ネット情報は“悪意の病毒” 人民日報  http://sankei.jp.msn.com/world/news/110131/chn11013121260003-n1.htm
応援いただけるならば、クリックを⇒ https://www.blogmura.com/
 
 チェニジアの大規模デモが長期独裁政権の崩壊につながった「ジャスミン革命」を受けて、「独裁が許されない時代に」などと脳天気にのたまう琉球新報社説を斬る記事を当ブログにアップしたのも記憶に新しいところであるが、(*1)その琉球新報社説の脳天気さを指摘する上で引き合いに出した、お隣の一党独裁政権=中国にとってもチェニジアの『ジャスミン革命』は気になるものであるらしい。 
 
琉球新報 チュニジア革命 独裁が許されない時代に  http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-172495-storytopic-11.html
極東にジャスミンは咲くか http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/34558547.html
 
 報じられているのは、「ネット上の民意に耳を傾ける際には悪意の病毒(ウイルス)を防がなければならない」と題する中国共産党機関紙・人民日報の論評。同論評に曰く。
 
人1> 「“民意のウイルス”は大多数のネット利用者の心情を著しく害しているだけでなく、
人2> インターネットの発展も阻害している。
人3> 社会的な論争を激化させる恐れがある」と指摘。
人4> さらに、広告会社に雇われて批判キャンペーンを展開したり、
人5> 虚偽情報を投稿する“ネット船団”がはびこっていると非難し、
人6> ネット情報が世論を誘導することに警戒心を示した。
 
 要は、天下の中国共産党一党独裁政権御用達の機関紙・人民日報様が、「ネット上の民意なんて信用するな。」と警告しているのである。その理由は「悪意あるキャンペーンや虚偽情報に溢れているから。」と言うことらしい。
 
 引用した産経記事はさらに人民日報論評の背景として、以下のように報じている。
 
産1> ネット情報を批判する評論が掲載された背景には、
産2> チュニジアやエジプトで発生している反政府デモがあると考えられる。
産3> 中国政府も経験上、ネットや携帯電話のショートメールを通じた情報伝達がデモの発生、拡大につながることを承知している。
産4> 今回、中国と同様に厳しいネット検閲が行われていたチュニジアで政権が崩壊したことで、ネットの持つ威力を改めて思い知らされた。
 
 この産経の解説が、本記事のタイトルを「極東にジャスミンは咲かせまい(*2)」とした所以である。
 が、実際に中国共産党政権が、あるいは共産党幹部が、チュニジアの「ジャスミン革命の中国への波及」を懸念しているかどうかは、私には断言できない。産経記事は上記産1>~産4>のようにそれを断言しているが、記事を読む限りは「産経の推測の域を出ない。」と言わざるを得ない。
 
 それでも報じられている人民日報記事からわかる事が二つある。
 
 一つには、人民日報が、その上位にある中国共産党が、「ネット上の民意」を恐れていると言う事。それがチュニジアのジャスミン革命を目の当たりにした結果であるか否かは定かではないが、「ネット上の民意」の悪意や信用のなさをあげつらって「信用するな」と言う論説を掲げていると言う事は、「ネット上の民意を中国人民が信用しては困る。」と自白しているに等しい。
 
 もう一つには、中国が散々実施し、そのためにGoogle社を大陸撤退にまで追い込んだネット検閲による言論統制が、中国共産党一党独裁政権が期待するほどには効果を上げていないと言うこと。「ネット上の民意を信用するな。」と共産党自らが宣言していると言う事は、ネット検閲による言論統制が成功していない証左である。
 
中国、米中首脳会談の「成果」を言論統制―心を閉ざした奴は、暴かれたとき、脆いよ。   http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/34571432.html
 
 さて、翻って我が国の「ネット上の民意」を考えてみようか。
 確かにそうそう信用できたものではない。キャンペーンや虚偽情報も枚挙に暇がない。我が国の「ネット上の民意」が真の世論を反映しているのならば、一昨年夏の衆院選挙結果は、あそこまで酷い民主党圧勝にはならなかったように思えるから、「ネット上の民意」と「日本国民の民意」にはまま乖離があると考えるべきだろう。
 だが、中国政府が実施しているようなあからさまなネット検閲や言論統制は、ネット上には見当たらない。(*3)
 
民主主義は絶対善ではない。が、次善ではある。  http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/34312605.html
真の民主主義国家は最強である(楽観的観測)  http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/23943306.html
 
 言い換えよう。
 人民日報が当該記事で論じる「ネット上の民意」に対する猜疑心は、我が国でも必要だ。
 だが、反政府や政府擁護を問わずキャンペーンや、虚偽情報、ネット上の民意と真の民意の乖離を含めて、それらは自由であるべきネット上の言論の特性であり、その受け手たる広く一般の国民が健全な正義真と自立心を有する限り、その特性は、民主主義の強みとなる
 
 その強みは、300のスパルタ兵が「10万」のペルシャ軍を足止めした強みであり、冬戦争でソ連軍に多大な出血を強いたフィンランド軍の強みである。
 
 
 俺達は、今、太陽と共に戦っている。-うしおととら-

 

<注釈>

(*1) 「そんな事を「記憶」している奴が何人いるか?」と問われるならば、「少なくともここに一人居る。」と答えよう。
 所詮は一日のアクセス数がせいぜい3桁の弱小ブログであれば、期待できる影響力はその程度である。
 が、これぞ我が武器。我が舞台。我が戦場。我が道場なり。
 
(*2) 言うまでもないだろうが、ここで「咲かせまい」としているのは、他でもない中国共産党一党独裁政権であって、私ではない。
 
(*3) 先ごろ民主党政権が防衛省次官通達として出した、自衛隊施設内、ひいては自衛官に対する「政治的中立」を求める言論統制は別だ。