1 【正論】日本はどうなるのかと問われて
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 元駐タイ大使・岡崎久彦氏と言えば、産経新聞を中心とする論客の一人。正直言って私も一目( 勝手に)置いている評論家の一人だ。特に外交関係で見るべきものが多い、と思って居る。無論私は外国駐留大使の経験もなければ、外交官ですらないのだから、せいぜいが「素人外交評論家」にしか過ぎないが、当ブログの一番目立つところにいまだ掲げている「民主主義国家における国民には一定レベルの軍事的知識が不可欠である (*1) 」の理論を敷衍すれば、「民主主義国家の国民は、外交問題に無関心である事は許されない。」のであり、素人だろうが経験浅かろうが、海外旅行経験すらない国民と言えども一端の「外交評論家」たる事が、少なくとも国政の一端である外交問題を考察し、選挙の際には判断を下す事が求められるのである。さもないと、民主主義は忽ち民主主義の宿敵(*2)衆愚政治に堕してしまう(*3)。
 
 であるならば、先述の通り「素人外交評論家」にしか過ぎなかろうが、大いに外交を論じなければならないのは、道理であり、義務でもある。
 
 それはさておき・・・・
 引用した記事【正論】で岡崎久彦氏は、現・民主党政権発足以降、国民に広がっている政治不信ならぬ政府不信について述べ、それも昨年末の尖閣諸島沖中国「漁船」体当たり攻撃事件や北朝鮮による韓国砲撃のような事件以前から散見された政府不信について述べ、それを大東亜戦争(太平洋戦争)敗戦時や2・26事件に匹敵するほど深刻な政府不信であると断じる。「民主党政権」などと言う「国民の選択」或いは紛れもない現実を私のように感じる者は私ばかりではないらしい、と、私としては意を強くしたいところであるが、岡崎氏【正論】最後の一節には、俄かには首肯しかねるものがある。
 
 
1> 菅直人政権は日米同盟基軸を高らかに謳(うた)い上げ、
2> 米国もこれに応じている。
3> 防衛省が南西諸島防衛を言っても、米韓演習にオブザーバーを派遣しても、
4> どこからも反論の出ない雰囲気となった。
5> 官僚たたきももう前のようなことはない。
6> これは日本民族の英知だと思う。国民感情はここまで来ている。
7> 改革のためには与謝野馨氏まで迎え入れた度胸のある菅内閣ではないか。
8> この際、過去の行きがかりなど離れて、
9> 来(きた)る日米首脳会談で集団的自衛権の行使と武器輸出三原則の見直しを宣言し、
10> 日米同盟をより強固にして国民の不安感を悉(ことごと)く払拭してほしい。
11> 日本の防衛費負担が少なすぎることは今後とも、日米同盟強化の障害ではあろうが、
12> 当面、この経費不要の措置だけでも、
13> 同盟を抜本的に強化し、国民に深い安心感を与えることができる。
 
 「政権交代」を実現させた前首相たる鳩山の後を受けた現首相たる菅直人に対する、「手放しの絶賛」と言うと言い過ぎかも知れないが、余りにも楽観的ないし好意的な評価であるように、私には思えてならない。
 
 上記1>は、まあ、嘘ではないだろう。「高らかに謳う」と言う表現は引っかかるものがあるが、「Trust Me」と日米首脳会談で大見得切って翌日にはその言を裏切った前首相に比べればマシではあろう。
 上記2>~3>及び5>も相応に真実だ。が、上記4>は一寸言い過ぎだろう。赤旗、朝日、琉球新報などはは例によって例のごとくであるし、社民党の十年一日振りも相変わらずだ。それでも、以前ほどには大騒ぎにならないのは事実だろう。その点では、我が国民も、世論も、一定の成熟度を見せている、とは言えそうだ。幸いにも。
 上記6>は、そうであって欲しいと私は願う。低迷する民主党政権の支持率も、概ね民主党候補が連敗を続けている地方選結果も、その希望を強くさせている。
 
 上記9>~10>の施策には私も賛同する。その施策に上記10>「国民の不安感を悉(ことごと)く払拭」するほどの効果を期待するのは余りに楽観的だとは思うが、不安感を低減する事には賛同しよう。上記11>~12>に記されたこの施策の効果も首肯できる。上記13>は「国民に深い安心感」は聊か大げさと思えるが、「同盟を抜本的に強化」には賛同できる。つまりは岡崎氏の上記9>以降の論旨に、私は賛同する。
 
 私と岡崎氏との相違点は、上記7>~8>である。
 
 与謝野馨氏の入閣を、上記7>「度胸」とは言わぬまでも、ある種の決心であった事は私も認める。だが、それを「度胸」とかなり肯定的に評価し、上記8>「過去の行きがかりなど離れて」あの、いまだ現首相の座にあって自衛隊三軍の最高指揮官と言う地位にあり、押しも押されもしない日本のリーダーである筈の菅直人が上記9>「日米首脳会談で集団的自衛権の行使と武器輸出三原則の見直しを宣言」するなどと言うのは、私には想像することすら困難だ。
 
 ひょっとすると、私は間違っているのかも知れない。岡崎氏が正しく、菅直人は上記9>「日米首脳会談で集団的自衛権の行使と武器輸出三原則の見直しを宣言」する可能性は、私の想像を絶するばかりで、確かに、皆無とは言えない。
 
 そうであってくれれば私は嬉しい。我が国にとっても、我が国民にとっても、この私の過ちは大いなる福音だ。
 
 だがそれは、この部屋の空気中の酸素分子がブラウン運動で部屋の反対側に偏ってしまい、私が酸素不足で窒息死してしまう確率よりも、さらに低いように、私には思えてならない。
 如何に、菅直人。

 

<注釈>

 
(*2) にして、宿痾ならざるよう厳戒が必要であり、宿命としてはならない。
 
(*3) ああ、「共通公約に安全保障と言う項目がない連立政権」が政権奪取してしまうようでは、我が国の民主主義も衆愚政治に堕した疑いが濃厚だ。
 私が、我が国民に危うく絶望しかけた所以だ。 失望すれども、絶望せず1-衆院選自民惨敗民主大勝を受けて-  http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/29646281.html  http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/29646287.html  http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/29646294.html