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 かつて、まだ沖縄がアメリカの占領下にあり、日本への復帰が間近となった頃、沖縄県民の中には以下のような声もあったと言う。
 
 「我々が求めるのは、日の丸への復帰ではない。
  我々が求めるのは、赤旗への復帰である。」
 
 共産主義の栄華未だ華やかなりし冷戦時代と言う時代背景が如実に現れている話だ。そんな意見が当時の沖縄で多数派であったとは思わないし、現存するとしてもかつてよりさらに数が減っているだろうと言うのは想像に難くないが、「沖縄の赤旗への復帰」の可能性は、今までに無く高まっているとは言えるだろう。

 無論言うまでもない、先の中国「漁船」による領海侵犯並びに巡視船への体当たり攻撃をかけた当該船長が、一時逮捕拘留されたと言うのに釈放されてしまった上、中国は謝罪と賠償を日本に求め、あまつさえ沖縄は中国領土とする言説までも流布されている現状では、沖縄が赤旗=五紅星旗に「復帰」する可能性を高めている。

1.尖閣諸島、あからさまな中国の領海侵犯
 事実の確認から行こうではないか。尖閣諸島の問題については、産経がよく纏まった記事をタイミング良く掲載している。これぞ、社会の木鐸たるべきマスコミ本来の任務であろう。
 
【イチから分かる】「尖閣諸島」 東シナ海の権益確保狙う中国   http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100929/plc1009290808004-n1.htm
 
 内容は私なんぞには明白な事ばかりではあるが、要は尖閣諸島は日本以外の国の領土となったことはなく、中国や台湾が自国領土と主張し始めたのは、その近海海底に石油や天然ガスの埋蔵が確認された70年以降である事が改めて述べられている。
 
 その尖閣諸島の領有を、中国は上記記事の通り領海法で勝手に宣言している訳であるが、その宣言があくまでも「勝手な宣言」でしかない事は、台湾が中台共闘で「民族の利益を守れ」と日本に抗議している事が如実に示している。この抗議の意味するところは、大陸は支邦=中華人民共和国も台湾=中華民国も、尖閣諸島を支配しておらず、日本が支配している事を自白しているのであるから。
 
中国漁船・尖閣領海内接触:中台共闘、日本に抗議 「民族の利益守れ」  http://mainichi.jp/select/world/news/20100915ddm007040103000c.html
 
 さて、上記の通り明白に日本の領土である尖閣諸島沖の領海に中国の「漁船」が侵犯してきた。ただ侵犯しただけでなく、追跡するわが海上保安庁の巡視船2隻に体当たり攻撃を加えるという悪質振りから、遂に拿捕・抑留の運びとなった。
 当該中国「漁船」は、中国の報道では我が巡視船に衝突された事になっているそうだ。流石は「党の口舌」度もではあるが、未だ公開されないとは言え我が方には中国「漁船」船長告訴の証拠物件にしようとしていたビデオがあるのだし、我が国の報道機関は我が国の「党の口舌」ではないので(*1)そんなところで虚偽の報道をするとも思えない。何れにせよビデオが公開されれば明白な事実となるだろう。
 尤もその時でも中国政府が「日本政府のでっち上げ。」と主張するであろうことには、賭けても良いが。
 
日本の巡視船が漁船に「衝突してきた」と報道-中国メディア  http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2010&d=0909&f=politics_0909_003.shtml
「鋭角の鉄の船首でぶつかってきた」 中国漁船衝突ビデオの衝撃中身2010年9月27日 20時7分 (J-CASTニュース)  http://topics.jp.msn.com/digital/general/article.aspx?articleid=414258
 
 その後の経緯については幾つかの記事にした通り。
 要約すれば、当該中国「漁船」船長の拘留は延長したが、中国は交流事業の停止、レアアースの輸出停止、「軍事施設を撮影した」としての邦人拘束など「ありとあらゆる」と言って良い圧力をかけ、これに対し那覇地検が「日中韓海の今後と日本国民への影響を考慮」して当該中国「漁船」船長を釈放するに至った。那覇地検は釈放に当たって最高検及び高検と相談したとしているが、政府は「政治介入は無く、地検の独自の判断」と主張している。
 
司法の自殺-尖閣領海侵犯中国「漁船」船長釈放に於ける那覇地検の4つの大罪  http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/33720308.html
http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/33720331.html
尖閣領海侵犯中国「漁船」船長釈放に関する那覇地検への公開質問状、もとい、質問を公開する。   http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/33708602.html
尖閣領海侵犯は21世紀の大津事件となりつつあるか?   http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/33689319.html
旧称「聖哲の国」-尖閣対応に見る中国の覇道ぶり   http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/33681432.html
中華思想と尖閣問題―中国の「核心的利益」を粉砕すべし   http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/33643706.html
衝突された巡視船の調査、尖閣領海侵犯で―朝日は「中国船と衝突の巡視船」と表現   http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/33597832.html
尖閣領海侵犯の中国船長逮捕に対する4+1紙社説比較  http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/33589460.html
 
 尖閣諸島には、今なお領海侵犯の中国「漁船」があることは、中国メディア( 即ち中国政府の宣伝謀略機関)が自ら報じている。尤も、この報道がどく入りギョーザ事件のような虚偽でなければ、だが。
 同報道によれば、わが海上保安庁も海上自衛隊も、監視活動は怠っては居ないようだ。但し、今回事件の発端になったような逮捕には至っていない。彼ら現場の自衛官、海上保安官たちの胸中や、察するに余りあるものがある。
 
【尖閣衝突事件】「日本が海空で妨害」 中国紙が漁業監視船の同乗ルポを掲載  http://sankei.jp.msn.com/world/china/100928/chn1009281608006-n1.htm

<注釈>
(*1) 
中国の「党の口舌」である事はしばしばあるが。今回は其処までは偏向していないようだ。勿論、十分な警戒が必要だが。

2.尖閣と日米安保と普天間と
 
 さて、今回の記事のタイトルは「沖縄県民に問う!」だ。こう銘打った理由は、今回焦点となった尖閣諸島が沖縄県であると同時に、今回かような事態に至った責任(*1)の一端が沖縄県民自身にある、と私が考えるからだ。
 
 順を追っていくとしよう。
 先ずは本件に対する石垣市議会及び沖縄県議会の公議決議が報じられている。何れも日本人としては極々当然の反応であり、抗議である。
 
【尖閣衝突事件】「強い怒りと憤り」 石垣市議会、日中両政府への抗議を決議   http://sankei.jp.msn.com/politics/local/100928/lcl1009281839008-n1.htm
【中国人船長釈放】沖縄県議会が抗議決議 日中両政府に   http://sankei.jp.msn.com/politics/local/100928/lcl1009281144003-n1.htm
 
 しかしながら、今回の中国「漁船」領海侵犯と、我が巡視船に対する体当たり攻撃を、那覇地検の言う通り「偶発的出計画性のないもの(*2)」と見なしえたとしても、その後の当該中国「漁船」船長釈放を要求する中国政府の態度や、その後のレアアース輸出禁止、交流停止、邦人拘束などの一連の強硬措置は、中国政府の入念な準備と計画を想定せざるを得ないし、左様な準備と計画を進めた遠因には、現・民主党政権発足以来ギクシャクさせっぱなしの日米関係、日米安保体制があるものと、反省せざるない。
 
 その日米関係をギクシャクさせている原因には、鳩山前首相の虚言癖も然る事ながら、当ブログでも追っている(*3)普天間基地移設問題があることは、動かし難い事実であろう。
 
 「歴史にIF(もしも)は無い。」とは世上よく言われるところであるが、歴史のIFを考察する事は、異論・異説に耳を傾けるのと同様に有意義な思考実験であるし、物事に対する理解を深める効果が間違いなくある。昨年夏の衆院選挙で「政権交代が実現しなかったら=現・民主党政権が発足しなかったら」とは言わないまでも「普天間基地移設先は最低でも県外などと言う無責任極まりない約束(*4)を鳩山前首相がしなかったら。」と想定する事はさして難しくあるまい。

 その場合、先の衆院選挙の結果は今程の民主党大勝とはならずとも、「政権交代」は実現したであろうと想定できる。そうであれば政権与党の一翼はかの社民党が担う事になり、上記の様は鳩山前首相(当時は党首)の無責任な口約束は無くとも、普天間基地の移設先についてはやはり一悶着はあっただろう。

 だが、その無責任な口約束がない分、社民党の与党追放は早まったであろうし、普天間基地移設先を辺野古する事はもっと早く決まっただろう。結果として日米関係は、磐石とは想定し難いが、今よりも遥かにマシであった可能性はある。その場合でも、中国の態度は、現状のように強硬であったろうか。
 
 所詮は民主党=現政権の腰の据わり方一つではある。また、上記の想定では鳩山前首相が未だ首相であった可能性もあれば、「我が敵」自称「人民解放軍野戦司令官」小沢一郎の影響力が現状以上に強かった可能性もあるから、現民主党政権の媚中ぶりは現状以上であった可能性も否定できない。
 
 だが、上記に加えて沖縄県民にいま少しの理性的判断があったならばどうだろうか。
 
 米軍基地負担を声高に叫ぶばかりでなく、沖縄の地政学的地位と駐留米軍の抑止力を理解し、さらには名護市市長選挙で基地移設反対派ではなく、基地容認派を選出するだけの冷静さが示されていたならば。
 
 中国は現状のような強硬論と強行策をブチアゲタろうか。
 民主党政権は、那覇地検は、今回示したような醜態を曝したろうか。
 

<注釈>
(*1)
その責任の多くは公平であり独立でもあるべき司法=那覇地検などや、日本国の主権及び国益を守護すべきであり外交権を持つ政府にあるのであるが。
 
(*2) 那覇地検は当該中国「漁船」船長に対し、相応の取調べを行った筈であり、計画性の有無をある程度判断できた筈である。その結果を公表するか、或いはその判断が正しいかは、疑問の余地があるが。
 
(*3) 最近、ちょっと追及をサボり気味だな。
 
(*4) 沖縄駐留米海兵隊の抑止力としての価値さえ理解せず、公約ならぬ党首としての私的「口」約束としてなされた約束なぞ、他にどう呼びようがあろうか。