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転載開始=========================================
2011年9月1日 16:00 (ロケットニュース24)
熱気球で宇宙旅行に行ける時代到来か !?
http://topics.jp.msn.com/wadai/rocketnews24/column.aspx?articleid=684541
「近い将来、民間人でも宇宙旅行に行ける!」なんてニュースをよく耳にするが、もしかして、熱気球で宇宙旅行に行けるかも!この熱気球で宇宙旅行ビジネスを計画しているのは、スペインのバルセロナにある会社。この会社側の説明によれば、直径約130mの熱気球で、高度35kmの高さまで上昇、この熱気球に乗船することで、誰でも宇宙が楽しめるようになるとのことだ。なんて夢のあるプロジェクトなのだろうか!この熱気球には、操縦士が2名、乗客4名が乗れるようになっており、2年後の2013年には高度35kmまで有人テストフライトする予定。気になるお値段は1人あたり9万ポンド、日本円にして、1100万円程度だが、2日間の訓練のみで問題ないということと、宇宙服などの着用はないということから、比較的、割安な料金設定なのかもしれない。果たして、民間人が気軽に宇宙に行ける時代はやってくるのだろか。参照:terminalu.com(英文)著作権はソシオコーポレーションに属します。
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「気球で宇宙旅行」は言語矛盾だ
如何であろうか。
一読するまでもなく、上掲記事のタイトルを見ただけで卑しくも理系の人間ならば章題のように気付かねばならない。気球や飛行船は「軽量航空機」と呼ばれるものであり、空気に対する浮力で以って浮いているのだから、大気圏外には出られる筈がない。事情は普通の飛行機やヘリコプターなどの「重量航空機」でも同様で、翼や回転翼が生み出す空気力で飛んでいるこれら重量航空機もまた、その飛行は大気圏内に限られる。
であるならば、
1> この会社側の説明によれば、
2> 直径約130mの熱気球で、高度35kmの高さまで上昇、
3> この熱気球に乗船することで、誰でも宇宙が楽しめるようになるとのことだ。
との報道に接したならば、以下の何れかであろうと推測しなければならない。
一読するまでもなく、上掲記事のタイトルを見ただけで卑しくも理系の人間ならば章題のように気付かねばならない。気球や飛行船は「軽量航空機」と呼ばれるものであり、空気に対する浮力で以って浮いているのだから、大気圏外には出られる筈がない。事情は普通の飛行機やヘリコプターなどの「重量航空機」でも同様で、翼や回転翼が生み出す空気力で飛んでいるこれら重量航空機もまた、その飛行は大気圏内に限られる。
であるならば、
1> この会社側の説明によれば、
2> 直径約130mの熱気球で、高度35kmの高さまで上昇、
3> この熱気球に乗船することで、誰でも宇宙が楽しめるようになるとのことだ。
との報道に接したならば、以下の何れかであろうと推測しなければならない。
(1) この機体は高度35km(この程度は充分大気圏内だ)まで気球で上昇し、然る後に別の「上昇力」で「宇宙」を目指す。無論、その「上昇力」は大気圏外でも有効でないといけないから、ロケット推進の可能性が高い。
(2) この「宇宙旅行」なるものが、「熱気球で高度35kmに達する」だけの旅行である。(*1)
気体の状態方程式は P・V = n ・R ・T P:圧力 V:容積 R:気体定数 T:絶対温度
上式を書き換えて、Rは定数であることから、気体の密度は右のように表される n/V = P/(R ・T) ∝ P/T
熱気球ならば、気嚢の下部が開放されていて、P:圧力 はその高度の大気圧。 V:気嚢の容積 で、大気を暖めてTを上げ、密度を下げることで浮力を得ている。
さて、直径で130mの球形の機能ならば、容積は115万立方メートルと、電卓を叩けば(人によっては暗算で)出て来る。結構な大きさだが、子の巨大な気嚢はアルキメデスの原理により同じ容積の空気分の浮力しか生まないことに留意されたい。高度35kmといわれてもピンと来ないが、国際標準大気で言うと成層圏界面の下のほう。その成層圏界面とその下の成層圏との境界が高度32kmで、此処での大気温度や大気圧は標準大気モデルとして決まった価がある。この価から上記の気体の状態方程式及び大気の平均分子量28.96より大気密度は計算で求められ、1立方メートル当たり約13グラムと知れる。この価から、直径130mの球形気嚢の最大浮力は約15tと知れる。
勿論先述の通り熱気球は大気を温めて、気嚢の中の空気の密度を下げて浮力にしているから、温度無限大にしないと上記の最大浮力は得られない。仮に半分の7.5tとするためでも、気嚢内の温度は絶対温度で2倍が必要で、高度32kmの大気温度―44.5℃=228.7°Kだから、気嚢内を228.7×2 = 457.4°K=184℃と、気嚢内の平均温度を天麩羅が出来そうな温度まで上げないといけない。
最大浮力の1/3、約5トンの浮力を得るには、温度を1.5倍にすれば良いから、気嚢内の平均温度は 228.7×1.5 = 343°K=64.9℃ トすれば良く、火傷はする温度だがこれ位なら達成できそうだ。
但し、この約5トンの浮力から、直径130mの気嚢自身と加熱装置、それに航法装置も最低限要るだろうし、エアコンか電熱服と酸素ボンベも必須(*2)だからこれらを差し引くと、人間様=操縦者と乗客に割り振れる重量は相当制限される。それでも
4> この熱気球には、操縦士が2名、乗客4名が乗れるようになっており、
5> 2年後の2013年には高度35kmまで有人テストフライトする予定。
と報じられているから、6人の人間様が乗られる訳で、とてもじゃないが上記(1)「別の上昇力で宇宙を目指す」事は出来そうにない。

リンクされている英文を当たると、正に然りで、「気球として上昇し、パラシュートとして降下する」シーケンスが描かれている。即ち、この「宇宙旅行」はあくまでも大気県内の話であり、以前記事にした観光宇宙船スペースシップ2の様な弾道飛しょう or 自由落下もないようだから、「無重力体験」もない。タダ、「高度35kmからの眺望を楽しむ」だけで、高度110kmに達するスペースシップ2に対しては大分見劣りがする。利点があるとしたら、飛行時間が長そうなことぐらい。英文の方を読むとnear spaceまで1時間で、その後3時間かけて飛行した後、パラシュートを開くというから、スペースシップ2の倍以上の飛行が楽しめる筈だ。
とは言え、
6> 気になるお値段は1人あたり9万ポンド、日本円にして、1100万円程度
と、これでも結構なお値段。先行記事にしたスペースシップ2が1600万円ならば、私なら500万円、ベンツ1台分高いとは言え、弾道飛しょうによる「無重力体験」もあるスペースシップ2の方を選びたいと思うが、如何なものだろうか。
とは言え、
6> 気になるお値段は1人あたり9万ポンド、日本円にして、1100万円程度
と、これでも結構なお値段。先行記事にしたスペースシップ2が1600万円ならば、私なら500万円、ベンツ1台分高いとは言え、弾道飛しょうによる「無重力体験」もあるスペースシップ2の方を選びたいと思うが、如何なものだろうか。
<注釈>
(*1) つまりタイトルにもしたとおり、「宇宙旅行」と銘打つのは誇大広告。(*2) 外気は―44.5℃もさることながら、1/100気圧を切るはず。
英文
Hot air balloon in space? The bloon aims to offer “near-space” travel from 2013
http://www.terminalu.com/travel-news/hot-air-balloon-in-space-the-bloon-aims-to-offer-near-space-travel-from-2013/14478/
Travel News | August 24th, 2011 5Email4
The 'bloon' craft takes one hour to rise to its highest altitude 22 miles above the ground, before cruising for three hours and returning back to Earth. Photos: inbloon.com
Sir Richard Branson’s commercial spaceline, Virgin Galactic requires rocket boosters to propel wealthy tourists into space.
But a Spanish Entrepreneur is hoping to take passengers as close to space as possible without all the sophisticated technology in a gigantic helium-powered balloon, 22 miles above the Earth.
The ‘bloon’ craft, which is due to offer its first “near-space” flight sometime between 2013 and 2015, has room for four passengers and two pilots in a pressurised window-filled capsule, which is attached to a 432-ft-diameter helium balloon.
The craft takes one hour to rise to “near space”, where it will cruise for three hours before a parachute is deployed to glide the bloon back down to Earth.The balloon ride? which has a rough price tag of £90,000 per person ? won’t rise high enough to allow travellers to experience weightlessness felt by astronauts in space, but will cruise in the upper atmosphere and offer views of the curvature of the Earth.
View from the unmanned scale prototype bloon test flight
According to the Spanish company behind the new venture ? Zero2infinity ? passengers will be taken to the “edge of the world” and “brought back gracefully with the safest and most proven technology.”
Its CEO, Jose Mariano Lopez-Urdiales said he was inspired by his astronaut father to pursue the venture.
A first human test flight of minibloon, a scaled down version of bloon, is expected in 2012, the company said.