応援いただけるならば、クリックを⇒ https://www.blogmura.com/
最近はトンとサボっている「社説比較」シリーズであるが、その「社説比較」シリーズ開始以来変わらぬ当ブログの主張は、「日本の新聞社説を比べるならば、産経と朝日を比べるのが手っ取り早い。」である。これ即ち新聞比較サイトとして高名な「新’s(あらたにす) http://allatanys.jp/A003/index.html 」が提供する朝日/日経/読売の比較では不十分・不満と言う事だ。
その「大抵は好対照を成す(*1)」産経と朝日の社説が、準天頂航法衛星「みちびき」による日本版GPS(朝日)/日の丸GPS(産経)を巡って、やっぱり好対照な社説を掲げている。
「みちびき」については以前にも記事にしたところ(*2)であるが、先ずは虚心坦懐、朝日と産経の社説をご一読願おうか。
その「大抵は好対照を成す(*1)」産経と朝日の社説が、準天頂航法衛星「みちびき」による日本版GPS(朝日)/日の丸GPS(産経)を巡って、やっぱり好対照な社説を掲げている。
「みちびき」については以前にも記事にしたところ(*2)であるが、先ずは虚心坦懐、朝日と産経の社説をご一読願おうか。
<注釈>
(*1) 而して、多くの場合私は産経の方を支持し、朝日の方を批判する(*2) 準天頂衛星「みちびき」打ち上げ成功を祝し、その価値を考える http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/33627802.html
転載開始=========================================
朝日社説
日本版GPS―巨額の投資に見合うか
http://www.asahi.com/paper/editorial20110907.html?ref=any#Edit2
カーナビなどですっかりおなじみの米国の全地球測位システム(GPS)のような、地上の位置を知るための測位衛星システムを自前で持つかどうか。日本の宇宙開発の大きな課題として浮上している。野田首相は、民主党代表選の演説で直木賞を受賞した「下町ロケット」を取り上げるなど、フロンティアとしての宇宙開発に意欲を見せている。日本の将来と国民生活を見据えた方針を示してほしい。宇宙開発戦略を検討してきた政府の宇宙開発戦略本部の専門調査会は先月、このシステムを唯一の「最重要課題」とし、それ以外の多くの計画を見直す報告書をまとめた。自前のシステムがあれば、GPSを補い、精度が今の10メートルから1メートル以下に向上する。問題は約2300億円ともいわれる巨額の費用だ。それに見合う成果が得られるのか。さまざまな観測衛星から小惑星探査機はやぶさまで、広い宇宙開発の中で優先順位をどう位置づけるか。調査会では、報告書に異例の強い反対意見が出た。日本の衛星は準天頂衛星と呼ばれ、1日8時間日本の上空にくる軌道を回る。技術実証のため「みちびき」が昨秋、打ち上げられた。日本を24時間カバーして、米GPSの信号と合わせて高精度を得るにはあと2機、GPSに頼らずに自前で測位するには計7機が必要だ。文部科学省、国土交通省など関係府省の政務官級のチームでみちびきの検証成果を見ながら今後の進め方を検討するはずだったが、大震災もあって検討は止まったままだ。調査会はその評価結果もないままに、大震災を受けて新たに災害時の安否確認や避難誘導などの目的を打ち出した。事実上の偵察衛星である日本の情報収集衛星も、安全保障と並んで防災目的を掲げながら、大震災でどう役立ったかはっきりしない。防災を予算獲得のための名目にしてはならない。衛星による測位システムは米国に続き、欧州やロシア、中国も整備を進めるなど、国際的な関心は高い。しかし、欧州の計画は民間が撤退し、資金難から大幅に遅れるなど、決して容易ではないことも事実だ。日本でも、産業化の見通しが立たずに民間が抜け、政府内でも引き受け手がなくて難航した経緯がある。宇宙にかかわる人たちの内輪の論理だけでは「宇宙ムラ」になりかねない。調査会は非公開だったが、開かれた議論こそが重要だ。
産経【主張】
日の丸GPS 安全保障も視野に整備を
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110909/plc11090903020004-n1.htm
2011.9.9 03:02
日本の宇宙開発をどう進めるかについて、政府の宇宙開発戦略本部・専門調査会の方針がまとまった。「準天頂衛星システム」への取り組み強化を最重要課題として位置づけている。財政難に加えて東日本大震災の痛手からの復旧復興に巨費の投入を求められる現状での戦略的選択だ。実利実用路線への絞り込みである。ぜひとも日本経済再生のための産業競争力の強化などにつないでもらいたい。日本の準天頂衛星は現在、1基が活動中だ。昨年9月に打ち上げられた「みちびき」である。日本からオーストラリアの上空を、大きな8の字を描いて飛ぶ。1日のかなりの時間、日本の真上にいるので準天頂衛星と呼ばれる。この衛星からの電波は、カーナビでおなじみのGPS(衛星利用測位システム)と同じように地上の位置の特定に使える。電波の死角もないうえに精度も高い。準天頂衛星の数を増やせば本格運用に発展する。4基で24時間切れ目のない利用が可能になり、7基にすれば米国のGPSに頼ることなく、東アジアからオセアニアをカバーする「日の丸」測位システムが出来上がる。用途は広い。津波や地殻変動の精密測定から災害時の安否確認、避難誘導などに役立つ。無人車両の運転もセンチ単位で制御できるので放射能の除染にも有用だ。知恵を絞れば、新たな使い道が広がる。新たな市場創出の可能性を秘めている。自前の準天頂衛星システムの完備は、日本の安全保障上も極めて大きな意味を持つ。ロシアや欧州も衛星測位システムを保有している。中国版GPS「北斗」は、アジア太平洋地域での運用開始が近い。日本が大きく出遅れて、近隣地域での衛星測位利用が中国仕様に席巻されるようなことがあると産業競争でも不利になり、国の生殺与奪権を握られかねない。ただし、1700億円(4基)から2600億円(7基)と高額なので、惑星探査衛星などの宇宙科学分野の研究開発が圧迫されるのではないか心配だ。宇宙科学はすぐには実用に結びつかないが、長期的発展の生命線である。準天頂衛星システムは、米国が運用するGPSを補完し得るので日米協力関係の深化に資する。野田佳彦・新政権にとって初の建設的な対米案件でもある。
=================================転載完了
国家意識なくして国防なし
如何であろうか。
上掲の両紙社説に加えて、先行する当ブログの記事を読まれれば、私の言いたい事はほぼ尽きてしまうのであるが、重複覚悟で続けるとしよう。
産経も朝日も準天頂衛星「みちびき」を使った日の丸GPSの構築に多額の費用がかかることに懸念を表している。だが出発点は同じでも論旨の展開は全く異なっている。
上掲の両紙社説に加えて、先行する当ブログの記事を読まれれば、私の言いたい事はほぼ尽きてしまうのであるが、重複覚悟で続けるとしよう。
産経も朝日も準天頂衛星「みちびき」を使った日の丸GPSの構築に多額の費用がかかることに懸念を表している。だが出発点は同じでも論旨の展開は全く異なっている。
朝日はタイトルにもある通り「巨額の投資」に対する効果に疑問を呈し、「防災目的」は先達である偵察衛星の功績が見えないことを上げて大義に過ぎないのではないかと疑問視し、挙句は「原子力ムラ」になぞらえた「宇宙ムラ」と喩えて、イメージダウンを図るのに余念がない。
他方の産経は、用途の広さから「新たな使い道が広がる。新たな市場創出の可能性」と肯定的に喩え、さらには「日本の安全保障上も極めて大きな意味を持つ。」と断じる。ロシアや中国が進める自前のGPSを挙げ、特に「みちびきとカバーエリアが近い中国版GPS「北斗」に警鐘を鳴らす。
産1> 中国版GPS「北斗」は、アジア太平洋地域での運用開始が近い。
産2> 日本が大きく出遅れて、近隣地域での衛星測位利用が中国仕様に席巻されるようなことがあると
産3> 産業競争でも不利になり、国の生殺与奪権を握られかねない。
他方の産経は、用途の広さから「新たな使い道が広がる。新たな市場創出の可能性」と肯定的に喩え、さらには「日本の安全保障上も極めて大きな意味を持つ。」と断じる。ロシアや中国が進める自前のGPSを挙げ、特に「みちびきとカバーエリアが近い中国版GPS「北斗」に警鐘を鳴らす。
産1> 中国版GPS「北斗」は、アジア太平洋地域での運用開始が近い。
産2> 日本が大きく出遅れて、近隣地域での衛星測位利用が中国仕様に席巻されるようなことがあると
産3> 産業競争でも不利になり、国の生殺与奪権を握られかねない。
「国の殺傷与奪権を握られかねない」と言うのはかなりキツイ表現であるが、航空機・交通機関・一般車両から各種精密誘導兵器まで中国版GPS「北斗」に依存するような状態を想像すれば、あながち大げさとは言い難い。
左様、朝日と産経の社説で決定的に異なるのは、超精密航法衛星「みちびき」を、我が国の安全保障と結び付けて考えるか、否かである。当然ながら産経はこれを結び付けて考え、故に中国版GPS「北斗」に警鐘を鳴らす。他方朝日は、安全保障的な側面には全く言及せず、タダ「みちびき」の有用性を疑問視し、中国版GPS「北斗」の存在には、
朝1> 衛星による測位システムは米国に続き、欧州やロシア、中国も整備を進めるなど、国際的な関心は高い。
と、一言触れるのみである。警鐘もヘッタクレもあったものではない。
尤も朝日社説はその締めを、
朝2> 調査会は非公開だったが、開かれた議論こそが重要だ。
左様、朝日と産経の社説で決定的に異なるのは、超精密航法衛星「みちびき」を、我が国の安全保障と結び付けて考えるか、否かである。当然ながら産経はこれを結び付けて考え、故に中国版GPS「北斗」に警鐘を鳴らす。他方朝日は、安全保障的な側面には全く言及せず、タダ「みちびき」の有用性を疑問視し、中国版GPS「北斗」の存在には、
朝1> 衛星による測位システムは米国に続き、欧州やロシア、中国も整備を進めるなど、国際的な関心は高い。
と、一言触れるのみである。警鐘もヘッタクレもあったものではない。
尤も朝日社説はその締めを、
朝2> 調査会は非公開だったが、開かれた議論こそが重要だ。
として「開かれた議論」を求めるだけだから、しっかり逃げ道は用意してある。日の丸GPSの是非は「開かれた議論」に丸投げした形だから。
産4> 宇宙科学はすぐには実用に結びつかないが、長期的発展の生命線である。
産5> 準天頂衛星システムは、米国が運用するGPSを補完し得るので日米協力関係の深化に資する。
産6> 野田佳彦・新政権にとって初の建設的な対米案件でもある。
産4> 宇宙科学はすぐには実用に結びつかないが、長期的発展の生命線である。
産5> 準天頂衛星システムは、米国が運用するGPSを補完し得るので日米協力関係の深化に資する。
産6> 野田佳彦・新政権にとって初の建設的な対米案件でもある。
と、日米関係に結び付けて結論としている、産経社説との対比は余りに鮮やかだ。
もとより、私自身は先行記事にもした通り、我が国安全保障上の立場からも準天頂衛星「みちびき」による超精密衛星航法システム「日の丸GPS」を指示、もとい、支持しているから、当然ながら産経社説の肩を持ってしまうのだが・・・・
如何に、国民。
如何に、国民。
関連連記事
(1) 準天頂衛星「みちびき」打ち上げ成功を祝し、その価値を考える http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/33627802.html(2) 準天頂衛星「みちびき」による高精度測位補正技術 www.gsi.go.jp/common/000054541.pdf