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 言うまでもないだろうが、私の持つ毎日新聞に対するイメージは悪い。それを言うならば日本の新聞・テレビ・マスコミ一般に対するイメージは随分前に地に堕ち果てて居るのだが、毎日について言うならば、数年前にオッペケペーな外人記者を使ってポルノまがいの我が国に関するエロ記事を英文発信( つまり、「外電」と言う事になる・・・ご大層な事に)しまくっていた事が判明し、なおかつこの件でロクに責任を取る者が居なかった事がCritical Hitとなっており、当ブログ記事「社説を斬る!」シリーズや「社説比較」シリーズでは真っ先に槍玉に挙げるのは大概 朝日・琉球新報・沖縄タイムスの三アカ新聞ではあるが、毎日は「発行部数が多いだけの大手紙」として、殆どスルー扱いにしている。
 
 が、そんな毎日が「原発から再生エネルギーへ」と銘打って、一連の社説を掲げるとなれば、福島原発事故を経てなお原発推進論者を以って任じる私としては、看過もなるまい。
 
私の原発推進論  http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/35630668.html
 
 先ずは例によって毎日社説、ご一読願おうか。
転載開始=======================================================

毎日社説:再生可能エネルギー 原発代替は十分可能だ 

 http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/archive/news/20110803ddm005070136000c.html
 原発依存からの脱却は短時日ではできない。政府は「短期」「中期」「長期」に分けて考えるという。基本的に賛成だ。現実的なロードマップを描くには時間軸の設定が不可欠である。
 短期的には天然ガスによるガス火力発電にシフトするほかない。火力発電所の建設には用地選定まで含めれば通常10年ぐらいかかる。直ちに着手すべきだ。
 天然ガスをめぐる状況は一変している。米国で頁岩(けつがん)中のシェールガスを採取する方法が確立し生産量が急拡大した。中国を含め世界中で開発が進んでおり、国際エネルギー機関(IEA)は2030年までに、世界のガス消費量は50%増加するという。「天然ガスの時代」だ。
 ◇当面はガス火力で
 脱原発に踏み切ったドイツもガス火力で穴埋めする。しかし、需要の拡大で価格の上昇は必至だ。ガスの購入契約の保全だけでなく、ガス田採掘の権益拡大に努めるべきだ。国家的支援を強化する必要がある。
 石炭火力発電は化石燃料の中で二酸化炭素の排出量が最も多いが、コストが安く世界各地から安定的に調達できる。我が国の電力の約25%を占める。電力の安定供給のため、石炭火力も維持していく必要があるだろう。ドイツは41%が石炭火力。日本よりずっとその比率が高い。
 再生可能エネルギーによる発電量が増加するまで、火力発電で原発の穴を埋めていくほかないということである。ただ、これにはふたつ問題がある。コスト上昇と温室効果ガスの排出量の増加だ。
 日本エネルギー経済研究所の試算では来年度、全原発が停止すると、燃料輸入費は年間3兆4730億円増加し1世帯当たりの月額電気使用料は1049円、産業用電気料金は36%上昇する、という。
 産業界は電力不足が恒常化し電気料金が上昇すれば、海外への生産拠点の移転が増え産業の空洞化が進むという。電力多消費型経済から21世紀型省エネ経済に転換する好機という見方も可能だが、失業の急増など経済の激変は避けたい。
 そもそも、空洞化問題はエネルギーコストだけでなく円高の進行や生産インフラの不備、高度教育を受けた人材の不足、さらに高い法人税、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)への参加を決められない政府の指導力不足など、複雑な要因がからんでいる。政府はビジネス支援の旗幟(きし)を鮮明にし、きめ細かく手を尽くさなければならない。
 原発依存度が低下すれば、温室効果ガスを90年比25%削減するという政府目標の達成は難しい。目標を見直すべきだ。「ポスト京都」では途上国に温室効果ガスを低減する機器を輸出すれば、それが日本の温室効果ガス削減にカウントされるような新たなメカニズムが必要不可欠だ。外国から税金で余剰排出枠を買い、つじつま合わせする京都方式の単純延長だけは避けなければならない。
 「中・長期」では再生可能エネルギーの開発・普及である。ドイツの脱原発政策は再生可能エネルギー分野の覇者を目指す戦略とセットだ。日本の環境技術はドイツにひけをとらない。日本こそ「環境エネルギー革命」の勝者になる潜在力がある。
 環境省の試算では、国土をめいっぱい利用すれば2030年、再生可能エネルギーによる発電が年間約3300億キロワット時も可能だという。現在の全発電量の約3割、原発の従来の発電シェアに相当する。理論的には再生可能エネルギーで原発の代替が十分可能なわけだ。達成は容易でないが努力目標にしたい。
 その中で日本では太陽光発電が先行してきた。かつては世界一の発電量だったこともある。太陽光パネルで発電し電気自動車の蓄電池に蓄えるなど、さまざまな試みがなされている。発電コストの高さが難点だが普及とともに低下するだろう。
 ◇何よりも省エネを
 風力発電はコストが安く世界的には自然エネルギーの主力だが、日本は世界12位。騒音など課題も多いが東北地方を筆頭に潜在力は最大だ。遠浅の海の少ない日本の場合、浮体式の洋上発電が有望だ。また、安定電源になりうる地熱発電、小河川の中小水力発電も地産地消型の電源として推進すべきだ。
 自然エネルギーは日照次第、風次第で不安定という欠点がある。電力会社が電力網への受け入れを渋ってきた理由だ。その対策として、各電力会社間の電力融通の容量を拡大するとともに、電力が不安定になるのを防ぐ電池の設置を急ぐべきだ。長期的には電力の地域独占の見直しなども検討する必要がある。
 そして、何より省エネが重要だ。日本エネルギー経済研究所の試算では、白熱灯をすべて発光ダイオード(LED)照明に交換するだけで原発4基分の節約になる。「省エネは創エネ」と言われるゆえんだ。
 われわれの次の世代は今以上に資源の有限性に突き当たる。少ないエネルギーで効率的に動く日本にしなければならない。「分散型」「地産地消型」のエネルギー構造に組み替えるほかない。それには再生可能エネルギーが最も適している。次世代の安全・安心のため行動を急ごう。 
================================================================転載完了

ミスリードも極まれり!

 如何であろうか。
 
 一見尤もらしい社説である。少なくとも「短期」「中期」「長期」とタイムスパンを分け、「短期」として凡そ10年までの「脱原発依存」を「火力発電へのシフト」としている点は現実的であるといってよかろう。

 発電コストの上昇を招くし、「脱原発依存=火力依存」であるならば化石燃料への過度のエネルギー依存を意味するから私は反対だが、それが実行可能な選択である事は認めよう。
 毎日社説はその「短期」に於ける「火力シフト」に伴う二酸化炭素排出量増大について縷々述べているが、再三当ブログで述べている通り、中国を始末しないのならば喩え日本の全電力を原発で賄っても、二酸化炭素排出量は世界的には増えるだろう。
 
中国の暴走-COP15直前 各国二酸化炭素排出数値目標の比較 見える化版-   http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/30844339.html
 
 問題なのは「中・長期」だ。
 
1> 「中・長期」では再生可能エネルギーの開発・普及である。
2> ドイツの脱原発政策は再生可能エネルギー分野の覇者を目指す戦略とセットだ。
3> 日本の環境技術はドイツにひけをとらない。日本こそ「環境エネルギー革命」の勝者になる潜在力がある。
 
等と我が国の技術を持ち上げてみせる毎日社説だが、続くパラグラフは我が目を疑うほどだ。
 
4> 環境省の試算では、国土をめいっぱい利用すれば2030年、
5>再生可能エネルギーによる発電が年間約3300億キロワット時も可能だという。
6>現在の全発電量の約3割、原発の従来の発電シェアに相当する。
7>理論的には再生可能エネルギーで原発の代替が十分可能なわけだ。
8>達成は容易でないが努力目標にしたい。
 
 まず上記4>~5>の試算を示す環境省も相当な玉ではある。何しろ「国土をめいっぱい利用」だから、銀座1丁目交差点から富士山の頂上まで太陽光発電パネルと風力発電所で埋め尽くしてようやく「全発電量の3割」=今の原発並みなのである日本人の居住も経済活動も流通も、それら再生可能エネルギー発電の下なり地下なりで実施しなければならず、それどころか山野森林田畑などは「風力発電タワーの間」にしか存在しない、エコロジーも生物多様性も全く無視した上に火力・原子力発電所を追い出した「再生可能エネルギー発電列島」と化した日本で、現在の「全発電量の3割」。火力発電所は残す物としてようやく「現存の原発を再生可能エネルギーで代替」である。
 これでは日本列島は「今と同等の発電をする」だけの列島である。現在の日本人口が居住できるとも、相応音生活水準を維持して経済活動を出来るとも思われない。況や、日本に住む人類以外の生物・動植物・生態系は、想像する事すら困難だ。
 
 それは正に、「再生可能エネルギー」によって滅ぼされた亡国日本の姿である。
 
 上記4>~5>を受けて上記7>は「理論的には」だからまだしも、上記8>と「努力目標」に掲げてしまう神経は判らない。全く想像力を欠いているか、「再生可能エネルギーの普及」を絶対善視した原理主義に染まっているか、いずれかだろう。
 
 上記の通りであると言うのに、社説タイトルでも上記7>でも「再生可能エネルギーで原発の代替は可能」とブチ上げる毎日社説を、ミスリード、煽動、アジテートと言わずして、一体何と評すべきか。
 
 なおかつ、上記の「再生可能エネルギー発電列島化」した日本でも「全発電量が現状並み」でしかない。再三指摘している通り、「再生可能エネルギー」たる太陽光も風力も、その発電量は出来高払いの不安定供給だ。流石に毎日社説もこの点には触れないわけにも行かないらしく、以下のように論じる。
 
6> 自然エネルギーは日照次第、風次第で不安定という欠点がある。
7>電力会社が電力網への受け入れを渋ってきた理由だ。
8>その対策として、各電力会社間の電力融通の容量を拡大するとともに、
9>電力が不安定になるのを防ぐ電池の設置を急ぐべきだ。
10>長期的には電力の地域独占の見直しなども検討する必要がある。
 
 上記8>「各電力会社菅の電力融通」は、周波数の相違は別にしても、各電力会社の発電量に余裕が無ければ全く意味がない。それは上記10>「電力地域特選見直し」したところで変わる訳ではない。
 上記9>「電池」は、各家庭の家電製品を賄うぐらいならば将来的には何とかなりそうだが、電車を走らせ工場プラントを動かす大電力の安定供給には全く役に立たない。此処は電力蓄積の新技術が必要である事に触れて然るべきだ。
 つまり、毎日社説は再生可能エネルギーの電力供給不安定化を認めつつ、その対策を菅直人級のすり替えで誤魔化している。
 
 これが、特集まで組んでぶち上げた、毎日の社説である。
 
 如何に、国民。