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 さあ、如何であろうか。
 
 先ずは野田新首相の所信表明演説から行こうか。と言っても誉められる点は逆仲人口調よろしく先述してしまったので、非難すべき点しか残っていないが。
 
野4>  原子力発電について、「脱原発」と「推進」という二項対立で捉えるのは不毛です。
野5> 中長期的には、原発への依存度を可能な限り引き下げていく、という方向性を目指すべきです。
 
 と、「中長期的」と限定詞着きとは言え「原発への依存度を可能な限り引き下げ」と言うのだから、私に言わせれば「脱原発を自己目的化している。」と評せざるを得ないし、此の節を〆る次のパラグラフにも、あれこれ言いたくなる。
 
野6>   人類の歴史は、新しいエネルギー開発に向けた挑戦の歴史でもあります。
野7> 化石燃料に乏しいわが国は、世界に率先して、新たなエネルギー社会を築いていかなければなりません。
野8> わが国の誇る高い技術力をいかし、規制改革や普及促進策を組み合わせ、
野9> 省エネルギーや再生可能エネルギーの最先端のモデルを世界に発信します。
 
 上記野6>~野7>には、私も同意できるだがその目指すところが上記野9>「省エネルギーや再生可能エネルギーの最先端のモデル」とあっては、そう簡単には肯けない。「私の自然エネルギー推進論」でも論じたとおり「再生可能エネルギー」は基本的に不安定かつ制御できない電力源に過ぎず、それに多くを頼るためには大容量蓄電技術の開発と普及が不可欠であるし、其処に至る長い道のりは制御可能な安定発電源である火力・原子力の拡大が必須である。尤も、非常に好意的に解釈するならば、上記野5>は「原発への依存度を可能な限り引き下げ」と言っているのだから「必要な範囲での原発増設」は容認しているとも解釈はしうる。
 
 そんな「私の好意的解釈」を東京新聞社説氏も取ったのだろうか。上掲した東京新聞社説は、当該野田新首相所信表明演説に噛み付いている。
 
東1>  野田首相も引き継いだはずだが「脱原発」と「推進」という二項対立でとらえるのは不毛と言い切った。
東2>  首相は中庸を理念に掲げているが、
東3> 脱原発なのか、推進なのか、その判断を覆い隠す玉虫色に映る。
東4> 首相のいう中庸とは、激論しても歩み寄りを図りながら対立を収めるという意味ではないのか。
 
と、上記東1>で野田新首相の脱原発対推進二項対立不毛論を批判し、東2>~東3>で野田新首相の掲げる「中庸」を脱原発とも推進とも旗幟を鮮明にしない「玉虫色ではないか」と糾弾する。要は「脱原発とハッキリ言え」と迫っている。社説表題にある通りだ。
 
 そうなると、当然ながら「中庸」の意味するところも普通では居られない。何しろ上記東3>の通り「玉虫色であってはならない」のだから。
 
東5>  エネルギー政策の立案は国民や経済界などが一体となった論議から逃げては、
東6> 中庸は看板にすぎなくなる。
東7> 野田首相は節電の総括などを基に、脱原発への道筋を語るべきだ
 
 前章でも突っ込んだところだが、上記東6>で「中庸を看板に終らせるな」即ち「中庸をしっかり実践しろ」と言うのと上記東7>「脱原発の道を語れ」即ち「脱原発を訴えよ」と言うのは、脱原発と(原発)推進を対立する主張と考える限り矛盾する。その対立を「不毛と言い切った」のは野田新首相だが、それを上記東1>で「言い切った」と、上記東2>で「玉虫色」と、非難し、言い換えれば「脱原発と(原発)推進の対立を先鋭化」させた当の東京新聞社説が、その社説の中で「中庸」を唱えつつその対立の片方である「脱原発」を主張しろと、それも相前後して言い切ってしまえるのは何故か。
 
 わたしの想像力及ぶ限りでは、以下のケースしか考えられない。
 
 ケース1: 東京新聞社説には、矛盾なく主張を唱えるだけの論理的思考力・記述力がない。
 
 ケース2: 東京新聞にとって脱原発は絶対善であり、(原発)推進との対立はそもそも存在しない。
 
 ケース3: 東京新聞は「中庸」の意味を知らない。
 
 ケース4: 東京新聞の言う「中庸」は都合の良い時だけ利用する「方便」=嘘 である。
 
 一番可能性が高そうなのは、以前からの社説からして上記ケース2だと思うが、ケース1の可能性も捨て難い。
 
 が、どのケースにしても、新聞社説のあるべき状態とは程遠く、むしろ、恥ずべき状態だと思うが
 
 如何に、東京新聞社説。
 

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