応援いただけるならば、クリックを⇒ https://www.blogmura.com/
 

3.菅直人は何を「判断」したか?

 前章までが、菅直人の震災直後福島原発視察は、原発対処に悪影響を与えたに違いないという論証である。
 では、逆に、菅直人の震災直後福島原発視察に、何らかのメリットはないのだろうか。或いは菅直人が主張しているように、「福島原発所長の人柄に触れたことが、その後の判断に役に立った」と言うのは正しいだろうか。
 後者について言うならば、「菅直人が正しい判断をしているか。」を検証すれば、間接的ながら検証できる。菅直人が正しい判断を次々下しているのならば、先述の通りデメリットが数多あった筈の「菅直人じきじき震災直後福島原発視察」にも一定のメリットがあった事になる。ひょっとするとそのメリットは、先述のデメリットを上回るかも知れない。が、問題は・・・何方かご存知ならば是非ご教示願いたいのだが、福島原発事故対処について、菅直人が一体何を「判断した」だろうか?
 
 私が記憶している限りでは、菅直人が東日本大震災に対して「判断した」のは以下の項目ぐらいだ。

 (1) 被災地への自衛隊10万人体制で投入と言う、総動員体制
自衛隊10万人体制へ 過去最大規模の活動  http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/event/disaster/496000/

 (2) 福島第1原発への放水任務に自衛隊、消防隊、兎に角水を出せそうな部隊を利用できる順に投入した事。
放水焦る官邸 効果考えず場当たり的指示  http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110328/dst11032819250053-n1.htm
 
 後は、大連立を目指して谷垣自民党総裁に入閣を要請してみたり、流石に増額だけはやめたが子供手当ての半年延長つなぎ法案のために共産党とつるんだり、3回に渡る「国民へのメッセージ」を含めてろくな「判断」をしていない。保身に汲々とする姿が目立つばかりだ。
 上記(1)は今のところ正しい判断だったと評価できるが、多分に「盲人蛇に怖じず」と言うか「ひょうたんから駒」と言うか、素人の妄想的夢想的判断を自衛隊三軍と言うプロフェッショナルが美事に実現してしまった形。長期的にこの体制を維持しなおかつ救援復旧活動をするには、更なる困難=大補給戦が待っているから、まだ手放しには喜べないが、政治は結果勝負であるから、この「判断」は菅直人政権発足以来の大金星と言っても過言ではなかろう。但し、その「判断」に福島原発所長の人柄は、全く関与しているとは思えない。従って、折角の大金星・好判断に「震災直後の福島原発視察」はなんら貢献しているとは思えない。
 上記(2)は「手当たり次第」と言う感が強い。それでもこの判断は曲りなりにも奏功し、福島第1原発を最悪の事態からは救っているから、「辛うじて正しい判断」とは評する事ができる。が・・・先述の通り、「菅直人直々の震災直後に福島原発視察」なんてことを敢行しなければ、事態はここまで悪化しなかった可能性がある上、「兎に角水を出せそうで命令できる奴は片っ端から福島原発に叩き込む」と言う判断の材料として「福島原発所長の人柄」が役に立っているとするならば、「福島原発は、こんな所長には任せて置けない」と言う判断しかあり得ない。それはそれで重要な情報ではあろうが、現場の指揮官=福島原発所長を信用できず、不徹底な「政治主導」を発揮した結果が下記U RL記事に、以下のように報じられている。
枝野氏、首相視察が作業妨害の報道を否定  http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110328/plc11032813120009-n1.htm
> 現場レベルでも不信感は根強い。
> ある関係者は
現1> 「官邸は『やれ』の一点張り。
現2> 現地に赴く人の命や安全を本当に考えているのか」
> と訴える。
> 21日に東京消防庁の活動報告会に参加した隊員の一人は、
現3> 「(石原慎太郎都)知事は涙を流して礼を言ってくれた。
現4> 上からものを言うだけの
官邸と違う」
> と吐露した。
 
 従って上記(2)の判断は、その背景となった「福島原発所長への不信」共々、「辛うじて正しくはあるが、ベストどころかベターと言うにも程遠い。」と断ぜざるを得ない。
 つまり、「震災直後の菅直人直々福島原発視察」は、菅直人の主張するような「正しい判断」に全く役に立っていない。
 そもそも、菅直人は、自衛隊三軍の最高指揮官にして日本国首相であり、東日本大震災にも福島原発事故にも最高責任を負う立場にありながら、ロクに「判断」していないのである。

 

4.結論:福島原発事故は、菅直人による人災の公算大と断ずる

 章題にもした通り、結論は明らかであろう。
 
 自衛隊10万人体制を以って東日本大震災救援に当たるという判断は、菅直人政権始まって以来の大金星・好判断だ。が、その判断に震災直後の菅直人直々福島原発視察は、全く関与していない。
 
 震災直後の菅直人直々福島原発視察は、原子炉のベント開放作業を遅延させ、水素爆発の遠因となった公算大である。また、菅直人の日頃の言動から、「前夜にベント開放を命じた」「視察に関わらずベント開放を命じた」と言うのは全く信じ難い。仮に命じたのが事実であったとしても、政府側または民側の要らぬ配慮(*1)によりベント開放が「菅直人視察後」まで延期された可能性を否定できない。従って、菅直人の震災直後福島原発視察は、今、福島原発が直面している事態の、少なくとも遠因であった公算大である。
 
 報じられている国会答弁における枝野及び菅直人の弁明は、全く弁明になっていない。
 菅、斬るべし!

<注釈>

(*1) 本当に要らぬ配慮だ。私ならば菅直人が福島原発視察をしている正にそのときにベントを開放する。それも、菅直人がベント弁に再接近したときが望ましい。
 暗殺の方法としては、非常に不確実な恨みがあるが。