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当ブログが「社説を斬る!」シリーズや「社説比較」シリーズを通じて比較的産経新聞に好意的なのは紛れもない事実であろう。事実、産経新聞を購読もしている。
だがしかし、購読もすれば支持する記事を書いているからとて、全面的に産経を支持している訳ではない。
だがしかし、購読もすれば支持する記事を書いているからとて、全面的に産経を支持している訳ではない。
かつて「教科書問題」なる事件が発生し、「文部省(当時)の検定で、教科書の「日本の侵略」との表記が「日本の進出」に書き換えられた!」との大誤報が流れ、国際問題に発展した(*1)時、産経もまたその誤報を流していた。
但し、産経はその誤報が誤報と判明するや、即座に明白に率直に大々的にその誤報を訂正した(*2)。この辺の経緯は渡部昇一氏の「萬犬虚に吠ゆ」に詳しいが、同じ誤報を流した朝日新聞が、大分遅れてわかりにくく小さく訂正記事を出したのとは好対照だ。その対応は範とすべきものではあるが、誤報は誤報。ハナから誤報なぞ流さない可きであるのは言うまでもないから、産経の誤報訂正を支持する事はできても、産経の誤報そのものは、支持できない。神ならぬ身の人の為す事、誤報と言うのはある範囲である事は承知しつつ。
であるならば、今回引用する様な似非科学の与太記事は、即座に大々的に訂正されて然るべきである。さもないと、産経新聞もまた「誤報訂正記事を恣意的に出す」その辺のマスコミと変わりがない事になる。
但し、産経はその誤報が誤報と判明するや、即座に明白に率直に大々的にその誤報を訂正した(*2)。この辺の経緯は渡部昇一氏の「萬犬虚に吠ゆ」に詳しいが、同じ誤報を流した朝日新聞が、大分遅れてわかりにくく小さく訂正記事を出したのとは好対照だ。その対応は範とすべきものではあるが、誤報は誤報。ハナから誤報なぞ流さない可きであるのは言うまでもないから、産経の誤報訂正を支持する事はできても、産経の誤報そのものは、支持できない。神ならぬ身の人の為す事、誤報と言うのはある範囲である事は承知しつつ。
であるならば、今回引用する様な似非科学の与太記事は、即座に大々的に訂正されて然るべきである。さもないと、産経新聞もまた「誤報訂正記事を恣意的に出す」その辺のマスコミと変わりがない事になる。
引用記事にある、安岡一成なる産経記者が感激し、同行した「都内の某大学理学部物理学科2年で力学や電磁力などを学ぶA君(20)」を感心させたこの「アクツエコサイクル」なる仰々しい仕掛けは、解説によると以下のような仕掛けだと言う。
三本の垂直な管とその上部の注水タンクからなり、三本の管は落下管、上昇管、蓄水管と名づけられている。蓄水管はタダのパイプ。落下管には2箇所、上昇管には4箇所の逆止弁がつき、蓄水管と上昇管は注水タンクからの水が入り、落下管は下端にバルブがあって水が入らないようになっている。落下菅の途中に歯車と言うか羽根車があり、落下管と上昇管の中には「パチンコ玉を内蔵したピンポン玉」がある。
この仕掛けが以下のように動くと言う。
① 落下管にパチンコ玉を内蔵したピンポン玉を20個投入
② 玉は歯車(羽根車)を回し、電力を発生させて箱に落下
③ 玉は浮力で上昇管に入り、上がって行く
④ 水面にたまった玉を下から押し出し、落下管へ
三本の垂直な管とその上部の注水タンクからなり、三本の管は落下管、上昇管、蓄水管と名づけられている。蓄水管はタダのパイプ。落下管には2箇所、上昇管には4箇所の逆止弁がつき、蓄水管と上昇管は注水タンクからの水が入り、落下管は下端にバルブがあって水が入らないようになっている。落下菅の途中に歯車と言うか羽根車があり、落下管と上昇管の中には「パチンコ玉を内蔵したピンポン玉」がある。
この仕掛けが以下のように動くと言う。
① 落下管にパチンコ玉を内蔵したピンポン玉を20個投入
② 玉は歯車(羽根車)を回し、電力を発生させて箱に落下
③ 玉は浮力で上昇管に入り、上がって行く
④ 水面にたまった玉を下から押し出し、落下管へ

さて、「無知なる文系」ならば兎も角、卑しくも理系の人間であるならば、真っ先に気付かなければならない(*3)。「この仕掛けがこの能書きどおり動き続けるならば、それは永久機関である。」と。
永久機関とは言うまでもなかろうが、外部からエネルギーの供給なしに仕事をし続ける機関。それこそ「究極のエコエネルギー」であるが、それ故にこそ熱力学でその存在が否定されている存在。言い換えれば、この仕掛けが能書きどおり動き続けるようならば、それは永久機関の発明であり、熱力学に一大革命を引き起こさずには置かないような、21世紀最大の発明ともいえるシロモノのはずである。であるから・・・永久機関なんてものは、滅多にあるものではない。
安岡記者は兎も角、大学生Aもこの仕掛けが「永久機関」と紹介されたならば警戒もしたろうが(*4)、「エコエネルギー」等とタイムリーにして耳障りの良いキャッチフレーズに騙されたのだろう。
では、どこで騙されているか見ていこう。
鍵となるのは、(1)落下管下端のバルブ (2)右上の注水タンク (3)解説図落下管左側に書かれた「水↓」 である。
先ず(1)落下管下端のバルブ が開いていたらどうなるかと言うと、落下菅の中は上昇管と同じ水位まで水が入ってくる。落下菅の中を玉は落下しないから、そもそもこの仕掛けは動かない。つまりこの仕掛けを動かすにははじめは(1)落下管下端のバルブ を閉じた状態で上記①玉を投入・落下させなければならない。
上記①~②を経て、いくつか玉が落下管下端に貯まった所で(1)落下管下端のバルブ を開く筈だ。玉は水面に浮く密度だが、落下菅の中で幾つも重なっているから、開いたバルブの下の水面に落ちた玉は、下から順にある数まで沈み、次の上記③工程に移るように成っているのだろう。だが、玉が沈んだ時、アルキメデスの原理によって「排水」された、玉の容積分の水はどこへ行くと思う?
落下管が太くて玉との間がスカスカならば、落下菅の水位が上がるだろう。玉が一つ沈むごとに水位が上がるから、やがて水位が歯車(羽根車)の位置に達したらそこでこの仕掛けは発電しなくなり、機能停止する。
落下管が玉ぴったりの太さで、玉が落下管内でピストンの役割を果たすほどならば、玉が沈むとその容積分、上昇菅の水位が上がる。あるところまで行くと上昇管上端からこぼれた水が落下官側に入る。この水も玉と同様歯車(羽根車)を回すだろうが、やはり落下菅の水位が上がって、水位が歯車の位置まで上がれば、この仕掛けは機能停止する。
この仕掛けが動き続けるためには、落下菅の水位も、上昇菅の水位も、一定に保たれねば成らない。その役割を果たしているのが(2)右上の注水タンク であり、 (3)解説図落下管左側に書かれた「水↓」 である。その事は当該記事本文にも記載がある。
1> 装置に水を出し入れするのは水位を保つためで、
2> その量は球20個の体積分の水という。
3> 弁をつけているのも同様に水位を保つため。
「水位を保つため」の水の出し入れ。なんともはやモノは言い様である。それ即ち(2)右上の注水タンク の水を (3)解説図落下管左側に書かれた「水↓」 にまで落下させている事に他ならない。ピンポン玉だの上昇管だの、見た目に楽しい仕掛けであるが、本質的にこいつは水車でしかない。(2)右上の注水タンク の水を直接歯車(羽根車)に落下させた方が、効率良く発電できるぐらいだ。
であるならば、上記2>「その量は球20個の体積分の水」と言うのは嘘である(*5)。注水タンクの水は減り続け、この仕掛けは程なく停止する。当たり前ではあるが、この仕掛け、「アクツ・エコ・サイクル」と命名され、2年の歳月と700~800万円を投じたと言うこの仕掛けは、永久機関でもなければ、「究極のエコエネルギー」でもない。それどころか、上記2>の様なあからさまな嘘や、
4> 手には5キロの鉄アレイを2個持っている。何をするのだろう、と思っていると、
5> 水を張った桶の中に、直径50センチほどのプラスチック製の半球を浮かべ、
6> その中に鉄アレイを入れてみたら、半球がまだ浮いているのを見せてくれた。
などと言う浮力の下らないデモンストレーションをして見せているところからすると、この阿久津一郎氏は詐欺師である公算大とすべきだろう。このデモンストレーションを感心して見ていたとすると、学生Aどころか文系であろうとは言え安岡一成記者の見識も疑わねばなるまい。10万トンの原子力空母も、50万トンのタンカーも、浮力で浮いていると言うのに、5キロの鉄アレイ2個が、一体なんだと言うのだ。まさか、四面海もて囲まれし我が国で、船を知らない筈はあるまい。
この程度の詐欺に引っかかるとは、産経新聞記者の理科知識、否、一般常識は一体どうなっているのか。入社試験で相応のテストをパスしているのではないのか。
無論、同行し、感心ばかりしている「都内の某大学理学部物理学科2年で力学や電磁力などを学ぶA君」の情けなさもまた度し難い。それでも理系、しかも物理を学ぶ大学生か、と詰りたくなるが、この大学生の出来が悪いのは、大学の責任ではあっても産経の責任ではない。
だが、そんな出来の悪い大学生を同行して、斯様な詐欺に引っかかり、斯様な与太記事を掲載しているのは、間違いなく産経の責任である。
産経よ、直ちに、訂正記事を掲載すべし。
さらに付け加えるならば、問題記事のタイトルに曰く。
> 「夢のエネルギー製造装置」に迫る
上述の通り、全く以って迫ってなど居ない。ただ単に「近寄って見た」だけである。後はただ騙されて、感激して、言われるとおりにデモされたとおりに、記事にしただけである。
真実に迫らんで、何の新聞記者であるものか!!!
如何に、産経!!
<注釈>
(*1) どちらかと言うと、この誤報で国際問題に発展させた、のだな。(*2) その効果が絶大で、国際問題は収束した。(*3) 言い換えれば、安岡一成記者に同行し、この仕掛けに痛く感心した理系大学生Aは、大学受験からやり直すべき劣等学生と言う事である。そりゃ都内の大学で学ぶ理系学生は相当数居ようが、選りにも選って理学部物理学科の2年生とは、「大学の恥」と言っても過言ではない。(*4) いや、それでもやっぱり感心してしまっただろうか。だとしたら、高校からやり直すべきだな。(*5) 事実、本件を申請した特許では、イケシャアシャアと「装置外部から循環のためのエネルギーを供給しなくても、水を補給するだけで」と明記している。 http://patent.astamuse.com/ja/granted/JP/No/4608598/ その補給した水の質量と高さ、即ち位置エネルギーが、このインチキ「永久機関」を動かしているのだ。