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中国空母は中国高速鉄道を越えるか?
一応時系列に並べた産経WEBの中国空母報道、如何であろうか。
最初の記事は元ソ連空母を改装した中国空母が、如何に外国技術或いはそのパクリ(※1)であるかを報じ、2番目の記事ではどう考えても艦体はロシア製で、1番目記事が指摘するとおりパクリだらけでも「中国初の空母」であるから、国威の発揚として中国国内( の一部?)では大いに盛り上がっていると報じる。で、返す刀の3番目記事では「真の脅威は「ワリャーグ」ではなく、その次に出て来る中国(オリジナル)空母」として、少々怪しげな分析を交え、日米同盟の重要性を訴える。
何しろ米海軍は押しも押されもせぬ原子力空母を10隻ほども擁している世界一の海軍だ。我が国としては世界一の海軍国との同盟が重大なのは衆目の一致するところであろうが(※2)、それにしてもこの解析は、怪しげなだ。
1> 中国空母のスキージャンプ台方式の欠点を突くことも重要となる。
2>この形状の空母はE2Cのような早期警戒機を艦載できず、
3>遠洋での上空監視能力が低下するからだ。
上記引用の産経報道では、事実の半分ほどしか伝わらないだろう。上記1>の通り、スキージャンプは米海軍専売特許の蒸気カタパルトに対して航空機運用上に制限があり、ハリアーのようなV/STOL機のSTOL(短距離離発艦)運用や、CTOL(通常離発艦)機でも戦闘機や攻撃機程度の離発艦には使えるが、米海軍御用達のターボプロップ双発艦載早期警戒機E-2Cの運用は出来そうにない。つまり、甲板長にもよるが、航空機自体の加速性能がないと運用できないのがスキージャンプだ(※3)。
しかし、米海軍の早期警戒機がターボプロップ機なのは、その方が滞空時間等で有利だからだろう。早期警戒機はヘリコプターにもあるから、中国としてはそんな機体を買ってくるなり、パクるなりすれば、能力的に制限がある(※4)とは言え、「早期警戒機」を入手できる。「現状は早期警戒機を配備していない。」と言うだけだ。本質的な弱点とは言えない。
4> 空母を中国沿岸部に封じ込める上でカギを握るのは潜水艦となる。
5>海自は現行の16隻から20隻台に増強する方針だが、
6>いかに日米の潜水艦作戦能力を向上させるかがカギとなる。
此方の報道の方が余程本質的だ。さらに捕捉するならば、我が潜水艦隊の装備するHarpoon対艦ミサイルと、その発射諸元を如何に潜水艦に伝えるか、が鍵になる。「対中国空母の鍵」になるのが、米国製ミサイルHarpoonであるというのが少々業腹だが、潜水艦発射対艦ミサイルは我が国ににはそれしかないし、世界的にもそうやたらにはない(※5)のだから仕方がない。
本邦誘導弾事情 http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/35103136.html
しかし、米海軍の早期警戒機がターボプロップ機なのは、その方が滞空時間等で有利だからだろう。早期警戒機はヘリコプターにもあるから、中国としてはそんな機体を買ってくるなり、パクるなりすれば、能力的に制限がある(※4)とは言え、「早期警戒機」を入手できる。「現状は早期警戒機を配備していない。」と言うだけだ。本質的な弱点とは言えない。
4> 空母を中国沿岸部に封じ込める上でカギを握るのは潜水艦となる。
5>海自は現行の16隻から20隻台に増強する方針だが、
6>いかに日米の潜水艦作戦能力を向上させるかがカギとなる。
此方の報道の方が余程本質的だ。さらに捕捉するならば、我が潜水艦隊の装備するHarpoon対艦ミサイルと、その発射諸元を如何に潜水艦に伝えるか、が鍵になる。「対中国空母の鍵」になるのが、米国製ミサイルHarpoonであるというのが少々業腹だが、潜水艦発射対艦ミサイルは我が国ににはそれしかないし、世界的にもそうやたらにはない(※5)のだから仕方がない。
本邦誘導弾事情 http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/35103136.html
無論潜水艦が装備する兵器の中で最も威力が大きいのは、昔も今も長魚雷Heavy Torpedoなのであるが、軍艦の中でも特に厳重に防護される(筈の)空母を潜水艦を魚雷の射程内に捉えるというのは、僥倖と考えるべきだろうから、そうなる事を期待すべきではない。(※6)
1番目の記事にあるとおり、中国高速鉄道と同様に外国技術「導入」による空母「ワリャーグ」であるが、記事にもあるとおり此方は「国産技術」を喧伝しては居ないようだ。それはつまり中国が、当面空母を輸出するつもりはない、と言うことであろう。
さはさりながら・・・
今回の「ワリャーグ」試験航海が中国海軍史或いは中国建艦史上(※7)の一大イベントであるのは確かだろう。さらに続く中国国産空母建艦計画に注目すべきなのも確かだし、我が国に現民主党政権には全く期待できないほどの冷静な対処と賢明な対策(※8)が必要になろう。
なればこそ・・・・
1番目の記事にあるとおり、中国高速鉄道と同様に外国技術「導入」による空母「ワリャーグ」であるが、記事にもあるとおり此方は「国産技術」を喧伝しては居ないようだ。それはつまり中国が、当面空母を輸出するつもりはない、と言うことであろう。
さはさりながら・・・
今回の「ワリャーグ」試験航海が中国海軍史或いは中国建艦史上(※7)の一大イベントであるのは確かだろう。さらに続く中国国産空母建艦計画に注目すべきなのも確かだし、我が国に現民主党政権には全く期待できないほどの冷静な対処と賢明な対策(※8)が必要になろう。
なればこそ・・・・
国民には相応の関心、報道機関には正確かつ適切な情報を求めたいところなのであるが、残念ながらどちらも期待薄だな。
<注釈>
(※1) ライセンス生産している訳ではないのだから、海賊版、パクリ、偽ブランドである。まあ、戦争というモノはブランドでするモノではないが、「外国のブランド兵器に似ている」と言うのは、ある程度ハッタリになるだろう。(※2) いや、まあ、「憲法9条が最大の抑止力」とか「沖縄の米海兵隊が抑止力とは知らなかった」とか、政府閣僚が公言してしまうようでは、その「衆目」も仲々一致しないが。(※3) 或いは、艦速がウンと速くても良いはずだが。(※4) 進出速度、滞空時間、悪天候に対する耐性などで、ヘリコプターは不利だろう。レーダーアンテナ経も、小さくなりそうだな。(※5) 米国のTomahawkは基本的に対地だし、フランスのExocetはBlock3でないと射程が短くて適わないし、第一、ジェット化したBlock3って、潜水艦発射できたっけ?ロシア製や中国製の潜水艦発射対艦ミサイル搭載なんてのも非現実的だしな。(※6) もしそうなったら・・・一説には「戦艦大和を沈めただけの威力があると計算される炸薬量」と言う長魚雷ならば、「ワリャーグ」どころか中国国産空母だろうと、イチコロだろう。(※7) と言っても・・・「中国一万年の歴史」と豪語しつつ、近代軍艦の建艦史という意味では、我が国の半分ほど歴史でしかないのだが。(※8) 新たな防衛計画の大綱で、自衛隊三軍を通じて殆ど唯一増強される潜水艦隊というのは、この策自体は民主党らしからぬほど正解なのだが。その実践となると・・・・