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3.「鷺」作戦の問題点
言うまでもないだろうが、この「鷺」作戦=自衛隊特殊部隊による拉致被害者救出作戦には問題山積だ。
真っ先に槍玉にあがるのが憲法問題だろう。人によってはこの憲法問題故に「この作戦は非現実的だ。」と思考停止してしまうところだ。勿論、本作戦は拉致被害者と言う国際問題を救出作戦と言う武力で解決しようと言うのだから、憲法9条違反となることはまず間違いない。憲法9条を変えればその「憲法違反」は回避できるが、その手間や、今や(*1)社民党に秋波を送っているような現・民主党政権が憲法改正を視野に入れているなんて事は、それこそ信じられない。
憲法問題は「必殺・解釈改憲」か何かで回避したとしても・・・そもそも我が自衛隊三軍は、海外に大部隊を派遣するようには出来ていない。ソマリア沖の実績が示すように、艦艇部隊ならばまだしも、本作戦の中心は陸上部隊となるはずであり、特殊作戦として人数は限定できそうではあるが、直接その陸上部隊を投入する拠点を何処にするかは大問題だ。韓国領内に拠点確保できれば大分良いが、韓国内の邦人救出に自衛隊を派遣するのさえロクに協定がない現状であるし、半島有事の際にはさらに心もとない。洋上の艦艇、例えば「ひゅうが」級DDHなどから展開する方法もあるが、艦艇の数も搭載できるヘリの数も、酷く制限される。となると・・・竹島かぁ?
「半島有事の際に竹島を拠点として拉致邦人被害者の救出作戦を敢行。」
ウン、確かに「敢行」だ。
さらには、ムッソリーニやチャーチルなら救出なり誘拐なりの対象はたった一人で済むのであるが、拉致被害者は多数居る上、恐らくは分散している。その分散した拉致被害者全員の正確な居所を知るのさえ大事であり、CIAやMI6やモサド級の情報機関があっても覚束無いほどであるのに、我が国の情報収集能力と言うと、実にお寒い限りでしかない。
仮に今回の拉致被害者所在地情報は神の如き他国情報機関から正確無比の情報を得たとしても・・・全員をほぼ同時に救出しないと、後から救出する拉致被害者ほど救出が困難になるので、複数個所での救出作戦がほぼ同時に進行しないといけない。これまた派遣できる部隊の規模の関数である上、同時進行救出作戦なんて、私の知る限り戦史上に未だかつてないような「芸術的作戦」だ。
つまりは、一言で言って「非現実的」。憲法の制約なんて吹き飛ばしても、救出作戦自体が全米軍を挙げてさえも困難でありそうな芸術的大作戦にしかならず、到底自衛隊三軍の能力では適わない。残念ながら。言うも更なりであるが、私がこの菅直人「発案」の「拉致被害者救出特殊部隊作戦」を「鷺」作戦と仮称しているのは、「鷺」=サギ=詐欺 に引っ掛けているのである。
<注釈>
(*1) 一度は普天間基地異説問題を巡って連立解消したはずの、なおかつその連立解消した対立点が全く解決される目処もないまま、
4,空手形、空約束は民主党の看板のようであるが・・・・
何しろ政権交代以前、当時の麻生首相との党首討論からして「財源的に怪しい」どころか「何じゃこの政策は」というのが多々あった民主党である。
鳴り物入りの「こじき手当」もとい「子供手当」は未だ半額支給で満額にする目処がない。
ガソリン税は野党の頃に牛歩戦術を使ってまで一時停止させた税金なのに、与党になった途端に公約を吹き飛ばした。
それらの財源になるはずだった事業仕分けはやるにはやったし宣伝もしたが、実効の程はサッパリだ。
普天間基地移設問題については言葉もない。「少なくとも県外」は「当時の党首の個人的約束」として棚上げにしたくせに、首相交代までして打ち出した「日米合意の履行」は菅直人の代になってから全く進展がない。
「法律で決まったわけではない。」を決めぜりふに、普天間も、問責決議も、「我が敵」小沢一郎招致も、何もかも都合の悪いことは頬被り。全く、羅列するだけで恥ずかしくなってくるぐらいだ。
であるからして、いまさら「拉致被害者の救出に自衛隊を派遣する」と言う、本記事冒頭に示した『「鷺」作戦』なんてものがあくまで空想妄想に終わったとて、今更私にとっての民主党の「信用」が下がるわけではない。
それは既に、地の底まで墜ち果てている。少なくとも私にとっては。
問題は二つある。
一つには拉致被害者達の家族らの心情である。確かに自民党政権下でも長いこと等閑に附されてきた。が、小泉首相以来、北朝鮮の「日本人拉致公認」以来、家族達は誘拐犯=国家的犯罪者=北朝鮮から拉致被害者達が帰って来るという希望の曙光を見ていただろう。その曙光は民主党政権で相当かげったとも思われるが、それでも菅直人の「勇ましい」拉致被害者救出作戦に、一縷の希望を託した可能性はある。
断言するが、菅直人はその一縷の望みを粉砕するだろう。衆院の2/3議席欲しさに社民党にすり寄るような「憲政史上最大議席数党首」に、「鷺」作戦を実施させられる訳がない。
実際、後続する報道では、「軌道修正した」と報じられている。
<菅首相>拉致被害者の救出発言を軌道修正 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101211-00000035-mai-pol
尤もこの軌道修正、
11> 「一般の邦人が韓国の中、例えばソウルとかに住んでいる。
12> 有事のときに拉致被害者を含めて一般の邦人の救出に自衛隊の輸送機などが受け入れてもらえるか、
13> 考えなければいけない」と語り
だそうだから、正直なところ訳がわからない。
半島有事の際に、「韓国に居る日本人を救出するため自衛隊の輸送機を派遣する」は兎も角、「拉致被害者を救出に自衛隊の輸送機など」を一体何処に派遣する心算なのだろうか。
半島有事の、つまりは戦時下の北朝鮮に自衛隊の輸送機が( 北朝鮮の防空網を掻い潜って)強行着陸すれば、北朝鮮内に潜伏させた抵抗運動家達の手によって解放された拉致被害者達が大挙して自衛隊輸送機に乗り込むと言う手筈だろうか。そりゃスゲェや。「鷲は舞い降りた」じゃなくて「勝利への脱出」だ。トテモシンジラレナイ。
信じられないのは、あろう事か未だ官房長官である仙石にしてもそうらしい。
空洞化進む菅政権、首相発言を仙谷氏が異例の全否定 http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/101214/plc1012140030000-n1.htm仙1> 「全く検討もされていないし、韓国との協議入りもない。
仙2> 一切承知していない。
仙3> 相手(韓国)もある。歴史的経緯もある。
仙4> そう簡単な話ではない」と切って捨てた。仙5> 「何かできるのか頭の体操をしておかなければならないというイメージではないか」
閣僚も閣僚、官房長官からしてこの体たらくである。菅直人の「頭の体操」かどうかは兎も角、ろくに指示も出ていない「脳内構想」ないし妄想であることは間違いなさそうだ。
もう一つの問題は、国民諸君にとっての民主党への信頼度は、どうかと言うことだ。
想起されたい。是非とも想起されたい。
昨年夏、衆院選挙前、如何にマスコミが麻生首相に寒風を吹かせようとも、如何に民主党や連立予定三党を擁護しようとも、そんなものに踊らされて、判断を誤って、民主党に投票して、憲政史上最多の議席を民主党に与えたのは、間違いなく国民なのである。
マスコミの謀略宣伝は理由にならない。マスコミとは、謀略宣伝するものであって、そうしていない方が珍しい存在だ。選挙法違反や買収・恐喝に依らない限り、言い換えれば高々謀略宣伝如きに騙されて民主党に投票したのは、国民自身の民度と知性の問題であって、他の誰にも、民主党にすらも、責任の押しつけようがない。
如何に、国民。
そして、
如何にするや、国民。