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 私は宗教という点では典型的な日本人なので、「貴男の宗教は?」と訊ねられたならば「基本的には日本神道ですが、葬式は仏式になる筈ですし、クリスマスにはそれなりのお祝いもします・・・」と、かなり曖昧な答えになる。間違ってもキリスト教徒でも回教徒でもないのは散々強調しているとおりだが、教会やモスク(※1)へ行けば、その場の神様に相応の敬意を表する用意はある。「宗教的に無節操」と言われればそう言えようが、それが日本人の一つの特色であり、長所でもあると思っている。

 葬式は仏式の予定だが、宗派はハッキリと決まっている。チベット仏教ではない宗派なので、ダライ・ラマと私には、直接の宗教的関係はない。だが、私はダライ・ラマを尊敬している。ローマ法王よりも遙かに尊敬している。故国・チベットを追われて幾星霜。今なおチベット人の精神的支柱としてチベット仏教の最高位にあるその半生の苦労と御高齢だけでも一寸したモノであるが、私がダライ・ラマ氏(※2)に対する感銘をさらに深めたのは、何年か前のことだ。

 中国がダライ・ラマ氏の事を「中国の分裂を狙う悪魔だ、狼だ!」と口を極めて公的に罵った事がある。(※3)そのときダライ・ラマ氏は「私が悪魔に見えますか。角も生えていないでしょう。」と両手の人差し指を曲げて立てた拳を頭に翳し、「悪魔の形相」をおどけて作って見せた。あの、今も変わらぬ穏やかな笑顔で、だ。このポーズをアップで撮った写真は、世界中に配信された。

イメージ 1

           ダライ・ラマ14世 「悪魔」のポーズ 「格好良い」とは言えないが、素晴らしい

 「ふざけている!」と思う人もあるかも知れない。「ダライ・ラマは政治的ピエロに堕した!」と主張する人もありそうだ。だが、私にはダライ・ラマ氏のこの「悪魔のポーズ」が、ダライ・ラマ氏の余裕に見えた。
 当時の中国は未だ「GNP世界第2位」にはなって居らず空母も持っていなかったが、経済発展も軍備拡張も著しい大国ではあった。一歩内部とはその中国に併呑されている小国で、ダライ・ラマ氏自身がチベットの独立ではなく自治という穏健な(=「軟弱な」とも言える)要求し掲げられないほどだった。(※4)そんな「大国・中国が「悪魔だ、狼だ」と非難と言うより罵倒するのを受けてのこのユーモアの美事さは、ヒステリックに喚くだけの中国女性報道官とは実に美事な好対照であった。
 
 それだけ、中国がダライ・ラマ氏を怖れていると言うことであり、中国が怖れていると言うことをダライ・ラマ氏自身良く知っている、と言うことだ。
 
 ああ、そうか。
 ダライ・ラマ氏は「最後の国境線」の大脇役「ジャンシ」なんだ。「戦う、世界市民」なんだ。
 
 
 閑話休題(それは兎も角)

 矢張り支那の共産党政権は、ダライ・ラマ氏を非道く怖れていると言う新たな証拠が引用した記事。何しろ、そのダライ・ラマ氏の後継者選びは中国政府が認めなければ違法だというのだから恐れ入る。
 
1>  ダライ・ラマの輪廻転生は、
2> 宗教儀式や過去の慣行、中国の法規制に準じるべきだ
 
 中華人民共和国には「輪廻転生」を規制する法律まであるらしい。あなオソロシや。幾ら「死者をも罰する」お国柄とは言え、現世の政府が来世いや天国・地獄まで規制しようと言うのは管轄外の越権行為だろうが。
 
 第一、共産主義の御本尊・マルクスは、「宗教は民族のアヘンである」と断じたと言うのに、共産党政権が輪廻転生を規制しようとは、自己矛盾であろう。無論、「社会主義市場経済」ほどの自己矛盾ではないと言うことには、私も同意するが。
 
 今回引用したAFP記事は、珍しいぐらいに中立的、と言って悪ければ「私の意見に沿った」報道であり、中国の上記の表明が次のダライ・ラマ選びへの干渉であり、次のダライ・ラマが今のパンチェン・ラマと同様に二人併存する可能性を報じ、そのパンチェン・ラマの現状を要領よく付記している。
 
3> ダライ・ラマがパンチェン・ラマ11世に認定したゲンドゥン・チューキ・ニマ(Gedhun Choekyi Nyima)氏は、
4> 1995年に中国当局に拘束されて以降、公の場に姿を現していない。

 この引用記事最後の数行が、中国共産党政権の非人道性と、ダライ・ラマ氏に対する警戒振りを、美事に要約している。
 
 発:Zero
 宛:AFP通信
 
 本文:今回ノだらい・らま報道美事ナリ。


<注釈>

(※1) には未だ行ったことがないが。

(※2) うーん、何て敬称付けたら良いのだろう。「導師」?って言うとオウム真理教のお陰で随分イメージが悪くなったし。「猊下」というと普通はローマ法王だろうし・・・

(※3)  ま、いつものことと言えばいつものことだが。

(※4) この点は今も変わらない、仮、「GNP世界第2位で、その内アメリカを抜く!」「中国史上初の空母を進水!!」等で、中国の方は益々増長している。