「なくせ!」無いし「減らせ!」ぐらいで対抗できる相手ではない。
(3) 従って、反格差運動には明白な目的・「格差をなくす/減らす」手段の明示が必要な筈だ
(4) だがしかし、現行の反格差運動はその逆であり、逆である事を誇示すらしている。
(5)【追加】 かかる運動は、仮に「革命」が成就したとしてもほぼ瞬間に空中分解するし、恐らくは暴動にしかならないだろう。
実際、反格差デモが暴徒と化した結果が上掲前者のオークランド港封鎖・業務停止である。「たかが港湾の業務停止」と侮るべきではない。それは、事オークランド港に関する限り、「完全なる通商破壊の成功」=通商途絶なのである。 凡そ、海洋国にとっての悪夢、これに勝る物は稀有であろう。アメリカと言う大海洋国の一港湾だから、「荷揚げ量規模で全米4位の主要港の1つで、アジア向け物資の59%を扱う。」オークランド港を一日閉鎖しても大問題にはならないが、逆に言えば暴徒と化した反格差デモは強力な通商破壊者足りうる事を証したのが上掲前者の報道だ。
上掲後者、ニューヨークに於ける反格差デモテント村撤去は、オークランド港閉鎖の影響と見る事が出来るかも知れない。ニューヨーク港が閉鎖されたならば、オークランド港以上の影響があることは間違いなさそうであるし、政治的影響はさらに大きいだろう。尤も、「ズコッティ公園の占拠をしている者は一時的に退去し、テントや防水シートを撤去しなさい。公園の清掃が終われば、デモ参加者たちはまた公園に戻ることができる」とニューヨーク市長がツイッターで呟いているそうだから、公式には「一度頭を冷やせ」と言う事なのだろう。
そんなニューヨーク市長の「親心(推定)」を知ってか知らずか、続報によれば上記公園テントの撤去に抗議して、ニューヨーク市長自宅前で騒音を撒き散らす運動家も居るそうである。(*2)なるほど、太鼓を叩くのも騒音を撒き散らすのも、自己表現の一法ではあろうが、それではマフラー外してうるさくしたバイクで走って粋がっている暴走族と、何の違いがあろうか。
「ゲリラは人民の海を泳ぐ」とは毛語録にあるところ。「一杯の水にも対価を払う姿勢が、対ゲリラ戦を成功させる」とも聞いた事がある。言わんとすることは何れも、「ゲリラは、一般大衆の支持支援を受けているから強い」であろう。人によっては一般大衆の支持を受けていれば「ゲリラ」であり、支持を受けていなければ「テロリスト」と分けて使うらしい(*3)。
「ウオール街を占拠せよ」=反格差デモはゲリラではない。ゲリラないしテロリストになる可能性を秘めていない事は無いだろうが、今は単に暴徒化あるいは「暴走族化」しているだけだ。その判りやすいキャッチコピー「ウオール街を占拠せよ!」「我々は99%だ!」は、少なくとも一時期一般大衆の支持を受けたようではある。だが、耳障りは良いものの具体性に乏しい「格差反対!!」では、問題提起にはなってもそれ以上のものとはならぬまま、時間がたてば高かった支持率が低下するのは何も日本に限るまい。支持されたとて、実績が見えなければなおさらだ。
白状しなければならないが、私は世論調査の動向か何か具体的根拠を持って「反格差運動が一般大衆の支持を失いつつある」と主張しているのではない。ただ、広範な一般大衆の支持があるならば、公園にあるテントを「一時的」にせよ撤去を命じたニューヨーク市長や、期限付き撤去を命じたロンドン市長には報じられているような暴走族張りの嫌がらせ以上の抗議行動が見られそうに思うばかりだ。それが無いと言うことは、それだけ人心が「反格差デモ」から離れている事だろう、と推測する。
況や、本当にウオール街を占拠する「打ち壊し」ならばまだしも、同じアメリカとは言え金融業ともウオール街ともかけ離れたオークランド港を、一時閉鎖させるだけの暴徒とあっては、益々人心は離れよう。
<注釈>
(*1) 「オキュパイ・ハーバード」、米名門大キャンパスでも抗議行動 http://www.afpbb.com/article/economy/2841044/8091665(*2) 「オキュパイ」運動、NY市長自宅前で太鼓鳴らして抗議 http://www.afpbb.com/article/politics/2841791/8114002(*3) 「誰が?」と問われれば、確か、中東問題の第一人者・故・村松剛氏だったと思うが・・・
当ブログの反格差デモ関連記事【抜粋】
(1) 「世界同時」反格差デモの怪しさ―「日本では反原発も訴える」!? http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/36148727.html(2) 反格差デモと民主党の類似性に関する一考察―AFP通信「ウオール街を占拠せよ」に要求は存在しない? http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/36222398.html