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中国新鋭機「敵ではない」 空自の次期主力戦闘機候補公開

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 米航空大手ボーイング社が、最新鋭のFA18戦闘攻撃機(近未来型スーパーホーネット)の試作機を日本の報道陣に初公開した。FA18は、米海軍の主力戦闘攻撃機で航空自衛隊の次期主力戦闘機(FX)の有力候補。レーダーに捕捉されにくいステルス性の機体に加え、地上基地や艦船、軍事衛星との連携による高度な電子戦闘能力を持つのが特徴だ。FXをめぐっては米ロッキード・マーチン社のF35を強く推す意見もあり、年内の選定に向け、“受注戦”は佳境に入っている。
 (米ミズーリ州セントルイス、バージニア州ノーフォーク 佐々木類)
 試作機は6月29日、米中西部ミズーリ州セントルイスのボーイング社工場敷地内で翼を休めていた。ステルス性と空戦能力を高めるため、旧式のスーパーホーネットが主翼下に装着していたミサイルをすべて胴体下に格納し、斬新な流線形の機体を手に入れていた。
 現代の空戦は艦船や地上基地、偵察機を総動員した電子戦で、戦闘区域の情勢をいち早く正確に把握できた側が圧倒的に勝利する。
 ボーイング社の戦闘攻撃機開発幹部で元FA18夜間攻撃部隊司令官、フィル・ミルズ退役海軍大佐の案内で本社建物の最深部へ。操縦席を設置したシミュレーターのある薄暗い室内には360度の立体的な戦闘空域が再現されていた。
 操縦席にはタッチパネル式の画面が5つあり、軍事衛星やイージス艦から送信された情報を基に敵機と味方機、地上(洋上)の敵の位置と動きが立体的に表示され、一瞬にして全体の情勢識別が可能だ。
ミルズ氏は、「敵機がいかに優秀なステルス性を備えていても、最新鋭FA18は敵側の情報収集をしながら戦闘できる」と強調。中国軍のステルス性最新鋭戦闘機「殲20(J20)」について聞くと、「FA18の敵ではない」とささやいた。

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 米南東部バージニア州ノーフォークのオセアナ米海軍航空基地。離着陸訓練でFA18スーパーホーネット十数機が低空を乱れ飛ぶ。
 米海軍最強とされる第103戦闘攻撃飛行隊隊長のリック・クレセリアス中佐(39)はFA18について、メンテナンス(維持管理)の良さを強調する。
 搭載した電子部品の配線は箱詰め状態で、「空母着艦前に故障情報を戦闘機から受信し、修理箇所の箱を用意できるから大幅な整備時間の短縮が可能」(クレセリアス隊長)という。
 今なぜ、最新鋭FA18に注目が集まるのか。中国は今年1月、第5世代戦闘機の試作機を完成させた。日本を取り巻く防空環境が厳しさを増している中、空自のF4戦闘機の老朽化は著しく、これに代わる次世代戦闘機の導入は極めて急務だ。
 だが、最有力視されていた米ロッキード・マーチン社のF35ライトニング2の開発は遅れに遅れ、日本政府が購入を決めても実戦配備の時期は未定で、調達価格もFA18より2~3倍するとみられている。
 高度のステルス性を持つF35は敵地に深く侵攻する能力を持つが「航空自衛隊が東シナ海で制空権を確保するには不要」(ミルズ元海軍大佐)で、「米陸海空軍や味方との情報共有能力が大事。FA18には十分その能力がある」(クレセリアス隊長)という。
 実際、西太平洋での中国軍の台頭を念頭に、米軍は空海両軍が統合して敵軍を撃破する「エア・シーバトル(空・海戦闘)構想」を描いており、空自が持てば、最新鋭FA18はうってつけの作戦機になるというわけだ。
 最新鋭FA18は米海軍と部品を融通し共通の作戦が可能だ。神奈川県米海軍厚木基地のFA18のメンテナンスは、日本の企業が請け負っているのも強みだ。
 一方のF35は、ライセンス生産ができずに日本の防衛産業が育たない可能性があるが、「最新鋭機を米国から購入するという政治的なメッセージと、向こう30年間を考えれば、改良を重ねるFA18よりもF35の方が“買い”だという意見も強い」(防衛省幹部)という。
 日本政府は次期中期防衛力整備計画(2011~15年度)で、F35導入を念頭に「新戦闘機12機」の整備を明記。調達条件を17年3月までとしたが、米軍の運用試験自体が同年春にずれ込むため、調達条件を満たすのは不可能だ。
 不景気による税収減と東日本大震災で日本の台所は火の車でもある。いつ配備できるか不明で実績未知数の高額のF35を購入するのか、F35配備までの間、割安の最新鋭FA18をつなぎで導入するのか。日本の防空網に穴を開けてならないことだけは確かだ。

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漸くベールを脱いだ新型F/A-18

 暫く前に写真だけ報じられていたF/A-18スーパーホーネットの新型(*1)だが、写真からはどこが新型なのか良く判らなかった。今回報道記事になって漸くある程度判明したのだから、やはりヴィジュアル情報ばかりではなく、テキストベース情報も大切だと、私のようなアナログ(*2)人間は思ってしまう。
 
 そのテキストベース情報に拠れば、新型F/A-18の特徴は以下の2点であるようだ。
 
1> ステルス性と空戦能力を高めるため、
2> 旧式のスーパーホーネットが主翼下に装着していたミサイルをすべて胴体下に格納し、
3> 斬新な流線形の機体を手に入れていた。
4> 操縦席にはタッチパネル式の画面が5つあり、
5> 軍事衛星やイージス艦から送信された情報を基に敵機と味方機、地上(洋上)の敵の位置と動きが立体的に表示され、
6> 一瞬にして全体の情勢識別が可能だ。
 
 上記1>~3>は要は胴体下のウエポンベイ、昔流で言うなら爆弾倉の新設である。上記1>に「空戦能力を高める」ともあるから、ウエポンベイ内にミサイルを収納する事で、翼下に搭載した場合にかかる機動制限なり速度制限なりを緩和できるのだろう。胴体下面がいくらか膨らむ筈だからミサイル発射後の抵抗や重量の点では不利を否めないが、ステルス性向上には効果があろう。コンセプトとしてはF-15の双尾翼を外側に傾けてウエポンベイを装備したF-15SEサイレント・イーグルと同根だ。
 
 上記4>~6>なNCW Network Centric Warfareネットワーク中心戦対応を言っているのだろう。自機搭載のレーダーや赤外線センサーのみならず、軍事衛星やイージス艦からの情報をダイレクトに活用する事で、F/A-18戦闘機単独以上の効果・威力を発揮する。
 
7> 中国軍のステルス性最新鋭戦闘機「殲20(J20)」について聞くと、
8>「FA18の敵ではない」
 
と断言してしまうのも、このNCW能力を以って、「喩えステルス機であろうとも、僚機、味方イージス艦、軍事衛星などを活用し、どれかで見破れば後は如何様にも料理できる。」と言う事なのだろう。情報重視の米軍らしい戦術であり、コンセプトだ。
 
 記事に報じられるとおり、我が国ではF-4EJファントムの後継機調達が近く、余りに近いもので開発が遅れに遅れているF-35では間に合わない有様。と言う事は、本F/A-18とEFAユーロ・ファイター・タイフーンによる事実上の一騎打ちがF-4EJ後継機争いとなりそうであり・・・正直、タイフーンの方が不利である。

 「ウエポンベイは持たずとも、新設計・新形状で低RCS=ステルス性」ぐらいまではタイフーンでも頑張れそうだが、NCW能力となると一寸適いそうにない。
 
 当ブログでは以前から、「F-4EJ後継機は、我が国防衛産業の技術向上のため、ユーロ・ファイター・タイフーンを導入すべし」と主張してきたのであるが、この新型F/A-18報道のNCW能力に対する自信を見せ付けられると、心動いてしまう事は否めない。
 
 尤も、パイロットと言う人種は「俺の愛機は世界一ぃぃぃぃ」と言う絶対的な自信の持ち主なので、ある程度話は割り引かないといけないのだが。
 

<注釈>

(*1) と言う事は、ウルトラホーネットか、ハイパーホーネット、と呼ぶべきかな。そういえばバイオ燃料で飛ぶと言うエコ戦闘攻撃機グリーンホーネットって冗談があったな。
 
(*2) アナクロ?ッてのも死語かな。