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タイトルに違和感を覚えた方も多かろう。「神風」と言えども風の一種。特殊な風かもしれないが、人間のように涙を流して泣くような事は、物理的に想定し得ない。せいぜい「風切音が泣き声のように聞こえる」程度だろう。
第一、普通「神風」と言えば我が国開闢以来未曾有の国難( 当時(*1))とされた元寇、即ち大陸国家・元の日本侵攻の際に奇跡的に( かつ都合良く)吹いたと言う伝説の大風の事を指し、この大風で元軍船腹は多大な損害を被り、撤退を余儀なくされたとされる。それ故に「我が国・日本を救おうと言う神意を体現した風」として「神風」と名づけられているのであるから、「風切り音が泣き声に聞こえる」程度の軟弱な風ではなさそうだ。
尤も、日本は「八百万の神の国」である。便所や竈にまで専属の神様を配置してしまう事も平気で出来るし、転じて人ならぬ物までをも「擬人化」ならぬ「擬神化」して、祭ったり讃えたりもしてしまえるのが日本人の精神的風土(*2)である。況や「神風」なんて既に「神」の字が名前に入っているのだ。「擬神化」して人間形態(*3)を想定してしまえば、泣かすも笑わすも自由自在。故に「神風が泣く」事だって充分想定できるのである。(*4)
「神風」転じて英語でKamikazeとなると、発音は(ほぼ)同じながら、元寇に於ける「日本の奇跡」神風ではなく、大東亜戦争(太平洋戦争)末期に我が国が実施した「爆装した航空機による自爆体当たり攻撃」神風特別攻撃隊の方を主として指すようだ。それ故に、アルカイーダのような回教テロリストの自爆攻撃を「アルカイーダのKamikaze」などと呼んでしまったりするようだ。が、噴飯物の表現と言うべきだろう。回教テロリストをはじめとするテロリストの自爆攻撃は、「民間人に偽装して、民間人を楯として、民間人を標的に実施する、自爆攻撃」と言う、「自爆」と言う一点を除けば美事なまでに姑息卑劣極まりない戦術であり、男児の風上にも置けぬ所業(*5)と言える。これに対して我が国の神風特攻隊は、主として洋上、即ち特攻機は身を隠すような障害物遮蔽物が殆ど期待できないところに在る米機動部隊と言う、当時世界で最新の防空管制システムと最も濃密な対空砲火を併せ持つ目標に対し、自爆体当たり攻撃を敢行したのである。自爆テロリスト共が「人間爆弾」であるぐらいで、同日に論じられて堪るものか。
<注釈>
(*1) 我が国に降りかかった国難と言う意味では、戦争に負けてしまって占領され、憲法まで押し付けられてしまった大東亜戦争(太平洋戦争)の方が上だろう。(*2) 唐傘お化けや泥田坊などの「物の怪」は民間伝承や迷信俗信と無視を決め込む事はできるかもしれないが、針供養をはじめとする「物神崇拝」は無視し得まい。(*3) つまり二本足の直立歩行で、腕は二本で、指は手足に五本ずつ。顔には目が二つで口が一つで・・・(*4) それは即ち、「神風の神」が数多の神と同様、物理的存在ではなく、精神的存在であるがゆえ、だが。(*5) この表現が、いささか時代がかっている事は認めよう。だが、未だ「男らしさ」を尊び、尚武の気風があるとされる回教世界において、かかる卑劣極まりない攻撃を是認できてしまう根拠が、私には判らない。無論、私が「回教世界を大いに誤解ないし美化している」可能性も、否定できないが。
1. 現・民主党政権起死回生の機会―北朝鮮の韓国砲撃
閑話休題(*1)(それはさておき)
「神風」などと言う聊か懐かしい単語を目にしたのは、北朝鮮による韓国砲撃に関する報道だ。聊か場違いに思えるシチュエーションで、聊か場違いに思える人物だが、民主党中堅の口から今回の北朝鮮砲撃を「神風だ」と評する言葉が聴かれたのだと、報じられている。
【北朝鮮砲撃】首相、失地回復に躍起 混乱国会も棚上げムードで「神風だ」 http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/101124/plc1011242203024-n1.htm
無論、この「神風」が意味する所は、大東亜戦争(太平洋戦争)中の神風特別攻撃隊ではなく、元寇の際に吹いたという伝説の「神風」、即ち民主党にとっての幸運であろう。
報じられている記事にいわく、
1> 苦戦続きだった国会でも、今回の有事が政権の防波堤となりつつある。
2> 同日夕の党首会談では、みんなの党の渡辺喜美代表が
3> 「自衛隊を暴力装置と言った官房長官は辞めるべきだ」と主張。
4> しかし、別の野党党首は「TPOがあるからね」と渡辺氏と距離を置く姿勢を示した。
5> 政権の思惑通りの展開だ。
6> 党首会談に同席した仙谷氏は
7>「補正予算を早期に成立させるべきと主張した党首もいた」と明かし、
8> 野党側にも審議促進論があることを、わざわざ強調した。
9> 「不謹慎かもしれないけど、
10> 国会対策上にとっては天佑(てんゆう)になるかもしれないな」。
11> 民主党ベテランは、周辺にこうささやいた。
12> 菅政権に批判的な小沢一郎元代表に近い中堅も皮肉混じりに語った。
13> 「閣僚を辞めさせても補正予算案(の成立)が思い通りにならなかった政権にとっては、
14> まさに幸運じゃないか」
となっており、「天佑」「まさに幸運」と言う「肯定的評価」を、民主党のお歴々は北朝鮮砲撃に与えている。
事実、上記13>にもある通り、柳田法相をその失言問題で事実上更迭したにも拘らず、仙石、馬渕へと続く不信任ドミノを食い止める術が全く見出せていなかったのであるが、北朝鮮の韓国砲撃と民間人を含む死傷者がでると言う事態を受けて、自民党は不信任決議を一時先送りし、補正予算成立に協力を約束している。
【北朝鮮砲撃】自民、政府の取り組みに全面協力 谷垣氏「足を引っ張らない」 http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/101124/stt1011241404004-n1.htm
現・民主党政権が北朝鮮と密約でもしていない限り、今回の北朝鮮砲撃は偶然であり、先の世論調査では支持率がとうとう2割台、報道によっては辛うじての2割台に落ち込んだ菅直人・現民主党政権にとっては「起死回生のチャンス」足りうる。産経が「慈雨となるか」と報じるのも、肯けよう。
【北朝鮮砲撃】「危機の宰相」演出に躍起 満身創痍の首相に慈雨となるか http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/101124/plc1011240036000-n1.htm<注釈>
(*1) 実に1500字近い「閑話」であるが。