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 余りに動きがないことに米国以上に日本のマスコミが焦れたのだろうか(*1)、各紙の社説で普天間基地移設問題が散見される。
 ま、直接的にはゲーツ米国防長官の来日と、首相・防衛相を初めとする一連の会談の結果「現行日米合意案=普天間基地の辺野古移設」と言う方針が「再確認」された(*2)事が引き金となっているのだろう。 
 
沖縄タイムス 1/3 [こんな夢をみた]一国二制度が実現した  http://www.okinawatimes.co.jp/article/2011-01-03_13362/
東京新聞 1/16 週のはじめに考える 現実的と迫る“暴力”  http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2011011602000082.html
琉球新報 1/16 パッケージ論 実効性のない空論やめよ http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-172357-storytopic-11.html
 
 いずれ劣らぬ突っ込み所満載の社説ではあるが、このうち今回俎上に取り上げるのは三番目の琉球新報。先ずはその社説をご覧頂こうか。例によって適宜注釈で私の突っ込みは入れてあるが、其処を読み飛ばせば、琉球新報社説そのままである。

<注釈>
(*1) 
そうならば、日本のマスコミとしては、「ここで普天間基地問題を煽れば、売れる。」と判断したと推定される。
 国事を憂えたり、国益を考えた結果であるとは、まったっく思えないのは、いずれも「沖縄県民の「民意」第一、国益第二」の論調であるから。
 
(*2) 「再確認」されただけで、先行記事に模したとおり、菅直人はその首相就任以来アクションらしいアクションを起こしていないのであるが。
 弾道ミサイル防衛SM-3の欧州輸出を歓迎す ―普天間問題について、現政権は何もやっていない。  http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/34525034.html

転載開始===================================
【琉球新報社説】パッケージ論 実効性のない空論やめよ http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-172357-storytopic-11.html
2011年1月16日    
 
 
 ゲームのルールを米国が握っている限り沖縄の未来はない。
 日米は在沖米軍基地の新たな負担軽減策として、嘉手納基地のF15戦闘機訓練の県外移転先を、グアムまで含めることで基本合意した。
 ただしゲーツ米国防長官は、米軍普天間飛行場の県内移設とF15訓練のグアム移転はパッケージであることが前提と強調した。
 普天間飛行場を県内移設しなければグアムへの訓練移転はない、という論法は典型的なアメとムチではないか。(*1)
 これまで日米合意は(1)普天間飛行場の移設(2)海兵隊のグアム移転(3)嘉手納より南の基地返還―がパッケージと説明されてきた。
 F15訓練のグアム移転をその対象に追加することは、ゲームのルールを変えることに等しい。一方の当事者である日本政府は、ルール変更に異議を挟む場面ではないか。(*2)
 米国の言いなりになってゲームを続けるのなら、最初から勝負はついているようなものだ。
 そもそもグアムへのF15訓練移転が負担軽減につながるというのは、現状を見れば空論にすぎない。
 嘉手納基地のF15訓練は、県外の航空自衛隊基地へ一部移転されているが、昨年3月までに10回にとどまる。1回当たり1週間前後で、参加機は2~6機と少ない。
 逆に嘉手納基地へはF22戦闘機など外来機の飛来が常態化し、住民負担は増している。グアムに訓練移転したとしても、訓練移転の合間の外来機飛来をやめさせなければ騒音被害低減の実効性はない。(*3)
 「実現可能性がないものを決めて、(それを前提に)成果主義をいうのは、おかしい気がする」という仲井真弘多知事の指摘は、正鵠(せいこく)を射ている。
 本来、いらない施設の返還と普天間移設は別問題だ。日米両政府が取り組まなければならない緊急課題は、米国も認める「世界一危険」な普天間飛行場の閉鎖だ。(*4)
 だがゲームの主導権を握る米国は、普天間移設とリンクさせて、嘉手納より南の返還を取引材料にした。
 県や名護市が反対する名護市辺野古崎への移設は現実的ではない。海兵隊の「抑止力」と同様に、パッケージ論は破綻している。無効にすべき代物だ。(*5)
 非現実的な日米合意を盾に、県内移設を押し付ける民主党政権は滑稽(こっけい)ですらある。日米両政府こそ現実を直視すべきだ。(*6)
==================================転載終了

<注釈>
(*1)
 言っている意味がサッパリわからない。日米政府は普天間基地を辺野古に移設することで既に合意している。現政権与党=民主党は、結局滑走路1本か2本かと言う小修正があるのみで、既存の日米合意に回帰している。
 現行日米合意以上の沖縄負担軽減を図るならば、それは条件闘争の交渉になるほかない。交渉とは取引だ。「飴と鞭」になるのは、当然ではないか。
 
(*2) へ??琉球新報社説氏は意図的に情報を取捨選択している。氏の挙げた(1)~(3)のパッケージの内、(1)は、「普天間飛行場の辺野古移設」で日米合意したからこそこの「パッケージ」は成立している。辺野古以外の何処を移設先にしようともこのパッケージは成立していない。少なくとも日米合意はしていない。
 
(*3) F-15訓練の移転が「ゲームのルール変更」であるならば、「外来機の飛来禁止」もまた「ゲームのルール変更」ではないのかね。
 そもそも「ゲームのルール変更」と言うならば、先述の琉球新報社説氏が挙げた三項目の(1)を「普天間基地の県外移設」とせよという事こそ、「ゲームのルール変更」ではないか。
 
(*4) 馬鹿を言ってはいけない。日本政府はまだしも、米国政府にとって、普天間飛行場周辺の危険なぞ、「やれたらいいね。」と言う程度の問題にしかならない。緊急課題になぞなるものか。
 米政府としては、辺野古に移設出来ないのなら、普天間基地を継続使用するまで。
 琉球新報社説氏としては「米国政府にも普天間基地閉鎖を緊急課題としてもらいたい。」願望はあるのだろうが、いくら声高に主張したとて、それだけでは、それは氏の願望以上のものにはなりえない。
 
(*5) これまた馬鹿なことを。県や市の反対は、県や市の反対でしかない。米国政府と直接交渉するのは日本政府であって、沖縄県でも名護市でもない。唯、沖縄県や名護市が日本の一部であるから、日本政府に一定の影響力を持つに過ぎない。
 「海兵隊の抑止力は破綻している。」に至っては、鳩山前首相以上のルーピー振りとしか評し様がない。
 
(*6) 全く同意できない。たかだか「地元の反対」如きで、今沖縄にある抑止力・海兵隊を代替策もないまま「県外移設」するような判断を日本政府がするならば、それこそ非現実的と言うべきだ。

 

「実効性のない議論をやめよ」その言葉、そっくりお返しする。

 「現実」!そう、琉球湯新報社説氏は「現実」と仰る。
 氏の言うところの現実は、以下の節に現れている。
 
1> 県や名護市が反対する名護市辺野古崎への移設は現実的ではない。
2> 海兵隊の「抑止力」と同様に、
3> パッケージ論は破綻している。無効にすべき代物だ。
 
 ああ、現状沖縄県や名護市が、現行日米合意=普天間基地の辺野古移設に反対しているのは事実だ。だが、たかだか地元の反対如きを我が国の国益と引き換えにするような判断は、日本政府としても、日本国民としても、現実的ではない。
 そもそも、普天間基地移設シリーズでも散々説いた通り、普天間基地移設問題を考える上で検討すべき項目の最優先は、我が国の国益なのである。特に安全保障上の国益はCriticalである。
 
普天間基地移設問題経緯(26)までの記事は以下URLに独立させた。
http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/32456004.html
(27) 鳩山首相の負の遺産―普天間基地移設問題経緯(27)―  http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/32800905.html
URL: http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/32800999.html
(28) 選挙対策あって政策なし―普天間基地移設問題の経緯(28)―  http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/33419360.html
 
 敢えて極言するならば、日本の安全保障上の致命的利益の前には、県や市の、「地元の反対」なぞ吹き飛ぶし、吹き飛ばすべきなのである。それが琉球処分を彷彿とさせようが、「日本本土のために沖縄が犠牲に」なろうが、敢行すべきである。
 さらに言うならば、琉球新報社説氏は「沖縄県民の反対」と言う現実しか取り上げていない。正しく沖縄の、尖閣諸島沖で昨年末に起きた中国「漁船」による海保庁巡視船に対する体当たり攻撃と、それに連動した中国政府の強硬策、及び尖閣諸島どころか沖縄本島まで「解放」を謳いだした中国の存在を全く無視している。
 
仲井間沖縄知事、普天間県外移設と尖閣保持を同時要求。-そりゃ虫が良すぎよう。    http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/33764832.html
沖縄県民に問う! -尖閣諸島と普天間基地移設問題-    http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/33752839.html   http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/33761318.html

  以下は上記から引用。
> ① 沖縄駐留の米軍、なかんずく普天間基地駐留の米海兵隊は、有力な抑止力である。
> ② 米海兵隊を特に有力な抑止力としているのは、米海兵隊が陸海空一体の揚陸戦部隊であるからである。
> ③ 米海兵隊を陸海空一体たらしめている要はヘリコプターであり、故に普天間基地に駐留しているヘリ部隊は地上部隊近くに駐留しなければならない。
> ④ 故に、「普天間基地の県外移設」は沖縄に駐留する米軍の抑止力を大いに低下させる。
> ⑤ 現状に於いても傍若無人と言える中国が、上記④の在沖米軍の抑止力低下を見逃すはずがない。
> ⑥ 従って、「普天間基地の県外移設」は、中国による尖閣諸島占領の呼び水であり、中国による沖縄占領をも指呼の間に見える重大事だ。 
> ⑦ 上記⑥の事態を防儀つつ、普天間基地を県外に移設するのには、現政権に限らないにしても日本政府の毅然たる態度と確固たる防衛力向上でもまだ不足気味である。恐らくは核武装が必要だろう。 
 
 この上記>①もまた私が琉球新報社説氏に全く同意できない点である。一体いかなる根拠論拠を以って、願望や妄想ではなく論理を以って、「海兵隊抑止論の破綻」を証したのか、是非ともご教示願いたいところである。