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弾道弾迎撃ミサイルSM-3の新型ブロック2は、日米共同開発の艦対空、否、艦対宙ミサイルである。西側艦対空ミサイルの名前どおり「定番」となっているスタンダード・ミサイルシリーズに属するSM-3は、既に量産型ブロック1が海上自衛隊はイージス艦に配備され、垂直発射管VLS内に格納されているので外観からはわからないが、我が国弾道弾防衛の一翼を担っている。ことに、先の北朝鮮弾道ミサイル発射実験では、防衛省中庭に展開したペトリオットPAC-3のような「目立つ」存在ではなかったが、PAC-3より遥かに広い防衛範囲を以って洋上に展開したイージス艦が北朝鮮の弾道ミサイルを警戒していた。
本邦誘導弾事情 http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/35103136.html
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米国では、上記のイージス艦搭載のSM-3やペトリオットPAC-3の他に、より広い範囲高い範囲で迎撃する地上発射型迎撃ミサイルTMD、GMD、はてはその前段階で弾道弾をレーザー光線で焼いてしまおうというABLなどの「アルファベット3文字ばかり」の各種計画を擁しているが、実戦配備なっているのは上記のSM-3とPAC-3のみ。(*1)なおかつSM-3の方が格段に防衛範囲が広いだけでなく、イージス艦搭載だから洋上展開できるし7つの海の何処でも(*2)行ける。米国にして見れば米空母共々極めて有効な威力投射手段である(*3)。さらに言えば、何も自軍部隊を展開するばかりが威力投射ではない。友好国に適切な武器を供給する事も威力投射手段であり、その武器が「弾道弾迎撃ミサイル」であるならば、用途が限定的であるが故に(*4)都合の良い面もある。
であるならば、現在日米共同開中のSM-3ブロック2の日米以外の第3国輸出を、米国が考えない訳がない。米国は武器輸出を禁止なんぞしていない(*5)し、況や「武器輸出禁止を国是」となんか夢想だにした事がないのだから、なおさらだ。
さて、米国から見た弾道弾迎撃ミサイル輸出のメリットを縷々述べたのは、先行記事にした東京新聞に続いて「やっぱり」朝日新聞社説が「国是=武器輸出禁止」を掲げてその迎撃ミサイル輸出を非難しているから。
武器輸出禁止は国是か?―東京新聞社説「ミサイル輸出 国是なし崩しにするな」を斬る! http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/35464936.html
先ずはその朝日社説を、ご一読願おうか。
であるならば、現在日米共同開中のSM-3ブロック2の日米以外の第3国輸出を、米国が考えない訳がない。米国は武器輸出を禁止なんぞしていない(*5)し、況や「武器輸出禁止を国是」となんか夢想だにした事がないのだから、なおさらだ。
さて、米国から見た弾道弾迎撃ミサイル輸出のメリットを縷々述べたのは、先行記事にした東京新聞に続いて「やっぱり」朝日新聞社説が「国是=武器輸出禁止」を掲げてその迎撃ミサイル輸出を非難しているから。
武器輸出禁止は国是か?―東京新聞社説「ミサイル輸出 国是なし崩しにするな」を斬る! http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/35464936.html
先ずはその朝日社説を、ご一読願おうか。
<注釈>
(*1) 世界的に見ると、弾道弾防衛がそれこそ「今そこにある危機」であるイスラエルが独自のArrowシリーズを実戦配備するほかにIron DomeだのDavid's Slingだの、訳の判らないほど多彩な弾道弾迎撃ミサイルを計画している。ロシアの新型地対空ミサイルやそのパクリである中国の地対空ミサイルも「弾道弾迎撃能力」を謳っているから、弾道弾迎撃は、「世界的トレンド」と言えそうだ。(*2) 無論、相応の護衛艦艇を随伴できれば、だが。(*3) 柔軟性と応用範囲と言う点では、空母機動部隊のほうが圧倒的であるが。(*4) 弾道弾迎撃ミサイルを、対空ミサイルに転用するぐらいは出来る可能性があるが、対地や対艦に転用するのはかなり困難だ。(*5) せいぜいが、規制、だな。
転載開始==============================================================================
朝日社説 迎撃ミサイル―輸出には厳格な管理を
http://www.asahi.com/paper/editorial20110616.html?ref=any#Edit2
北朝鮮の弾道ミサイル発射をきっかけに、日米が5年前から共同開発してきた新型の迎撃ミサイルについて、北沢俊美防衛相は先ごろ、ゲーツ米国防長官に第三国への移転、輸出を容認する方針を伝えた。同意の条件として、北沢氏は(1)日本の安全や国際の平和に資する(2)第三国側に再移転を防ぐ十分な政策がある、の二つをあげた。今月21日に開かれる日米外務・防衛担当閣僚会合での合意をめざすという。しかし、こんな条件ではあいまいすぎる。ミサイル配備がもたらす「国際の平和」とは何なのか。第三国とはどんな国々なのか。米国の要請を拒否できるのか。いずれも不明だ。これで政府が言う「厳格な輸出管理」などできるのか。そもそも開発の目的は、北朝鮮の脅威から日本を防衛することにあった。このミサイルに関して2度出された官房長官談話には「我が国国民の生命・財産を守る唯一の手段」とあった。開発理由は明確だったのだ。 (*1)ところが、オバマ政権が2009年にイランの弾道ミサイルに対処するための欧州配備を決めたことで、にわかに海外で使われる計画が現実化した。確かに弾道ミサイルの脅威は急速に世界に広がっており、弾道ミサイル防衛(BMD)は有効な対抗手段と考えられている。この分野で、日本の技術が役立つ意味合いは小さくない。だが国際社会にもたらす影響も慎重に考えなくてはならぬ。欧州ではロシアとの、アジアでは中国との摩擦の恐れが指摘されている。第三国移転を認めるのならば、細心の外交配慮や日本の主体性の確保が必須だ。それだけではない。この共同開発は04年に日米間の事業として、武器輸出三原則の例外扱いとされた。それが第三国にも渡るとなれば、新たな武器輸出に限りなく近い。 (*2)このままでは、長年、国是として厳しい輸出管理政策を貫いてきた日本の大きな転換点になる。(*3)三原則にからめた議論は避けて通れないはずだ。ところが昨年末の防衛大綱の策定の際、三原則の緩和をめざした菅直人首相は社民党との連携を優先するあまり、三原則の議論を中断させたままだ。第三国への移転にかじを切った経緯に関する政府の説明も不十分だし、米国との協議にどんな方針で臨むのか、国会での議論もほとんどない。こんな、なし崩しは認められない。米国との拙速な合意を避け、もっと厳格な輸出管理の基準をつくらねばならない。 (*4)
==============================================================================転載完了
<注釈>
(*1) それは、我が国が開発する理由だろう。共同開発なのだ。アメリカが開発す理由は「日本を守るため」だなんてのは、余りに都合のよい解釈だろうが。
端的に言おう。アメリカが、「日本を守るためだけの兵器」開発に金を出す訳がない。
(*2) 訳の判らない理屈だな。「武器輸出三原則の例外扱い」は既に決まっているのだから、正々堂々、天地俯仰に恥じることなく第三国に渡せるという事ではないのか。それを「国是に反する武器輸出だ」と言うのだろうが、少なくとも米国は、上記の通り主張できるだけの根拠がある。
百歩譲っても、「武器輸出三原則の例外扱い」となった時点で米国には輸出が決定しており、「武器輸出禁止と言う国是」は、「既に国是ではなくなっている」という事だろう。(*3) 先述の通り、その「転換点」は既に通過している。正に今回問題視されている弾道弾防衛ミサイルSM-3の日米共同開発が、「武器輸出三原則の例外扱いとされた」時点で。(*4) Why? 「武器輸出禁止は国是」だからか?
東京よりは社説の体を為しているが・・・
さて、如何だろうか。
先ずは誉めるべきだろうな。流石は朝日新聞である。千字ほどの「社説」の大半を「武器輸出に到る経緯」に費やしてその主張が最後の3行ほどにしか入っていない先行記事の東京新聞社説よりは、遥かに主張の割合が高い。
だが、その主張が大いに気に入らないからこその「社説を斬る!」シリーズである。
真っ先に言わねばならないのは「国是」に対する考え方だろう。先行記事にもした通り私は「武器輸出禁止なんぞが日本の国是の訳がない。」と考えているのだが、朝日はその社説に記すとおり、「武器輸出禁止は日本の国是」と主張している。両者には根源的なギャップがあり、先行記事でも触れたYahoo知恵袋のベストアンサーから、「少なくとも武器輸出禁止を日本の国是とする国民的合意は確認されない。」とは言えそうだが、此処は「両者の認識に乖離があることを確認する」のみで先に進むとしよう。
だが、その主張が大いに気に入らないからこその「社説を斬る!」シリーズである。
真っ先に言わねばならないのは「国是」に対する考え方だろう。先行記事にもした通り私は「武器輸出禁止なんぞが日本の国是の訳がない。」と考えているのだが、朝日はその社説に記すとおり、「武器輸出禁止は日本の国是」と主張している。両者には根源的なギャップがあり、先行記事でも触れたYahoo知恵袋のベストアンサーから、「少なくとも武器輸出禁止を日本の国是とする国民的合意は確認されない。」とは言えそうだが、此処は「両者の認識に乖離があることを確認する」のみで先に進むとしよう。
当該朝日社説は、上記「国是」を前提に、迎撃ミサイルの第三国輸出に「厳格な管理」を求め、なんと驚くべき事に未だ防衛相である北沢の上げた第三国輸出の条件では不明確で手ぬるいと糾弾する。
朝1> ミサイル配備がもたらす「国際の平和」とは何なのか。
などと巧みに「迎撃」の接頭辞を外す事で、恐らくは読者の「軍事忌避・兵器忌避」感情(*1)に訴えてもいるが、とどのつまり、「厳格な管理」を求める根拠は、前述の「国是」と我が国の国益ぐらいしかない。
日米共同開発のSM-3ブロック2の輸出に、我が国の国益が考慮されるべきと言うのは私も同意する。故に輸出先である「第三国」は日米両国の同盟国である事がベストであるが、中立勢力であってもSM-3の生産数が増える事は我が国にとっての利益だから、認められるべきだろう。生産数が増えれば、成算単価は下がるのだから、これは利益だ。
一方当該朝日社説の主張「厳格な管理」だとどうなるかと言うと、「武器輸出禁止は国是」なのだから、基本的に「第三国への輸出は同盟国でも禁止」なのだろう。
一方当該朝日社説の主張「厳格な管理」だとどうなるかと言うと、「武器輸出禁止は国是」なのだから、基本的に「第三国への輸出は同盟国でも禁止」なのだろう。
だが、既に突込みにも入れた通り、その「国是」は既に破れている。正しくそのSM-3ブロック2が日米共同開発となり、「武器輸出三原則の例外扱いとされた」が故に。この意味する所は、少なくとも日米間に関する限り、SM-3ブロック2と言う武器の「輸出」が認められたと言う事に他ならない。日米間には確かに日米安保条約があり、米国は日本にとって特別な国である。だが、上記のようにSM-3が「武器輸出三原則の例外扱いとされ」米国に輸出できるのならば、少なくとも日米の同盟国、西側諸国に輸出できない理由は私には判らない。無論、「武器輸出禁止は国是」と考える朝日社説からすると、日米間で破られてしまったその「国是」を、何処までキープするかと言う問題になるのだろう。
だが、少なくとも日米間でその「国是」は、正しくSM-3ブロック2によって破られているのだから、朝日社説がその後段で騒ぐ「転換点」は既に過ぎている筈だ。その転換点は、今「第三国へのSM-3輸出の判定をする時点」ではなく、「SM-3ブロック2を武器輸出三原則の例外扱いと決定した」時点なのだから。
その転換点を無視ないし軽視して、「SM-3の第3国輸出」を新たな「転換点」に奉りあげ、破れた「武器輸出禁止」と言う「国是」を未だ朝日新聞社説は奉じている事になる。ナントモ珍妙と言うか、奇妙と言うか・・・・
恐らくその根源にあるのは、「武器を輸出するのは悪い事だ」と言う軍事忌避・兵器忌避であり、さらにそいつは「武器を作る事は悪い事だ」に繋がっているのだろう。
所詮は異教徒と、諦観すべきか。イン・シャ・ラー。
その転換点を無視ないし軽視して、「SM-3の第3国輸出」を新たな「転換点」に奉りあげ、破れた「武器輸出禁止」と言う「国是」を未だ朝日新聞社説は奉じている事になる。ナントモ珍妙と言うか、奇妙と言うか・・・・
恐らくその根源にあるのは、「武器を輸出するのは悪い事だ」と言う軍事忌避・兵器忌避であり、さらにそいつは「武器を作る事は悪い事だ」に繋がっているのだろう。
所詮は異教徒と、諦観すべきか。イン・シャ・ラー。
<注釈>
(*1) 呵呵大笑。迎撃ミサイルどころか、核ミサイルの配備が熱戦ならぬ冷戦と言う「国際平和」を実現したと考えている私に、斯様な「呪文」は通用しない。