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東京の水道水から放射性ヨウ素が検出されて、乳幼児に与えて良いとされる基準を上まわったと言うので、大騒ぎしているのが多いらしい。
今回取り上げる朝日新聞社説もその一例。
言うもサラなりであろうが、私は朝日新聞も民主党と同様に嫌いだ。民主党よりも古い分だけ、より嫌いかも知れない。まあ、実害と言う点では、現在「憲政史上最大の衆院議席数」を未だに占めている政権与党・民主党の方が上であるから、「朝日新聞に対する宣戦布告」には未だ至っていない。
その一方で、私の主張に対するアンチテーゼという意味では朝日新聞に期待している部分もある。異論異説があればこそ、議論も深まるという者。マルクス流のテーゼ・アンチテーゼ・アウフヘーベンてのはちょいとどころか相当に眉唾であるが、一方で知的ゲームとしての「ディベート(討論)」て奴も同じ構成を取るから、仲々侮れない。無論、もっと侮れないのが、日本最古の歴史書の片割れで「一書に曰く」と異論異説を平然と併記してしまった日本書紀なのであるが。
「一書に曰く」-日本書紀に見る、異説を排さぬ知恵- http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/21306445.html
それはさておき、
まずはその「私に対する異説」たる朝日新聞社説を一読いただこうか。
例によって、私の突っ込みは最後に注釈として入れた。
朝日社説 あかちゃんを守ろう
転載開始==================================
ヨウ素検出―あかちゃんを守ろう http://www.asahi.com/paper/editorial20110324.html?ref=any#Edit1
福島第一原子力発電所から放出されたとみられる放射性物質が広がっている。福島県に続いて、東京都の水道水からも見つかった。(※1)
これからも、さまざまな場所で放射性物質が見つかって不思議はない。
不安に思う人は少なくないだろう。
ここで共有したいのは、放射線の影響を一番受けやすいのは乳幼児や妊婦だという事実だ。大人は、こうした放射線から守るべき人たちを最優先に守って、落ち着いて行動したい。(※2)
東京都の発表によれば、23区と多摩地区の一部に供給する金町浄水場の水から、1リットルあたり210ベクレルの放射性ヨウ素が見つかった。
原子力安全委員会が飲み水の基準として決めた300ベクレルより低いが、厚生労働省が乳児を対象にして決めた基準値の100ベクレルを上回っている。都は給水地域の住民に対し、乳児には控えるようにと呼びかけた。
ベクレルは放射性物質が放射線を出す能力、つまり放射能の強さを表す。一方、人間が放射線を浴びたときに受ける影響を表すのがシーベルトだ。
平均的な摂取量をもとに、一定の被曝(ひばく)線量を超えないように物質ごとに放射能の基準値が決められている。「ただちに健康に害を与えない」といわれるのは、基準を超える物質を何回か口にしても、すぐにはこの被曝線量には達しない、という意味だ。
放射性ヨウ素は、乳幼児の甲状腺にたまりやすい性質がある。甲状腺への被曝量は、年間50ミリシーベルト以下にすると定められている。
今回見つかった濃度の水道水を長期間飲み続けると、乳児の場合はこの上限を超える恐れがある。(※3)
むろん、短い間ならば水道水でもかまわないが、検出が続く間、乳児にはペットボトルの水を与える方が望ましいだろう。それも震災後、不足気味だ。ここは、乳児はもちろん、幼児や妊婦に譲りたい。
旧ソ連のチェルノブイリ事故では、放射性ヨウ素で汚染された牛乳を飲み続けた汚染地域の小児のうち6千人以上が甲状腺がんになり、2005年までに15人が亡くなったとされる。(※4)
同じ地域でも、大人は、がんの発生に目立った影響は見られなかった。(※5)
こうした過去の貴重な知見に学びたい。不安というだけで水や食品に過剰に反応すれば、不足も心配される。
国際放射線防護委員会は、放射能で汚染された食品の摂取基準について、経済的、社会的な要因も考えて、合理的にできる限り低く保つという方針を示している。行政も市民も、冷静に考えることが重要だ。(※6)
放射性物質の拡散を断つには、福島第一原発の状態を安定させ、放射性物質を原発内に封じ込めるしかない。現地での作業が最も急がれる。(※7)
===================================転載完了
<注釈>
(※1) 殆ど「見つかった」だけなんだが・・・(※2) 放射線に対する恐怖を煽って於いてから、誰も反対できなさそうな「正義の」命題を掲げる。上手いねぇ。(※3) 単純化極まりないな。放射性ヨウ素の半減期は8日。放って置いてもその放射線量は8日後には半減する。「今回見つかった濃度の水道水を長期間飲み続ける」為には、放射性ヨウ素がドンドン供給されなければならない。(※4) 母数も示さないで「6千人が甲状腺ガン」「15人が死亡」ったて、多いんだか少ないんだか、発生率で言わないとわからないじゃないか。こういう数字は、定量的評価のように一見見えるが、定性的評価に過ぎない。(※5) 此も比率で言わないと、影響が目立ったかどうか判らない。それとも大人は誰も甲状腺ガンにかかっていないのか。(※6) 散々パラ煽って於いて、「冷静に考えることが必要だ。」と・・・アリバイ作りできるところが、琉球新報より一枚上手の大手全国紙か。(※7) で、最後にそれこそ誰も反対しないような大命題を掲げる。アリバイは完璧だな。
巧妙な、実に巧妙なアリバイ作り
さて如何だろうか。
流石は老舗の全国紙・朝日新聞と言うべきだろう。最近取り上げた琉球新報や沖縄タイムスのようなあからさまな誤解やミスリードは見あたらず、最後の一文は殆どの比とがうなずかざるを得ないような「放射性物質を福島第一原発内に封じ込めるべく頑張ろう!」で占める。このシュプレヒコールには、私とて応じざるを得ない。
だが、前半では制御された事実を伝えつつ、チェルノブイリを引き合いに出してしっかり恐怖を煽っている。
「制御された事実」と私が呼ぶのは、伝えなければならないであろう事実を敢えて伝えていないからである。
伝えなければならない事実の一つは、放射性ヨウ素の半減期。此は8日とされているから、今日「1リットルあたり210ベクレルの放射性ヨウ素が見つかった。」と言うことは、組み置いて放っておけば8日後には「1リットル辺り105ベクレル」になり、今日から16日後には「1リットルあたり52.5ベクレル」まで下がる。此処まで下がれば、乳幼児に呑ませても何も問題ない。放射性物質の半減期はピンきりだが、8日と言う期間は長いものとは言えない。乳幼児が今回報じられた「放射性ヨウ素が検出された水」を「長期間飲み続け」無いと影響されないのだから、この半減期を知らせないのは「方手落ち」どころか「巧妙な詐術」と言うべきだ。
此に比べれば、伝えなければならないもう一つの事実「チェルノブイリ事故で被爆した子供の総数」は大した問題ではないぐらいだ。
朝日新聞、流石は老舗の全国紙。
保身術に長けている事よ。