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転載記事で報じられているのは、パソコンの国産比率の下げ止まり。と同時に、パソコン製造に限らずモノ作りの現場力がコストダウンのために海外へ流出した生産量=仕事を国内に呼び戻す事例が報告されている。パソコンもその他の工業製品と同様に中国の圧倒的に安価だった生産コスト=国内生産のコスト高により国産比率を下げ続け、生産の海外移転を実施していたのだが、此処へ来て国内生産回帰の動きも見える、と言う記事。その鍵となっているのが日本の現場力だ、と言う記事。
ま、先ずは御一読願おうか。
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転載開始=========================================
現場力で中国から「仕事奪回」 PC国内生産回帰へ
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/111004/biz11100417170022-n1.htm
2011.10.4 17:12 [パソコン]「出雲モデル」のノートパソコンを生産する島根富士通の生産ライン=島根県出雲市
製造業の空洞化が進む中で、パソコンメーカーなどが国内生産の復権に向け奮闘している。世界生産の9割以上を中国が占め、日本で売られる製品も多くは中国に生産委託されているが、ここにきて国産比率は下げ止まりつつある。「メード・イン・ジャパン」の高い信頼性や従業員の能力をフル活用する製造現場の力は、空洞化防止への日本の産業界の切り札となる。(フジサンケイビジネスアイ・井田通人)島根県出雲市にある富士通子会社の島根富士通。個人向けノートPCを組み立てるA棟2階のスペースは半分以上を1階で製造した部品置き場に使われ、その隣に生産ラインがある。部品置き場には余裕があるようにみえるが、「生産量が減ったわけではなく、ここ数年の生産革新の結果」と島根富士通の宇佐美隆一社長は胸を張る。別棟の企業向けを含め18本ある組み立てラインは、1本の長さがおよそ35メートル。5年前に比べ約3分の1の長さだ。作業者も24人から15人に減ったが生産量は着実に増えている。1本のラインに100人以上が従事する中国の工場とは雲泥の差だ。生産効率化の鍵は、徹底した現場作業の見直しだ。PCを組み立てる作業者の反対側に「給材係」を配置し、部品が足りなくなるたびに手渡す。人数は増えるが、この方が部品補充の手間が省け、効率化できたという。このほかにも、ネジ締めやラベル張り、キーボードをたたいて耐久性をチェックする検査など、人手に頼っていた作業を徹底して機械化した。
中国から「仕事奪回」手応え
富士通は高品質の「出雲産」が消費者へのアピールになると考え、9月から島根富士通の製品を「出雲モデル」と名付けた。同様に、同社のもう一つの生産拠点、富士通アイソテック(福島県伊達市)が生産したデスクトップ型は「伊達モデル」と呼んでいる。「中国も人件費が上がっている。現在の2倍は生産できる余裕があるので、(中国から)仕事を奪い返したい」。宇佐美社長は新たな“成長神話”の手応えを感じている。スマートフォン(高機能携帯電話)やタブレット端末の普及で市場が低迷する中、PCメーカーは再編機運が高まっている。7月には国内最大手のNECがPC事業を中国のレノボグループと統合した。だが、富士通の斉藤邦彰執行役員は「かつてない転換点に直面しているが、国産にこだわる姿勢にブレはない」と強調する。他社も負けていない。8月にソニーが発売したノートPC「VAIO(バイオ)Z」は、25万円以上する高性能モデルながら、厚さはわずか16.6ミリ。同社は昨年4月、マーケティングを除くPC部門のすべてを長野県安曇野市にある子会社「ソニーイーエムシーエス」の工場に移した。バイオZは長野で一から開発された初の製品だ。「ここをもう少し工夫できないか」。品質を少しでも上げようと、現場では設計と製造の担当者が毎日のように議論を交わす。そこから生まれたアイデアの一つがネジだ。バイオZは薄型を実現するため、液晶画面と本体をつなぐ部分のネジ穴が斜めに空けられている。斜めでは均等な力でネジ止めするのが難しいが、議論の末に生産部門が特殊な工具を開発し、何とか量産にこぎつけた。「『メード・イン・トーキョー』の製品です」。日本ヒューレット・パッカード(HP)はデスクトップPCを生産する東京都昭島市の昭島事業所で、8月からノート型の生産も始めた。コストは海外より高くつくが、都内なら顧客に届ける時間を短縮でき採算が合うからだ。生産開始にあたり、同じラインでノート型も組み立てられるよう従業員を徹底教育。現場作業者に求められるハードルは高まったが「(勤労意欲の高い)日本人が作る製品の魅力は色あせない」と成功を確信する。国産へのこだわりはPCだけではない。キヤノンは一眼レフデジタルカメラの大半を大分県と長崎県の工場で製造する。ライバルのニコンが上級機以外の生産をタイに移しているのとは対照的だ。キヤノンの担当者は「一眼レフには高度な生産技術が必要。円高だからといって簡単には移管しない」と話す。1ドル=70円台の超円高、国内景気の低迷、高い法人税…国内生産を脅かす材料は尽きない。が、日本の製造業は世界に誇る“現場力”で苦境を乗り越える覚悟だ。
=================================転載完了
頑張れ日本製造業!
さて、如何であろうか。
言うまでもないが企業と言うのは利益集団であり、利益を追求する。必ずしも利益のみを追求する物ではないが、利益を上げないことには組織として存続できないのだから、自己防衛本能として利益を追求する。利益と言うのは単純には売価と原価の差異であるから、原価を下げれば利益は上がる。原価を下げる主な手法はコストダウンであり、生産コストの安い海外、なかんずく中国に生産シフトすれば大いなるコストダウン即ち大なる利益を望める、と言うのが一頃大流行したビジネスモデル=取らぬ狸の皮算用だった。実際それで大いに利益を上げた企業もある。アップル社設計のアイパッドやアイフォーンがMade in Chinaなのも有名な話しだし、日本メーカーの人気商品たる任天堂DSやらSONYのPSPやらの携帯ゲーム機も中国の工場から出荷されていた。
> 世界生産の9割以上を中国が占め、日本で売られる製品も多くは中国に生産委託されている
と言うのは残念ながら現状であるし、中国が「世界の工場」などと称されるのも此の実情故だ。
言うまでもないが企業と言うのは利益集団であり、利益を追求する。必ずしも利益のみを追求する物ではないが、利益を上げないことには組織として存続できないのだから、自己防衛本能として利益を追求する。利益と言うのは単純には売価と原価の差異であるから、原価を下げれば利益は上がる。原価を下げる主な手法はコストダウンであり、生産コストの安い海外、なかんずく中国に生産シフトすれば大いなるコストダウン即ち大なる利益を望める、と言うのが一頃大流行したビジネスモデル=取らぬ狸の皮算用だった。実際それで大いに利益を上げた企業もある。アップル社設計のアイパッドやアイフォーンがMade in Chinaなのも有名な話しだし、日本メーカーの人気商品たる任天堂DSやらSONYのPSPやらの携帯ゲーム機も中国の工場から出荷されていた。
> 世界生産の9割以上を中国が占め、日本で売られる製品も多くは中国に生産委託されている
と言うのは残念ながら現状であるし、中国が「世界の工場」などと称されるのも此の実情故だ。
日本の製造業が欧米の製造業に比べて比較的国内生産や自社生産に拘って来た、と言うのは事実だろう。日本企業で海外生産や現地生産が一般的になったのは比較的新しいのに対し、欧米では、例えば銃器メーカーの老舗ブローニングなんて設計専門企業で生産はFN社とかコルト社とかにやらせつつあれだけのブランド(*1)を確立している。
アップル社もブローニング社も、その大成功は疑うべくもないが、「設計だけ社内。生産は社外。」とか「設計は本国。生産は外国。」と言うのは、新しい経営形態ではあろうが、「正しい」経営形態、と言って悪ければ、「同一業界で長続きしやすい」経営形態とは思えない。実際の組立工場で油まみれになることもない設計者が、一回や二回ではなく永続的に優れた製品を設計し続けるなんてことは、想像することさえ難しい。ブローニング社やアップル社がそれを実現したのは事実であるが、同じことを他社が、特に日本の会社が真似たとして柳の下に何匹ドジョウが居るかと言うと、極少ないように思う。
唯でさえ少なそうな柳の下のドジョウが、日本企業にとってはさらに減少すると思われるのは、日本企業の強みの一つと思われる現場力を態々放棄する事になるからだ。
「技術者は1日3回以上石鹸で手を洗え」とは、日本を代表する製造業トヨタの教えだそうだ。その意味する所は、「技術者たる者、製造現場の現物に直接触れて油まみれになるのを常としろ」と言う現場現物主義であり、製造ラインと設計の距離短縮と言うよりは混在に近い。アップル社やブローニング社の設計のようにスマートでもなければ新しくもないが、此のトヨタの教えの方が私には妙に納得が行く。それこそ、「ストンと胸の奥に落ちるように」納得できてしまう。これは日本企業の、日本人の、強みである。その強みは、設計の強みと言うばかりでなく、製造の強みともなる、と言うのが転載記事の報道「現場力で仕事奪回」であろう。
その「日本人の強み」或いは「強みと思わせるもの」の背景には、唐傘お化けや一反木綿、付喪神(*2)に代表される、日本人独特のアニミズムがあるように思われる。「八百万の神」とも呼号され、「便所の神様」から「竈の神様」まで居る我が神国・日本では、凡そありとあらゆる物に神が宿り、擬人化どころか「擬神化」される。であるならば、製造業・モノ作りと言うのは「神作り」或いは「神宿らせ」と言う意識ないし無意識の認識が在ると言う事は、想像に難くない。否、論理的帰結と言うべきだろう。
その「神作り/神宿らせ」の手順は設計が決めるのだが、実際に「神作り/神宿らせ」するのは製造だ。日本企業が社内生産・国内生産にこだわり、トヨタが現場主義を説くのも、「宗教的必然」であろう。
であるならば、
現場力を向上して、仕事を奪回し、国内生産率を向上することは、「神を外国から呼び返す」神事であり、慶事でもあると言う事だ。日本復興の烽火とするに、相応しかろう。
付喪神再降臨
頑張れ、日本の製造業。
アップル社もブローニング社も、その大成功は疑うべくもないが、「設計だけ社内。生産は社外。」とか「設計は本国。生産は外国。」と言うのは、新しい経営形態ではあろうが、「正しい」経営形態、と言って悪ければ、「同一業界で長続きしやすい」経営形態とは思えない。実際の組立工場で油まみれになることもない設計者が、一回や二回ではなく永続的に優れた製品を設計し続けるなんてことは、想像することさえ難しい。ブローニング社やアップル社がそれを実現したのは事実であるが、同じことを他社が、特に日本の会社が真似たとして柳の下に何匹ドジョウが居るかと言うと、極少ないように思う。
唯でさえ少なそうな柳の下のドジョウが、日本企業にとってはさらに減少すると思われるのは、日本企業の強みの一つと思われる現場力を態々放棄する事になるからだ。
「技術者は1日3回以上石鹸で手を洗え」とは、日本を代表する製造業トヨタの教えだそうだ。その意味する所は、「技術者たる者、製造現場の現物に直接触れて油まみれになるのを常としろ」と言う現場現物主義であり、製造ラインと設計の距離短縮と言うよりは混在に近い。アップル社やブローニング社の設計のようにスマートでもなければ新しくもないが、此のトヨタの教えの方が私には妙に納得が行く。それこそ、「ストンと胸の奥に落ちるように」納得できてしまう。これは日本企業の、日本人の、強みである。その強みは、設計の強みと言うばかりでなく、製造の強みともなる、と言うのが転載記事の報道「現場力で仕事奪回」であろう。
その「日本人の強み」或いは「強みと思わせるもの」の背景には、唐傘お化けや一反木綿、付喪神(*2)に代表される、日本人独特のアニミズムがあるように思われる。「八百万の神」とも呼号され、「便所の神様」から「竈の神様」まで居る我が神国・日本では、凡そありとあらゆる物に神が宿り、擬人化どころか「擬神化」される。であるならば、製造業・モノ作りと言うのは「神作り」或いは「神宿らせ」と言う意識ないし無意識の認識が在ると言う事は、想像に難くない。否、論理的帰結と言うべきだろう。
その「神作り/神宿らせ」の手順は設計が決めるのだが、実際に「神作り/神宿らせ」するのは製造だ。日本企業が社内生産・国内生産にこだわり、トヨタが現場主義を説くのも、「宗教的必然」であろう。
であるならば、
現場力を向上して、仕事を奪回し、国内生産率を向上することは、「神を外国から呼び返す」神事であり、慶事でもあると言う事だ。日本復興の烽火とするに、相応しかろう。
付喪神再降臨
頑張れ、日本の製造業。
<注釈>
(*1) 伝説的、とさえ言える。M2 50口径重機関銃だけでも充分伝説的であるのに、M1910やハイパワーなどの自動拳銃があり、BAR軽機関銃があり・・・(*2) 或いは泥田坊や「モッタイナイお化け」もそうだろうな。