「日本も空母持っていた。なぜ中国ばかり」中国高官反発  http://www.asahi.com/international/update/0113/TKY201101120601.html
2011年1月13日4時1分
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 報じられているのは中国はの武大偉・朝鮮半島問題特別代表(元駐日大使)の訪中した日中友好協会の加藤紘一会長(自民党元幹事長)との会談での発言。元自民党幹事長にして日中友好協会会員の加籐何某が、新年早々中国様に朝貢に伺った、ってぇ事はひとまず置こう。
 
 報じられるところでは(*1)、武氏の曰く。
 
> 中国軍の次世代ステルス戦闘機「殲(せん)20」の開発や空母建造の動きを巡る懸念の声に対して、
武1> 「なぜ中国だけが(批判を)言われるのか」
> などと述べ、反発を示した。

  
> 武氏は第2次世界大戦中の日米のサイパン島での戦闘に関するドキュメンタリー映画を見たことに言及。
武2> 「日本も8から9の空母を派遣した。
武3> 当時は米国も日本も多くの空母を持っていた。
武4> 中国は今も空母を持っていない。
武5> 一つつくってもおかしいことではない。通常の武器だ。ほかの国も持っている」> と語った。
武6> 「ステルスの問題も同じだ」
武7> 「米国が持っても正常なことだと皆さんは言う。
武8> 日本が仮にそのようなものを購入しても、おかしいとは言わないだろう」
> などと述べ、中国の軍事的台頭に対する懸念に反発した
 
 この記事を読んで私は二つのことを考えた。
 
 一つは、もう随分昔に国会あたりに流布されていた「脅威の定義」である。その定義に曰く、「脅威と言うのは、我が国を侵略する意図と能力の両方を有するもの。」と言う定義であった。
 これに対して私は、「我が国を侵略できるか否かの能力は兎も角、他国の意図なぞ明確に断言できるものではないし、我が国を本当に侵略しようと言う国ならば、その意図は欺瞞するなり韜晦するなりして隠すであろう。従って、『脅威の定義』は、『我が国と同盟関係にない、我が国への侵略能力を有する国・集団』とすべきだ。」と大いに反発し、日本人の平和ボケに悲憤慷慨したものである。
 
 さて、翻って現代。平成の御世も23年を数える今日の中国を見るというと、昨年記憶に新しい、未だ記録ビデオの1/3ほどしか、それも公式公開は国会議員にしかされていない尖閣諸島沖中国「漁船」の我が海保庁巡視船に対する体当たり攻撃があり、その船長逮捕に対する中国政府のレアアース禁輸から日本人逮捕拘束にまで及び強行措置と、中国共産党政権お墨付きの「反日」デモ、さらにはそのデモに「沖縄解放」なんてスローガンが登場するに及んでは、中国の日本に対する侵略意図は余りに明白である。
 「侵略意図」と言う言葉がきついのならば、「日本の主権に対する干渉意図(*2)」と婉曲表現する事もできるが、同じ事だ。
 
 中国には日本を侵略しようという意図が明白にある。
 
 今の所それが、尖閣諸島なり沖縄なりの「日本の一部」に(一応)限定して表明されていようが、日本に対する侵略である事に変わりはない。
 
 であるならば、中国の武ナントカがいくら理屈をこねようが、中国の空母保有やステルス機配備が中国の軍事能力向上である以上、我が国がそれら中国人民解放軍の能力向上をものともしないだけの強大な軍事力を有しない限り(*3)、先述の平和ボケ的「脅威の定義」を以ってしても、それは我が国にとっての明白な脅威なのである。
 
 「懸念の声」が出るのは当然であろう。
 
 
 もう一つ考えたのは、上記武8>は「日本がステルス機を買ってもおかしいことではない。」と言い、上記武5>では「空母は通常の兵器だ。」と断言している。これらの武発言をそのまま素直に解釈するならば、「日本が空母やステルス機を保有しても、なんら問題ない。」である。
 ステルス機はF-4の後継機としてF-22が以前は最有力候補とされており、今ではF-35が最有力視されていることから、別に中国のお墨付きなんざ無くても我が国は保有する計画があったわけだが(*4)、空母は噂には時折上りながらも、また最新鋭DDHひゅうが級やその後継DDHが全通ヘリ甲板を持ちながらも、計画すら具体化していないし、建造はもっとしていない。
 無論、空母自体が艦載機のジェット化に伴って巨大化し、まともなCTOL(通常型航空機搭載)空母が事実上米海軍のニミッツ級のみになってしまった(*5)現状は、空母保有の困難さを如実に表しているのであるが・・・
 
 折角、中国は朝鮮半島問題特別代表(元駐日大使)様が出して下さったお墨付きだ。即座に反応して空母建造を開始しても、罰は当たらんと思うのだがね。

 

<注釈>

(*1)
 それも、「天下の」朝日新聞の報じるところであるから、新華社通信か北京放送を読む/聴く心算でなければならない。
 
(*2) 仙石ならば「属国化の明確化」とでも言うところだろう。
 
(*3) 我が自衛隊3軍は、まともに機能すれば相応に強力な軍事力ではある。が、今後も軍拡を続ける事先ず間違いない中国人民解放軍を「ものともしない」とは言い難い。況や、交戦規定もロクに整備されていない現状で、最高指揮官が菅直人の指揮下では、「寒心に堪えない」では済まされない。
 
(*4) ああ、私がF-X候補として奨めてるのはユーロ・ファイター・タイフーンであり、タイフーンはステルス機ではない事は認めなければならない。が、それは我が国が「ステルス機=F-22やF-35を導入しそうである。」と言うのとは全く別問題である。
 私は総理大臣でも防衛大臣でも官房長官でも社民党首でもないので、私の意図とは余り関係なく、F-Xは決定されてしまう。残念ながら。
 
(*5) 英海軍さえ一時CTOL空母を諦めたし、仏海軍の空母は「辛うじてCTOL空母」だが大いに制限がある。その他の国の空母は、ヘリ空母、VTOL空母、旧式機限定CTOL空母に過ぎない。