存外バラけた各紙報道

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 「防衛白書を報じる各紙記事」と言う事でターゲットを選択したが、社説と違って記事の長短(*1)はバラバラであるし、報じているのは日本の防衛白書と言う余り評価にバラツキができそうにない日本政府艦攻の公式文書。これを比較表にしても面白い物にはならないのではと危惧したが・・・案外面白い表になった。
 
 評価項目自体は、一番ボリュームのある産経の記事を読みながら、以下の通り決めた。
 
 (1)対中国
 (2)対北朝鮮
 (3)対ロシア
 (4)日米同盟
 (5)防衛計画の大綱
 (6)その他留意すべき事項
 
 デフォルトで産経とは対立してばかりいる朝日が、上記項目で言うと評価項目(1)「対中国」に終始して、他の項目は全て「言及なし」になっているのは、朝日の特性もさることながら、記事の長短もある程度は効いていよう。が、その記事の長さを含めて、各紙の主張であろうと、開き直る事にする。日経の記事が「日経web」で短い記事でありながら、相応に広範に言及しているのだから、この朝日の「中国偏重」は、「案の定」ではあるが、やはり特徴的・特異的なものと言えよう。
 分けても特徴的なのは「インターネットなどの「サイバー空間」への攻撃」について。
 
朝1> インターネットなどの「サイバー空間」への攻撃についても
朝2> 「世界中の多数のコンピューターシステムが中国国内を発信源とした侵入の標的となっている」
朝3> との米国防総省の報告を紹介した。
 
と報じる朝日は、間接的ながら「サイバー空間への攻撃も中国発信」と防衛白書が記述したと述べている。
 防衛白書のサイバー攻撃重視は、産経も、毎日も触れてはいるが、
 
産1> 国際社会の課題としては、テロや大量破壊兵器拡散よりもサイバー攻撃の優先順位を筆頭に格上げした。
 
毎1> 政府や自衛隊の情報通信ネットワークへのサイバー攻撃を「国際社会の課題」のトップ項目に初めて据え、
毎2>「国家の安全保障に重大な影響を及ぼし得るものだ」と指摘した。
 
との記述であり、サイバー攻撃と中国を結び付けているのは朝日記事だけ。つまり、今回比較した五紙の中で、朝日の記事がもっとも強く「中国に対する警鐘を鳴らす防衛白書」を強調している。
 
 ま、朝日の日頃の報道からすると、「朝日が反中国感情を煽動している」とは到底い難く、「中国の脅威を強調ばかりする防衛白書はケシカラン!」の方だろうと、容易に想像できるが。だが、戦前戦中の朝日の報道を考えれば、何時前者に宗旨替えするか判らんけどねぇ
 
 中国一辺倒の朝日に次ぐのが読売記事だが、読売は東日本大震災への対応に触れて、あわせて日米同盟の深化についても述べる事で、朝日よりもバランスが取れている。と言うよりも、日本の防衛白書を報じる記事で、日米安保も米国も出てこない朝日の記事が、異様なのであるが。
 
 評価項目(4)日米同盟と共に評価項目(2)対北朝鮮にも触れたのが、毎日と日経。評価項目(2)「対北朝鮮」の記述は何れも新型弾道ミサイル「ムスダン」が米領グアムを射程に収めると言う、産経記事とほぼ同様の記述だ。日経が評価項目(4)「日米同盟」について
 
日1> 沖縄県の米軍普天間基地の移設問題に関しては「沖縄県民の負担軽減と危険性除去のため、全力を尽くす」と記した。

と、普天間基地移設問題に、沖縄基地負担に絡めて触れたのが特徴。一寸意外だが産経の評価項目(4)「日米同盟」では、読売・毎日・日経共に触れた「トモダチ」作戦には触れず、
 
産3> 日米安保体制は「同盟の深化」の節を設け、
産4> 今年6月の日米安全保障協議委員会(2プラス2)合意を説明。
産5> 米軍普天間飛行場(沖縄県宜(ぎ)野(の)湾(わん)市)移設問題では
産6> 名護市辺野古に滑走路2本をV字形に建設する案に決め、26年の移設期限を先送りしたことを盛った。
 
と報じて、普天間基地移設問題でも、移設期限の先送りと移設案の具体化を報じるのみである。
 
 「案の定」と言うべきだろうが、産経の記事が最もボリュームもあり、内容も多岐に渡る。防衛計画の大綱との関連を述べたのは、産経だけであるが、これは圧倒的な記事のボリュームの影響だろう。日経記事なんてのは日経webの記事だから、500字かそこら。産経記事は1200字近いから、情報量が他紙記事を圧するのも無理はない。
 
 無論、産経にせよ、産経以外の他紙にせよ、防衛白書に関連する記事は、今回取り上げた記事ばかりではあるまい。従って、今回比較表はいつもの社説比較ほどには公平な比較になっていないと考えるべきだろう。
 
 それにしても、朝日の中国偏重が目立つんだがな。
 

<注釈>

(*1) 或いは実際の紙面では、何面にどれぐらいの大きさで、と言うのも評価すべき要因であるが・・・
 

転載記事一覧

(1)産経 中国は「高圧的」 尖閣、南シナ海問題念頭 防衛白書  http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110802/plc11080210530015-n1.htm

(3)読売 防衛白書、「中国は高圧的」と強い懸念示す  http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20110802-OYT1T00442.htm?from=any

(4)毎日 防衛白書:閣議了承 中国の活動活発化「地域の懸念事項」  http://mainichi.jp/select/seiji/news/20110802k0000e010001000c.html

(5)朝日 中国の海洋進出に警戒感 防衛白書、南シナ海の項目新設 http://www.asahi.com/politics/update/0802/TKY201108020134.html?ref=any