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米国の作戦によりアル・カイーダの指導者にして9.11テロの首謀者とされるウサマ・ビンラディン(Osama bin Laden)の死が公表された後、その作戦概要やら、葬儀の様子が続報されている。
当ブログでも未だこの「ビンラディンノの死」を何と呼ぶべきか迷っている。米軍からするとタイトル通り襲撃作戦であるし、ビンラディン自身が抵抗して銃撃戦となった結果頭部に銃弾を受けての死亡との報道もあるから「戦死」という表現も考えられるが、以前の記事にも書いた通り、対テロ戦争は非対称であり、不正規戦が主であるが故に、交戦地域も交戦対象も実に曖昧である。例えば、アル・カイーダからしてジュネーブ条約に定められた「指揮系統に則り、明白な表示をした、正規軍の兵」ではない。それどころか「民間人に偽装して、民間人を盾として、民間人を対象に攻撃する」のがテロリストの特性だ。かようなテロリストは、ジュネーブ条約に従い、スパイと同様に処刑して良いことになっている。
であるならば、パキスタンという外国に潜伏中のビンラディンを米軍が急襲した際に生起した銃撃戦は、「テロリスト・ビンラディンの武力抵抗」であって戦闘ではなく、その結果である「ビンラディンの死」は銃殺刑の執行であって「戦死ではない」と見なすことが出来る。
一方で「暗殺」という表現にも抵抗がある。ビンラディンは9.11テロの首謀者かも知れないし、アル・カイーダも軍隊に近い大組織かも知れないが、所詮はテロリストの親玉。「暗殺」されるような大物では無いと、(※1)私には思われる。
やっぱり一番ピッタリ来るのは「銃殺刑の執行」だろうか。
<注釈>
(※1) ああ、ビンラディンよりも菅直人の方が、指導者としても人間としても小物だろうな。だが、菅直人には、日本国首相にして自衛隊三軍の最高指揮官という肩書きがあるから、菅直人を殺そうという企ては「殺人計画」と言うよりは「暗殺計画」なのである。残念ながら。
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40分の銃撃の後に頭を撃たれ
http://sankei.jp.msn.com/world/news/110503/amr11050301590003-n1.htm
2011.5.3 01:57
米国がウサマ・ビンラーディン容疑者の殺害に成功した最大の要因は、イラクの大量破壊兵器をめぐる情報で批判にさらされた米情報当局の入念な情報収集だった。少なくとも4年以上の情報収集で、ビンラーディン容疑者の側近が、パキスタン国内の不審な施設に出入りしていることを発見。周囲とは異なる不自然な生活習慣などに目を付けて監視を続け、同容疑者の潜伏を確認した。米CNNテレビなどによると、現地時間2日、米海軍特殊部隊(SEALS)を主体にしているとみられる部隊が、4機のヘリコプターでビンラーディン容疑者が潜伏する施設へ降下して急襲した。銃撃戦は約40分間に及び、抵抗した同容疑者は頭を撃たれた。米側に被害はなかったが、ヘリコプター1機が故障で使用不能となり、米部隊の手で破壊された。米政府高官によると、米情報当局がビンラーディン容疑者の所在を割り出す直接のきっかけとなったのは、ビンラーディン容疑者にメッセージや情報を伝達する側近の存在だったという。米情報当局は4年前、この側近の名前を入手。2年前にはパキスタン国内に活動拠点があることを突き止め、この側近の監視を続けていた。側近の行動確認などを通じて、情報当局者が不審な施設にたどり着いたのは昨年8月。パキスタンの首都イスラマバードから約60キロ北方のアボタバード。そこに周囲の家よりも8倍ほど広い「異常なほど独特」(米政府高官)な施設があった。
情報当局の調査で、3階建てのこの施設は2005年、未舗装道路の終着点に100万ドルもかけて建設されたことが判明。約3・6メートル~5・4メートルの壁やワイヤで囲われ、内部の様子は外からうかがえず、出入りは2カ所の門に制限されていた。さらに、施設にはほとんど窓がなく、電話やインターネットの回線も引かれていなかった。ここ数年で周囲は住宅地となり、住民は自宅前にゴミ出しをしていたが、この建物の住民だけはゴミを内部で焼却し、外に出さないようにしていたという。どれだけ調べても、どういう人物がこれだけの施設を建設、維持できるのか、はっきりしない。米情報当局は「重要人物をかくまうために特注されたものだ」との確信に至ったという。施設には3家族が居住し、そのうち1家族が同容疑者の家族構成と酷似していることも判明。数人いる妻のうち、もっとも若い妻と住んでいるとの疑いが強まった。こうした情報は早い段階からホワイトハウスにも詳細に伝えられていた。同容疑者の滞在が濃厚になった3月以降、オバマ大統領は安全保障チームの協議を集中的に開いた。4月29日朝、竜巻で壊滅的被害を受けた南部アラバマ州の被災地視察に向かう直前、オバマ大統領はホワイトハウスで高官らを集めて施設の急襲を了承。2日後に作戦が実施された。(ワシントン 犬塚陽介)
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遺体を白い布に包み海中へ
http://sankei.jp.msn.com/world/news/110503/asi11050311210008-n1.htm
2011.5.3 11:20
白い布に包まれた遺体を海中に-。米国防総省高官は2日、国際テロ組織アルカイダ指導者ビンラディン容疑者の水葬時の様子を明らかにした。水葬の儀式は米東部時間の2日午前1時10分から、アラビア海北部に展開中の原子力空母カール・ビンソンの甲板で50分かけて執り行われた。イスラム教の慣習にのっとって遺体を清め、白い布で包んだ。袋に収めた後、米軍士官が英語で弔いの言葉を読み上げ、アラビア語に翻訳された。遺体はゆっくりと海中に下ろされたという。一方、ホワイトハウスで記者会見したブレナン大統領補佐官は、ビンラディン容疑者の死亡に疑念を抱く人々に対し、説明を尽くす考えを強調した上で、遺体の写真を公開するかどうかは「決めていない」と述べた。(共同)
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水葬は非イスラム的 権威機関の学者らが批判
http://sankei.jp.msn.com/world/news/110503/mds11050309110001-n1.htm
2011.5.3 09:10
米政府が2日、国際テロ組織アルカイダの指導者ウサマ・ビンラディン容疑者の遺体を水葬したと発表したことについて、イスラム教スンニ派の最高権威機関アズハル(カイロ)の指導者タイブ師らイスラム法学者は「イスラムとは相いれない」と批判する声明を出した。欧州メディアが伝えた。米側は同容疑者を葬る際は「イスラムの伝統的作法にのっとった」と主張しているが、タイブ師は「(死者の)思想信条がどうあれ、遺体を損ねることは禁止。土葬によって死者に敬意を払うのだ」と述べた。在米の別の法学者は「海上を航行中に死亡したならば水葬は可能だが、陸上で死んだなら、普通は遺体を海に投じることはない」と述べた。(共同)
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ビンラディン襲撃と水葬を考える
まず恐れ入らなければならないのは、米国の情報収集能力である。4年以上に渡る情報収集で、「パキスタンにある不審な建築物」を「何者かを匿うための施設」と断定し、ビンラディンがそこに隠れ住んでいることを割り出すのには、衛星写真、航空写真をはじめとする多彩な情報収集手段を持つ米国とは言え、感嘆に値する。その情報は、ビンラディン襲撃作戦の際も大いに役立った筈だ。
次いで注目すべきは、オバマ合衆国大統領の決断だろう。流石に米軍の最高指揮官、と言うことは世界一の核兵器使用権限保持者、である。パキスタンというビンラディンにとっても外国での作戦を裁可するに当たっては、相応に情報確度を高めたではあろうが、失敗したら国内外世論の攻撃に曝されようし、パキスタンとの関係も悪化する。それらを考慮しての決断は、結果オーライとは言え、高く評価すべきだろう。比べるのもナンだが、これが菅直人だったら、いくつも諮問委員会を作ったあげく何も決断できずに、そのうちビンラディンの居所が不明になるのがオチだろう(※1)。
世上には「ビンラディンを殺さずに逮捕し、裁くべきではなかったか。」等という意見もあるようだ。が、その選択にはメリットもデメリットもある。メリットは「より人道的」であり、「正義の執行がより明らかになる、可能性がある」事。デメリットは、概ね以下の通り。
① ビンラディン奪還・救出・脱走の可能性がある
② 生きているビンラディンがテロリストの偶像と化す恐れがある
③ 裁判の結果死刑と決まったとしても、その執行が問題となる可能性がある
④ 襲撃作戦が困難になる。
結果論ではあるが、特に注目すべきは上記④であろう。報じられる処では、40分に及ぶ銃撃戦となり、ビンラディンの息子も死亡し、ビンラディン自身は頭部への銃弾で死亡したという事実は、仮に最初から殺害を目的とした襲撃であっても困難であることを示しており、逮捕拘束を目的としていたら、失敗していた可能性を示している。
以上から考えると、「ビンラディンを逮捕する作戦」と言うのは、机上の空論と思われる。メリットは少なく、デメリットは多い。この場合「多いデメリット」は、作戦実施部隊の死傷者となりかねないのだから、「殺すな、逮捕しろ。」と言うのは、無責任な部外者の寝言としか、少なくとも作戦実施部隊には聞こえないだろう。社民党は瑞穂党首が「殺すな!逮捕しろ!」を主張しているのが良い例だ。四の五の言わずに憲法9条で何とかして見やがれってんだ。
次いで注目すべきは、オバマ合衆国大統領の決断だろう。流石に米軍の最高指揮官、と言うことは世界一の核兵器使用権限保持者、である。パキスタンというビンラディンにとっても外国での作戦を裁可するに当たっては、相応に情報確度を高めたではあろうが、失敗したら国内外世論の攻撃に曝されようし、パキスタンとの関係も悪化する。それらを考慮しての決断は、結果オーライとは言え、高く評価すべきだろう。比べるのもナンだが、これが菅直人だったら、いくつも諮問委員会を作ったあげく何も決断できずに、そのうちビンラディンの居所が不明になるのがオチだろう(※1)。
世上には「ビンラディンを殺さずに逮捕し、裁くべきではなかったか。」等という意見もあるようだ。が、その選択にはメリットもデメリットもある。メリットは「より人道的」であり、「正義の執行がより明らかになる、可能性がある」事。デメリットは、概ね以下の通り。
① ビンラディン奪還・救出・脱走の可能性がある
② 生きているビンラディンがテロリストの偶像と化す恐れがある
③ 裁判の結果死刑と決まったとしても、その執行が問題となる可能性がある
④ 襲撃作戦が困難になる。
結果論ではあるが、特に注目すべきは上記④であろう。報じられる処では、40分に及ぶ銃撃戦となり、ビンラディンの息子も死亡し、ビンラディン自身は頭部への銃弾で死亡したという事実は、仮に最初から殺害を目的とした襲撃であっても困難であることを示しており、逮捕拘束を目的としていたら、失敗していた可能性を示している。
以上から考えると、「ビンラディンを逮捕する作戦」と言うのは、机上の空論と思われる。メリットは少なく、デメリットは多い。この場合「多いデメリット」は、作戦実施部隊の死傷者となりかねないのだから、「殺すな、逮捕しろ。」と言うのは、無責任な部外者の寝言としか、少なくとも作戦実施部隊には聞こえないだろう。社民党は瑞穂党首が「殺すな!逮捕しろ!」を主張しているのが良い例だ。四の五の言わずに憲法9条で何とかして見やがれってんだ。
もう一つ注目すべきなのは、ビンラディンノ遺体を水葬にふしたことだろう。「土葬が通例のイスラムだから、水葬は非イスラム的だ。問題になる。」という非難も報じられているが、米国としてはそれぐらいの非難は考慮済みの水葬であろう。水葬にすることで、遺体を「奪還」する事も、その墓がテロリストの聖地になることも避けられる。「土葬が通例のイスラム」であるならば、尚のこと水葬によって「墓がない」事の意義は大きい。
先行記事にしたとおり、米国にとってビンラディンの死が殉教死にされることは都合が悪い。
先行記事にしたとおり、米国にとってビンラディンの死が殉教死にされることは都合が悪い。
水葬という遺体処分方法は、ビンラディンの殉教死を阻止する工作の一環であろうと、私には思われる。
<注釈>
(※1) そのくせ、「ビンラディン行方不明」に真っ先にホッとするのが、菅直人であるのに違いない。