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 報じられているのは、未だ我が国の総力(一部例外あり)を上げて対処中の福島原発事故に、我らが陸上自衛隊は74式中戦車2両が投入されたという記事。

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 上掲写真のように車体前面に排土板を付けて、福島第1原発でのがれき除去作業に投入されるのだという。
 何しろ陸自の戦車だから貴重品だ。静岡県御殿場市から福島まで、トレーラーで運ばれたようだ。

 「74式」って制式名から明らかなように、1974年制式採用の74式中戦車は、アメリカのM60、ドイツのレオパルドI、ソ連は一寸ややこしいがT-62当たりをカウンターパートとする戦後第2世代戦車。その最大の特徴は高さ傾きを自在に変えられる油気圧式サスペンションで、これで一番低い姿勢にすると、スゥエーデンの無砲塔戦車S以外のどの戦車よりも低姿勢になる。まあ、その車高を低くするためではなく、起伏に富んだ我が国の地形に合わせて稜線に隠れて待ち伏せ、必殺の第一撃を浴びせるための装置だが。
 もちろん、今回の福島原発対処出動に役立つのは、姿勢車高の変えられる油気圧サスペンションの故ではなく、750馬力という大馬力と悪路走行性、それに放射線に対しある程度遮蔽効果のある装甲で覆われた車体。それ以上にNBC( 核・生物・化学兵器)防御として車内に揚圧をかけることで、放射性物質を車内に入り込ませず、その分長時間の作業が可能になるが故だろう。
 74式戦車は冷戦のさなかに採用されたから、NBC防御もあって当然。その能力がこんな形で試されることになった格好だ。
 
 もう制式採用から40年近くも経つ老兵だが、未だ数の上ではばりばり陸自の主力戦車。老骨に鞭打ってのご奉公には、頭が下がる。

 御「武」運を!