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 流石は毎日ともなると全国紙だけあって沖縄二紙とはチョイとばかり格が違う。
 
 どう「格が違う」かは後ほど縷々述べるとして、先ずは毎日新聞の普天間基地移設問題を扱った社説、ご一読願おうか。
 
 おぉっと、忘れるところだった。毎日社説をご一読いただく前に、同じく普天間基地移設問題を扱った最近の沖縄二紙の社説を読んでいただければ幸甚だ。
 
(1) 思考停止は琉球新報―琉球新報社説「普天間と安保 「思考停止」から脱却を」を斬る!
(2) 沖縄タイムス社説「普天間基地固定化」を主張か?―「[普天間問題]官僚任せでは解決無理」に寄せて
 
転載開始=========================================

毎日社説:野田政権の課題 普天間問題 固定化回避へ正念場だ 

http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/archive/news/20110905ddm004070003000c.html
 沖縄の米軍普天間飛行場の移設問題は、菅政権の1年3カ月の間、何の進展もなかった。変化といえば、「2014年までの移設完了」を断念して期限を先延ばしにし、沖縄がこぞって反対する名護市辺野古への移設に向けて工法などを日米両政府で合意したことぐらいだ。
 野田佳彦首相は、菅直人前首相と同様、辺野古への移設を柱とする日米合意の履行と沖縄の負担軽減を強調する。しかし、具体策はなく、移設の展望は開けていない。
 菅政権時代と同じく前進のないまま時が過ぎ、「世界一危険な基地」普天間飛行場の継続使用(固定化)が現実となるのを強く危惧する。
 米側は「今後1年間での具体的な進展」を求めている。進展とは、辺野古に滑走路を建設するのに必要な仲井真弘多沖縄県知事の海面埋め立て許可を指しているのだろう。しかし、名護市長や市議会、さらに県議会がそろって県内移設に反対している現状では、知事が「県外移設」の主張を翻す可能性は極めて低い。
 一方、辺野古への移設が進まなければ、米議会が在沖縄海兵隊のグアム移転の関連予算を認めず、合意そのものが頓挫する可能性もある。
 こうした事態を踏まえて、政府内には、来年になっても進展がない場合、米政府が普天間の継続使用にカジを切るのではないか、との見方が出始めている。移設問題の原点である危険性除去の実現には、今後の半年、1年が正念場である。
 菅政権末期には、沖縄に対して、普天間の継続使用か辺野古への移設か、と二者択一を迫るような姿勢も見られた。しかし、こうした威圧的な態度では沖縄県民の反発を招き、問題をこじらせるだけだ。
 辺野古への移設実現は困難と見て、米議会内には沖縄の米空軍嘉手納基地への統合案があるほか、自公政権下で辺野古移設を推進してきた論者の中にも普天間の基地機能を県内外に移す案が浮上している。
 毎日新聞は、辺野古に移設するとした日米合意を見直すとともに、移設が実現するまでの間、普天間の機能を県内外に分散するなど、危険性除去の具体策を検討するよう求めてきた。
 また、米海兵隊が来年秋に予定している垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの普天間配備には、沖縄は安全性の問題や騒音などを理由に強く反対している。移設に関する沖縄との協議を円滑に進めるには、配備の再検討も必要だろう。
 野田政権には、沖縄との溝を埋められなかった前政権の手法から脱し、普天間問題打開のための現実的な策を打ち出してもらいたい。
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八方美人で人当たり良く

 如何であろうか。
 
 尤もな主張と思われたろうか。納得されたろうか。同意されたろうか。
 
 当該社説の主張は、末尾の数行ほどに集約されるだろう。
 
1>  毎日新聞は、
2> 辺野古に移設するとした日米合意を見直すとともに、
3> 移設が実現するまでの間、普天間の機能を県内外に分散するなど、危険性除去の具体策を検討するよう求めてきた。
4>  また、米海兵隊が来年秋に予定している垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの普天間配備には、
5> 沖縄は安全性の問題や騒音などを理由に強く反対している。
6> 移設に関する沖縄との協議を円滑に進めるには、配備の再検討も必要だろう。
7>  野田政権には、沖縄との溝を埋められなかった前政権の手法から脱し、
8> 普天間問題打開のための現実的な策を打ち出してもらいたい。
 
 もっと要約するならば、以下の項目となろう。
 
 ① 辺野古移設=日米合意の見直し

 ② 危険性除去の具体策検討

 ③ MV-22オスプレイ配備の再検討

 ④ 野田新政権に「打開のための現実的な策」を求める
 
 実に尤もらしい項目が並んでいるではないか。章題にもした通りであるし、「流石は全国紙、沖縄二紙とは格が違う」と先に持ち上げて見せた通りだ。
 
 だが、その中身はと言うと、沖縄二紙と良い勝負。せいぜい朝日級だ。
 
 何しろ上記1>~2>(①)からして噴飯ものだ。現行の日米合意=辺野古移設を「オバマ大統領は前提にしている」と知りつつ日米首脳会談で「Trust Me!」と大見得を切り、その翌日に「私は前提にしていない。」と前々首相のルーピー鳩山が放言して見せたのが、私が普天間基地移設問題を追いかけ始めた切っ掛けであるから、「現行日米合意の見直し」が何を意味するかはよーく判っている。その見直した結果が鳩山の迷走と退陣であり、だからこそ続く菅直人は「触らぬ神にたたりなし」で触れなかったのだろうと想像する。野田新首相は鳩山や菅よりはマシであって欲しい。せめてゾンビではなく人間で、なろうことなら日本人であって欲しいとは私も期待するところ(*1)だが、「辺野古でなければ普天間継続使用=固定化」以外の解が出てくるとは全く期待できない。それは余りにも希望的観測が過ぎよう。無論私の期待する「解」は、散々記事にしている通り「日本の安全保障を最優先し、これに抵触しない解」であるから、仲井間知事の動向や沖縄県民の総意なんぞよりも厳しくかつ重大な制限がついているのだが。
 
 上記1>~2>(①が噴飯物ならば、上記3>(②)何ぞ吹き飛んでしまう。第一、毎日社説が例に挙げる「普天間の機能を県内外に分散」と言うのは、鳩山が抱く秘策と週刊誌に報じられ、結局秘策どころか民主党案にすらならなかった案ではないか。それを言うならば、まともに「民主党案」と呼べるものは、鳩山政権時代遂に出現しなかったのであるが。
 
 上記4>~6>(③)はもっと酷い。「沖縄の心情を和らげるためにMV-22の配備を止めろ」である。沖縄(の一部)がMV-22配備を問題視するのは、裏があってのことに違いないと私は踏んでいる(*2)が、同じ裏が毎日新聞にもあると考えると得心が行く。要は、MV-22と言う新機体が配備されると都合が悪い(*3)のであろう。
 
 上記7>で前首相たる菅の無策ぶりを非難し、上記8>(④)では野田新政権への期待を表明する。だが、「打開のための現実的な策」を求めながら、当該社説で触れているのは上記の「MV-22配備(中止)」と「県内外への機能分散による危険性低下」のみ。後者が如何に虚しいかは前述の通りだから、野田新首相にほぼ丸投げだ。
 
 詰まるところ、毎日新聞社説は野田新首相に、鳩山級の混乱を惹起する事を、期待しているのである。それも斯様な尤もらしい語り口で。
 
 「ケンガイダァァァァア」で思考停止している琉球新報や、「辺野古ノー」一辺倒の沖縄タイムスよりとは、「格が違う」だろう。
 

<注釈>

(*1) でも民主党員だからな・・・「民主党保守派」と言う説もあるが、「保守派」よりも「民主党」の方が支配的な気がして仕方がない。
 
(*2) 騒音は、ヘリの離着陸より小さいというデータがある。少なくとも速度は出るのだから、基地から離れる/基地へ近づく時間は短縮できるから、騒音は減る。
 安全性で言うならば、一番危険なのはMV-22に乗り組んでいる米海兵隊員であるが、この点は全く無視されている。
 
(*3) ヘリよりも、航続距離でも速度でも優れるMV-22が配備されては都合の悪い国で、毎日や沖縄二紙の裏に潜みそうな国。心当たりがあろう。