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 AFP通信が報じるのは、ドイツに続いて脱原発の方針を固めたと言うベルギー新政府。
 
1>  ベルギーで新連立政権発足へ向けた基盤固めをしている主要6党は10月30日、
2> 国内の原発7基を2015年から順次停止させていく方針で合意した。
 
と言うから、政権交代果たした連立六党(!?)合意がなったそうだ。まだ発足していない新政権、それも新連立政権発足へ向けた基盤固めをしているそうだから、此処で言う「主要六党」全てが参加する連立政権とは限らないようにも読めるし、そうだとすると「先ずは合意しやすい事項から合意していく」課程で取り上げられたのが「脱原発」とも読める。そうであるならば、スーパーゾンビ菅直人が思いつきの政権延命策として打ち出した「脱原発」は、ベルギーでは新たな政権発足策として採用されていると言う見方が出来る少々穿った見方も知れないが。
 そんな穿った見方をしたくなるのも、何度も強調するとおり私が「今尚原発推進論者」であり、「脱原発なぞ、特に我が国においては、愚挙にして暴挙」と断じてしまうからでもある。「我が国に於いては」と限定詞が付くのは、ベルギーに先立って脱原発を宣言したドイツ共々西欧には国際的な送電網が既にあり、不足分の電力は隣国から輸入出来るからであり、なかんづく発電の8割が原発である発電大国フランスから電力輸入出来るからである。さらには我が国は四面海もて囲まれし島国で、尚且つ隣国が電力不足気味の中国、韓国、北朝鮮であるから、逆立ちしたって「電力輸入」なぞ出来そうにないからである。
 電力輸入の割合は限定的だとしたり顔の解説も読んだ覚えがあるが、輸入電力がなければその「限定的な割合の」不足が意味する所は停電に他ならない。電力を輸入しても足らずにイタリアは脱原発方針を止めるか否かの国民投票にかけたのであるし、この先ドイツやベルギーと言う現在原発を保有する国が脱原発に向かえば、益々フランスの原発発電は輸出繁盛だろう。
 何しろ、報じられるところでは、ベルギーは、以下の考えなのだそうだ。
 
1>  ベルギーの電力源の内訳は現在、ガスと火力発電が合わせて5ギガワットなのに対し、
2> 7基の原発は5.7ギガワットで国内エネルギー需要の55%をまかなっている。
3> 風力発電は10年時点で911メガワットだったが、
4> 政府はこれを20年までに6.3ギガワットまで増やしたい考えだ
 
 先ず、上記の数字が合わないんだが・・・上記2>原発で5.7GWがエネルギー需要の55%だとすると、ベルギーのエネルギー需要は10GWでしかないのに対し、上記1>ガスと火力発電あわせて5GWであるなら、原発・火力(ガス火力含む)の制御可能な発電量は合計10.7GWになってしまい、その他の発電量はマイナスに勘定されてしまう。
 上記1>「ガスと火力発電が合わせて5ギガワット」を有効数字一桁から「四捨五入した4.5GWが実質」と考えたとしても、上記3>「風力発電は10年時点で911メガワット=0.911GW」だから、やはり「足が出て」しまう。
 一つだけ思いつく合理的な説明は、「原子力5.7GW、火力(ガス)5GW,風力0.911GWは何れも最大発電容量」であり、太陽光や水力は微々たる物でも、最大発電容量(*1)と電力需要の差分、約1.6GW+は制御マージンと言う事だろう。16%の制御マージンがあれば、9割がたが「制御可能な発電量」である事も相まって、大安心な電力供給体制だろう。左様、喩え無風でも、電力需要を賄えるだけの制御可能な発電力があるのだから。
 
 そう、現在のベルギーは、だ。
 
 その発電量の半分を占める原発を「脱原発」で取りやめて上記4>「(風力発電を)20年までに6.3ギガワットまで増やしたい」即ち最大発電量では現在の原発以上にしよう(*2)と言うのだから、ベルギーでは余程安定的に風が吹いているのでない限り(*3)、或いは火力発電所を20年までにほとんと倍増しない限り、電力不足は目に見えている。言うまでもないだろうが火力発電所倍増は、発電のための二酸化炭素排出量倍増でもある。勿論、火力発電のための燃料代も倍増な上、現在稼働中の7基の原子炉は発電に寄与することなく廃炉のコストが必要になる。
 
5> 電力大手エレクトラベル(Electrabel)は31日、
6> 高コストや環境への副次的な負荷、電力供給の外国への依存などにつながるとして反発を示した。
 
と言うのは、安定した電力供給を使命とする電力会社としては、当然の反応だろう。
 それでも、ベルギーならば「脱原発」を進めることが可能だろう。前述の通り、お隣の原発大国フランスから、不足分の電力を買えば済むのであるから。
 
 と言う事は、ドイツに続くベルギーのお気楽脱原発は、フランスの原発を増やすか、稼働率を上げる事になるだろう。狭い西ヨーロッパの中での「一国脱原発」が、如何に自己満足で、虚しい事か。それに気づかない奴バラも度し難いがそんなことが日本で出来ると考える奴は、間抜け通り越して白痴だな。
 
 Vive L'emperur!(フランス皇帝万歳!)
 

<注釈>

(*1) それは、風力が最大発電できる事が前提だが。
 
(*2) 再三繰り返すとおり、風力、太陽光、地熱などの「再生可能な自然エネルギー」は、「態と発電しない」事は出来るものの、「必要な量を意図して発電する」事は出来ない。従って、原発や火力とこれら「再生可能な自然エネルギー」の最大発電量は、持っている意味が違う。火力・原子力ならば、燃料を供給すれば必要な時に発電できる、「制御可能な発電量の最大値」が最大発電容量だ。
 
(*3) 海に面して、平坦な土地で、台風が来ないのだから、日本に比べれば風力発電としては随分適していそうだが。
 

【参考】私の原発関連記事(抜粋)

(1) 朝日社説 「原発をどうするか-脱・依存へかじを切れ」を斬る http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/35116184.html
 参考 平成22年度電力供給計画の概要について http://www.enecho.meti.go.jp/policy/electricpower/100414-h22.pdf   
 
(2) NHK AMラジオ 内橋克人 「カリフォルニアは原発を市民投票で停止と絶賛」に異議あり!  http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/35067228.html
 
(3)原発如きが人類を滅ぼすオーバーテクノロジーなものか  http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/35039419.html
 
(4)朝日社説「ヨウ素検出-あかちゃんを守ろう」の巧妙さ http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/34961262.html
 
(5)琉球新報社説 「大震災・放射性物質拡散 「石棺」方式の決断検討を」を斬る   http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/34937144.html
 
(6)石棺幻想 -福島原発事故処理法としての石棺方式を考える  http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/35166775.html
http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/35166813.html
 
 (7) 脱原発への一歩だが、一歩のみ-孫正義の「赤字にならないメガソーラー経営法」 http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/35344184.html
 
 (8) 私の原発推進論―または私が福島原発事故を経てなお原発を推進する理由。―前進せよ、人類。   
http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/35630668.html
 
 (9) 余剰電力は防衛力である-脱原発騒動と電力不足に状況によせて   
http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/35687699.html
 
 (10) 天下の暴論―東京社説「自然エネルギー 電力供給の主役目指せ」を斬る! 
http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/35714171.html
http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/35714236.html
 
 (11) 私の「自然エネルギー推進論」―フクシマ後も原発推進の立場から― 
http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/35778036.html  http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/35778053.html  http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/35778071.html
 (12) ドイツ降伏-独シーメンス社 原子力事業から撤退   http://www.afpbb.com/article/economy/2828751/7793213
http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/36006950.html