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 当ブログ「社説比較」シリーズを初めて暫くしてから確信した事だが、「朝日新聞、琉球新報、沖縄タイムスの三紙は、日本の三馬鹿新聞、もとい、三アカ新聞である」。「アカ新聞と言うくせに赤旗が入ってないじゃないか!」と突っ込まれそうだが、赤旗は少なくとも今は日本共産党の機関紙。正真正銘掛け値なしの自他共に認める(*1)宣伝機関を、「アカ」とは呼べても、社会の木鐸たるべきマスコミ(*2)の代表たる「新聞」の「尊称」を奉るのは少々憚られる。当ブログ「社説比較」シリーズに滅多に赤旗が登場しないのは、一つにはそのためだ。
 
 それは兎も角、その三アカ新聞の社説が、時期はずれたがMV-22オスプレイの沖縄配備を題材にして出揃った。しかも三アカ新聞の兄貴分・朝日が満を持しての登場である。これを看過する手もなかろう。そのうちの一つ、沖縄タイムス社説は既に「社説を斬る」シリーズで取り上げているのだからなおさらだ。
 
沖縄タイムス社説 「[オスプレイ配備]これはもう人権問題だ」を斬・・・ろうと思ったが、こりゃ自滅だな  http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/35376494.html  http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/35383307.html
 
 先ずは今回新たに出た朝日社説を、ご一読願おうか。
 

<注釈>

(*1) ああ、「自」の方は余り期待できないか。何しろ「真実を伝え、希望を運ぶ」と自ら称してしまえるのだからな。
 
(*2) 大いにしばしば実態はその反対である事を承知しつつ。理想と現実のギャップって奴だな。乖離と言うより、懸絶だが。
 

転載開始==============================================================================

朝日社説 米軍新型機―不実な導入に異議あり 

 http://www.asahi.com/paper/editorial20110707.html?ref=any#Edit2
 米政府は先月、米海兵隊の新型輸送機オスプレイを24機、来年10月から沖縄県の普天間飛行場に配備していく計画を明らかにした。これを受けて、日本政府もやっと重い口を開き、地元自治体に正式に伝えた。
 オスプレイはヘリコプターのような上下動も、飛行機のような高速の水平飛行もできる。現在の輸送ヘリに比べて速度は2倍、エンジン出力は3倍あり、航続距離は4倍に延びる。
 これほどの高性能機が導入されたら、普天間飛行場は返還されるどころか、将来も固定化されてしまうのではないか。
 こんな疑念が膨らみ、沖縄側は導入を受け入れる環境にはない。仲井真弘多知事は政府に反対を訴え、飛行場のある宜野湾市などでは抗議集会や撤回を求める決議が相次いでいる。
 根っこには、導入をひた隠しにしてきた日本政府の不実な対応への強い不信感がある。
 米側が1996年、普天間返還を盛り込んだ日米特別行動委員会(SACO)の文書案に、オスプレイの機種名を書き込もうとした際に、日本側の要請で削除されたことが公開された公文書で判明している。
 さらに民主党に政権交代したあとも、「正式な通告がない」という態度を続けてきた。
 これほど露骨に沖縄県民や国内の世論をないがしろにして、結果として欺いてきたことが信じられない。
 安全性や騒音への懸念も大きい。開発段階で4度、墜落し、30人が犠牲になっている。米軍の正式導入後も、アフガニスタンで墜落した。騒音も「より静かになる」という日米両政府の説明には疑問符がつく。
 それでも日本政府は「単なる機種の更新」であり、拒否する法的な権限はないという。それに同機以外の選択肢も見あたらないという見解だ。
 だが、本当にそうなのか。
 たとえば、仲井真知事はオスプレイの航続距離の長さに着目し「県外でも運用できる」と主張している。この見方には一定の説得性がある。
 民主党政権は普天間から九州への訓練移転を探ったが、現有ヘリの航続距離の短さが一因で頓挫した経緯があるからだ。
 先の日米協議で、普天間の移設完了目標2014年の先送りを決めた。それだけに新型機を導入する前に、政府は訓練の県外移転の可能性や別の選択肢の有無などを、米側と改めて協議すべきだ。
 そうした姿勢こそが沖縄の信頼を回復する道につながる。導入をごり押ししてはいけない。
==============================================================================転載完了

狡猾なすり替え、朝日新聞

 さて、如何であろうか。
 
 同根である。同工異曲とも言える。沖縄へのMV-22オスプレイ配備に反対し、その根拠をMV-22開発中に起きた人身事故に帰している。MV-22オスプレイぐらいドラスティックな新型機の開発に事故が起きたとて何ほどの物か。第一、その事故で真っ先に犠牲になるのはほかならぬ米海兵隊員であることは、先行記事でも指摘したとおり。また、そのMV-22の「危険に対する不安」で「これはもう人権問題だぁぁぁ」と沖縄県民の人権だけ主張していたのが沖縄タイムスであったが、そこは同じ穴の狢アカ新聞であっても兄貴分の朝日。ヒステリックに騒がずにもう一歩踏み込む。
 
 その踏み込むために、憎きMV-22オスプレイを、以下のように誉めそやしさえする。
 
朝1> オスプレイはヘリコプターのような上下動も、飛行機のような高速の水平飛行もできる。
朝2> 現在の輸送ヘリに比べて速度は2倍、
朝3> エンジン出力は3倍あり、
朝4> 航続距離は4倍に延びる。
 
 いわゆる「誉め殺し」とは違う。皮肉でもない。これは次なる一手への布石だ。その一手は朝日社説の終盤に登場する。
 
朝5> たとえば、仲井真知事はオスプレイの航続距離の長さに着目し「県外でも運用できる」と主張している。
朝6> この見方には一定の説得性がある。
朝7> 民主党政権は普天間から九州への訓練移転を探ったが、現有ヘリの航続距離の短さが一因で頓挫した経緯があるからだ。
 
 此処で朝日社説は、「普天間から九州への訓練移転」「現有ヘリの航続距離の短さが一因で頓挫した」と表記している。実に巧みである。まず「現有ヘリの航続距離の短さ」を「一因」と制限している。それは「一因」にしか過ぎないから、ほかに要因があっても根源的には矛盾しない。さらに先行する部分で上記朝4>「航続距離は(輸送ヘリの)4倍」と触れているから、上記朝6>の「説得性」もいや増すように表現されている。
 
 事実、一方で米海兵隊の兵力運用から「陸上部隊とヘリ部隊の距離は、ヘリで20分以下の距離」とされており、この距離は速度の関数で凡そ巡航速度・最大速度に比例する物である。さらには、MV-22オスプレイ上記朝6>「輸送ヘリに比べて速度は2倍」であっても沖縄本島から県外へ20分では出られない。故に、MV-22オスプレイと言う新型機を以ってしても「普天間基地を県外移設できる要因」になぞナリはしないのだが、朝日社説は「航続距離」を「一因」として「普天間から吸収への訓練移転」が「頓挫した」と表記しているのだから、「普天間基地の沖縄県外移設に期待を持たせる」様な言い方をしている。同時に、それは「仲井間知事の言葉の説得性」と表記しているだけで、朝日社説自信の言辞ではない。実に美事な責任回避ではないか。流石は管直人の師匠である。いや、管直人のほうが師匠か。
 
 で、止めの一撃は社説のしめで炸裂する。
 
朝8> 先の日米協議で、普天間の移設完了目標2014年の先送りを決めた。
朝9> それだけに新型機を導入する前に、
朝10> 政府は訓練の県外移転の可能性や別の選択肢の有無などを、米側と改めて協議すべきだ。
朝11> そうした姿勢こそが沖縄の信頼を回復する道につながる。導入をごり押ししてはいけない。
 
 上記朝10>は何の事はない、一昨年夏衆院選挙における鳩山民主党党首(当時)の「勝手な口」約束「最低でも県外」の復活である。上述の記述が「MV-22オスプレイと言う新型機の高性能に拠る訓練県外移設」への期待をいやがうえにも高めるように記述されている。「人権問題だぁぁぁ」と喚く沖縄タイムスよりも「大人の対応」に見えるし、実現性さえ感じるかも知れない。
 
 だが、所詮アカ新聞の煽動社説だ。第一、「米側と新ためて協議すべき」現・民主党政権は、一昨年夏の忌まわしき政権交代以来昨年5月の漸くの鳩山退陣=菅直人政権と言う悪夢の始まりまで約1年の間、「最低でも県外」と言い「Trust Me!」と大見得を切り、「腹案がある」と抜かし「(昨年)5月までに決着」と嘯きながら、遂に日米交渉を始めるどころか、政府案をまとめるどころか、民主答案一つまとめられなかった輝かしい実績のある、憲政史上最多の衆院議席数を擁する現・民主党政権である。当時は副首相で現ゾンビ首相である菅直人が誰かに替わったところで、何ほどの事が期待できよう。
 
 それを期待させてしまおうというのが当該朝日社説である。
 
 実に巧妙である。全く、ミスリードである。
 

【参考】当ブログの普天間基地移設問題記事(抜粋)

 以下の普天間基地移設問題経緯シリーズは番号順になっており、(1)は「変心、変身、また変針」まで遡る。
 
 (26)までの記事は以下URLに独立させた。
http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/32456004.html

(27) 鳩山首相の負の遺産―普天間基地移設問題経緯(27)―  http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/32800905.html
URL: http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/32800999.html

(28) 選挙対策あって政策なし―普天間基地移設問題の経緯(28)―  http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/33419360.html
 
 根拠がないのは鳩山公約だ-琉球新報社説 「辺野古移設は根拠がない」を斬る!  http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/35186923.html
 
一読意味不明の沖縄タイムス社説 「[返還合意15年]ちゃんと議論し直そう」  http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/35067129.html
 
球新報社説「それでも普天間はいらない」を斬る!  http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/34928130.html
 
沖縄県民に問う! -尖閣諸島と普天間基地移設問題-    http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/33752839.html