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 表題でお気づきの方もあろうが(*1)今回記事は「社説を斬る」シリーズではない。沖縄タイムスの社説を「嗤う」と銘打った。理由は、「嗤うしかない」からなのだが、その理由は・・・・まあ、先ずは問題の沖縄タイムス社説を御一読願おうか。
 
転載開始========================================= 
 

<注釈>

(*1) そんな方は当ブログの相応のリピーターであるから、さほど数は居ないだろうが。
 

 

[対馬と与那国]国境の島を交流拠点に 

 http://www.okinawatimes.co.jp/article/2011-10-14_24680/
 2011年10月14日 09時19分 Tweet

 共に国境に位置する離島である長崎県対馬市と与那国町には類似点が多い。
 対馬は韓国、与那国は台湾との交流を礎に自立を模索している。が、いずれも人口流出に歯止めがかからない。そこへ新たな共通点が加わろうとしている。自衛隊配備だ。
 対馬には、陸海空合わせて約700人の自衛隊員が駐留する。ここ数年は、市議会などが増強要請を繰り返している。背景には「国防ナショナリズム」の高まりと地域経済の疲弊があるようだ。
 対馬では2005年以降、竹島(韓国名・独島)問題が飛び火するかたちで、韓国の退役軍人らが「対馬も韓国領だ」と唱えて座り込みを行ったり、日本の国家主義的な超党派議員団が来島したり、一般市民も領土問題に意識が働く出来事が相次いだ。
 そうした中、市議会に対して直接、自衛隊増強の働き掛けを行ったのは対馬防衛協会である。与那国でも、中国の海洋進出や尖閣諸島の領有権問題が浮上する中、与那国防衛協会が署名運動を展開し、町議会や町長に誘致を働き掛けた経緯がある。
 しかし、市民にとってより切実な問題は、雇用や福祉への対応だ。対馬市の財部能成市長は増強要請の背景に「地域振興の面がある」と認めている。与那国町の外間守吉町長も「地域活性化のための自衛隊誘致」を明言している。
 だが、最初の自衛隊配備から半世紀を経た対馬市で、人口が半減している事実からも明らかなように、自衛隊に町おこしの役割を期待するのは無理がある。
 防衛省は、与那国島民を二分しても自衛隊配備を強行する構えだ。その狙いの先には何があるのか。
 与那国への自衛隊配備は、時間を置かず沖縄全体に波及する要素をはらんでいる。それは沖縄の歴史的なターニングポイントになるだろう。
 自衛隊は与那国にとどまらず、南西諸島全域への展開を模索している。他地域を見れば、与那国も短期間に「自衛隊の島」に染まる可能性が高い。与那国を足掛かりに先島は自衛隊、沖縄本島は米軍という勢力分布、役割分担が構築されるかもしれない。同時に日米の軍事一体化も進む。そうなれば、沖縄全域が軍事の島の様相を帯びるだろう。
 与那国町には、住民参加で練り上げた「自立ビジョン」がある。外間町長はそれを「聖書」になぞらえる。だが、柱となる「国境交流」は、国防ナショナリズムが下支えする自衛隊誘致とは相反する。
 釜山との定期航路開設で対馬の韓国人観光客はうなぎ上りだ。対馬は自衛隊を配備しながら韓国との交流を軌道に乗せた、との評価もできる。が、韓国と台湾では事情が異なる。台湾の場合、中国との複雑な関係も見据える必要がある。現に台湾からは「(自衛隊配備で)投資がしにくくなる」との声もあるという。
 対馬と与那国で異なるのは島のアイデンティティーだ。対馬には古来、「防人の島」としての自負がある。沖縄が希求してきたのは国境の砦(とりで)を固めることではなく、自由に往来できる経済圏の確立だ。
=================================転載完了

二重朝貢は琉球王国以来の伝統か

 さて、如何であろうか。
 
 章題にある「琉球王国の二重朝貢」と言われてもピンと来ない方もあろうから、解説しておこう。その昔沖縄は琉球王国として、大陸に朝貢する朝貢国の一つだった。だが戦国時代に我が国は薩摩の島津に攻め込まれて以来、琉球王国は薩摩の支配下に入り、大陸と薩摩の両方に朝貢する「二重朝貢」を行なうようになった。何しろ豊臣秀吉の時代であるから、攻めて来たのは秀吉の補給を(*1)受けた薩摩隼人(*2)。多分、当時世界で最も敵に廻したくない軍勢であるから、琉球王国が降伏して薩摩支配下に入るのは理解出来るが、理解し難いのはその後も大陸に朝貢を続けたこと(*3)。だから「二重朝貢」である。「巧妙な外交」「絶妙なバランス」と、良く言えば言えそうだが、「八方美人の良い顔しいが「琉球王国の二重朝貢」である。
 
 そんな史実(*4)を思い出したのは、勿論転載した沖縄タイムス社説による。何しろ此の社説は・・・三赤新聞の下っ端沖縄二紙には良くあることだが、なんとも平和ボケと言うか主権知らずというか、平たく言えば愛国的ならぬ売国的。我が国の領土も主権も放棄するような主張である。
 
 当該社説は沖縄は与那国島と対馬の比較から始る。両者に共通点が多いと言い、対馬には自衛隊が既に駐留しているが、与那国は与那国長の要請を受けてこれから駐留する計画であることを述べる。ここまではまあ、事実関係の確認だ。
 
1>  最初の自衛隊配備から半世紀を経た対馬市で、人口が半減している事実からも明らかなように、
2> 自衛隊に町おこしの役割を期待するのは無理がある。
 
と言うのは沖縄タイムスの評価だが、そりゃ艦艇が入港する毎に百人、千人単位で将兵が夜の街にくり出す軍港のような効果は期待できないだろう。だが、沖縄タイムス社説の関心は、経済振興よりも別の方向に向かう。
 
3>  自衛隊は与那国にとどまらず、南西諸島全域への展開を模索している。
4> 他地域を見れば、与那国も短期間に「自衛隊の島」に染まる可能性が高い。
5> 与那国を足掛かりに先島は自衛隊、沖縄本島は米軍という勢力分布、役割分担が構築されるかもしれない。
6> 同時に日米の軍事一体化も進む。そうなれば、沖縄全域が軍事の島の様相を帯びるだろう。
 
 オーイ。ご自慢の「日本の米軍基地の75%が集中する沖縄」と言うのは一体何処へ行ったのかね。尖閣諸島に対し中国が領土主張をおおっぴらにしている事で明らかな通り、沖縄は対中最前線であり、「日本の米軍基地の75%が集中する沖縄」を抑止力としては維持する必要も其処にある。言い換えれば、既に「沖縄全域は軍事の島の様相」であると言うのに、何を今更、自衛隊配備で驚き騒いでいるのだ。
 
7>  与那国町には、住民参加で練り上げた「自立ビジョン」がある。
8> 外間町長はそれを「聖書」になぞらえる。
9> だが、柱となる「国境交流」は、国防ナショナリズムが下支えする自衛隊誘致とは相反する。

 
と言う主張も噴飯ものだ。国境交流が国防よりも優先される訳がない。国防とはいわば国家の生存権。人にとっての基本的人権と同様に、国にとっての基本的国権だ。それよりも国境交流が優先されるとしたら、左様な国境交流は、売国行為であり、先行被侵略・被占領であろう。聖書になぞらえようが、住民参加だろうが、それは紛れもなく我が国主権の侵害。主権の売り渡しだ。
 
 更に沖縄タイムスは言う。
 
10> 現に台湾からは「(自衛隊配備で)投資がしにくくなる」との声もあるという。
 
 なんとも奇妙な話だ。沖縄の自衛隊が増強されると台湾からの投資がしにくいというのは、その投資が中国による沖縄占領を前提にしているからではないのか。そんな投資ならば日本としては願い下げであるし、そんな投資がしにくくなるのは大変に結構な話である。沖縄としては「どんな前提があろうと投資は投資」なのかも知れないが、それもまた売国行為に他なるまい。
 
11>  対馬と与那国で異なるのは島のアイデンティティーだ。
12> 対馬には古来、「防人の島」としての自負がある。
13> 沖縄が希求してきたのは国境の砦(とりで)を固めることではなく、自由に往来できる経済圏の確立だ。
 
 何とまあ、モノは言いようだよねぇ。
 
 琉球が薩摩の支配下で、鎖国体制に入った江戸時代も薩摩の対外貿易窓口であり、同時に隠れ蓑であったのは史実だ。だがそれは、薩摩一国ではなく形式的とは言え大陸に「支配」される事で得た貿易の利。それを「自由に往来できる経済圏の確立」等と大仰に言われると、商売ビジネスのために二重国籍を保有している人に対するのと同様の違和感と「節操のなさ」を感じずには居られない。私自身がそんな状況に陥ったとしたら、それこそアイデンティティーの危機を感じるだろう。
 
 さらには、「自由に往来出来る経済圏」を支えているのは、商船の自由航行であり、それは制海権の確保と同義語であるというのに、「沖縄は防人の島ではないから軍隊は要らない」なんていう主張は、笑止千万だ。百歩譲って沖縄に新たな陸上部隊増援は不要であるとしても、海上兵力があればこその制海権であり、商船の自由航行であるから、海上兵力は「自由に往来出来る経済圏」には、不可欠なのである。
 
 ソマリア沖に見るように、「自由な海」と言うのは、何もしなければ、海賊が跳梁跋扈する海であり、とてもじゃないが「自由に往来出来る経済圏」なぞ形成できないのである。無論、四面海もて囲まれし我が国では、商船以外で貿易する手段は、極めて限定的であるから、我が国では「国境交流」とて商船が主役。その商船の自由往来を海軍・海上兵力が担保しているのである。
 
 「平和ボケ」とか「戦後平和教育の成果」とは、この程度の物なのであろうが・・・・全く力が抜けるな。斯様な主張を大まじめに社説に掲げる沖縄タイムス記者の相当部分は、私と同じ日本人であり、私と同じく日本の参政権を有しているのだと思うと、暗澹たるものがあるな。
 

<注釈>

(*1) 豊臣秀吉は、武田信玄も上杉謙信も攻め落とせなかった小田原城を、包囲戦=補給戦で攻め落とした。
 
(*2) 朝鮮の役で、5千の薩摩兵児を率いた島津義弘は、7万の明軍に攻勢をかけ、2万の首級を上げたと言う。1対14の兵力比から攻撃して勝ち、確実に3割近くを戦死させると言う、凄まじい記録を打ち立てた。
 
(*3) さらには、薩摩支配下にもあるという事実を隠蔽した事。
 
(*4) 私が沖縄県民ならば、「恥ずべき史実」と書くところだが、私は沖縄県民ではないので、二重朝貢をどう考えるかは、沖縄県民に任せよう。