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些か旧聞に属するが、報じられているのは準天頂衛星「みちびき」が我らがH-2Aによって打ち上げ成功したという、先ずは朗報。
H-2Aについては、打ち上げコストやら、開発戦略に対する疑義やら、あれこれ弱点を抱える「国産宇宙ロケット」であるが、液体酸素―液体水素を使った液体ロケットエンジンは理論上他の追随を許さない程の高い比推力を誇り、今回の「みちびき」のような大型衛星を打ち上げるには持って来いだ。水素燃料であるだけに、二酸化炭素を出さず水(水蒸気)を出すばかりであるから、今をときめく「エコ」でもある(*1)。
それは兎も角、今回打ち上げられた「みちびき」は、準天頂軌道に乗って、日本からは一日の内8時間ほど見える位置にあり、時間によってはほぼ天頂に来る事から、航法衛星としてすっかり定着したGPS(Global Positioning System)を補完して、従来GPSでは測位出来なかった地域や時間に測位できるようにすると共に、測位精度を向上するのだと言う。
些か旧聞に属するが、報じられているのは準天頂衛星「みちびき」が我らがH-2Aによって打ち上げ成功したという、先ずは朗報。
H-2Aについては、打ち上げコストやら、開発戦略に対する疑義やら、あれこれ弱点を抱える「国産宇宙ロケット」であるが、液体酸素―液体水素を使った液体ロケットエンジンは理論上他の追随を許さない程の高い比推力を誇り、今回の「みちびき」のような大型衛星を打ち上げるには持って来いだ。水素燃料であるだけに、二酸化炭素を出さず水(水蒸気)を出すばかりであるから、今をときめく「エコ」でもある(*1)。
それは兎も角、今回打ち上げられた「みちびき」は、準天頂軌道に乗って、日本からは一日の内8時間ほど見える位置にあり、時間によってはほぼ天頂に来る事から、航法衛星としてすっかり定着したGPS(Global Positioning System)を補完して、従来GPSでは測位出来なかった地域や時間に測位できるようにすると共に、測位精度を向上するのだと言う。
その測位精度の向上が並ではない。
1> みちびきは2種類の補強信号を発信。
2> 測位精度は約1メートルと約3センチで、
3> 既存のGPSの約10メートルから大幅に向上する。
4> カーナビの高度化、高齢者や子供の所在確認など多方面での利用が期待され、
5> 技術・利用実証を行う。
と産経では報じられている。この数字をそのまま信じるならば、測位精度が実に10倍から3000倍も向上するというのである。
特に上記2>の後者「測位精度3cm」と言うのは俄かに信じがたく、ネットを探って見ると、以下URLにそのものズバリの文書があった。どうやら、「全国レベルでセンチ級の測位精度」が期待されているのは本当らしい。
準天頂衛星「みちびき」による高精度測位補正技術 www.gsi.go.jp/common/000054541.pdf
1> みちびきは2種類の補強信号を発信。
2> 測位精度は約1メートルと約3センチで、
3> 既存のGPSの約10メートルから大幅に向上する。
4> カーナビの高度化、高齢者や子供の所在確認など多方面での利用が期待され、
5> 技術・利用実証を行う。
と産経では報じられている。この数字をそのまま信じるならば、測位精度が実に10倍から3000倍も向上するというのである。
特に上記2>の後者「測位精度3cm」と言うのは俄かに信じがたく、ネットを探って見ると、以下URLにそのものズバリの文書があった。どうやら、「全国レベルでセンチ級の測位精度」が期待されているのは本当らしい。
準天頂衛星「みちびき」による高精度測位補正技術 www.gsi.go.jp/common/000054541.pdf
一方で3cmとは言わぬまでも、1mの測位誤差ならば既存のGPSでも実用レベルにあるとも言う。恐らくは、GPS衛星からの信号を4つ以上同時に受ける事によって測位精度を上げているのであり、GPS受信状況が相当良いことが前提であろう。いわば、測位に最低限必要なGPS衛星以外のGPS衛星を、「みちびき」の代用とする方法だ。(*2)
また、既存の航法衛星であるGPSを補完するのが今回打ち上げられた「みちびき」であり、今後多くの同種の衛星を打ち上げる事で、日本独自のGPSを構築できる可能性もあるものの、今のところは先達たるGPSと言う巨人の肩に乗った状態と言える。
ならば、準天頂衛星「みちびき」は仕分けの対象となるべき「ムダ事業」なのであろうか。
とんでもない。
先ず第一に我々日本独自の力で、日本に於ける航法の測位精度をあげることに意義がある。GPSは確かに安価で便利な航法システムだが、一朝事があればその精度を恣意的に落とす事があるのは湾岸戦争でも実証されたところ。米国の都合一つで測位精度が低下、或いは極端にサービス停止されてしまう航法装置では問題があると考えるからこそ、欧州のガリレオをはじめ、ロシアも中国も独自の「○○版GPSシステム」を築こうと計画している。
また、既存の航法衛星であるGPSを補完するのが今回打ち上げられた「みちびき」であり、今後多くの同種の衛星を打ち上げる事で、日本独自のGPSを構築できる可能性もあるものの、今のところは先達たるGPSと言う巨人の肩に乗った状態と言える。
ならば、準天頂衛星「みちびき」は仕分けの対象となるべき「ムダ事業」なのであろうか。
とんでもない。
先ず第一に我々日本独自の力で、日本に於ける航法の測位精度をあげることに意義がある。GPSは確かに安価で便利な航法システムだが、一朝事があればその精度を恣意的に落とす事があるのは湾岸戦争でも実証されたところ。米国の都合一つで測位精度が低下、或いは極端にサービス停止されてしまう航法装置では問題があると考えるからこそ、欧州のガリレオをはじめ、ロシアも中国も独自の「○○版GPSシステム」を築こうと計画している。
「みちびき」はまだ一基であり、今はGPSの「おまけ」でしかないが、独自の日本版GPSへの第一歩でありうる。従ってその第一歩になるかも知れない「みちびき」には意義がある。
第二には「3cm」と豪語される高い測位精度だ。この測位精度は、建屋や艦船や航空機や車両どころか、位置さえ精密に判明していれば個人さえ指定でき得るほどの高精度である。
これが意味するところは、「GPS+みちびき」誘導の誘導兵器は、個人さえ特定して文字通りピンポイントに攻撃(*3)しうると言う事だ。(*4)
言い換えれば、高精度の位置情報と言うのは正しく軍事的資産であり、「GPS+みちびき」はその軍事的資産を提供しうる。故に「みちびき」には意義があるのである。
第二には「3cm」と豪語される高い測位精度だ。この測位精度は、建屋や艦船や航空機や車両どころか、位置さえ精密に判明していれば個人さえ指定でき得るほどの高精度である。
これが意味するところは、「GPS+みちびき」誘導の誘導兵器は、個人さえ特定して文字通りピンポイントに攻撃(*3)しうると言う事だ。(*4)
言い換えれば、高精度の位置情報と言うのは正しく軍事的資産であり、「GPS+みちびき」はその軍事的資産を提供しうる。故に「みちびき」には意義があるのである。
米国のJSOW、JDAMを初めとする誘導兵器は、GPSにより安価でかつそこそこの精度で位置誘導される。これらに「GPS+みちびき」誘導を導入すると、純粋GPSよりも高くはなるだろうが、精度が格段に上がるのである。ああ無論、武器輸出禁止法と何らかの折り合いが必要なのではあろうが、我が同盟たる米国が、我が国周辺に於いて攻撃精度を上げる事に、異を唱える理由は私には見出せない。
上記の如く、我が国安全保障の観点の点からだけでも有意義なのが準天頂衛星「みちびき」による、独自の高精度測位である。
「みちびき」の今後の技術実証成果が、期待されるところである。
上記の如く、我が国安全保障の観点の点からだけでも有意義なのが準天頂衛星「みちびき」による、独自の高精度測位である。
「みちびき」の今後の技術実証成果が、期待されるところである。
<注釈>
(*1) 勿論皮肉だ。4トンの大型衛星を準天頂軌道に投入するエネルギーの一部は、熱となって「地球を暖め」ている。
(*2) 実際には、「みちびき」の方が後発だから、「みちびき」が日本上空にある「余計なGPS衛星」の役割を果たしている訳だが。
(*3) それは、狙撃と呼ぶのが適当なほどに。
(*4) 繰り返すが、弾着時点での位置が精密に判明していれば、だ。人間に限らず移動目標を、位置誘導で狙う場合の宿命ではある。