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 ひょんな事から半ばシリーズ化してしまっている「沖縄八重山地区教科書採択」問題。その経緯については先行記事、特に2番目の記事を見て頂くとして、今回「続々報」として取り上げるのは沖縄タイムスによる同問題の解説記事だ。
 
(1)愚問承知で琉球新報社説のダブルスタンダードを問う! http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/35958019.html

(2)続報・沖縄八重山地区教科書採択  http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/35980232.html   http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/35980305.html
 
 ま、先ずは御一読願おうか。
 
転載開始=========================================

沖縄タイムス 八重山教科書:[解説]2教育長、制度と矛盾

  http://www.okinawatimes.co.jp/article/2011-09-14_23414/
社会  2011年9月14日 15時48分 Tweet
 
 中川正春文科相が、八重山3市町の全教育委員による協議を無効としたのは、教科書無償措置法に基づき、同協議の前提となる3教育委員会の「合意」形成に不備があったとみなしたからだ。石垣市の玉津博克、与那国町の崎原用能両教育長が文部科学省宛てに協議の無効を訴えた文書が判断材料になったとみられる。(八重山支局・又吉嘉例)
 ただ、教育長は教育委員会の事務を統括する「事務方」のトップ。上部組織には教育委員で構成する教育委員会があり、委員を束ねるのが教育委員長だ。八重山の3教育委員長が協議を「有効」としている中、文書は両教委の意思を代表したものといえるのか。
 特定の党派的影響力から政治的中立を確保する、地域住民の意向を反映する―。いずれも本来の教育委員会制度の意義だ。
 協議会長の玉津教育長は協議の場で自民党参院議員が作成したメモを根拠に、協議会答申通り、現場教員が推薦しなかった育鵬社版公民教科書を採択した石垣、与那国2教委の正当性を主張した。学校現場や保護者が望まない教科書をあえて採択した説明責任も果たしていない(*1)。同制度と矛盾した道を突き進んでいる。
 教員推薦の東京書籍版を独自採択した竹富町教委の立場は「採択権は教育委員会にある」と規定する地方教育行政法が保障している(*2)。自身の主義主張から、答申通りの採択を竹富町教委に迫っている両教育長や国会議員らの視界に、八重山の子どもや教師の姿が入っているのかは疑問だ。(*3)
=================================転載完了
 

<注釈>

 
(*1) 後述の通り、「採択権は教育委員会にある」のだろう。現場教員の推薦は参考意見だ。何が説明責任なのか。
 
(*2) 同じ地方教育施行製作法は、育鵬社教科書を選択した石垣市、与那国町の両教育委員会の決定も保障している筈だろう。
 
(*3) もって行くところは「子供や教師」なんだな。なるほど、独裁者が大衆迎合な訳だ。
 

八重山教科書採択経緯

 さて、如何であろうか、と言っても、経緯がわからないとなんともいえそうにないな。先行記事と重複するが、以下にその経緯を記そう。なお、番号の後にアルファベットが付いている項目は、沖縄タイムス社説による補足・訂正であるから、沖縄タイムス自身の経緯認識( の筈)だ。
 
 (1) 八重山地区は「愛国心を強調し、改憲志向が強い「新しい歴史教科書をつくる会」系の育鵬社の教科書」を採択した。
 (1A) 上記(1)は「石垣、竹富、与那国の3市町による八重山地区協議会が育鵬社を採択した」である。「教科書の最終的な採択権は各教委にある」

 (2) 上記(1)の八重山地区の採択を、石垣市、与那国町の両教育委員会は追認した。
 (2A) 最終的な教科書採択権のある各教委の内、「石垣市、与那国町は育鵬社版、竹富町は東京書籍版を採択した。」

 (3) 上記(2)までで八重山地区の教科書選定手続きは完了したはずだが、これが問題視された。
 (3A) 「八重山地区の3市町は同一教科書を採択しなければならない」為、県教委が乗り出した。これは、協議会規約に「県教委の指導・助言を受け、役員会で再協議することができる」とあるためである。
 (3B) だが、その役員会は決裂した。
 (4) 上記(3)を受けて、9/8石垣、竹富、与那国3市町の教育委員全員による「全体会合」が行われ、2012年度から使用する中学公民教科書に東京書籍版を多数決で採択した。
======================此処までが先行記事時点の経緯  愚問承知で琉球新報社説のダブルスタンダードを問う! http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/35958019.html

 (5) 上記(4)の報告を文科省は受けたが、同時にその有効性を否定する文書が石垣市と与那国町の両教委から提出されていたため、上記(4)「全体会合」の決議は「法的に無効」との見解を示した。

 (6) 9/16に県教委から文科省に報告しなければならない教科書の需要数について、9/13現在で石垣市教委は「公民は育鵬社」と県教委に報告済みであり、与那国島教委も同様に報告する方針である。
 
 上記経緯を受けての沖縄タイムス開設はと言うと、要約すると以下の様になろう。
 
 ① 三市町の教育委員長は上記(4)「全体会合」の採択を認めている。
 ② 玉津協議会長の政治的中立性には疑義がある。
 ③ 八重山地区三市町の内。竹富町は現場教員推薦の東京書籍版を選択したが、石垣市・与那国町は現場教員推薦ではない育鵬社教科書を選択している。「その視野に、八重山の子どもや教師の姿が入っているのか。」

 
 さて、上記①「教育委員長閣下の肩書きが目に入らぬかぁぁ!」でしかない。なるほど教育委員長は「教育委員の長」であるから「事務方の長」であると言う教育長よりは「階級が上」ではあろうが、上記(3B)で決裂した役員会の権限を「全体会合」に付与するだけの権限があるとは思われない。思われないからこそ教育長の反対であろう。

 上記②では玉津協議会長に政治的中立性を求めているが、政治的中立性をいうならばそれこそ現場教員のほうに疑義がある。それどころか、端っから現場教員には政治的中立性は求められていない。その政治的中立性なんてあるとは期待すらされない現場教員の推薦を、上記③のように最重要視しながら、玉津協議会長には政治的中立性を求めると言うのは、ダブルスタンダード以外の何者であろうか

 で、上記③「現場教員の声を無視するな。」である。他人の意見に耳を傾けるのは確かに大事だが、当該解説で沖縄タイムス自身が認める通り「採択権は教育委員会にある」のだから、教員推薦と異なる事は、あって当たり前(*1)だし、あったところで説明責任なぞありはしない。それは教育委員会の権限であるから「教員推薦は承りましたが、我々はこれを選びます。」で御仕舞いだ。
 それを「子供や教師の姿が視野に入っていない」と評するのは勝手だが、教員推薦に従って教科書を選定するのであれば、それは「採択権は教育委員会にある」とは言われまい。教員推薦による実効支配だ。
 
 つまるところは最初の記事にした思考実験に尽きそうだ。つまり「教員推薦が育鵬社教科書であるのに対し、石垣市・与那国長教委が東京書籍を、竹富町教委が育鵬社を選択して揉め、「全体会合」で育鵬社を採択したが、その採択が文科省に無効とされた」ならば、沖縄タイムスは「教員推薦の育鵬社を選ばなかった石垣市・与那国町教委に説明責任を求めた」だろうか。
 
 私にはとてもそうは思えない。
 
 尤も上記思考実験は、最初の仮定「教員推薦が育鵬社教科書」が非常に大きな仮定なので、思考実験の域を出そうにないのであるが。
 

<注釈>

 
(*1) 「今までなかった」のだとしたら、そいつは不思議なほどの偶然の一致だろう。採択権は教育委員会にあり、教育委員会と教員推薦では構成員が違うのだから。