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「明白な国際法違反」息子らが米国を批判 http://sankei.jp.msn.com/world/news/110511/amr11051112230006-n1.htm
2011.5.11 12:09
米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は10日、国際テロ組織アルカーイダ指導者ウサマ・ビンラーディン容疑者の息子たちが米軍による同容疑者の殺害を「明白な国際法違反」と批判する声明を出したと報じた。同紙によると、声明はビンラーディン容疑者が武装していなかったのに米軍が殺害し、遺体をアラビア海で水葬にしたことを非難。真実が世界の人々に明らかにされるような形で逮捕、裁判の手続きが取られなかったのはなぜかとただしている。同紙は声明について、ビンラーディン容疑者の四男、オマル氏の主導で書かれたと指摘。同紙は、オマル氏らと本を共著した米国人作家を通じて声明を入手したという。(共同)
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民間機をハイジャックしてビルにぶつけるのは、どの国際法に則った攻撃かね?
昔々、暴力団対策法が執行されようとしたとき、ヤクザ共がつるんでデモ行進をしたそうだ。ヤクザ共がそのデモで主張することには、「職業選択の自由を守れ!」。つまり「ヤクザと言う職業を選ぶ権利を守れ!」と主張していたのだそうだ。
私はこの話を聞いたとき、思わず吹き出した。理由は単純明快だ。ヤクザなんてのは表稼業じゃない、裏稼業だ。裏稼業を職業選択する自由なんてものが、少なくとも公式には認められる訳が無い。
そんなものが認められるならば。「泥棒になる自由」も「殺し屋になる自由」も認められるし、と言う事は「殺し屋不況対策」として、政府が一定数の「殺し屋需要を喚起する」つまり人殺し依頼を推奨したり、政府自身が公共事業として殺人を依頼したりしなければならない筈だ。政府によってはそれぐらいの事をやりそうな政府もあろうが、それでもまともな政府ならば、表立ってはそんなことはしないだろう。であるならば、「ヤクザと言う職業を選ぶ自由」のために暴力団対策法の執行を中止するとか延期するとか言うことは、少なくとも行なわれるべきではない。
実際当時の政府は、まだ自民党政権時代だったが、そのまま暴力団対策法を執行したそうだ。まあ、今の民主党政権だったらどうなるか、判ったものではないが(*1)。
そんなヤクザの主張する権利を思い起こさせるのが、報じられている「ビンラディンの息子達の主張」である。報道に曰く。
1> 米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は10日、
2> 国際テロ組織アルカーイダ指導者ウサマ・ビンラーディン容疑者の息子たちが
3> 米軍による同容疑者の殺害を
4> 「明白な国際法違反」と批判する声明を出したと報じた。
5> 同紙によると、 声明は
6> ビンラーディン容疑者が武装していなかったのに米軍が殺害し、遺体をアラビア海で水葬にしたことを非難。
7> 真実が世界の人々に明らかにされるような形で逮捕、裁判の手続きが取られなかったのはなぜかとただしている。
ま、吹き出すほどではないが、失笑には充分価するな。
先ずわからないのは上記4>で言う、「米国が明白に違反した」と主張される「国際法」だ。此処で言う「国際法」がジュネーブ条約初めとする戦時国際法のことを言っているのならば、それはビンラディンやアルカイーダなどには適用されない。戦時捕虜の権利や待遇を定めた戦時国際法は、戦闘員にしか適用されず、戦闘員たる資格には明白な識別標(*2)と明快な指揮系統が必要だ。ビンラディンやアルカイーダは明らかに前者を欠いている(*3)。その状態での戦闘参加は、犯罪者、テロリスト扱いであり、戦時国際法に照らしても、スパイと同様銃殺刑が認められている。
或いは、此処で言う「国際法」は一般的な国際法を指し、戦時国際法を特定したものではないのかも知れない。だが、そうだとすると、ますますこの「ビンラディンノ息子たち」の主張は支離滅裂だ。そもそも、ビンラディンやアルカイーダが実施した「米国に対する攻撃」9.11テロは、どう考えても国際法に則って居る訳がない。アルカイーダは武装集団であって国ですらないし、9.11テロの実施者は無害な民間人に偽装して旅客機をハイジャックし、民間人を楯にとって民間人を殺傷した。それこそ「明白な国際法違反」を実施しておいて、ビンラディン自身の身には「国際法による保護」を要求している事になる。
先述の「ヤクザによる職業選択の自由を求めたデモ」を私が想起した所以だ。
6> ビンラーディン容疑者が武装していなかったのに米軍が殺害し、遺体をアラビア海で水葬にしたことを非難。
何かね、世界貿易センターに勤務していた幾千もの人間は、皆携帯ミサイル(*4)か何かで武装していて、その後「グランド・ゼロ」に世界貿易センタービルごと埋葬されたから、良いと言う主張かね。それにしたって楯に取られた方の旅客機乗客は丸腰だったろうに。
7> 真実が世界の人々に明らかにされるような形で逮捕、裁判の手続きが取られなかったのはなぜかとただしている。
要は「犯罪者の人権は守れ。犯罪犠牲者の人権は知らん。」と言っている。ミッキー・スピレインの小説に登場する悪役「人権派」弁護士そのままだな。
是が国内を逃走中の犯罪者ならば、如何に極悪非道な犯罪でも、左様な「人権派」弁護士の擁護論がある程度通用するだろう。その場合は、犯罪者の隠れ家に突入するのも軍隊ではなくFBIなりSWATなりの警察であり、犯罪者の身柄確保を優先するだろう。
だが、ビンラディンはパキスタンと言う第三国に隠れていた。いわば「人権派」弁護士の保護下から自ら望んで逸脱したのだろう。「其処を米国につけこまれた」と言えないこともないだろうが、米国は対テロ戦争を、ビンラディンは「聖戦」を、それぞれ実施中の「戦時下」だ。そんな隙を、突かない方がどうかしている。
突入した米軍部隊にビンラディン殺害の命令が出ていたか分からない。が、米軍部隊を突入させる作戦で、「ビンラディンを逮捕しろ、殺すな。」と言う命令が出ていたとは一寸考えられない。恐らくは、「殺してもかまない」とは命じられていたのだろう。
当初発表されていた「激しい銃撃戦」と言うのが修正され、「ビンラディン死亡の際は武装していなかった。」と言うのが現時点での通説である。それ故に上記6> 前半のアメリカ非難になっている訳だが、、米国もアルカイーダも「戦争」と言う認識ならば、指揮官の武装・非武装が問題になろうか。戦場の上級指揮官、例えば将軍なんかは、護身用拳銃以上の武器を持っていることは滅多にない。だが、前線の将兵が敵の将軍をその射程に捕らえたならば、あわよくば捕虜に取ろうとするし、出来なければ殺傷を試みるだろう。敵の将軍の武装故(*5)ではなく、その指揮権故に。
一方水葬実施の素早さは、少なくも「ビンラディン死亡の場合は水葬」と言うのが予め決められていた方針であり、ひょっとすると事前から命じられていたかも知れないことを示唆している。これまた上記6>の通り非難の対象であるが、米国にすれば土葬にして墓を残すリスクは避けるだろうと言うのは、先行記事にもしたところ。殊に水葬であるから、事後に埋葬しなおすなんてことは不可能なのも、米国としてはメリットだろう。(*6)
総じて言うならば、やはりタイトルの通りだ。
「聖戦」を称して「民間人に偽装して、民間人を楯にとって、民間人を攻撃する」などという男児の風上にも置けないような「戦争」(*7)を指導ないし煽動(*8)していたビンラディンが第三国に潜伏した状態で殺された事を、「国際法の保護」を求め、国内逃走中の犯罪者並みの人権を求めて、「非難する」などと言うのは、笑止千万である。
<注釈>
(*1) 「外国人献金が違法ならば、合法にしてしまえば良い。」と平気で抜かす政権与党である。合法であり、政権与党、それも憲政史上最多の衆院議席数を誇る政権与党だから、ヤクザなんかよりも遥かに始末に悪い。(*2) 通常は軍服。最低限、腕章。勿論、勝手につけたり外したりしてはいけない。(*3) 後者についても、相当怪しいが。例えばビンラディン自身が停戦を命じたとしても、アルカイーダのどこまでがそれに従うか、疑問だ。(*4) 突っ込んでくる民間機に対して有効な武装となると、護身用拳銃では駄目だろう。軍用自動小銃でも大差はない。せめて、肩撃ち式の携帯SAMか、高射機関砲だろう。高射機関砲となると、相当大きいぞ。(*5) 先述の通り、それは多くの場合、護身用拳銃程度だ。武装した護衛がついている可能性も、勿論あるが。(*6) 絞首刑に処されて火葬された「A級戦犯」の遺骨を、我が国が奪還して埋葬した故事に、戦訓を学んだ、と言うところか。(*7) 「アラーが聞いたら腰を抜かすぜ。」とは言わないまでも( 何しろ、アラーは全知全能の筈だから、ビンラディンの斯様な「聖戦」もまた、イン・シャ・ラー(アラーの神の思し召し)だろう。)、「回教の教祖ムハンマド・アリが聞いたら腰を抜かす」だろう事は、賭けても良い。(*8) 9.11テロの頃は、「指揮」と言えたろうが。