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転載開始========================================
日本が武器を規制せずに輸出すれば、世界シェアはどうなるか  http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110118-00000000-scn-cn
サーチナ 1月18日(火)7時26分配信
 2010年12月17日に採択された日本の新「防衛計画大綱」と新「中期防衛力整備計画」は、さまざまな理由から武器輸出三原則の修正を暫定的に棚上げしたが、大綱と計画によって冷戦後の日本の軍事戦略的調整は完了した。中国網日本語版(チャイナネット)が報じた。
 日本は主要な防衛対象をロシアから北朝鮮および台湾海峡を含む中国にシフトしたが、実際には中国をもっとも重要な警備対象としており、さらにいわゆる「西南諸島」防衛から、中国に対処した海空の能力、警戒監視・機動的作戦能力を重点的に強化することで,宇宙から海底に至る立体化、常態化された監視体制を確立するとしている。
 航空宇宙工業を含む日本の軍事関連企業の生産能力と科学研究力は非常に高く、しかも大半が「軍を民に託す」タイプに属しているため、戦時には武器の生産能力を迅速に高めることが可能だ。
 日本は非常に堅固な工業・科学研究の基礎を有しており、米国の最先端武器の電子装置に使用されている陶磁製部品は、その95%が日本製だという。さらにある日本の研究機関は、仮に武器を無規制で輸出することが許されるとすれば、日本は世界の艦艇市場で60%、軍用電子市場で40%、宇宙市場では25-30%のシェアを握るだろうと予測している。
 日本は国内で完ぺきな軍事工業システムを維持しようとしており、国産装備を購入する代価が輸入を上回ったとしても惜しまないだろう。日本はすでに掌握(しょうあく)した先進科学技術と生産技術を基礎に、一旦時機が熟せば、武器の生産量は劇的に増えていくだろう。(編集担当:米原裕子)
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 報じられているのは、「日本の軍需産業の能力の高さは、武器輸出の制約がなければ世界の平気市場で相当なシェアを占めさせるだろう。」と報じる中国網日本語版(チャイナネット)の記事。

 言うもさらなりと言うか、聞く方は耳にタコだろうが、中国には報道の自由はなく、ネットと雖も規制の対象であるから、此処で報じている中国網の記事も、先に記事にした環球時報ほどあからさまではなくとも矢張り中華人民共和国御用達の記事であり、透かしてみれば五紅星の透かしが見えるに違いない記事だ。
 
日本の防衛大綱は、10年後に後悔必至と主張する元駐日中国大使  http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/34552072.html
 
 さてその中国網の記事に曰く。
 
1> 航空宇宙工業を含む日本の軍事関連企業の生産能力と科学研究力は非常に高く、
2> しかも大半が「軍を民に託す」タイプに属しているため、
3> 戦時には武器の生産能力を迅速に高めることが可能だ。
 
 上記1>では先ず日本の軍事産業の能力の高さが誉められている。日本が誉められているのであるし、軍事産業能力の高さは抑止力でもあるから、まずは嬉しい話である。「公論は敵より出ずるに如かず。」なんて言葉もあるから、なおさらだ。

 また、その技術力が高いという点も、私は同意する。もっと高くあって欲しいし、高めるべきだとは思うが。
 何しろ日本の軍事産業はその殆どが兼業軍事産業であり、各企業は軍事部門の他に民需部門を抱えている。もとい、殆どの企業では軍事部門は会社の一部門に過ぎず、軍事部門を主流とする会社の方が少ないのが、日本の軍事産業の一つの特徴だ。それ故に技術力が高いという部分もありそうなのは確かだろう。現状のような武器輸出が制限されて、自衛隊相手にしか売れない日本の軍事産業では、専業では立ちゆかないだろう。
 またそれ故に、上記2>大半が「軍を民に託す」タイプ と言うのは正しい報道と言って良かろう。世界の軍事産業の中では、国営企業や半国営企業が珍しくないし、中国のような未だに共産主義を掲げる(※1)国ならば、なおさらだから、「軍を民に託す」タイプが珍しく、特筆大書されたものと見える。

 だが、上記3>は、「嘘」と断じて良いほどの誇張だ。近代戦と言うものは、時間をかけられないのだ。近代戦の一つの理想は六日戦争・第3時中東戦争であろう。綿密な計画、緻密な情報、周到な準備と短期決戦。戦後この方世界一の経済大国たる地位にある米国からして、湾岸戦争の地上戦はあの短期間に制限し、なおかつ日本初めとする同盟国の経済的支援を必要としたのである。近代戦は、年の単位どころか、月の単位でさえ数えられないほどの、短期戦なのである。
 であるならば、「戦時」に「兵器生産力を高めよう」ったって、間に合わない。増産どころか生産すら間に合わない公算大である。
 
 さらに凄まじいのは、「ある日本の研究機関」にかこつけて「予測」させている、「武器輸出制限しない場合の日本軍事産業の世界シェア」である。
 
4> ある日本の研究機関は、
5> 仮に武器を無規制で輸出することが許されるとすれば、
6> 日本は世界の艦艇市場で60%、
7> 軍用電子市場で40%、
8> 宇宙市場では25-30%のシェアを握るだろうと予測している。
 
 
 大風呂敷の大ボラも良い所だな。「世界の艦艇市場の60%」ってことは、全世界の新造軍艦の過半数をMade In Japanが占めると言うことだ。60%と言うのが艦艇の数・隻数の比率か、排水量の比率かは不明であるが、日本が世界一の艦艇輸出大国になると言うことである。仮に排水量で60%なのだとすると、米英海軍の新造空母( 少なくともその一部)は我が国が受注しないことには無理だろう。]
 
 さらに言うならば、「未だ日本が武器輸出を制限している」現状に於いて、全世界に兵器を輸出し、世界の兵器市場の大きなシェアを占めているのは、中国とロシアなのである。有名なところでは、「紛争あるところにカラシニコフあり。」とも言われるロシアのAK-47カラシニコフ自動小銃シリーズであり、そのパチモンの中国製五六式突撃銃シリーズがある。
 
 と言うことは、上記中国網の記事の報じるところの行間には、「日本が武器輸出を制限しなくなったら、中国の武器輸出の妨げになる。」と朱記大書されている、と見るべきだろう。

 

<注釈>

 
(※1) そのくせ「市場経済」と法螺吹くんだからなぁ。ま、海外投資を誘う方便で、何か事があれば、規制したり強制収容したりするのだが。