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2.北朝鮮の砲撃を「神風」と呼ぶ民主党の発想

 ところで、北朝鮮の韓国砲撃と言う非常事態は、ある種の擾乱であり、通常にはない条件であるから、低支持率とそれ以上の国民不信に喘ぐ菅直人並びに現・民主党政権にとって起死回生のチャンスたりうるが、それだけでは「チャンスにしか過ぎない。」
 好機は、活かしてこその好機であろう。活かされなかった好機は、幸運ではありえない。
 かかる「国家の非常時」に、自民党が( 民主党がその野党時代には殆ど見せなかった・・・それを言うなら与党になってからもだが。)「国家に忠良なる野党」ぶりを発揮して、問責決議案の一時棚上げと補正予算の成立に同意したのは、民主党にとって確かに幸運であろう。が、これらは民主党が「北朝鮮砲撃と言う好機を活かした。」とは言い難い。せいぜい、自民党の「国家に忠良なる野党ぶり」につけこんだ、と言うだけだろう
 民主党が、菅直人が、ある程度この好機を活かそうとしているのは事実だろう。産経も「「危機の宰相」演出に躍起」と報じるし、菅直人自身が「日本政府は迅速に対応した」と自画自賛に余念もない。推し進めていた「高校教育に準じると認める事で朝鮮学校の洗脳教育にお墨付きを与える」朝鮮学校無償化も、漸く「手続き停止」とした。
 
【北朝鮮砲撃】首相、初動の遅れ批判に「迅速な対応とれた」 衆院予算委  http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/101125/plc1011250945005-n1.htm
高校無償化 朝鮮学校一転棚上げ 手続き停止、首相が指示  http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101125-00000083-san-soci
 
 尤も、朝鮮学校無償化停止については、先に朝鮮学校無償化の条件とされた「教科書内容改訂(*1)と経理の透明化」について、朝鮮労連に対して北朝鮮本国から「断固拒否」と指令されていたそうだから、今回の北朝鮮砲撃がなくても、無償化停止は当然の処置の筈だ。また、今のところ「手続き停止」であって、中止ではないところに、尚予断許さぬものがあろう。
 
朝鮮総連、無償化条件「断固拒否」の方針 本国から指令   http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/101120/plc1011200141006-n1.htm
 
 第一、いくら菅直人が「迅速な対応だったぁ!」と力みかえったところで、今回の事態を受けての閣僚会議開催が、最初の北朝鮮砲撃から8時間以上後、韓国政府による公式発表からでも2時間以上後である。
 なおかつ、この北朝鮮砲撃が行なわれた11月23日、に岡崎国家公安委員長殿が一度も警察庁に登庁していなかった事も、当人が認めているところである。
 
北朝鮮砲撃】岡崎国家公安委員長、当日に警察庁登庁せず 危機管理監の官邸入りは一報の1時間以上後   http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/101125/plc1011251021009-n1.htm
 
 つまり、少なくとも現・民主党政権の「北朝鮮砲撃と言う事態に対する迅速な対応」は嘘であるし、「北朝鮮に対する厳しい対応」も今のところ言葉ばかりで殆ど実効がない。「朝鮮が公務消化手続きの停止」が殆ど唯一の実績であるが、こんなものは「日本が大失点を犯すところを辛うじて止めた。」だけであり、我が国にとっては何のプラスでもなければ、北朝鮮にとっても大したマイナスにはならない。
 
 挙句の果てに、「不信任決議案棚上げ」「補正予算成立協力」と言う、主として野党側の対応に対して「北朝鮮の砲撃は民主党の神風だ。」と評してしまえる、政権維持最優先、政局あって戦略なし、政権あって国家なしの「国家に不忠なる与党ぶり」を発揮しているのが、現・民主党政権である。
 
> 「こんな不謹慎な発言は聞いたことが無い」
> 「民間人にまで死者がでているというのに」
> 「どうしてそんな発言がでるのか」
ネットの一部からそんな声が上がるのも、うべなる可しと言うべきだろう。
 
「北朝鮮の砲撃は神風だ」 「民主幹部が発言」報道  http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101124-00000004-jct-soci

<注釈>
(*1) 
普通に考えれば、「金王朝礼賛の洗脳教育からの脱却」になるはずだから、民主党のことだからわからない。「てにをは」の変更のような瑣末な「改訂」で以って「改訂した」と朝鮮学校側が主張し、民主党政権が「これを良とした。」公算は、極めて高いように思われる。

3. 「神風」評に見る現・民主党政権の心理―「神風」は泣いている。

 誤解のないように明記しておこう。
 
 私は、今回の北朝鮮による韓国砲撃と言う暴挙が、民主党と朝鮮労働党との(*1)何らかの密約に従って敢行されたとは思わない。そんな密約は、補正予算成立と問責決議停止を狙う方策としてはあまりに非情悪辣であり、「現・民主党政権が韓国人の血を以って政権維持を図った」と言うことである。そんな真実が明らかになった際には、民主党は永久に政界から追放されかねない大スキャンダルである。未だに尖閣衝突ビデオ一つ公開すら出来ないような奴バラに、そんな度胸があるとは思えない。
 
 現・民主党政権がその「北朝鮮に対する太いパイプ」を活用して、今回の北朝鮮砲撃と言う暴挙を何らかの形で予想・予知したとも思わない。そんな予想があるならば、柳田前法相の辞任はもう少し引き伸ばして、問責決議棚上げを狙った公算大と考えるからだ。尤も、仙石が法相の権力を狙って自らが握る情報を知らさなかったと言う可能性ならば、考えられない事もない。
  
 その北朝鮮砲撃と言う暴挙を「神風」と呼ぶ事で、「政局に利用しようとしている。」とも思わない。北朝鮮の暴挙をなんと呼ぶかと言う事と、その暴挙を政局に利用するか否かは別問題であるし、現・民主党政権は事実としてその暴挙を政局に利用しようとしている。「迅速に対応した。」と自画自賛する菅直人はその一例だ。
 だが、その北朝鮮砲撃と言う、普通に考えればそれこそ「第2次朝鮮戦争勃発」さえ意味しかねない一大事を、「幸運」でも「慈雨」でもなく「神風」と呼んでしまえるその心理状態に、追い詰められていた現・民主党政権の窮状と、その窮状を打開するためには朝鮮半島情勢も韓国人の流血も無視しうる酷薄さと、政権維持に対する妄念とも呼べるほどの執念を、見出さないわけにはいかない。
 「神風」。
 北朝鮮の韓国に対する砲撃、それも軍人・民間人を問わぬ「無差別」砲撃を以って、かくも酷薄なる政権亡者・民主党にとっての「神風」などと喩えられては、「神風」にとって不名誉極まりなかろう。
 
 「神風は泣いている。」と本記事を銘打つ所以である。

<注釈>
(*1)
 或いはひょっとして、間に中国共産党を挟んでの

4. 北朝鮮の砲撃は、民主党起死回生の機会ではあった。が、「神風」ではなさそうだ。

 Trodzdem・・・
 じゃっどん・・・
 じゃけんど・・・
 しかしながら・・・どうやら北朝鮮砲撃と言う一大擾乱は、「民主党にとっての神風」としては不発に終りそうだ。補正予算は可決成立の目処を得たが、自民党は11月26日に仙石と馬渕氏に対する問責決議案を提出するとしているし、みんなの党はそれに先立つ11月25日に仙石に対する問責決議案を提出した。
 
自民、26日に仙谷、馬淵両氏の問責決議案提出へ 可決必至で政権に打撃  http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/101125/stt1011251138004-n1.htm
仙谷氏問責決議案を提出 みんな   http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/101125/stt1011251735006-n1.htm
 
 章題にした通りである。
 北朝鮮砲撃は、民主党起死回生の機会ではあった。が、「神風」ではなさそうだ。
 
 その好機を「神風」とする事が出来なかったのは、自民党が迅速に発揮した「国家に忠良なる野党ぶりと、民主党の迅速ならざる対応並びに新ためて露呈した「国家に不忠なる与党」ぶりのためである。
 
 如何に、民主党。