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音速の5倍の速さで宇宙に飛び立つ『宇宙航空機スカイロン』2010年9月18日 7時22分 (ロケットニュース24) http://topics.jp.msn.com/life/column.aspx?articleid=409074
音速の5倍の速さで宇宙に飛び立つ『宇宙航空機スカイロン』2010年9月18日 7時22分 (ロケットニュース24) http://topics.jp.msn.com/life/column.aspx?articleid=409074
(ロケットニュース24)
『衝撃映像! ブラジルで捕獲された宇宙人のリアル動画』というニュースが世間を賑わせているが、こちらはもっと現実的なお話。イギリスの宇宙開発企業が、今後10年以内に普通の空港の滑走路から宇宙に飛び立つ『宇宙航空機』を開発すると発表している。
同社によれば、宇宙航空機は水素と酸素を燃料にし、音速の5倍の速さで宇宙へと飛び立つという。しかも、従来のロケットに比べて約15分の1の費用で宇宙旅行を実現できるというのだ。
この発表を行っているのは、イギリスの民間宇宙開発企業『UK Space Agency』だ。同社は、普通の滑走路から宇宙へと飛び立つ24人乗りの宇宙航空機を開発すると発表。開発には、10年の期間と約930億円の費用がかかるものと見られている。
宇宙旅客機は『スカイロン』と名付けられており、酸素と水素を燃料に音速の5倍の速度で宇宙へと飛び立つ。同社は『スカイロン』の導入により、ロケットを宇宙に送り出すのにかかる費用97ミリオンポンド(約130億円)の約15分の1の、6,3ミリオンポンド(約8億4,500万円)の費用でフライトを実現すると説明している。『スカイロン』のエンジンに用いられている革新的技術が、低価格での宇宙旅行を可能にするというのだ。
エンジンを開発している『リアクション・エンジン』社のディレクター、リチャード・ヴァービル氏は、「宇宙にたどり着くためには莫大(ばくだい)な費用がかかる。しかし、金をかけなければいけないという物理学の法則はどこにもない。我々はそれを実現する」と、語っている。『スカイロン』の開発は世界的にも注目されており、すでに世界各国の企業から70台の購入が見込まれているとのこと。
現在、アメリカでも宇宙航空機の開発が進められている。アメリカの航空宇宙会社『ボーイング』社は2015年ごろに、地球の低軌道(高度350~1400キロ)を飛行する7人乗りの宇宙航空機の運行を発表している。『スカイロン』の開発により、宇宙は人類にとってますます身近なものになりそうだ。低価格宇宙旅行が実現する日が近付いているのかもしれない。
ちなみに、宇宙関係のニュースでは『NASA公式ゲロのレシピを大公開! 宇宙でのゲロ掃除訓練のため』や『宇宙の未確認生物か!? 東南アジアで怪奇生物が捕獲される』、『NASAのポスターが映画みたいでカッコイイ!!』、『太陽を超高速で横切る謎の物体発見される』なども注目を集めている。
Screenshot from dailymail.co.uk.
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********* 以下の記事は、上記報道に基づいた物ですが、コメント欄にささみくん様からご指摘ある通りSkylonは「空気を吸い込むエアブリージングでマッハ5(約1.5km/s)まで加速し、それ以降空気を吸い込まないロケットエンジンで軌道速度(8km/s)まで加速する。」と言うコンセプトであり、少なくともコンセプト上は立派な宇宙航空機でした。
「マッハ5までしか加速しないような機体」と言う誤解に基づいたのが以下の記事です。****************************************************************
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********* 以下の記事は、上記報道に基づいた物ですが、コメント欄にささみくん様からご指摘ある通りSkylonは「空気を吸い込むエアブリージングでマッハ5(約1.5km/s)まで加速し、それ以降空気を吸い込まないロケットエンジンで軌道速度(8km/s)まで加速する。」と言うコンセプトであり、少なくともコンセプト上は立派な宇宙航空機でした。
「マッハ5までしか加速しないような機体」と言う誤解に基づいたのが以下の記事です。****************************************************************
報じられているのは、イギリスの宇宙開発企業が10年で実現すると言う宇宙航空機スカイロン。
1> 同社によれば、宇宙航空機は水素と酸素を燃料にし、
2> 音速の5倍の速さで宇宙へと飛び立つという。
3> しかも、従来のロケットに比べて約15分の1の費用で宇宙旅行を実現できるというのだ。
と報じられているから、中々夢のある話だ。「水素と酸素」と言うのは恐らくは我らがH-2シリーズやスペースシャトルと同じ「液体水素と液体酸素」であろうと推定され、理論上最高の比推力を実現する組合せだから、その点は設計コンセプトとして悪くない。
勿論眼目は「水素と酸素」を使って燃やしても水しか出来ない「エコエンジン」であることではなく、「従来のロケットに比べて約15分の1の費用で宇宙旅行を実現」の低コストの方だろう。液酸液水エンジンがそう安くなるだろうかなんて疑問はエンジン屋さんが吹き飛ばしてくれている。
4> エンジンを開発している『リアクション・エンジン』社のディレクター、リチャード・ヴァービル氏は、
5> 「宇宙にたどり着くためには莫大(ばくだい)な費用がかかる。
6> しかし、金をかけなければいけないという物理学の法則はどこにもない。
7> 我々はそれを実現する」と、語っている。
そうだ。
中々勇ましいはなしではないか。
確かに上記6>の通り、宇宙旅行に「金をかけなければいけないという物理学の法則はどこにもない。」のであるが・・・我ら、重力井戸の底に在る者が、大宇宙に飛翔するには、物理学の法則からして間違いなくエネルギーが要るのである。
その必要なエネルギーは、「脱出速度」で表現される。地球表面にあるものが弾道飛翔して地球表面に再び激突しないために必要な速度を「第一脱出速度」と言い、これは7.9km/sと言う結構な速度になる。
地上にある物体を水平方向に7.9km/sまで加速して打ち出せば、丁度その物体は高度0mの衛星軌道を描き地球を周回する事になる。勿論、空気抵抗はないとしての話しだが。
地上にある物体を第一脱出速度以上まで加速して打ち出せば、見事その物体は地球の重力を振り切って宇宙に飛び出せる。だからこそ「第一脱出速度」と呼ばれるのだ。さらにくどいようだが地上にある物体を第一脱出速度以下までしか加速できなければ、その物体は弾道飛翔を描いて再び地表に着陸=弾着する事になる。
この第一脱出速度に対し、上記に報じられるスカイロンの速度は「音速の5倍の速さ」即ちたったのマッハ5。秒速にすると凡そ1500m/s=1.5km/sにしか過ぎない。第一脱出速度7.9km/sの1/5以下でしかないのだ。私がこの「宇宙航空機スカイロン」の記事に違和感を覚えたのは、この速度の遅さゆえだ。
無論、赤道上で東方に向かって発射する事で、地球の自転分の速度をスカイロンに加算する事はできる。が、半径約6000kmが24時間で一周する地球の赤道上の速度でも、約0.5km/sに過ぎず、合算しても2km/s。第一脱出速度には全く足らない。
ではマッハ5の飛行物体が地球の重力を振り切れないかと言うと、そんなことはなくて、マッハ5を維持したまま等速上昇して行けば良い。物理的な言い方をすれば、エンジン推力によるエネルギーを位置エネルギーに変換する事でエネルギーを蓄積するのである。が、その高度が何処まで行けば地球から宇宙へいけるかと言うと、概算で以下の通り。
0.5mVo^2 = 0.5mV^2 + mgh
Vo:第一脱出速度 7.9km/s=7900m/s
v:速度 マッハ5=1.5km/s=1500m/s または2000m/s(地球自転による速度加算)
m:質量 括れるので幾らでも良い。(*1)
g:重力定数 9.8m/s^2
h:地表からの高度 m 但し、此処で位置エネルギーをmghとしているのは簡略化のため。
5> 「宇宙にたどり着くためには莫大(ばくだい)な費用がかかる。
6> しかし、金をかけなければいけないという物理学の法則はどこにもない。
7> 我々はそれを実現する」と、語っている。
そうだ。
中々勇ましいはなしではないか。
確かに上記6>の通り、宇宙旅行に「金をかけなければいけないという物理学の法則はどこにもない。」のであるが・・・我ら、重力井戸の底に在る者が、大宇宙に飛翔するには、物理学の法則からして間違いなくエネルギーが要るのである。
その必要なエネルギーは、「脱出速度」で表現される。地球表面にあるものが弾道飛翔して地球表面に再び激突しないために必要な速度を「第一脱出速度」と言い、これは7.9km/sと言う結構な速度になる。
地上にある物体を水平方向に7.9km/sまで加速して打ち出せば、丁度その物体は高度0mの衛星軌道を描き地球を周回する事になる。勿論、空気抵抗はないとしての話しだが。
地上にある物体を第一脱出速度以上まで加速して打ち出せば、見事その物体は地球の重力を振り切って宇宙に飛び出せる。だからこそ「第一脱出速度」と呼ばれるのだ。さらにくどいようだが地上にある物体を第一脱出速度以下までしか加速できなければ、その物体は弾道飛翔を描いて再び地表に着陸=弾着する事になる。
この第一脱出速度に対し、上記に報じられるスカイロンの速度は「音速の5倍の速さ」即ちたったのマッハ5。秒速にすると凡そ1500m/s=1.5km/sにしか過ぎない。第一脱出速度7.9km/sの1/5以下でしかないのだ。私がこの「宇宙航空機スカイロン」の記事に違和感を覚えたのは、この速度の遅さゆえだ。
無論、赤道上で東方に向かって発射する事で、地球の自転分の速度をスカイロンに加算する事はできる。が、半径約6000kmが24時間で一周する地球の赤道上の速度でも、約0.5km/sに過ぎず、合算しても2km/s。第一脱出速度には全く足らない。
ではマッハ5の飛行物体が地球の重力を振り切れないかと言うと、そんなことはなくて、マッハ5を維持したまま等速上昇して行けば良い。物理的な言い方をすれば、エンジン推力によるエネルギーを位置エネルギーに変換する事でエネルギーを蓄積するのである。が、その高度が何処まで行けば地球から宇宙へいけるかと言うと、概算で以下の通り。
0.5mVo^2 = 0.5mV^2 + mgh
Vo:第一脱出速度 7.9km/s=7900m/s
v:速度 マッハ5=1.5km/s=1500m/s または2000m/s(地球自転による速度加算)
m:質量 括れるので幾らでも良い。(*1)
g:重力定数 9.8m/s^2
h:地表からの高度 m 但し、此処で位置エネルギーをmghとしているのは簡略化のため。
これによって「地表で第一脱出速度に達するのと同じエネルギーを、マッハ5の速度で保有するための高度」が出て、その高度でマッハ5であれば、目出度く衛星軌道に乗れるしそれ以上まで上昇すれば地球の重力を振り切って宇宙へ「脱出」できる。その高度は上記の式から出てきて、約3000kmとなる。地球半径の半分ほどまで上昇したマッハ5の物体でないと、地球の重力を振り切れない。
この高度までマッハ5=1.5km/s(*2)で垂直上昇したとしても2000秒かかる。
これは、スカイロンのエンジンがいかに画期的であろうと(*3)不変の物理法則でありワープ航法だとか瞬間物質転送機だとかどこでもドアだとかの画期的技術革新がない限り、変え様変わり様がない。
即ち、イギリスの民間宇宙開発企業『UK Space Agency』が発表したスカイロンなるコンセプトは、衛星軌道に乗る事すら適わない弾道弾に過ぎない公算大である。これを「宇宙旅行」と言うのは兎も角、スカイロンを「宇宙航空機」と呼ぶのは、詐欺の疑いさえある
尤も・・・・
その速度を「音速の5倍」と言っている時点で、「大気圏外には出ない(*4)。」と自白しているような物だが。だとすると、一体何を以って「宇宙航空機」と称するのか、何故に「水素と酸素」を使うエンジンとするのか全くわからなくなる。
ひょっとして、「水素と酸素」と言い条、酸素は大気圏から取り込むエアブリージングエンジンなのか?だとしたら、ただの極超音速旅客機じゃないか。
この高度までマッハ5=1.5km/s(*2)で垂直上昇したとしても2000秒かかる。
これは、スカイロンのエンジンがいかに画期的であろうと(*3)不変の物理法則でありワープ航法だとか瞬間物質転送機だとかどこでもドアだとかの画期的技術革新がない限り、変え様変わり様がない。
即ち、イギリスの民間宇宙開発企業『UK Space Agency』が発表したスカイロンなるコンセプトは、衛星軌道に乗る事すら適わない弾道弾に過ぎない公算大である。これを「宇宙旅行」と言うのは兎も角、スカイロンを「宇宙航空機」と呼ぶのは、詐欺の疑いさえある
尤も・・・・
その速度を「音速の5倍」と言っている時点で、「大気圏外には出ない(*4)。」と自白しているような物だが。だとすると、一体何を以って「宇宙航空機」と称するのか、何故に「水素と酸素」を使うエンジンとするのか全くわからなくなる。
ひょっとして、「水素と酸素」と言い条、酸素は大気圏から取り込むエアブリージングエンジンなのか?だとしたら、ただの極超音速旅客機じゃないか。
<注釈>
(*1) 但し、簡単のため一定としている。
(*2) これも簡略化している。音速は大気の温度の関数であり、絶対温度の平方根に比例するから、高度によって異なる。
(*3) たとえ、燃焼時間2000秒なんて屁の河童の、驚異の低コスト液酸液水エンジンであろうとも。
(*4) 大気圏外では音が伝わらないのだから、音速は意味を成さない。或いは、音速は0m/sと考えるべきか。だとすると、どんなに遅くても「マッハ∞」になるのだが。