応援いただけるならば、クリックを⇒ https://www.blogmura.com/
 
 与那国島に陸上自衛隊部隊が配備されると言う報道を、私は朗報として聞いた。配備される部隊は余りに小規模であるが、我が国の意思表示にはなるし、民主党政権には数少ない、と言うより指折り数えて五指に余るほどの「外交的成果」の一つだ。
 
 だが、琉球新報と沖縄タイムス、「沖縄二紙」はそうは考えないらしい。考えないらしいが・・・まあ、ご一読願おうか。

転載開始===================================================

琉球新報社説 与那国陸自駐屯 民意無視は許されない

  http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-180753-storytopic-11.html
2011年8月22日     
 防衛省が陸上自衛隊の駐屯地建設のため与那国町有地を取得する方針という。賛否が二分する中で取得するのはあまりに強引と言うほかない。拙速に過ぎる。
 昨年決まった新防衛大綱、中期防衛力整備計画で防衛省は島しょ防衛強化をうたい、5年以内に与那国、宮古、石垣へ陸自の部隊を配備すると打ち出した。
 町有地取得の方針もその一環だ。配備先は島の西端に近い「南牧場」で、約125ヘクタールの牧場のうち15~20ヘクタールを駐屯地とし、4年以内に隊舎やヘリポートを整備する計画という。
 大綱策定の前年に与那国町の町長、町議会議長が連名で配備を要望したことが伏線になった。むしろ、大綱に盛り込むために町に要望を促した勢力があったと見るべきだろう。政治的意図を感じる。
 その与那国で、自衛隊誘致賛成の署名数は514人だが、反対の署名は535人に上っている。町が7月に開いた住民説明会でも反対の意見が相次いだ。その説明会には防衛省職員も出席した。反対の強さを同省が知らないことはあり得ない。
 今回の計画で、牧場の土地の大半が町有地である点に防衛省が目を付けたであろうことは想像に難くない。町長が推進派だから、反対があったにしても用地取得が可能と踏んだのだろう。
 そこには、拙速に物事を進めると将来に禍根を残すという謙虚な思慮が見当たらない。まして、駐屯の是非を民意に委ねようという姿勢はみじんもない。むしろ、造ってしまえばもう撤去はできまいという計算すら見え隠れする。
 島しょ防衛強化は、軍事費膨張に頭を悩ます米国が日本に肩代わりを求めたのが発端だ。そこで防衛省は中国脅威論をあおり、配備の環境を整えようとしている。
 町の自衛隊誘致は「島の活性化」が目的だが、陸海空の自衛隊基地がある対馬(長崎)は1960年に約7万人だった人口が今では約3万5千人に減った。全国を見ても、自衛隊に頼って実現した活性化など存在しない。台湾との交流を通じた与那国独自の活性化策も水の泡となる。
 今からでも遅くない。町は要望を撤回すべきだ。少なくとも、沖縄の歴史に照らしてみた駐屯の帰結、将来への影響、活性化の根拠などについて議論を尽くし、住民投票に諮ってほしい。防衛省はそれまで作業を中断すべきだ。
 

沖縄タイムス社説  [与那国に自衛隊]争いの海にしてならぬ

 2011年8月22日 09時42分
 
 海洋権益拡大のために活動を活発化させている中国をにらみ防衛体制を南西シフトさせる国と、自衛隊誘致で地域振興を図りたいという与那国町長の思惑は一致しているのだろうか。国境の島の住民を対立させたままで本当に地域振興につながるのかどうか。
 防衛省は与那国島に、陸上自衛隊の沿岸監視部隊の駐屯地を建設するため、土地購入費や建設費を来年度予算の概算要求に盛り込む方針を固めたという。
 南西地域の島しょ部に沿岸監視部隊を配置するのは、昨年12月に閣議決定された新たな「防衛計画の大綱」に盛り込まれ、調査を進めていた。
 レーダーなどを使い、沿岸を航行する船舶の情報を収集するのが狙いだ。
 駐屯地は島の南西部にある牧場を想定し、大半が町有地という。外間守吉町長は歓迎の意向だが、住民の意見は真っ二つに割れている。
 7月に町が防衛省幹部を招いて開いた説明会では、反対派から合意が得られていない段階での開催に、外間町長を激しく批判する声が出た。賛成、反対両派が署名活動を展開し、反対派は住民投票も視野に入れている。
 防衛省は昨年の中国漁船衝突事件など尖閣諸島や関係諸国と南シナ海の領有権争いをとらえ、2011年版防衛白書で中国を「高圧的」と表現した。中国は名実ともに「大国」になった。ウクライナから購入し、改修した空母「ワリャク」は今月半ば試験航行を終えた。関係諸国から「脅威論」が出ていることを忘れてはならない。周辺海域を「争いの海」にしないためにも、中国は緊張感を高めるような行動はやめるべきである。
 一方で枝野幸男官房長官は今月の衆院沖縄北方特別委で尖閣諸島について「他国が侵略してきたら、あらゆる犠牲を払ってでも自衛権を行使し、排除する」と言明した。
 国は今後、石垣、宮古島市にも自衛隊を配備する計画であり、枝野氏の前のめりの姿勢には危うさを感じざるを得ない。武力衝突に至る事態を回避するのが外交交渉の要である。枝野氏は外交を放棄するといっているに等しい。
 与那国町は、歴史的につながりの深い台湾・花蓮市と姉妹都市を結んでいる。
 子どもたちの修学旅行やホームステイを通じて国境を越えたユニークな交流を進めているが、自衛隊が駐屯することになれば、中国だけでなく台湾にも無用な警戒心を与えることになるのではないか。
 終戦直後の台湾貿易で栄えたころが人口のピークで1万2000人余。現在は1600人余に落ち込んでいる。
 一定数の自衛隊と家族が駐屯すれば選挙など町政の重要事案のキャスチングボートを握りかねない。自衛隊の意向が反映される島になる恐れがあることを指摘したい。
 外間町長は施政方針で人口減少を止めるには雇用の創出が欠かせないとして10年で100人を雇用するプロジェクトを掲げる。ただ自衛隊と雇用との関連は明らかでない。自衛隊をめぐり地域コミュニティーが分断されては地域振興も何もないのではないか。
===============================================================転載完了

民意は作る。人権は無視する。

 さて如何であろうか。
 
 「沖縄二紙」と言う時点でほぼ自明ではあろうが、何れの社説も自衛隊の与那国配備に反対している。だが、反対している理由が実に全く凄まじい。まあ、それだけ無理矢理の、「反対のための反対」である証拠だろう。
 
 琉球新報はタイトルに「民意無視は許されない」として以下のように報じる。
 
琉1>  その与那国で、自衛隊誘致賛成の署名数は514人だが、
琉2> 反対の署名は535人に上っている。
琉3> 町が7月に開いた住民説明会でも反対の意見が相次いだ。
琉4> その説明会には防衛省職員も出席した。反対の強さを同省が知らないことはあり得ない
 どうやら上記琉1>~琉4>が琉球新報言うところの「民意」らしいから噴飯物だ。
 先ず上記琉1>~琉2>はつまるところ「与那国での自衛隊誘致署名結果は、賛成514人 反対535人であった。」である。この結果を「反対派が過半数」と言う事もソリャ出来ない事はないだろうが、賛否両方500人余の署名で差は21人、約4%にしか過ぎない。普通は「賛否相半ば」と言うべきところであり、逆に言えば「約半数が賛成」と言うべきだ。
 上記署名数とは異なり上記琉3>の言うところでは「住民説明会でも反対の意見が相次いだ。」となっているが・・・上記琉1>~琉2>の署名結果からすると、これは反対派の声が大きかったか、反対派が数を集めたか、琉球新報が反対派の声を大きく取り上げているかのいずれかである公算大である。

 であるならば、上記琉4>の防衛省批判は的外れも良いところだ。「半数近くが賛成」であるような状況で、普天間基地の移設先は(移設するなら)辺野古しかないと考える(*1)防衛省が、「反対の強さ」を知って与那国配備中断を決意するなぞ、ありえよう筈がないし、それはとてもじゃないが琉球新報社説がタイトルにする「民意無視」等とは評し得ない。
 
 であるから、琉球新報社説の結論は実に虚しく響く。
 
琉5>  今からでも遅くない。町は要望を撤回すべきだ。
琉6> 少なくとも、沖縄の歴史に照らしてみた駐屯の帰結、将来への影響、活性化の根拠などについて議論を尽くし、
琉7> 住民投票に諮ってほしい。防衛省はそれまで作業を中断すべきだ。
 
 先ず注目すべきは上記琉5>だろう。何しろ当該社説で
 
琉8> 与那国町の町長、町議会議長が連名で配備を要望したことが伏線になった。
 
と述べている通り、「伏線」も何も与那国町は自衛隊の駐屯を要望しているのである。
 この正式の要望を受け入れるのと、僅差の署名結果や怪しげな住民説明での反対に則るのと、どちらが民意重視であるか、冷静に考えれば異論の余地はない。
 
 沖縄タイムスの方は、もっと酷い。
 
 社説半ば辺りに
 
沖1> 周辺海域を「争いの海」にしないためにも、中国は緊張感を高めるような行動はやめるべきである。
 
と、一応中国様をたしなめる一文が申し訳程度にあるものの、官房長官たる枝野の「他国が侵略してきたら、あらゆる犠牲を払ってでも自衛権を行使し、排除する」と言う発言を引用して、
 
沖2> 枝野氏の前のめりの姿勢には危うさを感じざるを得ない。
沖3> 武力衝突に至る事態を回避するのが外交交渉の要である。
沖4> 枝野氏は外交を放棄するといっているに等しい。
 
と来たもんだ。
 先ず枝野氏の発言は民主党には珍しいくらいにまともで常識的な発言だ。上記沖2>の言う「前のめり」もヘッタクレもありはしない。
 上記沖3>~沖4>は社民党級の理屈だ。逆に沖縄タイムスは「外交さえすればよいのだから武力=軍事力は要らない」と主張している。「この世の国際的紛争は全て外交で解決されるのならば、軍隊は要らない。」と言っているのと同義語である。第一、枝野発言は「侵略してきたら」開戦以降の話だ。侵略軍相手に、一体どんな外交を尽くす心算か。
 軍事力も外交力も国益追求の手段であるとか、軍事力の裏打ちが外交力(*2)となるとか言う発想が全くない。
 そんな発想がないのは沖縄タイムスが仙谷流「21世紀外交」を理解しているため、かも知れない。が、実効実績が無ければ21世紀外交も30世紀外交も何もない。実際、仙谷自慢の「21世紀外交(*3)」の実績はと言えば「シンガポールに誉められた」ぐらいではないか
 
 挙句の果てに沖縄タイムスの曰く、
 
沖5>  一定数の自衛隊と家族が駐屯すれば選挙など町政の重要事案のキャスチングボートを握りかねない。
沖6> 自衛隊の意向が反映される島になる恐れがあることを指摘したい。
 
 これを、職業差別と言わずして、なんと言おうか。
 
 自衛隊員も、その家族も、日本国民であるというのに、選挙を通じて日本国民としての民意を表明する事さえ、沖縄タイムスは危惧して見せるのである。
 
 沖縄二紙に、警戒せよ!
 

<注釈>

(*1) 付け加えるまでもないかも知れないが、私もまた、そう考えている。辺野古へ移設しないのならば、普天間継続使用でしかない。 
 
(*2) 典型的なのは砲艦外交であろう。中国が空母を以って行なうであろう恫喝外交もまた然り。
 
(*3) このネーミング自体は私がしたもので、仙谷が主張したものではない。